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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
34/70

第34話 過去との約束



寄生石 パラサイトジェム。


これが人食いの正体だった。



ジャパニア四守護家のバドイはこれを用いて人間兵器を作り上げそれを戦力に他国へと進軍するつもりだった。


確かにこの力が他国へと向けられた際には尊大な被害が出るのは間違いなかった。



だが、それは同じ四守護家の一人のルシュカ・コードーとヴェアリアスのサナミ、シュリー、そしてミツバの力によって立ちはだかるパラサイトジャムで力を増した者を撃退した。



そして・・・。




【鍛冶加工町ゾーゼス バドイの飼育施設】




サナミ

「はぁはぁはぁ・・・」



全身から力が抜ける。


この武器を使った鍛練を欠かさずにやっていた。


なのにミツバさんから貰った術技を使ってこの体たらく。


シュリーを見ても同じような感じだった。

息は上がりその場で座りこんでいた。



サナミ

「ルシュカ・・・!」



倒れ込んだルシュカに駆け寄る。


すると待つようにと手を出された。



ルシュカ

「大丈夫だ・・・生きて・・・るよ」



ゆっくりと立ち上がり心配ないという姿を見せる。


だがヨレヨレにもほどがあった。

すぐに肩を貸す。



サナミ

「無理だけはしないで、私のライバルさんなんだから」


ルシュカ

「ふっ、そう・・・か、なら今はお言葉に甘えよう」



笑みで返された。


両手はは黒焦げになってしまっている。


だけどこれなら薬と回復術技で何とかなる。



みんな無事だ。


そう安堵していた時、上からバドイとは別の声が響いた。











ヌーター

「なんという感銘だぁあ!! 感銘!!かかかか感銘!!」


シュリー

「っ! ヌーター!」



すぐに起き上がりライフルを構え発砲した。


だがヌーターには届かず見えない障壁に弾かれた。


今の私の弾丸はあまりに疲弊した物だった、貫くには力不足。



ヌーター

「お元気そうで何よりですよシュベンザー博かかかか士!! 今は元気ないようですがね」


シュリー

「黙れ! まさかとは思ってたけど!これもあんたの差し金だったとはね!」



カズキの馬鹿は隠してたようだけど。


丸わかり出し元老院と付き合いの長いのは私だ。

噂程度でも耳に入ってくる。


私の事を思って隠してた気持ちは嬉しかったが。



ヌーター

「お気づきでしたか、そう!あの迷える子羊達の正唱和の子供達に私の試作機を譲渡し、今回! この美しきパラサイトジェムを作り上げたのは何を隠そう! この私ヌーター・ハーテライシュなのですよ!! かかかかかははははっ!!!」



ただ顔をおさえて高笑いする。


相変わらず汚い笑いだ。



シュリー

「まさかハイトスに入信するなんてね、そこまでして私達に復讐したいってわけ?」


ヌーター

「とんでもございません! 私はあなたとあの使徒君に感謝しているのですよ! 偉大なあの光かかり!蒼き美しい光! 救済の狼煙である裁きの光を!! 今あなたかかかっか方を救済し!彼等に裁きを下した!」



またミツバ先生のことか。


昨日のシェインとか言う奴とほぼ同じ事を言っている。


やっぱり間違いない、ハイトスはカズキを狙ってる。


そしてミツバ先生がその要因だと。



バドイ

「ヌーター殿!! これは一体どうゆうことですか! このような失態どう責任を取るおつもりだ」


ヌーター

「かぁあーん? あなたはこの事態が失態だというのですか? 違いますよーこれは奇跡なんでよ?わかりますか?」



ヌーターがバドイへ近付き両手で顔を抑えた。



ヌーター

「ケルベロスに、このパラサイトジェム。私の発明が負ける訳がないんですよ! かかっか彼女達がかかかか勝ったのは奇跡なのですよ!! それ以外にかか考ええかいんですよ!! わかりますよね!!? あの蒼い光りを見たでしょう!?理解できますよね!!?」


バドイ

「な・・・何を・・・」



そうか、それがヌーターの考えか。


だがあながち間違いではない。

カズキとミツバの二人は奇跡と呼ぶしか考えられないことを多くやり遂げている。


今回だってミツバの先生が私とサナミに力を与えなければ勝てなかったのは間違いない。



ヌーター

「あなたにも・・・理解をして頂きましょう」


シュリー

「っ! やめなさい!」



ヌーターの手には小瓶が。


中に入っているのは間違いなく寄生石。


勢いよくバドイの胸元に突き刺し寄生させた。



バドイ

「がぁああ!! がはぁ!!ぐぅうう・・・!!!」


サナミ

「なんてことを・・・」



バドイは胸を抑え悶え苦しむ。


うめき声を上げながら次第に力尽き、その場に倒れ込んだ。



ヌーター

「あぁーあー情けない、この力に順応出来ないのであればそこまでということですよあなたは」



なるほど、適応しなければバドイのようにただ死ぬだけの物。


逆を言えば私達が戦った奴らのように適応した者は何処までも力を増大する。


自我を失うことを引き換えに。



シュリー

「とんだ欠陥品じゃない、相変わらずお粗末な物を作るのは天才的ね」


ヌーター

「なんかかっ・・・だと?」



頭の方も相変わらずのようね。

このまましゃべってくれるだろう。



ヌーター

「ふふふっ!! これは! あなたが見つけた神の眼と同等な物! あなたなら知っているでしょ?」


シュリー

「そう・・・それも、ロストエンシェントだと言うわけね」


ヌーター

「その通り!!! 本来ならばただの石であるのにもかかか関わらずここまでの力を発揮出来たのは私の力かかか! ロストエンシェントの力など私のかかかかかに掛かればこの通り!」



ハイトスから渡されたのだろう。

ヌーターのような温室育ちが自分から世界を探しまわるとは思えない。


だとしたらハイトスの組織規模は予想を凌駕している。




ヌーター

「ですがかか! これもまだ量産に向けただけの試作品ですが、まだまだ私の発明は留まるを知りませんよ!! 何故なら! 最高傑作は今もなお・・・」


サナミ

「まさか・・・」


ルシュカ

「まだ終わりじゃない・・・だと」


ヌーター

「くかかかっかかかああああ!!! 精々頑張りたまえ!!使徒君の使者達よ!! くかかかかかかかかかかっ!!!」




黒い霧がヌーターを取り囲んだ。

シェインの時と同じだ。


霧が消えた時には、姿形が無くなりその場から消えていた。



シュリー

「っ・・・!」



ロスト・エンシェント。

まさかここでその名を聞くとは。


神の眼、初代虚空竜の瞳に取り込まれた時に見た光景。


あれが、まだ現代の至る所に・・・そしてハイトスが所持している。



そしてシェインとか言う幹部が言っていた「信仰心の浄化」。



嫌な予感しかしない。





奴らはきっとロストエンシェントを使ってまた何かをしようとしている・・・。




------------------------------------------------------------------------------




【鍛冶加工町ゾーゼス 国兵館】



サナミ

「それじゃ・・・すぐに直してね」



国兵館の前まで二人に肩を借りてしまっていた。

二人もふらふらだと言うのに、本当に強い二人だ。


私達は一先ず別れた。


すぐに国兵館へ入って寝室へと向かった。


館の者達にまた心配されながらも部屋で休むことだけ伝えた。




「っ・・・!」


ルシュカ

「ただ・・・いま」



少女がすぐに私に気付いた。

だが、私の両腕を見て涙目になってしまってる。



ルシュカ

「すまないな、撫でてやりたいんだが汚れちゃうから」


「っ! っ! っ!」



顔を横に振るった。


そうか、ただ私を心配してくれているのか。

それもそうか、一人で心細かったのに、主の私がこんな状態で帰ってきたらそれは心配もするか。


今更になって叩かれた頬の痛みが伝わってきたようだ。



あそこで死んだら、この子をまた一人孤独にさせてしまったのか。




「っ・・・」


ルシュカ

「ぁ・・・」




身体をくっ付かせ両手を私の顔を当てた。


そして目下を拭くようにして何かを払った。



ルシュカ

「ありがとうな・・・」


「っ・・・っ・・・」



また首を横に振るった。


そうか、いつも泣いているこの子に私がして上げてた事の真似か。


私は泣いていた? いやこの子には関係ないのだろう。


悲しい顔をしていたらそうやるのだと、そうやられるのが嬉しいからそうした。



表情には出さずに私に教えてくれたのか。




メージャ

「姫様!! まぁ!! なんてこと!!」




両手に治療具一式を待つメージャが部屋に突然入ってきた。

そして私の両手を見て嘆いた。


さっきまでくっ付いていた少女はすぐに離れていった。



ルシュカ

「助かる、あとは自分でやるからお前は下れ」


メージャ

「ですが・・・!」


ルシュカ

「それよりも、バドイが死んだ。奴が人食いの主犯格の一人だ」



事の事情を説明する。


バドイが奴隷商をしていたこと、そして寄生石と呼ばれるジェムで人間を変貌させ人々を襲わせていた。


そして最後にヌーターという男の話しを。


まだ黒幕がいることを伝えた。



メージャ

「そうでしたか・・・かしこまりました、では早速その黒幕を御調べするように伝令を飛ばします」


ルシュカ

「あぁ、頼む・・・」



あと少しだ。


あと少しでこの戦いが終わる。


黒幕を引きずり出し今度こそ終わらせるんだ。


そして・・・。



「っ・・・!!!」



少女を見た。


身体は怯え震えている。


だが、顔が、表情が、強い瞳が・・・メージャへと向けられていた。



メージャ

「・・・・・・では、姫様これで」



一瞬だけメージャと少女の目が合った。


だがメージャはすぐに反らし部屋を後にした。



「っ!!! っ!!! !!」


ルシュカ

「どうしたんだ急に・・・」


「っっ!!! っっ!!」



人差し指を出入り口の扉へ指しブンブンと振り回していた。


何かを・・・訴えるように・・・。



指しているのは扉じゃない・・・さっきまでの強い瞳。



まさか・・・。



ルシュカ

「まさか・・・見たのか?」


「っ!! っ!!」



首を縦に振り、そして扉を指差す。


必死に私に伝えようとしてくれている。





扉を出ていった者を・・・。




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【鍛冶屋レイナ 一室】



私達はルシュカと別れゴドフさんの家に到着した。


すぐにカズキさんが寝ている部屋へ向ったが、まだ目覚めていなかった。


シュリーと二人溜息を吐いて中へ入る。



するとさっき別れたルシュカから通信が来た。


内容は、黒幕がわかったかも知れないという物だった。


明日、出入り口で待ってるので国兵館に来てほしいというものだった。



シュリー

「そうゆうこと・・・えぇ、お願い・・・カズキは・・・そうねまだ起きてないわ」



シュリーはサンリーのクレエスさんに連絡を取って事情を説明してくれていた。


そしてハイトスの動きの活発化を説明し対策が必要だとユミィに伝えるようにした。



シュリー

「そう・・・じゃあ」



インカムを切り耳から外した。


それを見てどうだったか聞くと、早急に動くとその場にユミィも居たそうで動いてくれることになった。


話しによれば国々に応援を頼むような形になると。


ハイトスは国々隔たりなく存在する組織の為だけにナイクネスだけでは対抗できないと話した。



サナミ

「そうなると・・・凄いことになりそうだね」


シュリー

「そうね・・・まぁ難しいだろうけどね」



ハイトスだけを倒す為に国が纏まる。


そんな事は夢物語だろう。


私達のように実際に被害に合わなくてはわからない。

もしかしたらもう被害に合ってる国はきっとあるだろう。


今回のジャパニアだってカズキさんが訪れなかったら恐らく解決は先送りになってあの寄生石を許すような形でナイクネスとぶつかっていたかもしれない。


ハイトスにとっては国が滅びようがお構いなしなのだろう。


ジャパニアを自分達の計画の為の実験台にしている。



そんな事を許しちゃいけない・・・。



シュリー

「はぁ・・・さすがに私も寝るわ、馬鹿が起きたら起こして頂戴」


サナミ

「あはは・・・うん」



シュリーはそれだけを言い敷いてあった布団へと入る。


レイドラさんも私達が帰ってきた途端に眠ってしまった。



サナミ

「・・・・・・」



ミツバさんを見つめる。


これがハイトスの目的。


だけど、変な感じだ。



先日のシェインだ。



彼等の目的は間違いなくミツバさんの力。


だけどミツバさんを持たないカズキさんから出たあの赤紫の光り。

あれにはハイトスも知らない物。


一体あれは・・・。



サナミ

「ミツバさん・・・」



立て掛けてあるミツバさんに触れる。



その瞬間・・・。





『全てを終わらせる・・・!』



『終わらせない! 絶対に!!』





火の海の中に二人。


一人は少女・・・それと男がもう一人・・・。







タロウ

「くわぁあ・・・」


サナミ

「・・・!?」



気が付いたらタロウが私の服を引っ張っていた。


触れていたミツバさんから手が離れていた。



サナミ

「私・・・今・・・」


タロウ

「くわぁ?」



触れた手を見つめた。


何かを見たような気がした。


身に覚えのない何か。


見覚えのない光景。


身に覚えのない二人。



なんだったのだろう今の光景は。



ミツバさんが見せた物?


恐る恐るもう一度ミツバさんに触れるも、何も無かった。


ミツバさんが見せた物ではない・・・。



タロウ

「くぅん?」


サナミ

「ごめん、ありがとうねタロウちゃん」



頭を撫でて上げて私もみんなと同じように眠りについた。




明日の為に・・・。




-----------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工町ゾーゼス 国兵館】



ルシュカ

「ん・・・」



朝だ。


眠りからの覚醒はすぐにわかった。



ルシュカ

「っ!!?」



昨日一緒に寝ていた少女がいない。


周囲を探すも見当たらない。


すぐにベッドから起き上がり着替える。



ルシュカ

「まさか・・・!!」



部屋から飛び出す。


昨日の今日だというのにとにかく館を駆け回った。


エントランスホールで門番の国兵いた。



「お、おはようございま・・・」


ルシュカ

「メージャは何処だ!」



国兵の一人の胸倉を掴む。


腕全体には包帯を巻いてある。

痛みはするが、今はそんな事を言っている場合ではない。



「す、すみません存じ上げないです」


ルシュカ

「見つけたらすぐに報告しろ! 国兵部隊にだ!!」



荒く胸倉を離した。

それと同時に門番の国兵は逃げるようにして去っていった。




ルシュカ

「くっ!・・・メージャ!!!」




ガンッ!!!



壁を思いっきり八つ当たりに叩く。


右手からは血が出て包帯を赤く染める。



私の落ち度だ。

最悪だ。



あの子を・・・。





メージャ

「どう? なさいましたか?姫?」


ルシュカ

「っ!!!!」



玄関口から中央の階段へと振り向く。


悠々と会談から降りてくる。


私が探していた人物。




この事件の黒幕!!




ルシュカ

「あの子を何処へやった!!!?」


メージャ

「あの子? あの奴隷の事ですか? 知りませんよあんな小汚いものなんて」


ルシュカ

「貴様!」



踊り場で立つメージャに向かい足を動かす。



その瞬間、今までいなかった国兵達が奥から隊列を組んで私の前に立ちはだかる。




ルシュカ

「どうゆうつもりだ貴様等!!」



「反逆者コードー家長女! 大人しく降服されたし! 繰り返す!降服されたし!!」




反逆者だと・・・!?


私が・・・?




メージャ

「そう! ルシュカ・コードー! 四守護家の一員でありながら同じ四守護家のラッドルとバドイをその手に掛けた反逆者です!」


ルシュカ

「何を・・・言ってるんだ! ラッドルもバドイも人食いの主犯だぞ! そう昨日・・・、くぅっ!」




そう昨日言った本人が黒幕だったわけだ。


なのに一体私は何を悠長な。



ルシュカ

「みな!騙されるな!人食いの主犯は私以外の四守護家! 最後の黒幕は奴だ! 奴を拘束しろ!」


メージャ

「反逆者の言葉に耳を貸してはなりません! 現に今、自らが他の二人を殺したと自白をされました!」


ルシュカ

「だからそれは! ・・・なっ」



国兵達の雰囲気は依然と変わらなかった。


殺意をただ私に向けていた。


私が本当に反逆者だと。


メージャの言葉に疑いを一切掛けない。


こちらの言葉に耳を傾けない・・・。



これでは・・・。



ルシュカ

(以前の・・・私か)




言葉を交わすことが出来るはずなのに。


言葉を発してるのに。



まるで変わらない。


まるで反応がない。




三刃・・・彼は・・・カズキ君はこれをずっと・・・。




ルシュカ

「っ・・・」




本当に・・・取り返しの付かないことを自分はやってしまってたのか。


いつもいつも後手に回る。


そんなのが嫌で私は・・・。




メージャ

「構え!!」




国兵達が刀を抜き私に刃を向ける。


今の私に、武器は無い。


愛用していた物はもう直せず、予備の太刀も昨日壊された。


まるで、元々なかったかのように・・・。



私には・・・。



メージャ

「突撃!!」



おぉおおおおおぉぉおおおぉおおおおおおお!!!!





私には力が・・・。




ルシュカ

「何も無いわけない!!!」




バゴォオンッ!!!




突撃してくる国兵を吹き飛ばす。



そうだ、何も無いなんて言いたくない。


無いならこれから少しでも作ればいい!!



ルシュカ

「はぁあああ!!!」



そうだ。


この数日で手に入れた物をたくさんある!



次々と来る国兵の攻撃をかわし爆音を響かせる。



ルシュカ

「うぅうう!!!」



戦ってきた。


ずっと戦ってきた。


私にはそれしかなかった。


弱い自分。


今もまだ弱い!



でも!



ルシュカ

「あの二人は!!! もっと強かった!!! そして!!」



あの男はもっともっと強かった。


一人でも戦い続けた。


心を壊してでも戦おうとしていた。



だから!



ルシュカ

「あの子を・・・あの子だけは!!!」



まだ死んでいないことを信じて。


身体を全身全霊をかけて奮い立たせる。



メージャ

「弓兵隊!構え!!!」


ルシュカ

「くっ!!!」



弓を構え私を狙う。


数が多すぎる。



メージャ

「放て!!」



メージャの掛声と共に矢が撃ち込まれた。


これを全て凌ぐのは困難か。


だが、諦めるわけにはいかない。



約束を・・・あの子との約束を・・・!!







ボゴォオオオオォォオォォオォオオオオオォオオンッ!!!!!






メージャ

「何!?」



玄関の扉が吹き飛んだ。


その扉が丁度放たれた矢を私から守るようにして防いでくれた。



シュリー

「全く来ないもんだから来てやったわ」


サナミ

「ルシュカ、大丈夫・・・だよね」



来て・・・くれた。


最強の援軍だ。



メージャ

「煌煌ノ騎士と黒紅の・・・」


シュリー

「あんた黒幕ってわけね、最後の相手にしては醜い面してるわね」


メージャ

「なんですって・・・!」



メージャを挑発している。


だがその間にサナミが駆け寄ってきてくれて私にポーションを渡してくれ治癒術技をかけてくれた。



その時だった。


私の通信結晶が音を鳴らした。


通信に出ると意外な人物からの連絡だった。



ルシュカ

「誰だ・・・?」


トゥトゥー

「姫様!?・・・聞こえますか、トゥトゥーです」


ルシュカ

「お前・・・!今まで何処に!」



音信不通だったトゥトゥーからの連絡に驚きを隠せないでいた。



トゥトゥー

「申し訳ありません不覚を取りメージャに捕まってしまいました、今は今朝同じ部屋に閉じ込められた少女から通信結晶をお借りしております」


ルシュカ

「無事・・・その子は無事なのか!?」


トゥトゥー

「はい無事でございます、言葉が喋れないようでしたが私にこの通信結晶を使うように促されましてね。助かりました」



あの子がトゥトゥーに使うように・・・。


凄い子だ、本当に。



ルシュカ

「すぐに助けてやる、その間だけその子を頼む」


トゥトゥー

「御意に・・・」











「・・・・・・っ」



トゥトゥー

「もう大丈夫です、我らが主が助けに来てくれますよ」



コクン、と首を縦に振るった。


頼まれたとは言ってもこの老いぼれ数日物食わぬで両手を枷で縛れれている状態故に何も起きてほしくないのが率直な感想。



トゥトゥー

「これをお食べ助け人よ」


「・・・?」



手から袋紙に包んだ一口の飴3つを取り出し渡す。



トゥトゥー

「それが舐め終わる頃には、きっと我らが主、ルシュカ様がお助けに来て下さります、それまで頑張りましょう」


「っ!!」



大きく縦に首を振るって飴玉を口に放り込んだ。




トゥトゥー

(物音からするに・・・恐らくもう戦いは始まっている・・・、姫様・・・どうかお気を付けて)















ルシュカ

「よし、あの子はきっと大丈夫だ」


サナミ

「そう、よかった」



二人で立ち上がり、メージャという黒幕と国兵達と対峙する。



私とシュリーの登場に国兵達がどよめき、たじろいでいた。



シュリー

「あら? あなたのお味方達大丈夫? 今ならそこのおばさんの首を差し出せば殺さないであげるけど」


メージャ

「先ほどから無礼な物言い! 何をしている!賊が増えたところでジャパニア国兵は恐れてはなりません!」



メージャが喝を入れるも国兵の士気は上がらないでいた。


そんな中シュリーはお構いなしにライフルを構える。



シュリー

「警告はしたから・・・バレット グラビティウェーブ」


メージャ

「突撃!!」


シュリー

「トリガー」



重力の術技が撃ち込まれた。


国兵達が固まる中央で術技が発動し、全ての国兵が重力で地面に叩き付けられた。


立ち上がれる者は一人も居ない。



メージャ

「なっ・・・くぅ!」


シュリー

「あら・・・素敵な顔ね、まさに年相応ってやつね」



シュリーの挑発が乗っていた。


確かに先ほどまでの余裕がなく見える。


このまま戦いだ終わればいい・・・。



そんな事を一瞬でも思ったが・・・メージャは笑いだした。



メージャ

「ふふふふふあははははははっは!!! 年相応ですって吸血鬼! なら見せてあげるわ!」


シュリー

「・・・?」


サナミ

「あれは・・・」



自分の顔を手で触れた瞬間、姿と顔が変わった。


全員がそのことに驚き言葉が出せないでいた。



メージャ

「これだけではありませんよ・・・」



手を前へ広げた瞬間、重力で止まっている国兵達から赤黒い光る粒子が抜き取られ苦しみ出す。


中には動きを止め意識を失ったのか死んだのかわからない者までもが出ていた。



メージャ

「ふふふ・・・あはははは!!! あぁあーみなぎる! ここまでみなぎるなんて!! 久しぶりのこの感覚!!!」


ルシュカ

「メージャ・・・貴様何をやって・・・」



まるで国兵から何かを吸い取っているように見える。


大量の粒子が国兵からメージャへ注がれていく。



メージャ

「さぁ・・・お相手致しましょうか、私自身がね!」


シュリー

「最高傑作・・・まさかあんた自身だったなんてね」


メージャ

「えぇ・・・全て美しくする・・・為にね!」


サナミ

「シュリー! 避けて!!」



見えない何かがシュリーへ投げられた。


間一髪で避けた。


シュリーが元いた場所にはさっきまでメージャが手元に持っていた扇子が刺さっていた。



シュリー

「いつの間に、・・・っ!!」




パァアアアアアアアアアアンンッ!!!




メージャ

「ふふふふっ・・・効きませんよ」



手で軽々と弾かれた。



そして一歩一歩ゆっくりと階段を降りる。



メージャ

「汚らしい・・・邪魔ね」




片手を払い、まるでゴミを風で退かすように倒れた国兵達を両端に追いやった。


そして私達と同じ階に佇む。



メージャ

「あら? さっきまで威勢はどうしたのかしら? それともこの顔がお気に召さないかしら・・・なら」



また自分の顔へ触れた。



その瞬間赤黒い粒子と共に背が縮んだ。



シュリー

「まさか・・・!」


サナミ

「その顔と・・・姿は・・・」



見覚えのある姿。


実際に本人を見た訳ではない。


私とシュリーは写真を見たんだ、この姿をした。



メージャ

「そう、あなた達の予想通りよ。これはレイナというあなた達が根城にしてる鍛冶屋の奥さん」


サナミ

「どうして・・・」


メージャ

「どうして・・・? 簡単な話しよ、彼女が町一番に美しかったから・・・」



不気味に笑う。


口を大きく開け答えた。




メージャ

「食べたのよ・・・!」





サナミ

「っ!!!!!!」




ガキィィィイィイイイイイイイイインン!!!!



血の気が引いた瞬間に飛び込んでいた。



だが両手で剣を受け止められ振り回され放り投げられた。







ルシュカ

「サナミ!」


メージャ

「あぁあああ~、ついにこの時が来たのですね」




別人の顔をしたメージャが舌を出しこちらに近づいてくる。


こんな事をメージャは、していたのか私の知らないところで。



メージャ

「待ちに待ちましたよ姫! やっとあなたを食らう時が!!! どれだけの時を待ったか!」


ルシュカ

「何の話だ!」



私を食らう?

そんな事をして一体何になる。



メージャ

「ずっと・・・ずっーーーーっと美しいあなたが羨ましかったのですよ!! ずっとその美しさは私の物と子供の頃から大事にしていたのです!!

ですがね、夢にも思わなかったのですよ!ハイトスのシェインという男が私に力を与えたのですよ!」



ハイトスのシェイン。

やはり裏ではハイトスが接触していたのか。



メージャ

「そう・・・このパラサイトジェムのおかげで!永遠に美しく!! 他人から美を奪うことが出来るようになったのよ!!」


ルシュカ

「まさか・・・貴様も・・・!」



両腕の服を破り捨て見せてきた。



腕には複数の寄生石が埋め込まれていた。



あまりにも不気味な光景に言葉が続かなかった。



メージャ

「これのおかげで力も! 美しさも! すべてを手に入れることが出来た!!」



そんな物の為に・・・。


そんな化け物のような体になってでもそんな物を求めたとでも言うのか。



メージャ

「やっと・・・ずっとずっとあなたの面倒を見てきた! 傷が付かないように、優しく取り扱ってきたつもりなのに・・・あなたは!!!」



そうか。


私は無理強いをして自分の身体に傷を付けてきた。


その度に過敏に反応していたのは私の安否ではなかった・・・。




メージャ

「これ以上! 傷つく前に私は!! あなたを食らい!真の強さと真の美しさを手に入れる!」


ルシュカ

「・・・けるな」


メージャ

「・・・ん? 何か?」


ルシュカ

「ふざけるなと言ったのだ!! 貴様の思い通りなどになるか!!」




迫りくるメージャ目掛けて飛び込む拳を大きく振り被る。



バゴォオンッ!!!



爆音が響いた。


だが私の左の拳は軽がると片手で受け止められていた。


そして握られた拳ごと私を宙に上げられ一気に地面へと叩き付けた。



ルシュカ

「かはっ・・・!!!」


メージャ

「あなたの顔以外はもう必要ありません、私があなたとなり今後のこの国を治める・・・この力と、あなたの顔でね・・・」



腕からの痛覚がない。


完全に折れたか間接が外れている。


振りほどこうにもびくともしない。



メージャ

「さぁ・・・!」



空いていた片手が私に伸びる・・・。






サナミ

「させるかぁあ!!!」


メージャ

「ちっ・・・」



伸びた片腕はサナミの剣の攻撃を防ぐ。



サナミ

「取った、ナイトレイバスター!!!」


メージャ

「何!!?」



もう片方のガンをメージャの向け超至近距離で照射術技を放つ。



メージャ

「ぐぅぅうう!! 小賢しい真似を!」


シュリー

「バレット グラビティ・コア!! シュート!」



多段攻撃。


シュリーの放った術技弾がルシュカを拘束している腕を吹き飛ばす。



その瞬間ルシュカが拘束が解かれ解放される。



メージャ

「あぁあああ!!!??!? あぁあああ!!!!」




悲鳴とは声を上げる違う。


あれはただ自分の腕が無くなったこと、自分に傷が付いたことへの悲痛の叫び。



サナミ

「ルシュカ・・・、っっっん!!!」



ルシュカに取り付いて居たメージャの手を取り投げ捨てる。


すると手は不気味に動きメージャの下へと戻っていった。



メージャ

「あぁあああああ・・・いいわぁああ、あなた達全員を食らって!! あなた達の美と力を私に頂戴!!!」



奇声を上げながら急接近してくる。



サナミ

「くぅ!!!」



攻撃を辛うじて防いだが、もたない!!



メージャ

「あははははははっは!!! あぁあああ!!!」



剣を弾かれた。



サナミ

「アサルトステップ!!」



連続攻撃を防ぐが、完全に後手に回ってる。


反撃出来ない!



シュリー

「サナミ!!」



シュリーの声と共に銃声が鳴った。




サナミ

「っ!!!」




ガキンッ!!!



一瞬、弾丸の軌道を変えメージャへと逸らす。


弾かれた弾丸はそのままメージャへと向かったが。



メージャ

「あぁああ!!!」



片手で薙ぎ払われ弾丸は明後日の方向へ飛んでいった。



シュリー

「今のも駄目か・・・!」


サナミ

「くっ・・・」



距離は取れたがあまりに圧倒的過ぎる。


パワーもスピードも勝てない。


そしてせっかくダメージを与えたと思ってもあの再生能力。


このまま消耗戦になっては勝ち目がない。



サナミ

「シュリー! ブロッカー!」


シュリー

「っ! わかったわ!」



私の掛声と同時にシュリーが走り込む。



メージャ

「何をしようとぉぉぉぉおおお!!!」


シュリー

「グラビティムーヴ!!」



シュリーが近距離戦で時間を稼いでくれている。


これを無駄にしない為にも。




サナミ

「ステイシスチャージライド!!」




私の持つ全真素を溜め込む。


一撃で終わらせる。



サナミ

「シュリー!」


サナミ

「人使い荒過ぎ!」



シュリーは一気に距離を取る。

入れ替わるように一気に突っ込む。




サナミ

「エンドオブ!! ナイト・・・レイ!!!!」




光り輝く剣を振り上げ、敵の両肩へ目掛けて振り下ろす。


敵はすぐさま両腕で防ぐが、そのまま腕を切断しクロスに切り刻む。



メージャ

「あぁああああああああああ!!!!???」



シュリー

「退いて!!フルバレット・チャージライド!!」



ガシャンッ!!!



シュリーのボルトアクションの音が聞こえた瞬間上空に飛び射線を空ける。



シュリー

「グラビトンブレイカー! フルブレイク!!!」



引き金を引き一気に照射する。


放たれたシュリーの術技はメージャを直撃し奥の壁をも貫通させた。


光りに包まれている中でメージャの悲鳴も聞こえた。



メージャ

「あぁああああああ!!! あぁあああああああああああああああ!!!」








そしてシュリーの照射が止まる。



メージャが居た場所には何一つ残らずに消し炭になっていた。





サナミ

「はぁはぁはぁはぁ・・・」


シュリー

「はぁー・・・はぁー・・・はぁー・・・」



もう真素を完全に使い果たした。

私達二人の最強技。


先日ミツバさんから頂いた物をさらに強化して放った一撃。


何個あるかわからないけど、恐らく寄生石は全て粉々になったはず。




これで・・・。







ルシュカ

「・・・まさか」


シュリー

「嘘・・・でしょ・・・」


サナミ

「・・・・・・っ」




散らばった肉片が集まり出した。


そして辛うじて顔だけは再生した。


だが、その姿は完全に人間の形ではなかった。



再生した顔は巨大化し足も手も何本も生え始めていた。


耳からも首からも生えている。



サナミ

「本物の・・・化け物・・・」



メージャ

「ぎゃっぁあああぁああああぁぁっぁぁぁぁあぁあああああああああああああああ!!!!!」




咆哮が響く。


人間の物じゃない。


それはもう・・・ただの獣と変わりない声だった。



シュリー

「何・・・あれ!?」




同時に巨大化した身体から何かが産み落とされるかのように次々と出てきた。



サナミ

「モンスター・・・!?」



まさか・・・メージャが食らっていたのは人間だけではなかった?


食らった物の顔や力を手にすると言っていた。


これは、今まで食らった・・・モンスター達。



サナミ

「・・・・・・」


シュリー

「・・・・・・」



最後の敵を倒したと思っていた。


私達はそう思っていた。



だが、違った。



メージャという鳥籠を破壊してしまったのか。




ルシュカ

「二人とも!!逃げろ!!」


サナミ

「っ!!」



呆けてしまっていた。


その瞬間に巨大化した手に私達は捕まってしまっていた。



シュリー

「くぅ! 離しなさい!!!」



ビクともしない。


さっきのメージャの力とは桁外れの怪力だ。


このまま握りつぶされるほどに。



手は徐々に本体の方へと縮んでいく。



そしてあの顔が・・・ゴドフさんの奥さんのが私達を見る。



不敵な笑みを浮かべ・・・口を開いた。
















ルシュカ

「くぅう!!」



どうしてこんなにも・・・!


まただ!!


まただ!!!


まただ!!!!




まただ!!!!!




どうしていつも自分は地面に横たわっている!




助けなきゃ!




あの二人を!!



ルシュカ

「くぅう!!!!」



動く右手を伸ばす。



包帯が血色に染まっている。



まるであの時と同じだ・・・。



私の両親が殺された瞬間の・・・。




ただ子供の私は右手を伸ばすしか出来ないでいた。




今も変わらないと、見せつけられてるようだ。



そんなこと・・・そんなことあってたまるか!




ルシュカ

「違う・・・!」




伸ばした手を拳に変える。



変わらないなんてことだけは絶対に認めない。



認めちゃいけない、両親と約束をしたからのだから。




ルシュカ

「力を・・・!」




足りなかったもの、それは。




自分との向き合い。




私には力がない・・・。





あると思い込んでいた自分と決別する一歩を。





その一歩を踏み込む為に。





なら誰か・・・。




私に・・・!




ルシュカ

「過去に優る力ぉおおおおお!!!!!」













ルシュカの叫び。





握られた拳が光る。




光りは握られた拳の中へ収束していく。




そして、ルシュカに力を握らせた。
































------------------------------------------------------------------------------




【・・・・・・・・・】



カズキ

「・・・・・・」



目を開けると、そこは会社のデスク。


俺は寝ていたのか。


目の前に積み上げられた大量の資料。


そうだ、これを明日までに全て処理しなくてはいけない。


頭でスケジュールを確認した。

早速資料に手を伸ばした。



「何してるんだ! 今日は得意先の訪問だろうが!」


カズキ

「得意先? それは確か・・・」



席を立ちあがり得意先の担当者を見る。


その担当者は携帯電話で通話中。



「マジで!? 行く行く! 今からね? かわいい子よろしくねー!」



通話を止めた担当者は体調不良だと言い退社していった。



カズキ

「・・・・・・」



その姿をただ目で追うことしか出来なかった。


俺の目線に気付いたのか、一瞬目が合うがすぐに離され消えた。



「****! 早く行け!!」


カズキ

「は・・・い・・・」



会社を出た。


すると空間が歪んだ。




目の前には、テレビ。


そして食卓だった。


ここは、実家だ。



「んじゃ、振込みよろしくね」


カズキ

「え・・・?」


「え、じゃないでしょー!借金の返済! お願いしたでしょうが!」



借金の返済。


両親の借金の返済だ。


俺は元旦で帰ってきて両親から借金の返済をするように攻められていた。



カズキ

「俺が・・・?」


「当然でしょうが! 家族なんだから!」


カズキ

「先月振り込んだ奴は・・・」


「いつの話してるのよ!」



怒鳴りながら目の前の食事を片付けられた。


そうだ、口応えしてはいけないんだった。

つい忘れてしまってた。




ピーーンポーーン・・・。




呼び鈴が鳴った。


すぐに玄関へ向い扉を開けた。



そしてまた空間が歪む。




ここは、農園か。


幼馴染の親友二人に誘われた新しい仕事。


確か今の仕事の愚痴を聞いて貰ってたら農園をやると言われ誘われ、実家へ帰り勤しんでいたのだ。



「二人が来ないけど、どうしたんだい?」



近所のご高齢の農園の持ち主だ。

話しによれば親友の一人がその娘さんと結婚するらしく農園を継ぐという話しだった。

そしてもう一人と俺は昔からの馴染みということもありみんなで農園をしようということになっていた。



カズキ

「もう少しで来るんじゃないですかね」



そんな他愛のない話をしていると二人が来た。


そして何故か俺の胸倉を掴み俺を地面へと叩き付けた。



「ど、どうしたんだいいきなり!!」


「こいつが俺達の金を盗んだんですよ!」


「俺達がみんなで集めたこの農園の金!全部無くなってるんですよ!」



何を言ってるのかわからなかった。


俺が盗んだ?


農園の金?



農園の為にと殆どを投資したのは俺だ。


その金を・・・俺が盗ったと・・・こいつらは言ってるのか・・・?



「出てけ!!」


「お前みたいなのを誘ったのが間違いだった!消えろ!」


カズキ

「・・・・・・」



何も言えなかった。


本当にこいつらは何を言っているのか・・・わからなかったから。



また空間が・・・歪む。




カズキ

「やめろよ・・・もう・・・」



小学生。



カズキ

「やめてくれ・・・」



最初のアルバイト。



カズキ

「なんで・・・」



高校入学。



カズキ

「もういい・・・」



***の死・・・。




カズキ

「やめろぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」




それだけは・・・。




それだけは・・・やめて・・・くれ。




頭を抱えその場で膝を付き塞ぎ込む。




ただ、苦しみ嘆く。





耳を塞ぎ目を閉じる。







「カズキ*****・・・」



カズキ

「やめろぉおぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」




耳を塞いでも脳内に囁く。


あの声が。



俺が一番聞きたくない声。


頭に響く奴の声。


逃げるようにその場から離れる。




「また****の面倒? 親御さんは何をしている」


「****がかわいそうだ」


「君は***君の代わりにもっと頑張るんだろう?」


「そんなでいい訳ないだろう、***君を悲しませるだけだぞ」



カズキ

「やめろおぉおおおおおおおおおおおお!!!! しゃべるなぁああああああああああ!!!!!」




逃げれば逃げるほど赤紫色の声が出る幻影を振り払う。



カズキ

「ふざけるな!!!黙れぇええええ!!!!」



「**ならもっとしっかりしないと・・・」


「******なんだからもっと頑張らないと」


「*****がこんなんじゃ****さんも大変だろうに」



カズキ

「うぅぅぅぅぅうううああああああ!!!! やめろぉおおおおおお!!!!」




何なんだ!!!


何でこんなに・・・頭に響く!!!


なんで!!!



何が・・・!!!!




「記憶障害の一種ですね・・・****さんの死が影響しているのでしょう」




カズキ

「そうだ・・・俺は忘れたんだ!!! 嫌なんだ!! ほっといてくれ!!!!」




忘れたっていいじゃないか!!!


そんなことなんて・・・!!!!




なんのことすら思い出せない。



過ごした時も場所も。



何一つ忘れたんだ!!!




なのになんで!!!!!





***

「&#だよ・・・カズキ%””#&’が}=きな&$#”・・・*{くて{~=くて”##&(いいんだもん」





カズキ

「ぅぁぁぁああ・・・あぁああああああぁあああ!!!!」





声が・・・ずっと響く。



頭に。



脳内に何度も!何度も!




カズキ

「もう・・・やめて・・・くれ・・・」




バタンッ・・・。




真っ暗な空間で目を閉じて倒れる。



そうかこれは地獄か・・・。



俺が・・・何かを忘れた・・・報いか。



そうするしかなかった。



嫌なことだ、きっと、きっとそうだ・・・。




そうか・・・俺はそれから頑張って生きていた。



けどもう・・・死んだんだ。



あの駅のホームで。



もぬけの殻がただ電車に轢かれて。



生きてる屍が本当の屍になった。




カズキ

「俺は・・・」




目を開く。



そこには、まるで俺を照らしているように蒼く輝く光りがある。



俺を待っているかのように・・・。



手を伸ばそうと力を入れようとした・・・だがやめた。




俺は・・・死んで異世界に転移してきた。



あの光りの力を借りて生き延びた。


蒼く強い光りは何度も何度もの俺を助けてくれた。



死にかける度に俺を救った。



自分の身を削りながら・・・俺なんかに今も手を指し伸ばしてる。




カズキ

「・・・・・・」



頭上では無く周りを見る。



赤紫色の幻影がまた俺に語ってくる。


まるで負の感情で出来た空間のようだ。



ただただ俺を貶め入れようと語り掛けてくる。



そんな言葉も耳に入ってこない程に、また俺は抜け殻になっていた。




***

「&#だよ・・・カズキ%””#&’が}=きな&$#”・・・*{くて{~=くて”##&*いいんだもん」




また声が響く。



この声は・・・脳内だけ・・・。



周りの幻影からじゃないのか・・・。



ずっと語りかけてくる・・・。



いや、これは俺に語り掛けてる物じゃないのか・・・。




***

「好きだよ・・・カズキ******が好きな大空・・・蒼くて大きくてカッコいい・・・カズキ******みたいだから!」




なんだ・・・これ・・・。



なんだこの・・・会話?



誰かもわからない声が誰かと喋ってる?




???

「そっかー、そんなに好きなんだね君は」


***

「うん! だって一番大切な人だから、大好きな人だから、いつも守ってくれる人だから・・・!」




何なんだよこれ・・・。



一体何が・・・!



何がしたいんだ!



カズキ

「ミツバ・・・まさかお前か」



お前がこの世界に俺を呼んだ。



俺を助けて、俺を生かして。



それはこれを聞かせる為か。




何か目的で・・・。




もしかして・・・。




俺の本当の記憶を・・・思い出させる為に。




カズキ

「何で・・・そんなことを・・・俺はそんなこと、望んでない、もう何も求めてないのに!!」





嫌いなんだ。




もう求めることが。




求めたって、望んだって意味がない。




それなのにいつも嫌な事ばかりを求められる。




求めること自体が・・・嫌いなんだ。






カズキ

「んっ・・・」




光りが・・・さらに輝く。




これは・・・異世界に来てから出会った人達の声・・・?




『改めてありがとうございます、カズキ様。私達を救ってくれて』




俺への・・・言葉。




『それもそうだな・・・その時にはもっと強くなってるからな!!』



『私も! これかはもっと色々勉強する!!』




みんなの・・・大切な奴らの・・・声。





『・・・・・・皆さん、ありがとう』





俺が・・・本当に・・・。





『カズキ・・・二代目レイドラをよろしく頼むぞ』





心の底から・・・。





『マイロードは!我が守る!!』




俺が・・・。





『困った顔の方が・・・好きなのに・・・』





本当に・・・求めていた・・・。





『カズキさん・・・!』






求めていたもの・・・か。













カズキ

「・・・・・・わかったよ・・・約束は守る」




立ち上がり右手を伸ばす。




カズキ

「最後まで付き合う・・・いや俺自身がどうなろうと、付き合ってもらうぞ」





更に腕を伸ばす。





求めるように、ただただ欲して伸ばす。




俺がそうしたいから。





カズキ

「求めてやる・・・どんなことをしても・・・!」






俺の好きなように。






求め、生き続けてやる。






それが・・・約束だ。






お前と・・・この声の奴との・・・。








一歩を踏み込む






そして飛んだ。



ミツバの光を掴む為に。



地面からは赤紫色の光が俺の脚に纏わり付く。




だが。




カズキ

「っ・・・!」



ミツバ光りに触れた瞬間・・・光りはいつもの姿。


三つ刃の剣へと姿を変えた。


そして蒼い光りの輝きが地面から伸びる赤紫色の光を追い払う。


ミツバを握ったまま上空へと飛んでいく。




***

「うん・・・大好きなんだもん・・・」




俺の求めた・・・好きだという言葉。



その言葉を最後に・・・俺は現実の・・・あの異世界へと帰還した。



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