表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
31/70

第31話 ジャパニアの四守護家


妖爆のルシュカとの一回目の戦いで命拾いをした。


ゴドフのおっさんと騎乗獣の助けがありなんとかった。


だが、一切この人食い事件のことはわからないでいた。

それでも足を止める訳にいかなかった。


国兵に変装しジャパニア軍の人間から情報を得ようとしたが、無駄足だった。

そんな中、奴隷商という非人道な物を見かけるが手を出すことが出来ないでいた。


奴隷の子を考えている暇を与えないかのように以前戦った黒ローブの人間の襲撃を受けた。

戦いは手こずることも無く撃退する事はできた。


だが、それは罠だった。


妖爆のルシュカが襲撃現場に現れ国兵を殺した人間として刃を向けてきた。


人食い、奴隷商、黒ローブ襲撃。


目の前の妖爆相手に頭が血が上り2回目の対峙となった。


ギリギリの戦いで何とか勝つことは出来た、だが同時に援軍の黒い執事風の男が現れた。



動くこともままらない状態だったがタロウが救援にきてくれ執事風の男も追ってこなかった。




【武士の国ジャパニア ゾーゼス町外】



森の中。


俺はタロウから降り、木の下で休憩していた。



タロウ

「くぅうーん・・・」



心配そうな顔で俺を見つめる。

前回に比べれば意識もしっかりしてるしまだ大丈夫だ。


体中ボロボロではあるが。



カズキ

「ありがとうなタロウ、今日はここで休もう」



頭を撫でやる。

それでもまだ心配なんだろう、俺から離れようとしない。


本当にこいつが居てくれてよかった、よくわかったな。


こいつは兵器獣の時もそうだが、必ずピンチの時に助けに来てくれる頼もしい奴だ。




木の根にもたれ掛る。



一息付く。

冷静さを失っていた。



だが、奴が。



妖爆のルシュカという女が何かしらに関わっている可能性は大いにある。

奴の着眼点が確かに凄いのかも知れない。


だとしても不自然だ。

本当に俺を貶めるような感じに捉えられた。



もしくは、奴の背後にいる奴がいる。

何かしらの理由で俺を排除したい奴がいる。


そしてそいつと、あの黒ローブは必ず繋がっている。



それを突き止めることが今後の課題になりそうだ。




カズキ

(それと・・・あの子)




奴隷商。


上手くやればなんとかなるかもしれない。



なんとかしたい。

後先考える事は大事だ。


だが何もしないのだけは嫌だ。



偽善とかじゃない、俺自身が嫌なだけだ。

自己満足で構わない。


きっと罵られる事の方が多いだろう。


だとしても、俺は・・・。




カズキ

「だから・・・今日は寝よ」






-------------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工町ゾーゼス 国兵館】



三刃との戦いから日が明けた。


気が付いたのは昼頃だった。



ルシュカ

「ん・・・いっ・・・」



久しぶりだ、ここまで痛手を負うのは。


恐らく初めて煌煌ノ騎士と戦った時以来だろう。

変な笑みを浮かべてしまう。



私は全力だった、はずだ。



だがそれ以上に三刃の気迫に圧されていた確実に。


そして奴の言葉が少なからず身体を鈍らせていた。



『お前が全部仕組んだんだろうが、前回といい今回といい何が目的だ!』



すれ違いなのか。

いや、状況証拠が全て奴が黒だと証明している。



情に流されてはいけない。




そう・・・決めたじゃないか。




メージャ

「姫様!!」



身体を起こした時、部屋にメージャが入ってきた。


その後ろには執事のトゥトゥーがお辞儀をしていた。



メージャ

「姫様・・・なんてお姿に、あれほど無理はしないで欲しいと」


ルシュカ

「すまなかった、だがもう大丈夫だ。心配かけた」



私の手を取るメージャ。


大丈夫とは言ったものの、ここまで回復出来たのもトゥトゥーが来てすぐに手当をしてくれたからだろう。

悪運だけは本当にあるようだ。



メージャからは三刃の指名手配と警備隊の指揮は心配ないと報告された。



流石に早い対応で感謝しかない。

父上から任せられてるのにこの様では顔向けもできん。



メージャ

「では姫様、絶対安静をお願い致します。 トゥトゥー、姫様の看病を」


トゥトゥー

「御意に」



メージャは部屋を後にした。


同時にトゥトゥーが私の下まで来る。



トゥトゥー

「姫様、メージャ様が仰った通り、本日は御休みなさってください。 三刃の件は・・・」


ルシュカ

「それなんだが、トゥトゥー・・・」



情に流されてはいけない。


だが、真実の追及とは話しは別だ。


奴は少なくても味方ではないのは確か、それだけはハッキリしてるつもりだ。


だからこそ、昨夜の件を一番信用の出来るトゥトゥーへ話した。



トゥトゥー

「んーー・・・三刃がそのような事を」



頭ごなしに否定をしなかった。

やはりトゥトゥーにも三刃と対峙した時に感じたのだろう。


あの男から出る物を。


ただ殺人を繰り返し楽しんでいるような人間では出すことのできない雰囲気を。



トゥトゥー

「では、私は奴の情報を探っくてみるとしましょう。予想ではありますが敵国の人間である可能性が高いですので」


ルシュカ

「敵国・・・ナイクネスか?」



トゥトゥーは肯定した。

奴の身形、主に服装がナイクネス王女が作った物ではないかと予測した。


戦う物とは思えない独特のデザインにも関わらずしっかりと計算され尽くした物。

ナイクネス王女、つまりはその騎士である煌煌ノ騎士の物と同一の物。


確かに言われて気付いた、色もデザインも全く違う物のはずなのに漂う雰囲気は確かに似つかわしい。



トゥトゥー

「では、そちらの方面で私は調べてみます。 姫様、くれぐれも」


ルシュカ

「わかっている、もう私も子供ではない。 よろしく頼むぞ」



早速お辞儀をしたトゥトゥーは部屋を出て調査に向かった。



少しでも奴の事がわかれば対策のしようもある。

前回は不覚を取ったが次は負けない為に、準備は怠ってはいけない。



もしかしたら本当に奴が犯人の可能性がある時、恐らく止める事が出来るのは私だけだろう。


その為にも・・・。



ルシュカ

「・・・・・・また会う事を願っているようだな、これでは」



目を閉じ眠りについた。


今は少しでも早く回復するのが最重要だ。



全てにおいて、あの男と戦う為にも・・・。





---------------------------------------------------------------------------



【武士の国ジャパニア 辺境の村】



タロウの救出から野宿で睡眠を取り朝になっていた。


モンスターに襲われることも無く夜明けを超すことが出来て何よりだ。


それから俺はタロウと簡単に朝食を取りすぐに出かけた。

目的地は一番最初に訪れた村だ。



タロウもずっと走ることが無かったからか、物凄く張り切って飛ばした。


その甲斐あってか昼過ぎに村へ到着した。



そこで一番に驚いたことは・・・まさかの紅蓮の刃隊長が軽装で門番をしていたことだった。



「あんたは!」


カズキ

「あぁー・・・よかったな」



無事に村長に受け入れてもらったのだろう。


話しによると自分達は軍を抜けた身である為、あまり村を出ることは出来ないらしく、ここで心おきなくモンスター達と対峙できると自身気に話す。


思った以上に元気で安心した。


村全体も彼等が訪れた時は警戒していたらしいが、損傷し動ける者全員で土下座をしている姿にひとまず村に入れたようだ。



それからまたモンスターに村が襲われそうになった時に積極的に対峙し村を守りわだかまりも無くなり村の一員になったと、話してくれた。



「おぉ!! サンリーのカズキ様」


カズキ

「村長、お元気そうで」



小さな村だからかすぐに俺が来たことが知れ渡ったようだ。


村長の様子を見ても紅蓮の刃の彼等とも上手くやっているようで更に安心した。



「カズキ様、丁度今サンリーの方がお越しになっておられますよ、物資をお届けになられて」



そうか、頼んでいた物資は今日届いたのか。

だとしたら。



と、村長に案内され村長の家へと足を運んだ。



ナザ

「おーう、なんだー? めっちゃボロボロじゃねーか」


レイドラ

「マイローーーードオオオーー!!!」



ナザとレイドラだった。


レイドラはすぐに俺の顔へ抱きついてきた。

めちゃくちゃ泣いてる。



レイドラ

「だぁああーー寂しいですよマイロードォオオオーー!!!」


カズキ

「悪い悪い」



本当なら今回のこの村へもレイドラと一緒に来ることは出来たのだが、レイドラの飛行能力での運搬力はサンリーにとって非常に重要である為、俺が独占するわけにはいかなかった。


今回のように急を要する場合の為にもレイドラの身体は出来るだけ空けておこうというのがヴェアリアスの中での見解だった。



カズキ

「にしても、ナザが来るなんて意外だな。忙しいだろうに」


ナザ

「あぁー・・・まあー色々とな」


カズキ

「ん?」



それは先日のこの村へ誰が行くかという会議の時だったらしい。



サナミ

『私が行くよ』


クリル アニレナ ニーネ

『『『駄目です』』』




シュリー

『仕方ない、私が・・・』


ネシー

『明日元老院ですよ』



ユミィーリア

『ではここはナイクネス代表として私が・・・』


ヴぁアリアス一同

『『『『『『『『『駄目に決まってるでしょ』』』』』』』』』』



クレエス

『はぁ・・・』




その後は良くわからないケンカに勃発したらしい。





ナザ

「ってこと・・・」


カズキ

「あいつ等大丈夫か、サンリーに入り浸って疲れてるのか」



最近は確かに復興支援ということでみな懸命に動いているのは間違いない。

そりゃ鬱憤も溜まるよな、何か気晴らしの良い案でも考えておきたいな。



ナザ

「じーー・・・」


カズキ

「ん?どした」


ナザ

「いや、別に・・・」



そうか、ナザはこんな格好の俺を見て心配にもなるか。


みんなも同じなんだろうなきっと、心配させちゃってるのか。

ため息が出る。



カズキ

「あー心配させて悪い、これはまあちょっとした手違いだ」


ナザ

「いや、別に俺は心配してない」


カズキ

「は?」



よくわからん。



レイドラ

「あぁああああ!!! タロウと一緒に帰りましょうよ!!! マイロードォオオオー!!」


カズキ

「あぁあ・・・もう泣くなっての」



帰るか。


たしかにその選択肢はあるが・・・。



ナザ

「ほーらレイドラ先生、マイロードさんを困らせないの」



まるで察したかのようにレイドラを引き剥がすナザ。


流石ヴェアリアスの男要員1号、わかってくれて助かる。



ナザ

「とは、言ってもヤバい時はすぐに呼べよ?相棒」


カズキ

「あぁ、サンキュー」




たった数日だが、こいつ等の顔が見れて元気が出てきた。



さっさとこんなもん終わらせて帰ろう。



そう意気込み早速俺は、村に戻った目的を果たそうと動く。





-------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工の町ゾーゼス 町外】



ナザ

「んじゃあな、カズキ」


カズキ

「悪いな、我がまま言って」


レイドラ

「マイロード・・・」



頭を撫でてやる。


俺は目的を終えすぐにレイドラに乗りタロウと共にゾーゼスに戻った。


ナザ達が居て時間短縮が出来て本当に助かった。



そして上空へ飛ぶ二人を見送る。



ナザ

「お見上げなんていらないからな~~!」



わざわざ言うかそんなこと。

ナザの言葉に笑みを浮かべ、早速タロウに乗りゾーゼスへ向い正門とは違うところから侵入する。



タロウは町の外で待機させた。

物騒ではあるが、ここはタロウを信じてお留守番をさせた。



タロウ

「くわぁ!!」


カズキ

「うん、危なくなったら逃げるんだから」




よし、気持ちを意気込み町内に入る。



インビジブルムーヴライド ジャンパーハイク。




外壁を飛び超え難なく侵入すると早速とんでもない物を目にする。



カズキ

「なんだ、これ・・・」



それは指名手配のポスターだった。


俺の顔のような気がする物だった。


主な特徴、死んだ目、三枚刃の剣、蒼い服。



想像通りではあると思い、指名手配書を握り潰す。



カズキ

「はぁ・・・持ってきておいて正解だったな」



大きいフード付きのマントを羽織る。

ミツバは仕方なくしまっておいた。


服も見えないし、顔はフード被ればそうは見えないだろう。



一先ず人混みに紛れた。


町の人達も特に見てくるわけではないようだ。

何人か国兵が居たので、出来るだけ避けた。


とりあえず宿屋でも確保するかどうか悩んでいた・・・。



ゴドフ

「おい」


カズキ

「ぇえ・・・?」



まさかの即バレだ。


だが振り向いたら安堵した、見知った顔で助かった。



カズキ

「よく、わかるな」


ゴドフ

「まぁな、人を覚えるのは得意なんだよ」



得意げに話すゴドフ。


ゴドフは早速話しを聞きたいと頼んできた。

俺も断る理由はない為一度鍛冶屋へ足を運ぶ。



ゴドフ

「にしても、今度は国兵殺しか」


カズキ

「トラブルメーカーの自覚はないんだがな」



鍛冶屋へ向う道中の会話でゴドフは指名手配の件は信じてない様子だった。


このまま鍛冶屋を寝床に使ってもいいと笑う。

見る目はあるんだと自信満々に話す。



ゴドフ

「でもよ、噂によるとお前妖爆様に勝ったんだってな」


カズキ

「やり損ねたがな、国としては大損か」


ゴドフ

「はははは、別に構わねーよ俺は」



思った以上の反応に驚く。


今のゴドフとしては、今となっては国に特別愛着もないようだ。



カズキ

「だったらさ、俺の村に来ないか? 鍛冶屋の腕前を借りたい」


ゴドフ

「見てもいねぇーのにご指名とはな」


カズキ

「見る目は・・・ははあんま自信なかったわ」


ゴドフ

「ははっはは、おもしれー前向きに考えておくよ」



せっかくここまで付き合ってくれたんだ、今後も御贔屓にしてもらいたい物だ。


実際サンリーでは鍛冶屋などの物資も不足していた。

新品の支給は出来るがコストが掛かってた現状だった。


もしゴドフの力があればかなり村の為にもなる。


そんな他愛ない、話しをしていたら目の前に小さな人だかりが出来ているのに気付いた。



「も、申し訳ありません! 子供にはきつく言っておきますので!!」



母親が子供を大男から庇っている。



ラッドル

「ふざけるなよ貴様・・・俺が誰かわかって口聞いてんのかあぁあーん!!?」


カズキ

「っ・・・」


ゴドフ

「よせ、ありゃ四守護家の一人だ」



四守護家?


名前からして偉い奴ってのはわかるが。



ゴドフ

「ここは抑えろ」


カズキ

「だが・・・!」



今目の前で大男が母親の髪を掴み持ち上げていた。


許しを乞う声言葉、ただ流すことしか出来ない涙があまりにも見るに堪えない。



ラッドル

「貴様あれだな? 三刃の仲間だな、そうだろう!!?」


「ち、違います・・・違いますから子供だけは」



三刃・・・俺のことか。


今すぐにでもゴドフの手を振り払って名乗り出たい。



カズキ

(くそ・・・!)



そして親子二人は大男の側近達に連行されていった。



こんなんばっかりか、この町は、この国は!



奴隷商に暴力支配。



腐ってやがる。



これが続くのならこんな人食いなんてもんの解決に尽力する自分自身があほらしくなる。


こんなのがまかり通る国。



ゴドフ

「ほら・・・いくぞ」


カズキ

「・・・・・・」



俺は、また何も出来ないままゴドフの後を付いていった。


この国に来てから何度も味わった苦渋を噛み締めながら・・・。






【鍛冶屋レイナ】



店に到着しすぐにゴドフに感情のまま問いかけてしまった。



カズキ

「何なんだよこの国、おかしいことだらけだろ」



今にも飛び出してあの親子を助けに行く気持ちを抑える。

それだけじゃない、今すぐにでも国兵館とか言う所をぶち壊して奴隷商も終わらせてやりたいくらいだ。



ゴドフ

「お前ならわかるだろ、こんなのがジャパニアって国なんだ」


カズキ

「さっき言ってた四守護家ってなんだ」



ゴドフは溜息混じりに話してくれた。



四守護家。


このジャパニアの長であるモウエン家に仕える者達の中でも一番の側近と言われている奴らの名前のようだ。



その頭首の一人がさっきのラッドルという大男。



ラッドルは他の四守護家と違い武力でその地位に昇り積めた。

国兵のみならず自警団の統括も行っているが。


国民からあまりにも良いと呼ばれる評価はされていない。

その自警団が行っていることの大半は人々への弾圧だ。



そんな奴らが人食いの調査なんてまともに出来るはずがないとゴドフは語る。


まさにその通りだ。


あんな物を見せられたらまともに機能しているなんて思えない。


被害者であるおっさんが腐るのも頷けた。




そしてゴドフはもう一人の話をしてくれた。

その話に俺は顔を強張らせてしまった。



それはバドイという四守護家の一人の話だ。



こいつはジャパニア独自の商会組合を立ち上げ国を支えているというが。


その裏では非合法の商売も行っているという。



その中には、奴隷商の名も出た。



カズキ

「そいつが・・・!」


ゴドフ

「どうした?」



俺の顔色を見たゴドフ。


ゴドフに昨日の事を話した、俺が国兵になりすまして行動したことは道中で少し話したが。

ここで改めて奴隷商の話をした。



奴隷の少女を引っ張っていった男の事も話したら、恐らくのその男がバドイ本人だと教えてくれた。



カズキ

「何が四守護家だ・・・」


ゴドフ

「あぁ、言わなくてもわかってる」



おっさんの諦めきった態度見ても察する。

そんなふざけた国に生まれて育ち、他の国へも伝手がない人達はこんな国で生きていかなくてはいけない。



さっきのような物に怯え恐怖し生きていかなくてはならない。



本当にこのままゴドフのおっさんだけを連れてサンリーへ帰ろうかとも思ってしまう。



カズキ

「駄目だ・・・」



本当にこの国に来てから冷静さを欠いているのがよくわかる。


ナザとレイドラに出会わなかったら本当に国に喧嘩を売っていたような気がしてならない。



深呼吸をし俺はそのまま二階への階段へ向った。



ゴドフ

「もういいのか」


カズキ

「あぁ、ありがとう。これ以上聞いたら本当に帰りそうになる」



寝床の感謝もし俺は二階へ向かった。


ベッド腰を落ち着かせる。



カズキ

「・・・・・・サモンゲート、タロウ来い」



召喚術技を使いタロウをこの部屋に招いた。


何もない空間からタロウが姿を現した。



タロウ

「くわぁー・・・!」


カズキ

「よしよし、窮屈で悪いが我慢してくれ」



俺が言うのも変だろうに、おっさんに聞かれたら怒鳴られる。


小さく丸まるタロウを撫でながら考える。



あの親子、それだけじゃない、あの奴隷少女の件もそうだ。



本当なら人食いの件を第一に考えたいところではある。

だがおっさんの話を聞いてからか、ただこの国が醜く感じるようになって気力が出てこないでもいた。



それでもおっさんの仇打ちはしたい。



付随する想いだったのに、今ではなけなしの理由だ。



本当に人食いの件は無視して、やりたいことやってサンリーに帰ろうか・・・。



タロウ

「くわぁー」


カズキ

「そう・・・だな、今日はもう寝てもいいかもな」



おっさんに今日はもう飯を食わないで寝る事を伝えて俺は現実から逃げるようにして、眠りについた。




----------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工の町ゾーゼス 川辺】




夜明け前に起きてしまった。


人もほぼ居ない町の中を散歩。


久しぶりにぐっすり寝た気がした、まだ外は少し肌寒いくらいだが、今の俺には丁度よかった。



カズキ

「んーーー・・・」



身体を伸ばす。


ここら辺に自分が流されてたのかと考えていた。


おっさんの話を聞く感じだとタロウは泳げないのか。


頭の中の整理という名目で散歩をしているがまるで整理ができない。




何もない地べたに座る。


ただ川を眺めていた、人が来ていることも知らずに。



ルシュカ

「この辺は物騒だぞ・・・旅人」


カズキ

「そう・・・」



茫然と川を見つめる。


声をかけてきた奴を気にも留めずに。



カズキ

「物騒なのはこの辺だけ・・・なのか?」


ルシュカ

「・・・どうだろうな」



隣に立ち一緒に川を見つめる。



ルシュカ

「貴殿はどう思う、この町・・・この国を」


カズキ

「最悪だ・・・少なくても俺の知ってる中では」



率直な感想だ。


実際寝るまで本当にそう思っていたし、今も無いわけではない。


おっさんから聞いた話だけでも吐き気をする程には。



カズキ

「でも・・・落したお金を拾ってくれるような人間がいることは忘れてないつもりだ」



俺が最初にこの町に来た当初の話だ。


そんな些細なことでも、温かみを感じたのは間違いじゃない。


その相手がどんなことをしているのかなんて知らないが、その行為は偽りじゃないと信じたい。

きっとそれが本当の姿なのだとも思いたい。



ルシュカ

「そんな小さな事をか」


カズキ

「そんな小さな事だからこそ・・・そう思うね」



大きさなんて関係ない。

ただその行為に意味があると。


こんな町、国だからこその温かみだったのかも知れない。



ルシュカ

「ふっ・・・そうか、嫌いではないそういうのは」



笑って返された。


今隣にいる奴がどんな顔をしているかなんてわからない。


もしかしたら何かを企んでいる可能性だってある。



カズキ

「ん・・・夜明けか」



川の流れ着く先を見る。


まるで長い道のりの先に太陽があるかのような光景に目を奪われる。



カズキ

「変わらない・・・変わらないはずだよな」


ルシュカ

「・・・・・・?」


カズキ

「国も町も村も・・・きっと変わらない」



眩しいはずなのにずっと見ていられる夜明けの太陽。


今日という日の朝を迎えるお知らせ。


これを見ているのは俺達だけじゃない。



カズキ

「そう・・・変わらないはずなんだ、きっと」


ルシュカ

「・・・・・・そうか」



俺は立ち上がり、来た道を戻る。


道を間違いそうになれば、戻ればいい。

きっとそれもいいはずだ。



ルシュカ

「おい・・・」



呼びとめられ足を止めた。


特に警戒もしていない、その時はその時だ。



ルシュカ

「私はルシュカ・コードー、貴様は?」




貴様・・・か。




カズキ

「カズキ・・・しがない見習い者だ」




それだけを伝え振り向くこと無く俺は鍛冶屋へと戻っていった。







ルシュカ

「カズキ・・・か」





---------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工の町ゾーゼス 国兵館】




朝の散歩から帰り朝食を取る。


身体も動けるようにはなったが包帯はまだ取れない。

メージャからも口酸っぱく無理言われてる。


それでもこの件はどうにかせねばと使命感で体を動かす。


食事を取りながら考える。



考える内容は奴、三刃のことだ。



一度目の戦闘。


二度目の戦闘。



そして初めて顔を合わせた正門でのことと、先ほどの事。

また情に流されそうになる。



ルシュカ

(どれが本当の三刃なんだ・・・)



あまりにも複雑な気持ちだ。


ただの極悪人なら問答無用に斬れる。




『そう・・・変わらないはずなんだ、きっと』




あの言葉。


あれは何を意味する。


そのままの意味で取れば何処へ行っても変わらない。

この国は最悪だと、言ったのにも関わらず奴は変わらないとも言った。



ルシュカ

「・・・・・・」



朝食が進まない。


学には自信はある方だが、自分の応力の無さに飽きれる。


武器を握り戦い続け、父上を守りたいという一心でここまで戦ってきた。


無粋な事は考えずただ走り続けた。



そんな自分がここにきて苦悩するなんて。



勢い良く残りの食事を済ませる。

上品な食事をとよく言われているが今はそんな気にならなかった。


残すくらいなら平らげたい。



ルシュカ

「少し出る、他の者にも伝えておけ」



館の者に外出を伝えそのまま館を後にする。



ゾーゼスを見渡す。



子供の頃から見ている光景だ。

何も変わらない。



そんな光景に足を踏み込む。


門番の国兵達もいつも通り自分に頭を下げを朝の挨拶をする。




何処までいっても変わらない、それでいいとも思っている。




だが・・・今変わろうとしているのかも知れない。



三刃がこの町に来てから。



人食いの件でも何も変わらなかったこの光景。


変わることを恐れている訳ではない。


なのに何故か武者震いのような感覚にずっとなっている。




変わっているのは・・・私なのか・・・。




ルシュカ

「っ?」



あれは・・・今朝のマント。


物影に隠れ様子を見る。



カズキ

「悪いけどタロウだけ、見てやってくれ」


ゴドフ

「別にいいけどよ・・・これ以上」


カズキ

「わかってる・・・つもりではいるよ」



会話の内容は聞き取れないが。

スキンヘッドの大男と笑い合っているように見える。


あの正門で出会ってからまだ数日しか経っていないのにもうそこまでの人脈を手にしているのか。



ルシュカ

「・・・気は進まないが」



大男と別れた三刃を追う。

あまりこういった隠密行動は得意じゃない。


今さらながらトゥトゥーに教えてもらえばよかったと後悔した。



それから三刃は別段変ったことはしなかった。



ただ町をプラプラと歩いていた。



「おわぁ!? おぉ・・・助かったよありがとう」


カズキ

「気をつけろよ婆さん」



人にぶつかった老婆を助ける。



それだけじゃない。



迷子の子供の手を取り親を一緒に探し家まで送ったり。

強面の不良から店を守ったり。


金銭の足らない若者に貸しを作ったり。

美味な昼食を楽しそうに食べたり。


引っ手繰りを捕まえたり。




落としてしまった硬貨を一緒に探したり。




「ありがとうな兄ちゃん!」


カズキ

「今度は落とすなよ坊主」


「うん!」



元気に走り去る子供を手を振り見送る。


この数時間で一体何回手を出そうか葛藤していたところだ。


ただただ人を助けている好印象しかなかった。



やはりここは、自分が腹を割り奴の事情を聞くのが一番の人食い事件解決になると感じた。


そう決心し再度歩き始めた三刃へと歩もうとしたその時。




「てめぇー!! 誰にぶつかってんだ、ああああん?」




三刃がラッドルの一味と衝突していた。











カズキ

「あーすみませんね」



やっとか。


手当たり次第ぶつかっていたが、ラッドルとか言う奴の場所に案内してくれそうな奴とようやく遭遇した。



「あんだそれ、謝ってるつもりか、あん?」



必ずガンを飛ばさないと死んでしまうタイプのようだ。


さっさと連れてってもらいたいが。



カズキ

「御許しくださーい、どうかー」


「あん!?てめぇー! さっきから舐めてるじゃねーぞ!!」



顔面目掛けて殴りかかってきた。


避けるつもりはない。



カズキ

「ぐへ・・・」



大げさにやられておいた。


逆に凄いと感じた、こんなにも痛くない物なんだと。



カズキ

「・・・・・・」


「あん!?なんだその目! お前らやっちまえ!」



取り巻き三人から袋叩きに合う。


俺は倒れ込み無抵抗で蹴られ続けた。



ヒーリングケアライド チェンジフェイク。



念の為回復術技はしておく、いらない気はするが。



そして大事なのが変化術技でそれっぽい傷を作っておくことだ。



「どうだ!!? 思い知ったか!?」


カズキ

「はっ・・・」



笑ってやった。

動けないふりをして、ここまでやれば。



「こ、こいつ!! お前ら連れてくぞ!!」


「応っ!!」



立ち上がらせ俺の腕を縄で縛りあげた。


こんな物で縛ってるつもりなのかと、笑ってしまいそうだ。

いつぞやの手枷を思い出す。


見た感じは、あれみたいに術技印が施されてるようには見えない。



これで一先ず作戦成功というところだ。



カズキ

(あとは・・・)



身を任せあとはボスの所まで案内してくれればそれでいい。


こいつらは用済みだ。




---------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工の町ゾーゼス ラッドルの屋敷】



取り巻き達に縛られ連行された場所は町の中では広い方の屋敷だった。


屋敷の周りには強面の人間がずらりと並んでいた。



「俺様が直接ラッドル様の所に連れていく、行くぞ歩け!!」



縄を引っ張られる。


どうやらこのままボスの所まで案内してくれるらしい。


屋敷の中に入る。



中には外にいたような人間達が多くいた。


ただのチンピラの集まりにしか見えない。

これが自警団と呼ばれている連中だと思うと本当に救いようがない国だとも思う。


屋敷内もそれに見合った物とでもいうのだろう。


とにかく汚いという感想しか出てこなかった。

今までこういった屋敷内は貴族らしく整っているようなイメージが多かったが。


見事にそれを壊してくれた。

ある意味で勉強になったともいえる。



「ラッドル様!お楽しみ中に失礼します!」



どうやら目的地に着いたみたいだ。


扉を開け俺を中に押し込む。

押された形で中へ入った。


異臭を漂わせる大部屋だ。

そこには、半裸の男ともう一人天井に腕を吊るし上げられている全裸の女性がいた。



カズキ

「っ・・・」



背筋が凍った。


ここで何が行われていたのか・・・わかってしまった。



ラッドル

「ん?」


「ラッドル様! 我々自警団に反旗を翻した容疑者を連れ・・・」



ドスッ・・・。



隣に立っていた男が急に倒れた。


頭部にはナイフが一本刺されていて死んでいる。



ラッドル

「誰が入っていいって言った!!!」



こいつ自分の部下を殺したのか。


ただ勝手に部屋に入っただけで。



ラッドル

「ちっ! 邪魔なんだよ」



こちらへ近付き自分で殺した死体を足蹴にした。

ピクリともしない死体はそのまま隅へと追いやっていた。



カズキ

「っん!!」



拘束していた縄を引きちぎる。


俺は一歩踏み出した、今出来た死体になんか興味をくれず。


ただ今目の前の天井に吊るし上げられている女性へ。



ラッドル

「止まれ」


カズキ

「・・・・・・」



この女性を・・・俺は・・・。





『ち、違います・・・』





知ってる。


頭の中に声が響く。





『違いますから子供だけは』




子供を庇う姿。


必死に守ろうとする姿。



カズキ

「っ・・・」



繋がれた鎖をミツバで切る、同時に倒れ込む。


ミツバを床に刺し両手で女性を支える。


まさに糸が切れたかのようにぐったりとしていた。



目は開きっぱなしだ。

目の下には涙を流していた痕跡がある。



カズキ

「俺が・・・」



遅かった。


違う、あの時手を差し伸べれば。



カズキ

「・・・っ」


ラッドル

「なんなんだおめー」



こんなことにしたのは。




俺が・・・。



俺がもっと・・・。



俺がもっとしっかり・・・。



俺がもっとしっかりしてれば・・・。








殺してれば・・・。









ラッドル

「何なんだって聞いてるんだよ!!!!」


カズキ

「・・・っ」



投げられたナイフが背中に刺さる。


だがどうしてだろうか痛みを感じない。


それよりも何かが俺の内から湧き上がってくる。



ラッドル

「はーん、じゃあ何本まで耐えれるか遊んでやるやるよぉおーー!!」



更にナイフを投げ込み背中へと突き刺していく。


本当に痛みを感じない。



それどころではなかった、ナイフが背中に刺さる度に何かが壊れているような感覚だ。


次々と俺の背中にナイフ突き刺さる。



ラッドル

「何の反応もねーと、つまんねーだろうが」



ラッドルは部屋に飾ってある刀を手に持ち鞘から出しゆっくりと近づいてくる。



ラッドル

「もういいから、死んでおけやぁあああ!!!」



刀が思いっきり振り下ろす。






刀は右肩から胸に向かった刃が貫通し斬り込まれる。






ラッドル

「へっつまんね・・・おん?」




身体に突き刺さってる刀を抜こうとする。



だが抜けない。




カズキ

「・・・・・・」




フードを被った男は立ち上がった。


今刀で斬り殺した男が立ち上がった。


自分が抜けなかった刀をそのままに立ち上がる。




ラッドル

「なっ・・・なんだ・・・お前!!!」


カズキ

「・・・・・・」




まるで何も無かったかのように振り向く。



ラッドル

「ちっ!」



不気味過ぎる。


普通じゃない、それだけはわかっている。


冷静に一度離れナイフを複数持ち、構える。



ラッドル

「奥義 投擲術技!!!」



ナイフの力を術技で強め一斉に投げ入れる。


全弾命中だ、全身にナイフが刺さり仰け反る。

それだけでは、頭部にも一本刺した。


このまま仰け反った勢いで倒れる。



ラッドル

「やったか! ・・・な・・・に」



倒れるかと思われたのにそのまま体を起こした。


同時にフードが取れおでこにナイフが刺さってるのがよくわかる。


その光景を目にしラッドルは恐怖した。



死なない。

完全に脳へナイフが届いているのは間違いない。


それなのに・・・。




カズキ

「・・・・・・」





一滴の血も流していない。




ラッドル

「なな・・・なんなんだよ・・・」




身体の震えが抑えられない。


腰を抜かしその場に倒れてしまった。



カズキ

「・・・・・・」



頭に刺さったナイフを抜き捨てる。


そして地を這ってるラッドルにゆっくりと近付く。




ラッドル

「く!来るな!! 俺を誰だと!! 近付くな!!!」




手で何とかその場から逃げようとするも思ったようにいかない。


ついには匍匐前進する形で逃げようとする。



カズキ

「・・・・・・」



ラッドル

「やめろ!! ふざけるな! やめろおぉおお!!!」




グチャァッ!!!




ラッドルの左足が踏まれぐちゃぐちゃになった。


膝から下が一踏みで消し飛んだ。




ラッドル

「あぁあああぁぁあぁあああぁああああああ!!!!!」




悲鳴が部屋の中で響き渡る。


だが、誰もこの部屋に入ってこない。




ラッドル

「あぁああ!!! あぁあああああ!!! あぁああああああ」




ただ悶え苦しむ。


足を動かすこともできずその場で悲鳴を上げることしか出来ないでいた。



カズキ

「・・・・・・」



さらに前へ歩く。


今度はラッドルの頭部の方へと向かう。



ラッドル

「っ!!!?」



見上げた。

悲鳴を上げるよりもただ目の前にきた人間を見上げた。



男はこちら見下ろしている。


その姿に驚愕した。



左半分が変貌していた。



人間の顔ではなかった。



この世の物とは思えない物が今目の前にいる。



ラッドル

「悪魔・・・」



カズキ

「・・・・・・」




無慈悲に右足を上げる・・・。


狙うは頭。


ただ踏まれただけで足はぐちゃぐちゃにされた。



その脅威が今目の前に、襲いかかってくる。




抗うことすら考えられない。







ただ自分が死ぬ瞬間を、その一瞬。



全てを悟り諦め。




ラッドルは目を閉じたと同時に気を失った。







パリィイイイィイィインッ!!!!







部屋の窓ガラスが割れ一人の少女が部屋へ現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ