表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
28/70

第28話 変異種


復興支援村サンリー。


そう世界から呼ばれるようになって約一ヶ月。


村では一通りの落ち着きを取り戻していた。


異世界リアタズマに来てから俺も馴染みを感じてきた。

そして今ではサンリーの為、自分で作ったヴェアリアスの為に役割を全うしていた。



ユミィーリア

『これが!私の全てを捧ぎ丹精込めて作らせて頂きました!!』



俺への礼装が作られなかった理由は、どうやら俺専用の蒼い服を作っていたそうだ。


対属性を付与した膝下まであるローブ。

衝撃耐性がある柔軟性の良いズボン

物理攻撃に強いジャケット。


これらの素材はかなり特殊で高価な物が多かった。

俺も馬車馬のように働いたがその出来には満足していた。


その服を纏い俺は、物資の運び人として村から村へと足を運んでいた。




【武士の国ジャパニア 辺境の村】



「お待ちしてました! サンリーのお方!」



村の中に入ると早速歓迎された。

相手は真人の村長だ。


この村は国からの援助が無い村の一つだ。


俺達のサンリーやヴェアリアスの人間はそういった国々の隔たりのを超え活動している。


とは言っても出来ることとしてはこうして物資を運んであげることくらいしか出来ないが。



カズキ

「早速こちらの資料をお願いします」



物資の受け取りようの資料。

今回の物資の内容とその受け取り印とこちらの控え用の資料だ。



「うん、はい・・・はい!ありがとうございます、確かに受け取りました」



村長の合図で後ろに控えていた村民が物資を運びだす。



村の周囲を見渡す。

門番や警備団体、貧相な装備だが武装した人達。


何かを警戒してるのか。



「お気になりますか」


カズキ

「ええ、村全体が何か警戒しているように見えますが」



この村はジャパニアとナイクネスの国境線付近の村。


そういった場所はどうしても戦場になりかねない。

だから武器を持ち身を守り襲ってくる敵を討つ。



だとしても、この村に来てから雰囲気は違っていた。

荷馬車を村に入れ、村長を待っていた時にも俺自身を警戒していた者も何人かいた。



「盗賊・・・とでも言うのですかね・・・」


カズキ

「・・・訳あり、ですか」



村長の話はジャパニアについての事だった。


最近ではジャパニア軍内での内粉が起きたそうだ。

そしてその内粉により軍隊の一部が離反したという。


その離反兵が現在盗賊へと成り上がり多くの村々を襲っているという話しのようだ。


この村でもその噂を聞き戦える者みなに武装をお願いしたということらしい。



カズキ

「物騒な話ですね」



控えの資料を受け取る。

しっかりとした受け取り印、確認。



「ちなみ本日はどうされる予定ですか? もしよければ宿屋を手配させておりますが」


カズキ

「んー・・・じゃあお言葉に甘えます」



今日は、もう遅い。

村に厄介になるのも悪くないか、後でクレエスさんに報告をすることにした。



騎乗獣 タロウ

「くわぁあー・・・」



タロウが欠伸をしている。


こいつは兵器獣の時に俺達を助けてくれた奴だ。

今では立派なヴェアリアスの一員として、立派に荷車を引っ張ってくれている。

名前は俺が命名した、特に他愛はない。



カズキ

「お前も疲れてるもんな」


タロウ

「くわん!」



撫でてやれば喜ぶ。


レイドラといいタロウといい、俺はどうもモンスター類に好かれる傾向がおおいにあるみたいだ。




それからタロウを専用の馬小屋へ連れて行き俺は宿屋へと足を運んだ。





クレエス

「ジャパニアは元々そう言った衝突が日常茶飯事だと伺っています」


カズキ

「武力的に強いからこそのってことか・・・」



クレエスさんに報告と一緒にジャパニアの情勢を聞いてみる。


ジャパニアという国はどうも野蛮な国、という印象になってしまったな。

炎の国、太陽の神イフリートを信仰してる国。


情報を聞いていても武力で物事を解決することが多いなんて本当に野蛮だとしか言いようがない。



クレエス

「あまり長居はしないよう・・・いえ、お気をつけください。では」



通信が終わる。


長居か・・・確かに変に巻き込まれるような事は避けるに限る。


少なくても俺はナイクネスの人間である認識をされてるわけで、ここは別の国の領土だ。

明日の朝にはこの村を出よう、それが一番・・・。



「敵襲ぅううううー!!!」


「盗賊だぁああー!!」



ベッドへ横になろうとした瞬間外から悲鳴が響いた。


警戒の鐘が鳴り響き避難誘導が始まっていた。



「お、お客様! 盗賊が出ました!ひ、避難を!」


カズキ

「・・・・・・」



他国の問題だ。

敵は話しを聞く限りは元正規軍というやつだろう。


だとした・・・ここの村の人間じゃあ対抗出来るとは思えない。



カズキ

「・・・おじさん達は非難を、っ!」



走り宿屋を出てタロウへ乗り現場へと向かった。



カズキ

「タロウ飛ぶぞ! ジャンパーハイク」


タロウ

「くわぁあ!!!!」



タロウと共に村を飛び回った。




-------------------------------------------------------------------------



【辺境の村 正面門】



そこには多くの村民が盗賊達と対面していた。



「ど、どうしてこんなことを!!」



「我々は紅蓮の刃! このジャパニアを正す者だ、黙って金銭を提供するのだ!」



横暴。

武器をチラつかせ暴力で従うように強要してくる。


まさにただの盗賊だ。



「要求が飲めないのなら、武力を持っ」





ドォオオオオオオオオオオオンッッ!!!!





村民と盗賊の間に大きな轟音と同時に土煙りが起きた。


その場にいた全員が驚きに身を固めていた。



カズキ

「げほっ!げほっ!げほっ!」



最近の体たらくか、土煙りを吸ってしまった。

タロウは何事もなかったようにキョロっとしてる。


ミツバを片手に盗賊へと歩みよる。



「な、なんだ貴様は!」


カズキ

「ただの冒険者見習い兼運び屋だ、とりあえずその物騒なもんを降ろしてくれるか」



まずは話し合い・・・なんて出来るとは思えないが聞くだけ聞いてみる。


もちろん武器を降ろすような素振りは一切ない。



「何様だ・・・貴様・・・」



盗賊の群れを割って一人がこちらに近づいてきた。


見る限りの見た目はまさに侍の類。

帝国騎士のような西洋風の甲冑とは違い、まさに俺のいた日本の侍だ。



カズキ

「ふっ・・・話せる人間が居て助かるが」


「随分と舐められたものだ、我々を元国軍第13番隊「紅蓮の刃」と知っての所業か」



紅蓮の刃。

聞いたこと無い、だが相応の部隊の人間ってことか。



カズキ

「すまないが、新参者でね詳しくないんだ・・・強いかのか弱いのかもわかんないんでね」


「とんだ田舎者・・・ならば教えてやろう! 貴様と一騎討ちしてやろう!」



予想通り、つまらない挑発に乗ってくれた。


口調といい、格好といい、無駄にプライドが高い奴だろうと思った。



カズキ

「いいだろう、ただし俺が勝ったら今後この村に一切手を出さないと約束してもらうぞ」


「よかろう、貴様が・・・勝てればな!!!」



刀を構え一気に間合いを詰めてくる。


ミツバを構え直し受けて立つ。




ガァアアアアァァアァアッッン!!!!




刀とミツバがぶつかる音が響く。


なんとか受け止めているが確かに噂通りの力というところか。



カズキ

「っ・・・アクセルムーヴ」



刀を弾き距離を取る。


相手の力を見極める必要がありそうだ。



「くっ! 奥義 加速術技!」


カズキ

「何!? っ!」



また更に距離を詰められた。

こいつ速い!


攻撃が来る。



カズキ

「アクセルムーヴライド ジャンパーハイク!」


「させるか! 奥義 跳躍術技!」



小刻みに動き上空へ飛んだ。


だがこれも追ってくるか!




カズキ

「くっ!!」


「奥義 衝撃術技ぃいいいい!!!」



刀とぶつかった瞬間吹き飛ばされ地面へと吹き飛ばされた。




ドォオオオオオオオオオオオンッッ!!!!




カズキ

「ぐはぁ!!」




急降下からの地面への叩き付け。


口の中に血の味が広がる。



「口だけではないようだが・・・所詮はその程度ということか」



難なく上空から地に降りてきた。


これがジャパニアの力って訳か。



カズキ

「ぷっ!」


「あん? 何だまだ立てるか」



久しぶりの血の味を飛ばす。


考えてみればここ数カ月こんな戦いをしていなかったことに今頃気づいた。

ここまで鈍っていた自分にビックリだ。



カズキ

「なるほどな、悪かったな手を抜いて」


「ほう、減らず口はまだ叩けるようだな」



刀を構え直しいつでも来いという姿勢か。


いいだろう。



カズキ

「なら・・・俺の力見せてやるよ」



ミツバを構える。


卑怯も何もない。



そう、戦い・・・戦うとはこうゆうことだ。




パァアアアアアアアアンッ!!!



「何!!?」



ミツバから放たれた弾丸を弾いた。


良い反応速度だ。



カズキ

「なら・・・こいつはどうだ、マルチルドブラスター」



術技と同時にミツバから無数の光弾が発射され侍を襲う。


四方八方の攻撃だ。



「貴様遠距離術技師か! だがこの程度ぉ! 奥義! 連斬撃術技!!」



こちらに近付きながら俺の術技を弾いて来る。



カズキ

「はっぁ!」



不思議と笑みが出た。


これは戦いを忘れていたことへの笑みだ。



「うおぉおおお!!! 取った!!!」



飛び上がり刀を大きく振り被る。



そして俺自身に斬りかかろうとした瞬間・・・。



「ぐあぁああああー!!」




侍を吹き飛ばした。



カズキ

「これで這いつくばるのはお相子だな」


「幻術で隠していたか・・・」



察しもいいみたいだな。


そう、インビジブルムーブライド ファミリアルブラスター。


幻銃を隠し侍が来るタイミングで撃ち込んでやった。



カズキ

「卑怯なんて言わせないぞ、あんたの力量を図った上での手段だ」


「ちぃ!!」


カズキ

「じゃあこっからが本番だ」



改めてミツバを構え今度はこちらから一気に距離を詰める。


相手のすぐに立ち上がり応戦する。




ガンッ! ガンガンッ!ガンッ!ガンッ!




刃と刃がぶつかり合う。


お互いの剣技は一歩も譲らない。


連撃をぶちこめば連撃で返される。



カズキ

「くひひ・・・」


「負けるかぁあああ!!!」




必死な表情を浮かべる相手に対し俺は不敵に笑っていた。


久しぶりの戦いと呼べるものに高揚を感じていた。




カズキ

「スレイヴスラッシュッ」


「っ!!!?」




剣技がぶつかった瞬間ミツバから五つの大型の光球弾が放たれる。


相手の反応は早い、すぐに俺から距離を離す。



「この程度! 奥義 5連斬撃術技!!」



カズキ

「させるかあぁああ!!!」



距離を離さない!


高速で近付く。



カズキ

「ウェポンキルライド バンカードセイバー!」


「何っ!!?」




術技をやめて防御態勢に入った。



俺の読み通りだ!



ミツバが相手の刀を貫きそのまま相手の甲冑をも貫いた。



カズキ

「じゃあな」



すぐさま相手から距離を取った。



その瞬間大型の光球弾が武器も鎧もはぎ取られた相手へと無慈悲に襲い掛かった。




「ぐ、うおおぉおおおお!!!」



爆発した。


全弾直撃。


鎧も刀も無く防御する術もないはずだ。



土煙りが晴れていき、断末魔を上げた男は黒焦げになっていた。



「ぐ・・・が・・・ぐぅ・・・」


カズキ

「驚いた、まだ生きていたか」



トドメを指しに近寄る。


すると。



「副隊長に近づくな!この外道め!!」



カズキ

「はん?」



一人の発言に他の隊員さん達が寄ってきた。


だが見る限りは戦う気があるのかどうかすら怪しい。


副隊長とか言ったかこいつ。




ガシャンッ・・・。




カズキ

「お前らも見たろ、こいつには矢より強力な物が内蔵されてる。近付かなくてもこいつをやれる」




ミツバを倒れている副隊長とやらに向ける。



「卑怯者! 弓矢を使うとは剣士の風上にもおけん奴め!」





パァアアアアアアアアンッ!!!




「っ!!!?」




副隊長へ向けて一発放った。


もちろん当ててない。



カズキ

「副隊長さん殺したいみたいだなお前ら・・・望み通り次は当ててやる」



両手でミツバを持ち標準を定める。


すると、全員が武器をその場に降ろし両手を上げ降伏の姿勢を取った。



カズキ

「約束は守ってもらうぞ!」



ミツバを下げその場から離れるよう後退する。


それを見た集団がすぐに副隊長の下へと駆け寄っていく。


村民達が見えた時に後ろを振り向くと副隊長を背負って全員がその場から撤退していくのが見えた。

一先ずは、というところか。





「あ、あなたは・・・」


カズキ

「ただの運び屋ですよ・・・ただのね」




村民達を背に村長の下へと向かった。


先ほどまでの戦いの報告。

そして今のこの国の事が気になった。



ただ、それだけだ。




----------------------------------------------------------------------------




【辺境の村 正門】



襲撃から夜が明けた。


村長から色々と話を聞いた。

だがこれ言って有益な情報は貰えなかった。


それでも大体の事はわかった。


今このジャパニアという国はモウエン家という獅子人族が統治している。


そのモウエン家は武道を重んじる家系で代々国の長を務めているという。


だが、最近になってモウエン家とその家臣達とで内紛が起きているらしい。


そんな事があり、今やこの国の治安は悪くなる一方だと村長は語っていた。




カズキ

「いくか・・・」




目的地は町、ここから行った先に大きな町 ゾーゼス。





俺は荷車を置いて行き必要最低限の荷物を持ち村を出た。


サンリーには帰りが遅れることは伝えた。

クレエスさんにそのことを伝えると。



『そんな事だろうと思いこちらの業務の割り当て変更を行っておきました』



流石ヴェアリアスのブレインだ。

通信越しではあるが絶対キレてたと思う。


最近表情は変えないのは変わらないままだが、嫌な顔をするような雰囲気を感じるようになった。



カズキ

(ふっ・・・ある意味で良い傾向って事かな)



タロウに乗りながら他愛のないことを考えていた。


そう、そんな事を考えるくらいには気持の余裕がある・・・。



カズキ

「そう・・・こんな状態でもな」



数人に取り囲まれた。


相手は昨日の奴の仲間達、一緒にいた奴らか。



カズキ

「それで・・・何かようか」



タロウから降り、ミツバを取り出す。


そして一気に襲い掛かってきた。



カズキ

「チェーンズバインド」


「っ!!!?」




だが、一瞬で捕縛した。


昨日の騒動であらかた把握した、これが通じる気がした。



カズキ

「さて・・・どうしてやるか」



「なな・・・何を・・・!!!」



カズキ

「はぁん・・・」





------------------------------------------------------------------------------



【辺境の地 紅蓮の刃アジト】




「貴様らそれでも我が隊の隊員か!!!」


「も、申し訳ありません隊長」




隊長格の男が部隊員に喝を入れる。


副隊長は致命傷の重体で尻尾を巻いて逃げてきた。



「ふ、副隊長を倒した者は蒼い衣を纏った3枚刃の剣を使う者でした」


「ちっ・・・どんな奴だ」



襲撃を邪魔してきた男の特徴。


聞いたこともない奴だ、もしかしたら他国の人間か、冒険者か。



「ふざけやがってぇ!!!」


カズキ

「別にふざけてないがな」


「なっ!!?」



アジトに土足で踏み込む。


隊長格の奴がたじろいでいる。



「くっ!!」


カズキ

「ウェポンキル」




パァアアアアアアアアンッッ!!!




懐の剣を弾丸で吹き飛ばした。



昨日も使用して確認済みだ。



ウェポンキルVer2.

対象の武装を破壊する、特に手に持つ前の武器を破壊する際には通常よりも破壊し易い。



「い、一体何が目的だ貴様!」


カズキ

「別に他愛はないさ、ただ盗賊まがいに陥った経緯を聞きたくてな」



それが目的だ。

こいつらがどういった理由で国を追い出されこんな所で盗賊と呼ばれるようになったのか。



「そんな事・・・貴様には・・・!」


カズキ

「ならここで死ぬか・・・」



ミツバを差し向ける。


殺意を込めた目線を送る。


それでも汗を流しながらもプライドと対峙し拮抗しているのか。

だが、時間は有限で惜しい。



これ以上ごねるようなら・・・。



ミツバに力を入れた時だった。







グオォアオァオオオオオオオオオオオオー!!!!





カズキ

「っ!!?」


「こ、この声は・・・!」



目の前の男が我先にと俺が来た道を走り去った。


すぐに俺も後を追うようにアジトの外へと向かった。









グオォアオァオオオオオオオオオオオオー!!!!




「うわぁあああーー!!」



「怯むなぁあ! 突撃!!」





大型の赤黒いオーガが盗賊を薙ぎ払っていた。


手には3メートル近くの巨大な鉈が握られていた。



カズキ

「っ・・・!?」



アジトを出た瞬間そこは戦場と化していた。


血を出し倒れ込む人間達が転がっていた。



タロウ

「クワァ!クワァ!」


カズキ

「お前は大丈夫だったか、よかった」



騎乗獣のタロウは無事だったか。

やっぱり偉いな下手に手を出さないところはしっかりしてる。



「お前・・・経緯を知りたいと言ったな、これがその理由だ!」


カズキ

「何・・・?」



赤黒のオーガが理由。

これは本当に何かあるかも知れないな。



カズキ

「後でしっかりと聞かせてもらうからな。 タロウは下がってろ」




アクセルムーヴライド ジャンパーハイク!




オーガの頭部へ飛ぶ。


ミツバを大きく空へ掲げそして一気に振りかぶる。



カズキ

「スラッシュ・・・セイバーッ!」



オーガの頭部を一撃で半分に切り裂いた。


同時にオーガがその場で倒れ込む。



カズキ

「・・・・・・なっ!?」



倒れ込んだオーガを確認したが、オーガが立ち上がってきた。


頭部がぐちゃぐちゃになっているのは変わり無いが。

佇むオーガの胸部が変異し胸部に顔が出現した。




グオォアオァオオオオオオオオオオオオー!!!!




咆哮と共に大鉈を振り被り襲ってきた。



カズキ

「フォーシスドライバーッ! ぐぅ!!」



防御態勢で何とか凌いだ。


全身に衝撃が走る、だが倒れる事はなかった。

これもユミィが作った服のおかげか。



次に振り返しが来る。



カズキ

「ウェポンキルライド フルブレイクブラスター」



襲い来る大鉈を目掛ける。



カズキ

「シュートッ」



高速の光弾が大鉈を弾き飛ばした。


武器破壊には至らなかった、だが。



カズキ

「武器は吹き飛ばした、これで一先ず・・・」


「敵が怯んだ! 今だ突撃!!」


「うおぉおおー!!」



武器を持ち一気に突撃していく。


だが、無防備過ぎる。



カズキ

「おい、待てお前ら」





グオォアオァオオオオオオオオオオオオー!!!!




咆哮と共に接近する人間達を巨大な手一振りで薙ぎ倒していく。


何とかオーガの懐に入って攻撃するも効果があるようには思えない。



カズキ

「ちっ・・・もういい下れ! っ!」



暴れるオーガの懐に一気に突っ込む。



振り被って叩きつけられたオーガの拳を避け、その隙に叩き付けた拳を斬り付け一撃で両断した。



カズキ

「やっぱりか・・・!」



両断した腕から新たな腕が生えた。


予想はしていた、こいつには並大抵の攻撃じゃ致命傷を与えるのは無理だ。



カズキ

「なら・・・」



すぐに思いつく策としては・・・超高威力で一撃必殺。




カズキ

「ゲーティングロードォ!!」




3つ蒼光の輪がオーガとの間に出現する。




カズキ

「レインブラスタァアー!!」




全ての輪を通った球体は上空へ飛び弾丸の雨・・・ではなかった。


球体から降り注ぐのは、大型の照射砲だ。



カズキ

「まずっ」



この術技の威力は予想以上だ。


負傷している人を引きずり下がる。



「引け! 負傷者を救助しながら撤退しろ!」



俺の術技に気が付いた隊長が全員に指示を出していた。


その指示と同時に隊員達が撤退を始めた。




グオォアオァオオオオオオオオオオオオー!!!!




オーガが動く。

これ以上は・・・待てない。




カズキ

「くっ! フルブラストォオー!」




掛声と共に球体からオーガを包むほどの砲撃が叩きこまれた。

上空からの砲撃が地面へと激突した轟音と地揺れと暴風が襲う。



そして同時に声を上げる暇も無くオーガは光りの中で消し炭となった。



カズキ

「はぁ・・・はぁはぁ」



全力疾走で逃げたこともあり妙な息切れを起こす。


何とか俺の術技で被害者は出てないみたいでよかった。



「お前・・・一体なんなんだよ」


カズキ

「はぁはぁ・・・ただの色々見習いだ」



一先ずの戦いは終わった。


紅蓮の刃と名乗る集団の負傷者をアジトへ運ぶ手伝いもしてやった。


これで改めて話しを聞けるだろう。



それにしてもあんなモンスター見たことも聞いたこともない。


本当にこの国はどうなってるんだ。




---------------------------------------------------------------------------



【辺境の地 紅蓮の刃アジト】



カズキ

「さて、話してもらってもいいよな、あのオーガ一体なんなんだ」




負傷者達を看病している中部隊の隊長に声をかける。


少なくても相手に戦闘の意思はないだろうと思う。



「・・・はぁ」



少し考えこんで溜息を吐いた。

観念してくれたのか、思い口を開いて教えてくれた。



まず一番最初に話した内容はこの国に突如現れた変異種と呼ばれるモンスターだ。


その変異種は先ほどのオーガのように赤黒い姿をしていて、戦ったらわかる通り通常よりも破格な強さのものだ。

オーガだけでなく、多くの種類のモンスターが目撃されているという。


モンスター達を倒すには俺がやったような巨大な一撃で仕留める、という手法しかない程の再生能力も持っている物ばかりと言う。


小型のモンスターならまだしもあのように巨大なオーガなどのタイプには中隊規模の兵力が必要とまでされているという。


そして、何故突如現れたのか、何故変異種が現れたのか原因は不明だった。



「だがそんな変異種を、国はほおっておけと言い出したんだ」



黙認。

ジャパニアはその強大な力である変異種を放置した。


ジャパニアに所属する冒険者達は早急に対応に走ったが、軍は一切の手出しを認めないでいた。

そんな国の対応の中、冒険者達も敗れ命を落とす者、他国へ敗走する者、国を見限る者と出てきて変異種の対応をする者が減っていった。



カズキ

「それでこんな盗賊まがいなことを?」


「盗賊ではない! 俺達は国民の命を奪ったことなど一度もない!」



熱い忠誠心を燃やしているが、村の人間達からすると盗賊と何ら変わりない。


自分達がその変異種から国民を守らなくてはならない。


あのオーガも噂を聞き付けここまで追ってきたようだ。



カズキ

「でも、あんな盗賊まがいな事をしたら意味ないだろう」



取り急ぎ作られたアジトを見ても、恐らくはカツカツだったんだろう。


物資も底を尽き、このままではオーガを倒す前に自分達が飢え死にするのが目に見えていた。

だからあんな暴挙に出た、冷静な判断も出来ないでいたってところか。



カズキ

「はぁ・・・」



どうしてだろうか、呆れてものも言えない。


とは言えなかった。



人間は本当に崖っぷちに立たされると正常な判断が出来ない。


ふと自分に置き換える。


俺がこの世界に来た瞬間、それ以前にも考えてしまったこと。


金、信頼、時間、貧困。


全てが最悪の歯車で噛み合った時の人間の行動は想像して良い物じゃない。



それが一人だけの問題ならいざ知らず、多くの人間が関わると余計にその歯車は重く噛み合いやすくなる。




カズキ

「・・・・・・」



周囲を見渡す。

今でもオーガと戦って負傷した者達が苦しみ悶えている。


俺は眉間に手を当て溜息を吐く。


このままこいつ等を放置して後を去るのが一番だ。


だが、またこいつらはきっと村を襲う。


絶対にやる・・・だったら。



カズキ

「・・・・・・これ」



一枚の紙に一筆書き手渡す。


その紙、資料は先日村へ運んだ際に使った際の控え用の資料だ。



「な、なんだこれ」


カズキ

「村に行って、村長にこれ見せて土下座でも何でもして匿ってもらえ、そんで村で良い子にしてるんだな。 もちろんその紙を捨てるのも自由だが」



俺の印と一筆入れておいた。


あの村長なら何とかしてくれるだろう、それと後サンリーに追加発注も頼まないといけないか。


無駄にやることを増やしてしまった、またクレエスさんに、いやシュリーにぶっ叩かれるだろうな。




カズキ

「まぁ・・・また村を襲うようなことしたらどうなるかくらいは頭の隅に入れておけ、じゃあな」




立ち上がり、そのままタロウと共にアジトを後にした。


追ってくる気力も、声をかける気力もないのだろう、そのまま俺は立ち去ることができたのだった。





「・・・・・・カズキ・・・」




医療の印の名前を見る。


ヴェアリアスと大きく書かれた印の下に小さく名前が書いてあった。






----------------------------------------------------------------------



【復興支援村サンリー ヴェアリアスマイハウス】



マイハウス内では夕食をみなで取っていた。


夕食を取りながらクレエスがみなにカズキの現状報告をしていた。



サナミ

「あちゃー・・・」



頭を抱えた。

カズキさんまた何かやってる、間違いなく首を一人で突っ込んでる。



シュリー

「私知らないから、ただでさえ今鍵の件でめちゃくちゃ忙しいんだから、関われないから」



シュリーは資料を片手に夕食を取っていた。

最近頃は行儀が悪いと言われていたが、あまりにも多忙だとみな黙認してそのスタイルが板についているほどだった。



ユミィーリア

「ジャパニアですか・・・また随分な所ですね」


フェーチス

「何かあるんですか?」


サナミ

「んーー・・・簡単に言うと力で何でも解決しようとするっていうのかなー」



自分でオブラートに包んだつもりが全然包めていない。

ちょっと悲しい。



シュリー

「脳筋っていうのよあれは、どいつもこいつも脳みそが筋肉で出来てる野蛮な国よ」


ナザ

「がはははっ、わかりやすい」



シュリーの言うのが正しいとは言いたくないけど、自分も何回かあちらの兵士と戦ったことがあるから否定はできない。


武士、と呼ばれる人達。


本当に一人一人が強くて一騎当千の構えで来る迫力は他の国の兵士とは比べ物にならないほどだった。



ユミィーリア

「でも本当に強い方々みたいで、サーちゃんも一回だけ負けたって」


ナザ フェーチス

「「えぇええええー!!!?!?」」


サナミ

「あははは・・・昔ちょっとね」



それはまだ私が煌煌ノ騎士と呼ばれるようになる前の話。


実際にギリギリの戦いの中で私は撤退を余儀なくされ一度敗北した。



シュリー

「懐かしいわね・・・なんだったかしら・・・」


クレエス

「妖爆のルシュカ、ですね」



そう、彼女の名前はルシュカ。


妖爆というのは如何にも卑怯な手を使うような名前とされているが、全く違っていた。


彼女の使う術技は爆発系の物。


その力は戦った者にしかわからないが、戦っても一体何が起きていたのかすらわからないまま倒されていく者が多いとされた物。


まさに妖術。


そこから彼女の名前は妖爆のルシュカ、ジャパニアの妖爆武士とナイクネスや他の国でも騒がれていた。



レイドラ

「そんなに強いの?」


サナミ

「うん、すっごく強いんだ」



初めての敗北は彼女でありその時初めて敵国の人間に名乗られ名乗った相手。


それからというもの戦場で何度か顔を合わせる事は少なくなかった。


その度に彼女の力になんとか食らいつき引き分け、自分では負けている。


まさに女の自分でも見惚れるほどの剣技、そして何よりも見てわかるほどの闘志。

彼女との初戦で学んだこと多かった。


あの戦いがあったからこそ、いや彼女と戦えば戦うほど戦場において男女の区切りなどないのだと実感させられた。


そういった戦いが多く、今の私があるのも彼女がいたからこそと言っても過言ではなかった・・・。






ナザ

「もしかしたらカズキの奴連れてきちゃったりすんのかな~・・・なんてね」




ガタンッ!! 

ガタンッ!! 

ガタンッ!!




ナザ

「冗談・・・です、すみません」




何故か立ち上がった3人に謝罪をしながらナザは一切喋らず夕食を取ったのだった・・・・・・。






















そんな食卓の団欒を知らない俺の次の日の夜だった。





ルシュカ

「貴様・・・こんなところで何をしている?」


カズキ

「・・・・・・え?」





真っ暗闇の路地裏。


金髪の女性に俺は・・・刀を向けられ職質を受けていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ