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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
29/70

第29話 鍛冶加工の町 ゾーゼス



俺はヴェアリアスの運び屋として武士の国ジャパニアというナイクネスと隣接している国へと出向いていた。


辺境の村での荷物を届け一泊した夜に盗賊の襲撃を受けた。


なんとか村に被害を出すことも無く撃退することに成功した。



そんなジャマニアが気になった俺は一度調査を始めた。

手始めに襲撃を仕掛けてきた盗賊のアジトへ単身、騎乗獣の太郎と向かった。


話しを聞く限りはその盗賊はこの国の元軍隊の兵士達だという。


難なくアジトへ足を踏み入れた時、巨大なオーガがアジトを襲撃した。


そのオーガはあまりにも異様だった。

赤黒い図体の見たことも聞いたこともないモンスターだった。


ミツバの力を全力で貸してもらいなんとか倒す事に成功した俺は、元軍隊長からこの国で起きている実態を聞いた。





【武士の国ジャパニア 鍛冶加工の町ゾーゼス】



それから俺は野宿で一夜を明かし、目的の町ゾーゼスへと足を踏み入れた。


だが、どうも俺は成長していたと思い込んでいた事態になった。




「冒険者見習いだぁー?」




ゾーゼスの門番。

俺よりも大きな屈強な体付きをした男が睨みつける。



カズキ

「そうですけど・・・運び屋として生計を立てながら旅をするようにギルドから言われてまして・・・」



前々から考えていた理由をしっかりと伝えた。


実の所どうも初めて行く町や村ではいつもこういったように門前で止められる。

ヴェアリアスのみんなに相談すると。



『目』



うんうん、と全員頷く有様。


俺はその目から汗が止まらなかった。



カズキ

「なので、ちょっといい話ないかなってことで来ました」



商会組合の通行手形、そして冒険者用のプレートを見せ付ける。


本当に酷い時はここまでしても門前払いされることがあるくらいだ。



「あぁん? 本物かそれ?」


カズキ

「と、言われてもな・・・」



本当に困る。


確かに運び屋と言っておきながら荷車を置いてきたには失敗だった。


今度シュリーに簡易式折り畳み荷車でも作ってもらお。



「あぁん? あぁん? あぁん?」


カズキ

「あは・・・ははは・・・」



そんなにガン飛ばされてもどうする事も出来ない。



こうなったら仕方ない・・・あれをするしかないか。




アクセルムーヴッ。




ブチッ・・・。



カズキ

「うわぁーー財布の紐が解けたーうわぁーー小銭があーーー」



大量の銀貨と金貨を地面にばら撒く。


通行人もびっくりしている、もちろん門番も急な事に驚きを隠せないでいた。



「なっ! 何やってんだ!!」


カズキ

「すみませーーん(ライブラリング・アイ)」



これが俺が生み出した門番対策第6号、名付けて。



「金をばら撒いて金は持ってるよアピールで相手にめんどうくさがらせる作戦」



通行人が多いほど有効だ。

術技で落ちたお金の正確な位置はほぼ把握できる。


だがマジで金が無くなることがあるから捨て身な作戦だ。



カズキ

「あーーー、すみませーんすみませーん」



ここでポイントは早すぎず遅すぎずが大事だ。

早すぎると余計に怪しまれる。


だが逆に遅すぎると町で過ごす際に変な目で見られ易い。



迅速かつ丁寧に鈍足にこの作戦は行わなくてはならない。



完璧な作戦だ。



そしてこの作戦で大事な部分はもう一つある。



「ん・・・おい! こっちにも銀貨あるぞ!」


カズキ

「あー大変だー、あー大変だー」



門番も足元にどうにかして一枚落とし拾ってもらうことだ。

そしてポイントはそれをすぐに受け取らないことだ。


全て拾い終えた後に門番の所に行く。


そしてその銀貨一枚を迷惑料として受け取ってもらう。

もちろんそのままくすねる奴もいるが、その時は逆に早く町へ入り易いのは言うまでもない。



カズキ

(こんなもんだな・・・)




軽く周囲を見渡す。


拾われ盗まれたらそれまでだ、最初の頃はわざわざ数えていたがそれもたまにあほらしくなってしまい自然とやめてしまっていた。


そしてみんなに怒られる。

だって仕方ないじゃん。



カズキ

「ふぅ・・・」


???

「失礼、これは君のかな?」



声を掛けられた。

稀にいる優しい人だ。



カズキ

「あ、ありがとうございます助かりますー」


???

「礼には及ばない」



口調は少し固めだが。


女性だ。


いや、年齢はわからないが金髪の女の人だ。


一瞬サナミさんかと思ってしまった。


可憐な仕草で俺に渡す姿はどこか彼女のような凛々しさも感じた。


そして何より、腰には長い物騒な物が一本携えていた。


普通の刀とは違う、刀を大きくした太刀というところか。

更に物騒だと思った。



???

「今後は右手に引っ掛けないよう気を付けるんだな、では」


カズキ

「・・・・・・すみませんでしたははは




鮮明に注意された。



見られていたということか。



冒険者かはたまたその筋の人間か。


あの速度を見破る人間がいるということは今後は本当に慎重に行動しないと危なそうだ。



カズキ

「はぁ・・・」


「おぉーーおおい!」


カズキ

「あすみませーーん」





こうして何とか俺はゾーゼスに入ることが出来た。


門番にはしっかりと賄賂、違う迷惑料を受け取ってもらって頂いた。



タロウは騎乗獣の所定の場所で待機させて俺は新しい町の探検に満喫・・・調査をした。



カズキ

「へぇー・・・流石鍛冶加工の町って名前だけあるな」



通常の市場でも武器や防具が陳列している。


冒険者内でも武器や防具に困ったらこの町の名前が出るのも頷ける。


ぶっちゃけ自分用の武器も防具も興味はないが、サンリーや運び屋としては非常に勉強になる。


一件のテントで販売してる覗き見る。



「いらっしゃ・・・あん? 冷やかしならやめてくれよな」


カズキ

「え・・・?」



急な態度に少し驚いてしまった。



「そんな立派なもん等ぶら下げてうちに何の用だい?」



そうか、そう映るのか。

傍から見たらただの冒険者で通りそうな物だが、専門家からしたら随分値の張りそうな物を俺は全身に纏っているのか。



カズキ

「あぁー・・・失礼しました」



そうだよな、流石にお邪魔だよな。

下手した営業妨害で大変なことになりかねない。



とは、言う物の見渡す限りでは冒険者のような人間が多く見かけるな。


今後の行動方針としてギルドに行くか商会組合に行くか悩み所ではある。



カズキ

「んーー・・・」




口元に手を当てながら考えながら歩いていると突然走ってきた俺にぶつかってきた。



「ぐわっ!!」


カズキ

「ん?」



フードを深めに被った男が倒れた。

手には何やら金銭の入った綺麗な袋が握りしめられていた。



「くそっ!邪魔だ!」


カズキ

「待て」



立ち上がりその場を去ろうとした男の服を掴みもう一度叩き付けた。


手に持ってる物と男の背格好が似つかわしくない。


すぐに分かったスリの類だと。



カズキ

「これ・・・お前のじゃないだろ」



袋を取り上げしゃげみ込む。



男は暴れてどうにか俺の手を振り払おうとしてる。

やましいことが無くて本当に急いでいたらこんなことはしないと思うが。



「うるせえ! 離せくそ!」


カズキ

「悪い奴だ・・・」



術技で拘束してやろうと頭を掴んだ瞬間。



???

「そいつは俺んだ」



野太い声が聞こえた。


少しその声にびっくりしながらもゆっくり振り向く。



そこにはスキンヘッドのいかにもヤッテますという強面の筋肉ムキムキなマッチョマンがいた。



カズキ

「えぇ・・・?」


???

「俺んだ」


カズキ

「あ・・・はい・・・」



静かに綺麗な硬貨袋を手渡した。


その瞬間俺は脱力してしまっていたのだろう、取り押さえていた男が俺の手を振りほどき一目散に逃げて行ってしまった。




カズキ

「あっ・・・!」




追うか追わないかなんて考えてる隙に窃盗犯は姿を消してしまっていた。


俺と手が何もない空間で漂う。


それよりも俺の頭の中では考えるキャパを超えていた。



カズキ

「あぁー・・・あえ?」



もう一度ゆっくりと持ち主の顔を見た。


そして手に持つ硬貨袋を見て、もう一回持主の顔を見る。



???

「俺んだ」


カズキ

「は・・・はい」









------------------------------------------------------------------------------



【鍛冶加工の町ゾーゼス 鍛冶屋レイナ】




俺は硬貨袋の持ち主に自分の店まで来るように誘われ何も考えず付いて行ってしまっていた。


まだ思考がはっきりと戻ってないが、とりあえず流されてみようという思考停止でいた。



???

「本当に感謝する、大事なもんだったんでな」


カズキ

「あ、いえ・・・あまぁ・・・」



一瞬チラッと見えたが中身はぎっしりと金貨が入っていたようにも思う。


お店のお金か何かなのは想像に難くない。



???

「いや・・・こっちだよ」



大量の金貨を全て吐き出させ袋を見せる。


そう似つかわしくない袋だ。



???

「お前顔に出やすいって言われるだろ」


カズキ

「あ・・・! 申し訳ないよく言われます」


???

「まぁ、間違っちゃいねぇーがな」



袋を見つめるスキンヘッドのおっさん。


だが袋を見つめるおっさんを見て、ようやく俺の思考が正常に戻った。



カズキ

「あぁー・・・プレゼント物だったのか」


???

「そんな所だ、形見なんだよ嫁の」


カズキ

「はぁー・・・最悪だ」



俺はこのおっさんになんて失礼なことをしたんだ。


もしかしてそうゆう趣味をお持ちの方に絡まれたなんて考えた自分を恥じる。

一発殴ってほしいほどだ。



???

「あー悪いな、変な事言った」



おっさんの心情を察した。


あいにく俺はそう言った人とは縁がなかった人間だ。


だが、そういった人間の、おっさんのような顔をした人は結構見てきたつもりではいる。



カズキ

「よかったら、聞かせてくれませんか。 その素敵な袋を作った人の事」



普通は踏み込まない話し。


だが、どうしても俺はこういった人の話を聞いてしまう。


ただの偽善だ。


妻を亡くした人はどうしても塞ぎ込んでしまう、そんな人間の話を聞く、いや喋らせたいというのが本音である。



塞いだ物を解き放つ為に。




???

「・・・・・・ふっ、初対面の奴にか?」


カズキ

「だからこそ、だと」




俺は話してほしいと言った。

おっさんは感付いたんだろう俺の思惑に。


初対面、それこそ恐らく年の差も離れてる奴だからこそ、話すのが楽であるケースはいくらでもある。

というよりもあった。




???

「どうせ暇だし、取り返してくれた礼に教えてやるよ」




何か吹っ切れた顔をして俺に自慢の奥さんの話をしてくれた。



まずこのおっさんは「ゴドフ」という真人だ。


当然この鍛冶屋の店主である。


奥さんも真人で一緒に経営をしていたという。



この店の「レイナ」という名前は奥さんが勝手に自分の名前を付けて出来た物だと笑いながら話した。


無駄に元気でがさつ、よく喧嘩をしては次の日はころっと仲直りをしていたとかの惚気話もたっぷりとしてくれた。



奥さんのおかげで店も今と違って盛況で多くの冒険者だけに限らずジャパニアの国からも発注も受けていたほどだという。


まさに毎日が忙しい中でも二人で一緒に手を取り合って歩んでいたという。



カズキ

「うわぁ!」



ゴドフに嫁の写真を手渡された。


写真には身長差が圧倒的にあるおっさんと奥さんが映っていた。


おっさんを横に置くことで通常の3倍ほど若く、いや幼く見える。



カズキ

「犯罪は良くないぞおっさん」


ゴドフ

「しばくぞてめぇ」



写真を見て更に納得して微笑んでしまった。


お互いがお互いを大事に思っているのが。


ぶっきらぼうで強面のおっさんが恥ずかしそうにして写真に写る横で溢れんばかりの笑顔で映る姿。



何故だろうか、この写真一枚を見るだけで凄く元気をもらえるほどだ。



まさに美女と野獣。



その言葉がこんなにも合っていて、この二人がどんな生活を営んできたのかを想像するだけでこんなにも暖かな気持ちになれるなんて初めての体験だ。




カズキ

(そうか・・・そうだな・・・)




変な納得をしてしまった。


以前までの俺ならこんな気持ちになることすらなかった。


偽善で終わり、慰めて終わり、聞くだけして一言言って終わり。



それで終わっていた。



今は違った。


何故なら重なるからだ、今の自分と重ねることが出来るからだ。



写真の夫婦がどれだけ幸せだったのかは、もちろんわからない。


だが、俺も負けていない。



この写真に負けないくらいの物を俺は今持っている。



無意識に想像していた、今の自分を。




今まで出会ってきた人を、サンリーの人達を、そして・・・。




ヴェアリアスのみんなを。








-ディメンショナル・セイバーVerX取得-







ゴドフ

「お、お前・・・泣いてんのか」


カズキ

「えっ」



顔に手を当てた。


本当だった、目から涙が出ていた。


言われるまで気付かなかった。


そうか、ミツバも教えてくれてたのか。




俺は泣いてたのか。




カズキ

「あー申し訳ない」




写真を返し顔を拭う。


おっさんも流石にビビるだろな、初対面の得体のしれない人間に急に奥さんの話をされて写真で紹介したら今度は涙を流し出すなんて。


拭えば消え、涙は止まっていた。



ゴドフ

「・・・・・・」


カズキ

「はぁーー!! 本当に申し訳ない!」



あまり無い体験に動揺してしまっている。


また頭が回らない、どうしたらいいのかわからなくなっていた。



ゴドフ

「なぁ・・・話し続けていいか」


カズキ

「それは・・・まさか」


ゴドフ

「わかってる、だけど・・・最後まで聞いてくれないか」



今まで楽しそうに喋っていたゴドフとは違う顔付きだ。


これから話すこと、それは・・・。



奥さんが死んだ時の話。





カズキ

「あぁ、話してくれ」


ゴドフ

「すまんな」




謝罪か・・・。


奥さんが居た時は店も繁盛していたと言っていた。


そして今俺が立っているこの店には埃の被った商品達が陳列している。



それだけわかれば考えるまでもなかった。


ただの踏ん切り、そのきっかけに出来ればいい、そういった所だろう。




俺は静かにゴドフの話に耳を貸した・・・。







それは・・・今から4ヶ月前。




当時のジャパニアでは不穏な噂が飛び交っていたという。


それは。



「人間食い」



そう呼ばれた事件だった。


ことの発端はジャパニア本土で起きたとされている。

人間の頭部だけを噛み千切ったとされた物だ。


最初はモンスターによる事件だと騒がれていたが調査を進めていくと、一番最初の遺体には首元に人間の歯型が残されていたようだ。


つまりこれはモンスターの仕業ではなく、人間、しかも真人が真人を噛み殺し頭部を食らった事件。



そして犯人も発見された。



遺体が見つかって数日後に本土の近くの森で口元から血を垂れ流した遺体で見つかったのだ。

それが犯人だとわかったのは被害者のピアスが口に刺さっていたことから特定できたらしい。



真相も掴めない状態だが、犯人も見つかり多くの国民が安堵していた。



はずだった。



また新たな死体が本土とこの町ゾーゼスで日を開けずに同時期に起きた。


いずれも最初と同じように町の外のモンスターが出没するような場所で犯人が遺体で発見されていた。



そんな険難な事件がこの国では多発し人々を恐怖へと陥れていた。




カズキ

「まさか・・・」




ゴドフは話しを続けた。



予想通りだった。



2ヶ月前、奥さんであるレイナさんはその事件の被害者になってしまったのだった。



頭部は無くなり小さな体だけが路地裏で発見された。



自警団も真相を突き止めようにも一切手詰まりの状態で対策のしようがないと語られたと話す。




二人の時間が終わった。




犯人は現在では見つかっておらず、見つかったとしても同じように死体で発見される可能性が高いとされている。



カズキ

「なんだよ・・・それ・・・」


ゴドフ

「それが・・・今この国で起きてる事だ」



殺人犯罪ではない、モンスターの襲撃でもない。


ただ人間が人間を食らい終わる事件。


犯人は全員死んで見つかり真相もわからない。


対策を練ろうにも練りようがない。




カズキ

「八方塞がり・・・」




不謹慎だが、加害者がしっかりと定まっていれば怒りのぶつけようもある。


だがこんなのが現実にあるのか。


異世界特有というやつ。


ふざけてる。



カズキ

「そんな・・・あっちゃいけない・・・あっちゃいけないだろう!」


ゴドフ

「・・・・・・」




本当に・・・怒りの矛先がない。




そうしてゴドフの話は終わったのだった。




こんな気持ちは・・・味わいたくなかったと後悔した。











【鍛冶屋レイナ 一室】



ゴドフはあの後俺を飯に誘ってくれた。

その後は今度は俺の話を聞かせてくれと言われた。


まずは自己紹介から始めて冒険者見習いとしてサンリーで運び屋として働いていると教えた。


だが、ゴドフは人を見る目には自信があるようで俺が色々と隠してることを見抜いていた。



『別にやましいことじゃないのはわかるさ、訳ありって事にしておいてやるよ』



そして気を利かせてくれもして俺を鍛冶屋に泊めてくれた。


というのも奥さんが逝ってから初めての上手い酒だと楽しんでいた。

その介護を酔う前に頼まれた。


そりゃ奥さんとも喧嘩するわけだと笑いながら承諾した。



それでついさっき自室のベッドに放り投げてきたところだ。




カズキ

「ふぅ・・・報告も終わった、と」



一人になってすぐにクレエスさんへ連絡した。

こんな遅い時間だが起きている可能性が高かったので連絡した。


当たり前だが凄く不機嫌そうに俺の話を聞いた。


人間食いの話はまた後日にしたが、ある事件が気になるとだけは伝えておいた。

反応を聞く限りもしかしたら知っているのかも知れないが今日はもう遅いから通信を早めに切り上げた。



カズキ

「満月・・・か」



窓から外を眺める。


暗い夜道が月の光でよく見えた。


さっきまで飲んだ食っていたのに人だかりは一切ない。

そりゃ閉店まで飲んでおっさんをゆっくり担いでいけば時間も掛かる。




カズキ

「んーーーー! 今日も一日お疲れ様ミツバ、おやす」




それは背伸びをしミツバにおやすみを言い掛けた瞬間だった・・・。




「きゃぁあああああああーー!!!」



カズキ

「っ!!」



俺はすぐにミツバを手に取り部屋を飛び出し、鍛冶屋出た。




カズキ

「クリアアップ・イヤー!」



「誰か・・・助けて・・・」



カズキ

「くっ!!!」




最悪だ。


最悪の予感しかしない。


俺の脳裏にはそれしか考えられないでいた。




カズキ

「アクセルムーヴライド ジャンパーハイクッ」




声のした方向すぐさま飛んだ。


女性の悲鳴と助けを求める声・・・それだけじゃない。



なんだこの耳に入る・・・うめき声は。



カズキ

「くぅ!」



絶対に間に合わせる。


そして絶対に突き止める!



見つけた!



上空から一気に降下する。



裏路地に二人・・・!



目視した、あれだ!


襲われそうになってる女性は動かない、気絶してるのか。




カズキ

「やめろぉお!!」




パァアアアアアアアアンッ!!!



気絶している女性ともう一人の間に一発弾丸を撃ち込む。


だが、ゆっくりと女性に近づく足は止まらない。




カズキ

「くそぉっチェーンズバインド!!」




迫る人間の動きを止めることが出来た、が。



カズキ

「なっ!」



まるで緩いロープを解くかのように俺の光りの鎖を破壊した。


このままじゃあ間に合わない。



ならば・・・!



カズキ

「っ!!」



急降下のまま迫る人間の上に落ちる。


そしてそのままうつ伏せに倒れた奴を取り押さえた。



カズキ

「動くな! 無駄抵抗はやめろ」



ピクリともしない。

まさか殺した? いや最小限の衝撃に抑えたはずだ。


音出さない程に慎重にやったはず・・・。


そう油断した瞬間だった。




「うあああぁう!!!」




俺を吹き飛ばし立ち上がった。


全体重で抑えつけてはいたのを軽々と俺を跳ね退けた。




カズキ

「ぐぅう・・・はっ!」




俺を狙わずに倒れてる方に歩み寄る。


このままじゃ!





-サイコネス・シフトVer2取得-




カズキ

「サイコネスシフト!」




奴に捕縛は効かないならってことだなミツバ。



すぐさま術技を女性へかけて上空へ上げる。


そして俺のいる方へと遠くに移動させ奴と対面するような形を作った。

これで一先ずなんとかなったか、サンキューミツバ。



カズキ

「おい、喋れるなら喋れ」



「う・・・あぁ・・・」



ゆっくりとこちらを振り返った。


その姿に俺は言葉を失った。



カズキ

「まさか・・・ゾンビだとでも言うのかよ」



性別は恐らく男。

だが皮膚は破れ肉が見えている。


それが一つならまだいい、だが今俺の目の前立っている奴は顔中が荒れ果てていた。



そして何より血を垂れ流していた。



どす黒い血を。



「うあぁ・・・ぁ・・・あ」



ユラユラと近づいてくる。


不気味な面で足取りもおぼつか無い。


ゲームで見たことのあるようなゾンビまんまだ。



カズキ

「・・・っ」



ミツバの引き金を引き弾丸を撃ち込む。


狙い通りに足へと命中し体勢崩し倒れ込んだ。



「・・・ぅあ・・・ぁおぉお」



まるで何もなかったかのように立ち上がる。


弾は間違いなく貫通したはずだ。

それでもこのゾンビもどきは足を止めようとしない。


片方の足に何発も打ち込む。



そして片足を膝から下を粉砕し分裂させた。



カズキ

「・・・なんで」



分裂したはずの足が生えてきた。


膝から下の部分はその場で消え再生した。



カズキ

「こいつ・・・まさか」



俺はこの現象をつい最近目撃した。


そう、紅蓮の刃と対峙したあの赤黒いオーガだ。


あれと全く一緒だ。



ジリジリと近づいてくるゾンビもどき、いやもはやゾンビですらない。



これはただの化け物だ。



そんな化け物に恐怖は感じない、だが対処法が思い付かない。

オーガのように消し炭にすることは出来る。


だが、それじゃあ意味がない。


考えろ・・・最善を。






「うおあぁあおあ!!!!」



カズキ

「っ! ぐぅうぅ!!!」



襲いかかる化け物に防御姿勢を取る。

だがミツバを掴まれ押し込まれる。



カズキ

「なんだこの力ぁ!?」



巨大なオーガを相手しているかのような怪力で襲いかかる。


咄嗟にストライクアップ、身体強化の術技を使ってやっとか。



カズキ

「ぐぅう・・・!!」



「ああぁああああぅああおあお!!!」



このままじゃあ・・・。



カズキ

「ちっ・・・いい加減にしろ!!」



全力で振り払うと同時に化け物の両腕を切断し距離を取った。


だが悲鳴も上げることも無く斬られたこともわからないまま再度ゆっくりと寄ってくる。



カズキ

「キリがないか・・・、っ?」



切断した両腕が再生していく中一瞬化け物の胸元が光ったように感じた。



カズキ

「ライブラリング・アイ・・・何だこれ・・・」




術技で化け物を見た。


その瞬間胸元に反応がある。

詳細はない、ただ異様な反応を示している。


今までこの術技を使ってきて見たことのない表示がされた。

バージョンが足らなくて詳細が不明だった事は多くあった。


その時は必ずバージョンが足らないまたは俺の力が不足しているように教えてくれている。



だが。




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まさに文字化けの状態だ。



カズキ

「それでも方針は決まった、あれをどうにかしろってことだな」



ミツバを構え直す。


突破口が見えればどうにでも出来る!



カズキ

「フリーブロ・ブラスターッ」



自由自在変動弾の術技。


トリガーを引き化け物の足目掛けて撃ち込み。


両足を粉砕し動きを止める。


すぐに再生するのはわかってる、狙いは。


懐に入る為だ。



カズキ

「動きが遅いのが救いか・・・スラッシュセイバーッ!」



足が完全に再生し立ち上がる前に両手両足を斬り落とす。



「おぉあお! うあぁおどおあ」



仰向けで一切動けない状態。

ようやく悲鳴らしい反応をしたみたいだがもう遅い。


ミツバをしまう。



カズキ

「フリューゲル・フィンガー!」



胸元に右手を指し込む。


その瞬間にはもう両手生足は再生し俺の右腕を胸から離そう掴み掛かかり暴れる。



「おあおおおぉあおおさおぞあおあぶぉあおあおおおあおおあ!!」



カズキ

「ぐぅううあああ!!」



右腕が千切られそうだ。


左手で片腕だけでもと抵抗するが一切弱まらない。


だが手応えは感じる。

何かが俺の右手をこれ以上奥に行かせないようにしている。


それがさっき見た文字化けの正体か。



カズキ

「このぉおお!!!」




俺の右腕引き千切られるのが先か、こいつの何を引きずり出すのが先か。



俺の右腕は化け物の握力で皮膚を取られ肉を抉られ血を出し悲鳴を上げている。


だがこいつも同じだ。




カズキ

「良い面してんじゃねぇーか・・・」




どす黒い血を流した崩れかかってる顔に表情が出ていた。


化け物だが、反応があるなら生き物だ。

その反応が俺に希望を与え続けてくれる。



希望さえあれば!



カズキ

「俺の勝ちなんだよぉおおお!!!」




掴んだ!



それを握りしめた瞬間悲鳴を上げると同時に俺を妨げていた両腕の力だ抜けた。



カズキ

「っ!!!」



一気に胸から腕を引き抜く。



カズキ

「あああ・・・はぁはぁはぁ・・・」



「ぐがぁ・・ああがあぁあ・・・あ・が・」



仰向けのまま大の字に倒れ一切動く気配が無くなった。


すかさず握った物を見る。


さっきまでどす黒い血みどろが徐々に人間と同じ赤色へ変わっていった。


そして俺が手に持っていた物は。



カズキ

「なんだこれ・・・石?」



詳細確認の術技で赤黒色の石を見た。




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やっぱり文字化けの正体はこれで間違いなかったか。


そして倒れている死体を見て驚いた。


さっきまで化け物だった姿が、普通の人間に戻っていた。


胸を抉られた状態で大の字で倒れていた。



カズキ

「嘘だろ・・・だとしたらこれが、っ!!?」



手に持っている石から赤黒い煙が出ていた。


煙を出し続けている石は徐々に色を失っていった。


噴き出していた煙が止まった時には石はただの白い石へと姿を変えていた。



カズキ

「何なんだよこれ・・・」



ただの石ころになった。

そんな気がした、現況はあの煙、いや何かがこの石に封じ込められて今倒れている男に埋め込まれていた。


それがあの男を化け物へと変貌させ人を食らう。


原因であるこいつを取り出してもまるで証拠の隠滅のように消える。



これが、人食いと呼ばれた正体。



だとしたら、必ず何かあるはずこの事件の裏に。



何かが・・・。













???

「貴様・・・こんなところで何をしている?」


カズキ

「・・・・・・え?」





真っ暗闇の路地裏。


金髪の女性に俺は・・・刀を向けられ職質を受けていた。



急に誰かに声を掛けられた。



嘘だろ。



???

「何をしているのかと聞いている」


カズキ

「俺は・・・、っ!」



石を持つ手を見た。


そして後ろには一人の死体。


死体は無残にも胸を抉られた状態で倒れている。



カチャ・・・。



女が武器を強く握りしめた。



カズキ

「待ってくれ、これは・・・そうだ気絶してる人がいるだろそこに」


???

「何を言っている」


カズキ

「いや、そこに・・・」



化け物から距離を離す為に遠くに避難させたはずの被害者が、いない。


まさか目覚めて逃げたのか。



だとしたら、この場には俺と・・・死体だけ。



カズキ

「嘘だろ・・・」


???

「言い訳は終わりだな」



殺意を更に高めてきた。


完全に俺が、この男を殺した。


女の目はそう語り掛ける。


完全に聞く耳を持たない顔だ。



ルシュカ

「ジャパニアモウエン家懐刀、ルシュカ・コードーが今ここで貴様を裁く、無駄な抵抗はやめろ外道」


カズキ

「話しは・・・聞いてくれないんだな」


ルシュカ

「外道となど話す舌は持ち合わせていない!」


カズキ

「くっ!」



手に持っていた石をすぐさましまいミツバを取り出し。


上空へ飛んだ。



ルシュカ

「逃がさん!」



当然追ってくるのはわかっていた。


だから先に設置しておいた。




カズキ

「ファミリアンブラスター シュート!」




3基の幻銃が太刀使いを襲う。


当たりはした、これで終わってくれれば。



ルシュカ

「甘い!!」


カズキ

「っ!」



空中の土煙りから飛んできた。


ジャンパーストップで足場を形成し応戦する。



カズキ

「このぉ!」



ミツバと太刀がぶつかる。


だが奴は俺とは違い足場を形成している痕跡はない、これなら。




バゴォオンッ!!!



カズキ

「何・・・」



何かが破裂した音が鳴った瞬間一気に押し込まれ足場から落された。


このままだと落下か。



ルシュカ

「あれで終わると思うなよ」


カズキ

「追ってくるのかよ」



ストライクアップライド フォーシスドライバー。




バゴォオンッ!!!




カズキ

「ぐおぉ!!」



また何かが破裂した音がしたと同時に吹き飛ばされ地面へと叩き落とされた。



ルシュカ

「・・・っっ!!?」



カズキ

「マルチルドブラスター!」



瓦礫の中から上空にまだいる奴に目掛け全弾打ち込む。


無数の光弾を襲わせた。


さぁお前の種明かしを見せろ。



ルシュカ

「甘いと言っている!」




バゴォオンッ!!!



カズキ

「またか・・・」



破裂音と共に急降下して俺目掛けて飛んできた。


再度防御態勢で奴の攻撃を防ぐ。



カズキ

「ぐぅうう!!!」



何とか踏ん張れる。


ユミィに作ってもらったこいつじゃなきゃ絶対に今頃叩き潰されてる。



ルシュカ

「無駄な抵抗はするなと言ったはずだ」




バゴォオンッ!!!



カズキ

「うあぁあ、あぁあああああ!!!」



ミツバを全力振り切って奴の軌道をずらした。


それが今の精一杯だ。




カズキ

「ぐあぁあ・・・ぐぅ」




化け物との戦いでの右腕がここにきて響く。


回復で痛みだけは和らげてるつもりだが力が入らない。



ルシュカ

「降参するなら、一撃で仕留めてやる。無駄に苦しむな」


カズキ

「誰がはぁ・・・はぁはぁこっちには掴んでる物があるんだ、死ぬわけにいくはぁはぁかよ」


ルシュカ

「見苦しいな」



何とでも言え。

こっちはこの町に来て1日目なんだ。


その1日目でこんな事になってるんだ。

是が非でも生き延びてやるよ。



カズキ

(とは言う物の・・・奴の術技がわからない)



そもそも術技なのかどうかすら怪しい。


武器はあの太刀一本で間違いないが、どっかのペテン騎士と違って奴は本物だ。


何らかのからくりはあるにしろ、それをしっかりと自分の物として問答無用で振るってきやがる。



カズキ

「ならやることは一つか・・・」



相手の性格から読み解くんだ。

もうそれしかない。



ルシュカ

「今度こそ、終わりにさせる」


カズキ

「まだだ! チェンジフェイクライド インビジブルムーヴ、はぁああ!!!」



術技を唱えると同時に地面をミツバで思いっきり叩き土煙りを起こす。




ルシュカ

「無駄な足掻きだと何度も言った!」




奴は今足を止めている。

ミツバを振り上げ上空から仕掛けた。



カズキ

「でぇいやぁああ!!」


ルシュカ

「っ!」



俺の大振りの攻撃をする前に太刀で真っ二つされた。


その瞬間に真っ二つにされた俺は泥のように消えた。



ルシュカ

「小賢しい真似を、そこか!」



土煙りの中に放り投げたのは念力術技で飛ばした瓦礫の残骸だ。


それを何個何個奴へと飛ばす。




ルシュカ

「ふざけおって・・・、くっ!」




バゴォオンッ!!!



破裂音と共に土煙りが吹き飛ばされた。




カズキ

「だが時間稼ぎは出来た」




俺は上空に居た。



ファミリアン・ブラスター。


スレイヴ・スラッシュ。


レイン・ブラスター。



カズキ

「オールスタンバイッ」



ルシュカ

「ちぃ!」



バゴォオンッ!!!



破裂音と共に一気に上昇する。


高速で接近してくる。


そして。



ルシュカ

「遅いのだよ」


カズキ

「ぐはっ・・・」



腹を刺された。


激痛が走る・・・。



カズキ

「だがかはぁ・・・捕まえた」



相手の腕首を両腕で掴み取る。




ルシュカ

「まさか貴様・・・!!!」




この捨て身を受けてみろ。




カズキ

「フルブラストォ!!!」




展開していた全ての術技を俺目掛けて全弾打ち込む。



ルシュカ

「離せ!」


カズキ

「逃がさねぇぞ・・・」




全弾が二人に直撃した。




ルシュカ

「うあぁあああああああああ!!!」



カズキ

「ぐぅう・・・アクアフィット!」




二人は落下していった。



そして二つの落下音と共に戦いは終わった。









ルシュカ

「く・・・不覚だ、ぐぅ!」



立ちあがるので精一杯だ。


だが、あの男はそれ以上のはず、あんな状態ならただじゃ済まないだろう。


落下したであろう方向を見る。




ルシュカ

「まさか・・・逃がしたか」




男が落ちた所は川が流れている場所。


川に落ちるように計算していた可能性があるのか、その証拠にあいつは最後に水に適応する術技を使ったはずだ。




ルシュカ

「・・・次に会う時は必ず討つ」







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