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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
30/70

第30話 妖爆姫君


【鍛冶加工町ゾーゼス 国兵館】



あの三刃サンジンの男。


奴は普通じゃ見かけないような武器を使っていた。


三枚の刃に弓とは違う遠距離攻撃、そして見たことのない術技を駆使してきた。



奴は一体何者だったのか。



またいつか出会う、そんな気がした。



ガタガタの身体に鞭を打ちなんとか軍が管理する国兵館に辿り着いた。


私の心配をする兵達も居たがそれよりも先ほどの戦いの報告をしていた。



恐らく今日の昼前には奴の捜索が始まるだろう。



???

「これはこれは、姫君。痛ましいお姿で」


ルシュカ

「何用だ、バドイ」


バドイ

「いえいえいえ、わたくし目はあなた様の育ての親である我らが大殿モウエン様よりくれぐれもと頼まれている所存でございますゆえ」



こいつのしたり顔は子供の頃から本当に好きになれん。


父上も父上だ、大殿様でも私の心配をし過ぎだ。

常日頃一国の王である自覚をとあれほど言っているのに。




???

「馬鹿いうなバドイ、てめぇみてーな雑魚は黙って金勘定でもしてろ。お嬢は俺の組が守る」


ルシュカ

「ラッドル・・・」




今度は筋肉ダルマか。

筋力だけで言えば私よりも強いかもしれない。


だがあまりにも考えなし過ぎる。

こいつが絡むと碌な目にしか合わん。



そしてもう一人が、今度は女性が近付いてきた。



ルシュカ

「メージャ、お前も来ていたのか」


メージャ

「えぇ姫様、お身体は大丈夫ですか。少しお休みになられた方がよろしいかと、館の者に湯を沸かせましたそちらで少しだけでも」


ルシュカ

「そうか、気を使わせてすまない」



メージャは私が幼い頃から世話を焼いてくれていた。


彼女が居てくれるなら少しは安心できる。

お言葉に甘えることにしよう。



メージャ

「それではごゆっくり」



綺麗なお辞儀を披露しルシュカを見送った。


視界から居なくなるまで頭を上げない程の徹底ぶりだ。



ラッドル

「へっ相変わらず姫様姫様ってか、気にくわね女だ」


バドイ

「全くですね、大殿の愛人が風情が」


メージャ

「私を気に食わないのはいいですが、姫様への無礼は許しません」



頭を上げると同時に二人を睨むメージャ。



メージャ

「もし・・・姫様やあの方にこれ以上歯向かうようなら相応の覚悟をして頂きますので」



それだけ告げメージャもルシュカの後を追うようにその場を後にした。




ラッドル

「ちっ女狐が・・・」


バドイ

「まぁ好きに言わせておきましょう、それよりも例の件。進捗がよろしくないとようですが」


ラッドル

「気にするほどじゃねーだろ、変わりならいくらでもいる・・・」




不気味な笑みを浮かべる二人。



そしてルシュカの予想通り昨夜戦った三刃の捜索は昼前から始まっていた。


重点的に中央に流れる川の捜索を命じたが、その日の収穫は何一つ無かったという。






-----------------------------------------------------------------------------




【鍛冶屋レイナ 一室】




カズキ

「ん・・・んー・・・」



目を開く。

窓から差し込む光が痛い。


少し身体を動かすと全身に痛みが走る。

起き上がるのも一苦労だと思い寝たままでいた。



タロウ

「クワァアー・・・!」



首だけを横に向けたらそこには狭い部屋で小さく丸まっていたタロウがいた。

こちらに近付き俺を小さく舐める。


そんなタロウを優しく撫でてやる。



カズキ

「っ・・・ぁ・・・」



そんな動作をするだけで体が痛む。



俺は確か・・・。



そうだ、あの女に負けたんだ。

太刀で刺された場所を触ると包帯が巻かれていた。


それどころか上半身ほぼ包帯だらけな事に気付く。



だが、なんとか生き延びたってことか。



カズキ

(ここは・・・)



天井を見渡すと扉が開く音と共に誰かが入ってきた。



ゴドフ

「おぉ! 大丈夫かおい!」


カズキ

「おっ、さん?」



そうか、ここはおっさんの鍛冶屋か。


ゴドフのおっさんは早速色々と教えてくれた。



おっさんは夜明けの朝に二日酔いの酔い冷ましに外へ出ていたそうだ。


人もほぼ居ない川沿いを散歩していたら川へと吠え続けていたタロウを見つけたそうだ。


その吠えてる先を見たら俺が流されているのを見つけた。

おっさんはすぐに川に飛び込んで俺を抱え助けてくれ、タロウが俺の騎乗獣だと思い一緒に店へと連れてきてくれたようだ。



カズキ

「そっ・・・か、ありがとうなおっさん」


ゴドフ

「そんな事より、お前何やったんだよ昨日から町がお前を探してるぞ」


カズキ

「ぇ?」



どうやら俺は1日中寝ていたようだ。


そして町では今も自警団と国兵が俺を探し回ってるようだ。


まだ公けな情報は出回っていないが殺人犯が逃走中ということらしい。



ゴドフ

「そんな奴助けちまったなんて思ったが、お前の状態を見たら事情があるってことくらい俺でもわかる」



本当に感謝しかないな。


なら、と俺はあの夜の事をゴドフへ話した。


悲鳴に駆け付け、化け物と対峙し、その後に女の太刀使いに勘違いで襲われたことを。



ゴドフは真剣に黙って俺の話しを聞いてくれた。


痛みに耐えながら話した、我慢なんて簡単だ。

救ってくれたゴドフに事情を知ってもらいたかったんだ。



ゴドフ

「化け物・・・か」


カズキ

「あぁ・・・本当にヤバい奴だったよ」


ゴドフ

「とりあえずまだ休んでろ、心配すんな軍に売る気はねーからよ」


カズキ

「はぁ・・・ありがとう」



それが聞けて少し気が楽になったのか、また俺は寝た。



ゴドフは、話しを聞き終わり気晴らしに外の空気を吸いに鍛冶屋を出た。



ゴドフ

「なんだか・・・とんでもないのに巻き込まれたかこれは・・・」



後悔はないという顔。


身体を大きく広げた、今日もどうせ客は来ないだろうからカズキの面倒を見ることくらいしかやることはないだろうと考えていた。



そんな時。



ゴドフ

「っ!?」



誰かの目線を感じた。


その正体へ視線を送った瞬間小さな人間が物影へと消えた。



ゴドフ

「なっ・・・! まさか」



一瞬だった、一瞬の時を見逃さなかった。


人影を追う。


消えた曲がり角まで全力で走った。



ゴドフ

「レイナッ!!!」



叫んだ声は薄暗く何も無い路地に消えていった。


更に追い掛ける気持ちもあった。

だが脳裏には、最後の嫁の姿が過ぎる。



ゴドフ

「・・・はぁ」



幻覚。


こんな物を見るのは初めてだ。

もしかしたら酔いがまだ冷めていないのかもしれない。


カズキとレイナの話しをした矢先にその化け物の話。


もしかしたら気が滅入ってるのかもしれないと思い鍛冶屋へ戻った。









それから夕方になりカズキは起きた。







カズキ

「悪いな飯までご馳走になって」



ゴドフの手料理をご馳走になっていた。

レイナさんの話しを聞く感じでは基本的におっさんが料理担当なんだという。


フェーチスやミューほどじゃないにしろ、怪我人の俺には十二分な食事をご馳走になった。



ゴドフ

「とんでもねー回復力だな、お前の方が化け物じゃねーか」


カズキ

「ははは、よく言われる」



またミツバが回復させてくれたのか。

完全回復とはいかないが腹部の傷は完全に塞がってるし化け物に掴まれてた右手も少しまだ痺れがあるくらいの物だ。


次はあの太刀使いにも遅れは取らない。



ゴドフ

「にしてもこれか・・・」



俺はゴドフに昨日の化け物から引きずり出した石を見せた。


鉱石関係に詳しいと思い見せた。



ゴドフ

「こいつは鉱石じゃねーな、俺は見たことねーがどちらかと言うとジェム系統の物だな」


カズキ

「ジェム・・・」



この世界の宝石はジェムと言われアクセサリーで使われることが多くもあるが別の使い方も出来るとシュリーに教わったことがある。


それは真素を順応させることが出来るというもの。


相当高度な技術が要求される物のようで、簡易的な属性術技をジェムに内蔵することが出来るらしい。



だが、それが流通しなかったのには理由がある。



高度な技術で手間暇かけて内蔵しても一度使用したらまた一から内臓し直さないといけなく、最悪一度使用したらジェムが壊れることも少なくないらしい。



カズキ

「ジェム・・・だとしたら、俺が見たような物をするのは」


ゴドフ

「ほぼ不可能に近いだろうな、だがこれを取り出してすぐに色が変わったっていう説明にはなるな」



胸から引き抜いて後に出た煙のような物。

あれはジェムの効力が切れた、そう考えた方が確かに辻褄は合う。



カズキ

「余計に信憑性が上がったか、この石、ジェムに何らかの力が加わって埋め込まれた人間は化け物になって人を襲うようになる」



ほぼ間違いないだろう。


ジェムにその力を内蔵させ、人に埋め込んだ黒幕が必ずいる。



カズキ

「おっさん、奥さんの仇打ち。できるかもしれない」


ゴドフ

「え・・・あぁ・・そう、だな」



実感がないというところか。


それもそうだ、おっさんは数カ月ずっとやるせない気持ちでいたんだ。

今さら仇打ちなんて言われてもピンと来ないだろう。



カズキ

「なら、早速調査が必要だな」



布団を剥ぎ取りベッドから降りる。

地に足を置いた時一瞬グラついたがこれくらいなら何とかなりそうだ。



ゴドフ

「は? おいおい町はお前を探し回ってるんだぞ」


カズキ

「あ・・・」



すっかり仇打ちに燃えて忘れてた。

先日の夜の件でお尋ね者扱いだったか。


まあ普通の奴相手ならばれる事はないと思うが。


あの太刀使い。


流石にまだあの女とは出会いたくはないな。



ゴドフ

「お前が言うその太刀使いの女、間違いなく妖爆のルシュカ姫君だな」


カズキ

「妖爆・・・有名人かよ」



その妖爆の事は流石にゴドフのおっさんも詳しくないらしい。


ただこの国の長であるモウエン家の養子娘であり溺愛されて育ったそうだ。


今では国兵を率いて多くの戦場を勝利に導いたという。


そして煌煌ノ騎士にも一度勝ったそうだ。



カズキ

(変なデジャビュはそれか)



頭を抱える。

サンリー復興の時に煌煌ノ騎士様と何回か模擬戦をした事を思い出す。



常に前屈みで攻めっけの強い戦い。



どうしてこの世界の女子はこんなに血の気の多い奴が多いんだか。



ゴドフ

「逆にお前よく生きてたと褒めてやりたいよ」



逆にそんな血の気の多い人間達と戦ってきたおかげで相手が女っていう固定観念を捨てれたのかも知れない。


それが無かった本当に死んでたかもしれない。



カズキ

「とりあえず、その妖爆姫様には気を付けて行ってくるよ」



苦笑いで俺は鍛冶屋を後にした。


正面から出ず2階の窓から裏路地に出る。



基本的には巡回、というところだが。



それだけじゃ流石に情報収集にならない。

なら。



カズキ

「いた・・・」



建物の頭上から町を見降ろす。


予想通り自警団と国兵がうようよ巡回してる。

警戒態勢で俺を探しているのだろう。



カズキ

「よし・・・」



今からやることは、まぁ犯罪だろうがそんな事を言っている暇はない。




「ふわぁ~-・・・眠っ」


カズキ

「んじゃあちょっとだけ寝ててくれ」



ボリュームキル。



「!!!?? っ・・・」




一人の国兵が倒れた。


ゲームでよくある腹パンってやつだ。

自分でやっておいて言うのも変だが、本当にこれで人って気絶するもんなんだな。


こんなことをする日が来るなんて。



カズキ

「いやいや、そんな事考えてる暇はない。 チェンジフェイク」



自身を国兵の格好に変化した。

とりあえずはこれでいいが、噂の妖爆様に出くわすとばれる危険性があるので倒れた国兵から甲冑だけ拝借しておいた。


兜がフルフェイス型で助かった。


それと念の為身分証明書も・・・っと。



カズキ

「よし、行くか」



下準備はばっちり。


改めて目的は単純な情報の収集だ。


国兵達がどれだけあの化け物の情報を持っているかだな。



カズキ

「とは言う物の、結構緊張するな」



格好だけ見れば間違いなくジャパニアの国兵だ。

緊張感というより変な高揚感かも。



そんな事を考えていると同じ格好をした国兵が丁度こちらに来た。



「どうしたお前」


カズキ

「あーそれが今日初めてここに配属になったもんで、迷っちまったんだよ一緒に行っていいですか?」


「何やってるんだよ」



悪態をつかれた。

少なくてもバレテないことだけはよくわかった。


だけども同行は許可された。

ならば、本題に入る。



カズキ

「それにしても、人食いだっけか。詳しく聞いてないけどあれ嫌ですよねー」



国兵達に混じり歩きながら話す。



「まぁな、一端の俺らには何の情報もないのに捕まえろなんて無茶苦茶だよな」



なるほど、国はあまり知り得てないのか。

それとも秘匿してるのか。


どちらにしろ、こうなるとキナ臭いな。


噂話程度しか国兵にも知らされてないとなると国自体が、なんて最悪なケースが想定されるな。



その後も他愛ない話をしていったが、有力な情報は手に入りそうになかった。


少なくてもジェムの話は一切なかった。

さり気無くジェムの話題も出したが、少なくても今話してる奴から何も知らないらしい。



「はぁーあ、こんな時間からお楽しみとは・・・羨ましいな」



気が付いて周囲を見回した。

どうやらそうゆう店みたいだ、ヴォルに比べると見劣りして気が付かなかった。


どうやらこの周辺はそういった店が多くあるようだと、そっちの方が詳しいなこいつ。



もう潮時だ。

次の班にでも話しを聞きに行った方が有意義だと感じてた時。



店の扉から誰かが飛び出してきた。



カズキ

「ん?」



そのまま俺の背後に回り一言も発さず震えていた。


一人の少女、だが身形があまりにも・・・。



バドイ

「おやーこれはこれは国兵の皆様御勤め御苦労様です」



少女を追ってくるように一人の男が出てきた。


薄気味悪いしたり笑顔の男。

少女の身形と比べても全くと言って良いほど正反対の人間だ。



「っ・・・・!!!」



後ろに回ってる少女の震えが更に激しくなる。


まさか、喋れないのか。



バドイ

「これは失礼致しました、わたくし目の商品がお仕事のお邪魔をして本当に申し訳ありません」



「商品ー? まさかとは思うが、奴隷商売でもしてんじゃねぇーだろうな?」



奴隷商売・・・だと。


もう一度少女を見る。

髪は乱れに乱れ肌も擦り傷や汚れが目立つ。


そして何より汚れきった大きなシャツ一枚だけ。

運び屋をしていて何度か耳にしたことはある。



カズキ

(まさか・・・こいつ)


バドイ

「滅相もございません、改めて御勤めのお邪魔をして」



男は国兵に何かを握らせた。



「そうか・・・そうだよなー今後は気を付けてくれよ」


バドイ

「ははー、寛大なお気持ちありがとうございます」



男が俺に近づく。


そして少女を俺から剥ぎ取るかのように髪を引っ張る。

俺の服を引っ張り抵抗を見せる


だが、少女は・・・抵抗を止め引っ張られることに身を任せていた。



「・・・・・・・」



カズキ

「っ・・・・・・」



一度振り向き俺を見た。


その瞳には涙が一瞬見えた。





そして少女と男は店の中へと消えていった。




「おーい新人!お前の取り分だ」



目の前に金貨一枚が差し出される。




カズキ

「くっ・・・!」




差し出した手を払い、俺は来た道を戻るようにし彼等と別れた。




それから俺は別の班から班へと同じように情報収集に動いた。


だが有力な情報なんて一切手にすることは出来ないでいた。

今も同じように国兵が話す内容も同じような物だった。



「聞いてんのか新人?」


カズキ

「え・・・あすみません」



自分の聞き方が悪かった、そう考えてもしまった。

それもそうだ、会話は出来ても気持ちが完全に上の空。



あの奴隷の少女の事が頭から離れないでいた。



助けるべきだったのか。


いや助けたかった、その気持ちはあったんだ。

だけど体が動かなかった。


脳内で永遠と助けては駄目だと鳴っていた。



助けてどうする。


ここがナイクネスなら何とかなったかもしれない、だが違う。

ただでさえ追われている身の俺があの子を助けてどうする。



きっとあの子だけじゃない。

もっと多くの子がいる可能性はあるんだ。


それらの子達を助けることが、今の現状じゃ出来ない。



だから俺は体が動かないでいた。



カズキ

(ダサ過ぎる・・・)




現実に打ちのめされるのは慣れている。


慣れているからと言って済ますことが出来ない。




あの少女の顔が頭から離れないでいる。




俺は・・・。






「おい聞いt・・・ぐぅ!!」


カズキ

「っ!?」



横にいた国兵が急に血を吐き倒れた。


さっきまで立っていた場所には、見知った奴が血を流す小太刀を持ち立っていた。



黒ローブ

「目標確認・・・作戦を開始する」


カズキ

「お前・・・」


「敵襲ぅううううーー!!! ごばぁっ!!」



もう一人の国兵が叫んだ瞬間に黒ローブにあっさりと同じ様に刺され死亡した。



カズキ

「くっ・・・お前、あの時の奴か」


黒ローブ

「肯定・・・同一人物と回答」



素直に答えた瞬間襲ってくる。


ミツバを取り出し、攻撃を防ぎ反撃するも軽く避けられ距離を取られた。



黒ローブ

「遠距離攻撃術技、アサナイト・ニードル」



遠距離攻撃。


複数の光る棘が現れ俺目掛けて発射される。



カズキ

「アブソーブセイバーッ」



一本一本叩き斬り吸収していく。


同時に距離を詰め一撃振るう。


だが小太刀で防がれつばぜり合う。



カズキ

「お前・・・何者だ、正唱和の人間じゃないのか!」


黒ローブ

「否定、君主より作戦授与している者」



君主?

ってことは俺を邪魔するのが目的か。


一度強引に押し込む。



だが黒ローブはそのまま距離を取った。



黒ローブ

「中距離攻撃術技、アサナイト・エア」




小太刀を振り見えない斬撃波を繰り出した。



タイミングを合わせミツバで払う。

攻撃力は無い。



黒ローブ

「攻撃力不足判断、多重攻撃意向、アサナイトイリュージン」



見たことのある影分身か。



カズキ

「させるか、マルチルドブラスター」


黒ローブ

「一斉攻撃、アサナイトニードル」




お互いの術技が放たれ相殺していく。


何発か掠めたが致命傷じゃない。



カズキ

「アクセルムーヴ」



攻撃が止んだ瞬間に飛び込む。


影分身は何体か倒したがまだ残ってる。



黒ローブ

「再中距離攻撃術技、アサナイトエア」



今度は見えない斬撃波が大量に送り込まれる。



カズキ

「っ・・・!」



弾いては避けを繰り返し距離を詰める。


そして一気飛び込む。



カズキ

「バンカードセイバー、くらえっ!」



ミツバを突き出す。


本物はもう見えている。



黒ローブ

「っ!?」



小太刀で防がれたがそのまま吹き飛ばした。


黒ローブは勢い良く民家を隔てる壁へ激突した。



黒ローブ

「・・・っ」



立ち上がったか。



最初の鍔迫り合いの時に奴に見えないほどのライトスフィアを仕掛けておいて正解だった。



ライトスフィアVer2

大きさの縮小が可能で複数生成でき取り付けることが出来る術技に生まれ変わっていた。




黒ローブ

「・・・・・・理解」




奴も気付いたようで取り付け光りの球体を握り潰した。


足元がおぼつか無いように見えるがまだやるか。



カズキ

「お前じゃ俺に勝てない、お前の君主は誰だ」


黒ローブ

「黙認指示有り、回答不可」



喋るわけないか。

わかっていたが、こいつに恐らく脅しは効かないだろう。


だとしたら殺すしかないか・・・。



「いたぞー!!」


「こっちだー!!」



ジャパニアの国兵がこちらへ走ってくる。


さっき最後に呼んだ援軍か。



黒ローブ

「撤退時間と判断、作戦・・・成功」


カズキ

「逃がすか! チェーンバイ、ちっ」



霧の術技で逃げられたか。


今のうちにミツバをしまい霧が晴れるのを待つ。



援軍が到着した時には霧は晴れ俺は国兵へ事情を説明した。


急に黒いローブを着たアサシンに襲われ二人の国兵が死んだことを。



ルシュカ

「何があった! 状況を説明しろ」



二つの死体に集まる人だかりが一人の声で道が出来た。



カズキ

(こいつ・・・妖爆の)


ルシュカ

「お前が目撃者か?」



そうではないと、先ほどと同じ説明をした。


何とかアサシンを壁へ激突させ撃退出来たと話した。



ルシュカ

「ほう・・・・・・」



壊れている壁の瓦礫を見て、俺を下からゆっくりと全身を見る。



まさかこいつ・・・。



ルシュカ

「そうか・・・素手でよくやるな、流石はジャパニアの国兵だと褒めてやりたいがな」



急に目つきを変えた。


こいつは何を言ってるんだ・・・素手って・・・。



しまった。



左腰を触る。



やってしまった、国兵達が当たり前のように腰に刺している物が俺にはない。



ルシュカ

「それとも・・・それはお前のか?」



妖爆は国兵の一人に壁の瓦礫へと向かわせ何かを拾わせてきた。


そしてそれを受け取った、黒ローブ小太刀が握られていた。



カランッカラン・・・。



カズキ

「・・・・・・」



俺の前に小太刀が投げ捨てられた。


それを拾い、思い出した。




黒ローブ

『作戦・・・成功』




あいつの目的は・・・まさか。




ルシュカ

「見た限り死体の傷口とも合うようだが、重ねて聞く。 それはお前のではないのか、どうなんだ」



カズキ

「・・・・・・違う」



まさか・・・。



ルシュカ

「ならば何故お前は武器を持っていない」


カズキ

「それは・・・」



まさかこいつ・・・。



ルシュカ

「ではあの瓦礫になんで凶器がある」


カズキ

「アサシンが・・・」



こいつが・・・。



ルシュカ

「わざわざ凶器を置いていったとでも言うのか」


カズキ

「だから・・・」



こいつが俺を・・・。



ルシュカ

「最後に聞いてやる、お前の物じゃないのか」


カズキ

「違うって言ってるだろ!!!!」



俺の叫び声が響く。


それの回答に満足したのか、妖爆は腰の太刀に手をやる。


妖爆だけじゃない、後ろに控えている国兵、俺の後ろにいる国兵達も武器へと手をかける。



カズキ

「お前・・・まさかお前!!!」


ルシュカ

「貴様を重要参考人として連行する、投降しろ」


カズキ

「お前が仕掛けたのか!!!」



おかし過ぎるだろ。

まるで示し合わせたかのようにこいつは!!



カズキ

「お前がぁ!!!」



ミツバを取り出し妖爆へ斬りかかる。


寸前で太刀に阻まれる。



ルシュカ

「やはり貴様! 三刃か!!!」」


カズキ

「お前がやらせたのか!!」



「抜刀!!!!!」



一斉に国兵が刀を抜き出し俺目掛けて走り出す。



カズキ

「くぅう!!!」



跳躍で飛び去る。


だが妖爆は追ってくる。



ルシュカ

「今度は逃がさん!」


カズキ

「誰がぁあああー!!!」



追って上昇する妖爆に向け思いっきりミツバを全力で振るう。



ルシュカ

「なにっ!」



防がれたが一気に吹き飛ばし地面へと一直線で叩き付けた



カズキ

「っ!」



追撃に急降下をする。


土煙りの中で奴の姿が見えた。


更に振りかぶり倒れている妖爆を襲う。



バゴォオンッ!!!




カズキ

「くぅう!! このっ・・・」




ミツバと太刀がぶつかる瞬間爆発し俺は弾き飛ばされた。



これが奴の正体か!!




ルシュカ

「昨日の奴とは大違いだな・・・」


カズキ

「黙れぇえ!!!」



フルブレイクブラスター!



カズキ

「お前が黒幕だろうが!!」



引き金を引き構えたミツバを前へと突き出す。


妖爆へ向け高速の弾丸が放たれる。




ルシュカ

「こんなもの・・・、っ!?」



バゴォオンッ!!!



弾丸を弾くと同時にまた爆発させた。


防ぐことには成功した、だが予想以上の衝撃だったのか太刀と共に体勢を崩した。



カズキ

「アクセルムーヴッ、お前だけは!!!」


ルシュカ

「くっ!」



ミツバと太刀が音を立て何度もぶつかり合う。


そして一度つばぜり合いお互いの押し合いが始まる。



カズキ

「何の為に人食いを作った!! あのジェムはなんだ!!」


ルシュカ

「わけのわからないことを! 貴様が犯人だろうが!」


カズキ

「しらばっくれるなぁああ!!!」




フリーブロブラスター!




つばぜり合う状態で引き金を引き自在弾術技を放つ。


それに気付いて俺から距離を取ろうとする。


だが、そんなことさせない。



カズキ

「逃げるなよ!」



つばぜり合いが終わる瞬間に腕を伸ばし胸元掴む。


そして自在弾が妖爆の背後に回り一気に襲いかかる。



ルシュカ

「離せ!!」



バゴォオンッ!!!



全身が爆発した。



カズキ

「っ!」



握りしめていた服が破れ自由になる。


そしてすぐに振り向き自在弾を真っ二つに斬り壊した。



ルシュカ

「私が黒幕だと、ふざけた虚言で騙そうとしてもそうはいかないぞ!」


カズキ

「お前が全部仕組んだんだろうが、前回といい今回といい何が目的だ!!」



頭に血が上ってるのはわかってる。


だがこいつが黒幕なら辻褄が合う。



カズキ

「俺を貶めるのが目的か!?」


ルシュカ

「貴様など知らん、付き合いきれんな!」


カズキ

「お前が言うなぁあああー!!!!」




ミツバを構え妖爆へ駆け寄る。




カズキ

「ファミリアンブラスターライド! レインブラスタースタンバイ!!!」



弾丸を撃ち込みながら近づく。


全て弾かれるが、距離は詰めた。



ルシュカ

「また自爆か」


カズキ

「なわけねぇーだろ!! ライトスフィア!」



光りの球体を妖爆の顔面に投げつける。


一気に光りを最大にする。



ルシュカ

「くっ!!?」


カズキ

「フルブラスト!!」



妖爆から離れれ、待機させてた術技を一斉発射させる。



ルシュカ

「ちぃ 奥義・・・」



弾丸は全て妖爆が居た位置に全弾降り注ぐ。

幻銃から撃たれ、弾丸の雨も光の弾丸を垂れ流す。



カズキ

「マルチルドバスターッ」



更に俺自身が弾丸を大量に打ち込む。


土煙りで見えないが奴がいた位置に全弾ぶち込む。



土煙りが止まない、周囲も瓦礫が大量に出来るほど崩れている。



カズキ

「・・・・・・」



静寂が続く。


だが。



カズキ

「まだ終わってないんだろ」


ルシュカ

「そう・・・だな!」



太刀を大きく振るい土煙りを消し飛ばし姿を現した。


だが、かすり傷程度は与えられたか。


長袖はやぶけ妖爆の腕や顔からは血が出ている。



術技で防いだか。



カズキ

「一瞬でも良い奴かもなんて思った俺が馬鹿だった」


ルシュカ

「木遇だな、私も失望した」



お互い、構え直す。


そして、これが最後の一撃になるとお互いが考えていた。





ルシュカ

「奥義・・・」


カズキ

「リサイクチャージ・・・スタンバイ・・・」




同時に駆ける。


ぶつかる瞬間に術技を唱える。




ルシュカ

「剛爆術技!!」


カズキ

「バンカードセイバァアアー!!」






ガァアアアアァァアアァアァアアアンッ!!!!




お互いの術技が激突する。



妖爆の放った術技の爆発がミツバを伝って全身に激痛を走らせた。


爆発衝撃のおかげで腕の感覚がない、完全に折れているかもしれない。

指を動かすだけでも精一杯。



だが。


その程度だ。



俺の勝ちだ。




ルシュカ

「貴様・・・」



カズキ

「リサイクチャージ・・・解放・・・エグゼキューション・・・ブラスター・・・」




人差し指だけに力を入れ引き金を引く。





パァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!!!





激しい銃声と同時に放たれた照射された光りは妖爆を包み込む。




ルシュカ

「負け・・・た・・・」



迫りくる光に為すすべがない。


今の自分ではこれを防ぐ手段はない。


目をゆっくりと閉じ受け入れた、自分の負けを。








俺の照射術技は町の上空へと消えた。


ギリギリで上に向けれた。


被害がゼロではない・・・が体中に走る激痛に耐えながら確認する。



ナイトアイ・・・。



カズキ

「よかった・・・いないか」



本当に不幸中の幸いだ。


どうやら上空から叩き落した場所は無人地帯だったようだ。


辺りを見ても人の気配はない。



本当によかった。



カズキ

「ぅ・・・ぐ」



ゆっくり一歩一歩、妖爆へと近付く。


足が地面に着く度に全身が悲鳴を上げる。


息を吐くだけで内臓が痛むのがよくわかる。


だが、ここで倒れたら今目の前にいる奴の仲間が絶対に来る。

その前にこいつが生きているのか調べなくては。



???

「それ以上姫様に近付くことは許しませんよ」


カズキ

「っ!!?」



もう援軍が来てるだと。



上空から一人の黒い姿の男が降り俺と妖爆の間に立つ。



???

「まぁ、許すわけなどないのですがね」


カズキ

「仲間か・・・ぐぅ・・・!」




痛みに耐えながら構える。


男は白い手袋をはめて構える。


武器は持っていない、素手で十分なのか、それとも格闘家か何かか。



なんだとしても、雰囲気からして今の俺じゃ対応しきれる気がしない。



???

「では死んで頂きます」


カズキ

「っ・・・」



地を蹴り上げ一瞬で俺の目の前に現れ顔面へ目掛けて殴りかかってきた。



ルシュカ

「やめろトゥトゥー・・・」


トゥトゥー

「っ!!」



目の前の拳が止まった。


そしてすかさず倒れてる妖爆の下へと駆け寄る。


ポーションの瓶をゆっくりと飲ませた。



トゥトゥー

「姫様・・・ご無事で何よりです」


ルシュカ

「あぁ・・・」



更に状況は最悪だ。


あれを食らって生きてるのか、こいつ!



カズキ

「くそぉぉ・・・!!」



ここまでか・・・。



そう思った瞬間。




タロウ

「くわぁああー!!!」


カズキ

「タロ・・・、っ!!」




最後の力を振り絞りタロウに乗りかかる。



タロウ

「くわぁあああー!!!!!」




そしてタロウは全力でその場を立ち去った。



トゥトゥー

「ゲスが・・・逃がさんぞ」


ルシュカ

「いい・・・今は・・・」



すぐにでも追いかけようとするトゥトゥーの服を掴む。


振りほどけばすぐにでも行けるが、思い留まった。



ルシュカ

「なんなんだ、あいつは・・・」



人食いの容疑者、犯人だと思っていた。


今回に限っては仲間を殺された。


間違いなく奴が、三刃が殺人犯だと確証した。



だけど、奴と剣を交えて、奴の怒りを感じてしまった。



そしてあの潔さ。



私の奥義をただの術技で受けきった強さ。



ルシュカ

「調べる必要があるのかもしれない・・・」






完敗だ・・・。


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