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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
20/70

第20話 帝国極闘王 ワードン・ゴルン・ナイクネス

【王都ナイクネス城 王の間】



「ナイクネス帝国第72代国王、ワードン・ゴールーン・ナイクネス王、御入来」



カズキ

「・・・・・・・・」




読み上げられた言葉と共に部屋からお音楽が流れた。

演奏隊、そして騎士が先導し道を作る。



そして作り出された道からは一人の真人。



そう、この人間こそが、このナイクネス帝国の支配者にして王だ。




ワードン

「表を上げろ」



カズキ

「・・・・・・」





異世界初めての、いや人生初めての王様との謁見。




-----------------------------------------------------------------------



【王都ナイクネス城 客間】



ナザ

「あぁああ~~大丈夫かなカズキ! なんか変なことされてないだろうな~~」



うろうろと窓と出入り口を行ったり来たりするナザ。



フェーチス

「落ち着きなさいってナザ、きっと大丈夫に決まってるわ」




カタカタカタカタッ、と出されたティーカップを震わすフェーチス。

当然この二人は王の前、ましてや王城の中になど入ったことなどない。


むしろ人生の中で招かれる可能性というものを考えたこともなかったようだ。




シュリー

「あんた達は本当に予想通りの反応してくれるわよね、見てて飽きないけど」


レイドラ

「ふわぁ~・・・マイロードまだかな」




自前の紅茶とティーセットを手に寛ぐシュリー。

レイドラに至っては欠伸をして寝る一歩手前だ。



フェーチス

「アハハッ、シュリー様は慣れてますねこうゆう経験多そうですもんね」


シュリー

「そうでもないわよ? ただ来る頻度より蹴る頻度の方が多いってだけ」




得意げに話す。

吸血鬼として長い年月を生きてくればそれはもう多くを経験しているのだろうと、二人は納得し黙ってしまった。




ナザ

「にしても、急に飛んでもないこといいだすよなーあいつ。ヴェアリアスの一番最初の活動ってことでここを選ぶか普通」


シュリー

「あら? 私はいいと思うわよ、まあインパクトには欠けるけどね」




そう、それはヴェアリアスが結成された次の日の昼食だった。



カズキが突如王都へと行くと言い出した。

理由はエイジルトの負担を少しいでも和らげさせる為。


だがそれは表向きな理由であるが、カズキはヴェアリアスの存在を王に示唆する気で向かうつもりだった。


もちろんヴェアリアスは公的な存在ではない、だがクレエスと打ち合わせをした際にそういったことを仄めかしていくことで認知されると言う。

影のようで影ではない、国もギルドも関係ない、ただカズキがやりたいことをやる為の集い。


善行を積めば好評に。


悪行を重ねれば批評へ。



そんなあまりにも曖昧な集い、誰からのバックアップもないような集い。

だがそれが知れ渡るのは国ではなく、人。


国の枠を超えた人々にその名が轟けばいいな、という趣旨になったようだ。



ナザ

「あぁ~~・・・思った以上に規模デカくない?」


シュリー

「今頃気づいたの? 怖気ずくには早いと思うけど」


フェーチス

「え・・・? 早い?」



ん、と一枚の紙を二人へと投げて渡した。

それは今日の日程で記された予告ポスター。



ナザ

「なになに~? ユミィーリア殿下によるダンス晩餐会!!!?」



大きな声を上げた。

そう、つまりはこの晩餐会に出席するというのだ。



フェーチス

「ぇえ!? わ、私ドレスなんて持ってないですよ!!」


ナザ

「そうだぜ!いつもの格好で良いって言うから付いてきたのによ!!」



慌てふためく二人を余所にシュリーは紅茶をまた入れ直している。

二人の反応を楽しんでいる。


と。




アニレナ

「おーうっ!邪魔するぜー!」


ニーネ

「どもども~」


フェーチス

「アニレナさんにニーネさん!!」




二人の騎士が客間に突如現れた。



ニーネ

「フェーチスちゃん久しぶり~~!」


アニレナ

「王女殿下から頼まれごとでなー、あんた等の手伝いをするように言われてる」



王女陛下、つまりは王の娘であるユミィーリアの事である。

そのユミィーリアの晩餐会に出席するということで彼女等騎士団がまさかのお使いのような事をさせられているという。



シュリー

「あなた達のお姫様は相変わらず騎士使いの荒いことで、大変ね」


アニレナ

「まーそう言うなってシュベンザーさんよー、それよりお前さんはいるかい?お手伝い」


シュリー

「平気よ・・・と言いたいところだけ、せっかくだからあなた達の顔に免じてお手伝いされようじゃない」


アニレナ

「恩に着るよ」



そうしてナザ、フェーチス、そしてシュリーは夜の晩餐会までの間に、色々と、仕込むことになった。




----------------------------------------------------------------------



【王都ナイクネス リオン・エイド邸】



ヴェアリアスのメンバーはみな王都に来ていた。

もちろん彼女も。



「サナミ様! おかえりになられたのですね!」



メイド長が一人駆け寄ってきた。

一時的とはいえ家を留守にしていた、もちろんみなにはしっかりと説明もしていた。



サナミ

「心配かけてすみません、父は?」


「えぇ書斎にいらっしゃいます、あ!サナミ様もし本日は王女殿下の晩餐会に出席なさるのでしょうか?」



話しが早くて助かる。

ヴェアリアスのメンバーみんなでこの晩餐会に参加することを提案したのは私だ。

ただナザ君とフェーチスちゃんは、王都に行くということだけで緊張していたから聞いていたかわからないのが不安だけど。



サナミ

「はい、停止処分を受けてる身ですので大きな顔はできませんけどね」



メイド長はわかりましたと大手を振るい準備に取り掛かると言いその場を後にした。


そう、今の自分は騎士ではない。

ユミィーリア様の横に立つことを止められている身。


本来だったら出席するのはやめた方がいいのだが、彼女本人のお願いでもあった。



それは丁度ヴェアリアス結成前の当日に届いた封書だった。

今回の晩餐会に加えて、顔を出すようにと王女殿下直筆の書物が入っていた。


悩んだ末にシュリーに相談したが。



『いいじゃない、楽しそうで』



と一言で終わった。

それからカズキさんへと次の日の朝、話しがすぐに行ってしまった。

元々王都には行こうとしていたらしく、話しが重なり日程も今日になったのだった。


あの後手紙を勝手に見せたシュリーとはたくさん喧嘩をしました。





コンコンコンッ・・・。




ノーディー

「入れ・・・」


サナミ

「失礼します」




部屋に入ると父は窓をから街を眺めていた。

父はこれを日課にしている、自分が守っている平和を噛み締めたい。


そんなからの日課だと子供の頃よく聞かされた。



サナミ

「ただいま戻りましたお父様」


ノーディー

「うむ、その後はどうだしっかりと反省したか」



反省。

軍紀違反の件であろう。


もちろん今回の懲罰は父自らが下した罰である。

騎士団に居られないがおかげで今も生きている、というところでもある。



サナミ

「お陰様でサンリー村は凄く豊かになりました」


ノーディー

「それはよかった」



皮肉も聞くはない、という感じか。

元々頑固な癖に妙な子供扱いをするというか、子離れしないというか。



サナミ

「お父様も一度来られては如何でしょうか? 緑豊かで気持のよい村ですよ?」



兵器獣の件の喧嘩別れをしたっきりだった。

だがそう喧嘩した時はいつも父は業務に支障を少しだけきたす。


そんな時はいつも私から他愛ない会話をして機嫌を直してもらっていた。



ノーディー

「そうか、それも悪くないかも知れないな、今度の休みにでも足を運んでみるのもいいかもな」


サナミ

「はい!是非に、シュリーや犬人族それにカズキさんも喜ぶと思います」


ノーディー

「っっっっっっっっっっ!!!!!」


サナミ

「どうかされましたか?」




なんだろうか、また機嫌が悪くなったような。

気に障ること言ったのか、心当たりがない。



サナミ

「お、お父様・・・?」


ノーディー

「んん!?? 別に! 何も! あぁ!!いいな!誇り高い我が娘の救った村の視察か! あぁ!!いいなうんいいな!!」



これは何かやましいことを隠そうとしているような顔だとわかった。

しかもこれは・・・。



サナミ

「お父様・・・まさかまた・・・」


ノーディー

「ん!!?? どうした愛しき娘よ! 父は何も・・・あぁあ!!!!」




引き出しを強引に開いた。

そこには上層貴族の若い面々の写真が数枚あった。

そう、お見合いだ。



サナミ

「・・・・・・・・」


ノーディー

「い、いや!! そうお前が言ったではないか! ほら自分以上に強い人間以外とは結婚なんて絶対にしないと!」



確かに写真を見ると多くの情報も乗っている。

知らないような戦線で功績を上げたとされている。

訓練学校も首席で卒業、現在でも活躍が騒がれているようではあるが。



一切知らない。



それこそこの間のサンニング軍との戦いですら一切見た記憶がない。

溜息混じりに父を睨む。



ノーディー

「だってぇえ! サ、サナミちゃんが村の復興楽しくやってるって言うんだもん!! パパね? 出来たら最前線なんかの物騒なところなんかよりそうゆう!そうゆう!危なくない道に進んで貰いたぁぁあいんだもん!!!」


サナミ

「それとお見合いは関係ないと思いますが」


ノーディー

「えぇあぁまぁ・・・そうなんだけど・・・」



また垂らし込まれたのか。

戦場では冷酷無慈悲な鬼神とまで言われているが、そういった話しにはあまりに疎いと言うことは一部には有名なのである。


こういった事例があまりにも多くその度に何度も喧嘩をしてしまっていた。

だがここは落ち着くんだ私、落ち着け私。




バギィイ!!!




ノーディー

「ぁあ・・・」




つい写真を壊してしまった。




サナミ

「あ、申し訳ありませんお父様。本日は女王殿下より直々に晩餐会に参加するようにとの指示を受けておりましたのでその報告で伺いました。 それでは私は、お母様に挨拶へ向いますのでこれにて失礼します!」




バンァン!!!!!




写真を机に叩きつけてその場を後にした。




ノーディー

「ぅうぅぅぅ・・・そんなぁ・・・」





倒れ込むノーディーを余所に部屋を出るサナミだった。




ノーディーの部屋からあまり離れていない場所に母の寝室はある。

ノックをし、中へはいる。



「おかえりなさいませサナミ様」



サナミ

「うん、ただいま。お母様は起きてる?」



「はい、先ほどお食事を取られたばかりです」




メイドにお礼を言いベッドへと向かった。


そこには私の母、エレーナ・リオンエイドの姿があった。



エレーナ

「・・・・・・・・・」


サナミ

「ただいま戻りました、お母様」



細く綺麗な手を取り話しかける。




お母様は病気である。


生きてはいるが意識が朦朧としている。



一種の植物状態。



外傷などは一切ないが、ご飯も食べたりと生活する分には問題と診断もされている。



だが、意思疎通が出来ない。



今母が何を思って何を考えているのか、わからないでいる。

私達はそんな母へしてあげられること、それは手を取って話しかけることしかできないでいた。



サナミ

「お父様ったら酷いんですよ? またお見合いの話です。まだしないって言っているのにあんまりだと思いません?」


エレーナ

「・・・・・・・・・」


サナミ

「・・・お母様」



それから私は、サンリー村の事、そしてヴェアリアスの仲間達のことをお母様に全て話した・・・。


もしかしたら、何かのきっかけになるかもと。



またお母様と笑い合う日が来ることを願いながら、私は話した。





----------------------------------------------------------------------



【王都ナイクネス城 王の間】




あれから多くの称賛と勲章などを多く贈呈されたように聞こえた。

正直この世界特有の単語なのだろうから全ては覚えていない。




「してあるからして・・・これらを譲渡されることを名誉とし今後・・・」


カズキ

「国王陛下・・・よろしいでしょうか」




俺の一言で場が凍り付いた。

それはそうだ、恐らく何かしらの式典のような最中なのだろう。


そして今お国のトップに意見しようとしているのだから。




「無礼であるぞ!国王陛下の御前で」




兵士達の槍が一斉にこちらに向けて突き付けられる。

そうゆうものか・・・。



カズキ

「・・・・・・・・・」


ワードン

「・・・・・・・・・」



俺はただ国王の瞳を見る。

国王もまた俺を見定めるかのようにじっと俺を見ていた。


物言わぬ沈黙の中での圧倒的な存在感。

俺は今兵士達に牙を向けられているが、そんな物が目に入らない程に国王と目が離せないでいた。


本当だったらガタガタ震えてこんなこと出来なかっただろうが、今までの経験、そして何より。




今もなお共にいるミツバのおかげだ。



ミツバのおかげで俺はこの国王との睨み合いを続けられる。



これはお互いの裁量が物を言う物だ。

引き下がるわけにはいかない、ここで引いたらそれまでだ。


そこで国王からの見定めは終わる。

ただ俺は臆せずに攻めた。



攻める為にも国王の返答を待った。




カズキ

「・・・・・・・」




数秒だ、この数秒があまりにも重く感じた。

動きがない数秒。


もちろんさっきまで話していた物がずっと喚いているのはわかる。

だが俺はお前なんかと話しに来たんじゃない。


人を呼び付けたんだ、少しくらい我がままを通したっていいだろう。







そうして動きが・・・あった。








ガキンッ!!!!








一本の槍が、俺の横を通り過ぎて行き刺さる。


身体に掠めた。


風圧が全身に襲いかかった、だが俺は姿勢を崩さないでいれた。



この一閃、今もなお槍を構える兵士達ではない。




玉座に座る国王だ。





ワードン

「いいだろう、事を聞こう」


カズキ

「ありがとうございます」




その場で立ち上がり、俺は王へと進言していった。



自分の功績は嬉しいのだが、受け取れない。

これは自分の物だけではない、みなが力を合わせた事で成しえたということ。



そして何より。




カズキ

「私は・・・戦いを望みます」




俺の言葉に兵士がどよめく。



そして俺は見過ごさなかった、国王が俺の言葉に一瞬笑みを浮かべたことを。


それを見て俺は続けて進言した。




カズキ

「もちろん、血で血を洗うことを望んでいるわけではありません、ただ生ぬるい戦いはしたくない。中途半端な戦いは大っ嫌いなんだと」




俺の発言が更に場の空気を歪めた。



そうこれは、今目の前にいる兵士達への挑発に取れるような発言である。

兵士達からの殺意が手に取るようにわかる。




カズキ

「私は、自分の為だけの組織を作ろうと思っています。それは強さを求めた組織です。


軍人、貴族、冒険者、真人、それ以外。強さを求める人間が集まったそんな組織。


政治、軍事、研究、武道、なんだっていいです。


自分が強い一番だと言える人間を集めた組織を作りたいと考えております」




淡々としゃべる。

兵士達はそれぞれにいろんな反応があった。

変わらず俺に敵意を向ける者、俺に恐怖している者、そして好奇心を持つ物。



真素を通じてよくわかる。

一人一人の形は同じでもその中身まではどうしても同じには出来ない。



同じにされちゃ困る。

それは俺が許さない、そんなものを望んでいない。




ワードン

「して、貴様は何を望む?」




国王の言葉に兵士達がどよめく。

予想通り、この国王はしゃべる事はあまりないのか。


これは好印象と取っていいだろう今のところは。


そして俺は一度目を閉じ、息を吸い整えて答えた。




カズキ

「私自身の平穏・・・それが全てで、その平穏を脅かす敵には容赦しません」




国王に笑って見せた。

自分はこれが目的だとハッキリと伝えた。


平穏・・・そんな物はさじ加減で破綻する。

この国王なら、そんな言葉の裏を理解していると俺は踏んだ。



ワードン

「平穏・・・くくく・・・ははははははは・・・」




肩を震わせ笑っている。

恐らく理解したのだろう。



ワードン

「なるほど、面白いじゃないか。貴様の声しかと聞き届けた」


カズキ

「光栄です」


ワードン

「だが・・・ワシは面白いが・・・こやつらはどうかな?」




待ち望んでいたかのように兵士達は前へと一歩足を進める。

圧倒的な殺意も増して。




カズキ

「つまりは、国王陛下の目の前で見せろと、器を、それ足り得るかを。 そう解釈致します」




国王陛下への承諾は得た、これで思う存分にやれる。



これも目的、いやただの私怨だ。



公にこいつらをボコること。



エイジルトのおっさんの情報通りだった。

国王は本当の意味で闘争を望んでいると。


闘争こそが人類の発展であり進化だと、理不尽な虐殺は許せない。

だがそれは抵抗しない者と力に溺れた物が組み合わさって生まれる物。


そんな物は望まない、そう教えてくれた。




つまり、俺の主張は絶対に国王に響くと信じていた。

そしてそれを知らないで、ただ貪っているこいつらをボコりたかった。


これは後の警告にもなる。

今後、俺、または俺に連なる平穏に手を出したら容赦しない、自国兵士だろうと俺は手にかけると。


見せてやるよ、お前らがやり続けた暴力というやつを。


お前らが身捨てた味方の痛みを。




カズキ

「ニヤァリ・・・ッ!」




「・・・っ!」




俺の笑みに恐怖したやつが何名か。

そして元々戦意がない奴も何名か。


人数はどうでもいい、ただ圧倒的な力を見せれれば俺は・・・。




???

「待たれよ兵士諸君!」




奥から誰かが来た。

男の・・・騎士?




???

「兵士達よ、武器を下せ。この者には私がお相手しよう」




男の登場ですぐさま言葉通りに矛を収めた。

兵士達は安堵しているようにも感じる。



カズキ

「ちっ・・・誰だあんた」


???

「ほぉー僕を知らないとは、本当に記憶喪失というのは本当みたいだな」



その情報を知ってるとはな。

最近めっきり使ってなかったことに気付くほどだ。



???

「では、しかと焼き付けるがいい、僕の名はトクスト、偉大なる名家セイブンスラーの長男であり、ナイクネス帝国第2騎士団団長である!!」


カズキ

「・・・・・・」



なるほど、騎士団かこれは面倒になるか。

ミツバを出さずに戦うつもりだったが雲行きが怪しいな。


だが、とりあえずは様子見といくか。




カズキ

「第2騎士団長様がお相手してくれるなんて、感激だ」


トクスト

「私も第5団長と肩を並べるほどの実力と聞き、腕が鳴る」



お互い距離を取り間合いを見計る。



トクスト

「貴殿は武器がないかね、今なら武器を拾うくらいの余裕はくれてやるが?」


カズキ

「武器? もしその腰に下げてるものが武器と呼べるものであれば欲しいけど・・・どうなんだ?」


トクスト

「減らず口とはまさにこのことか、ならば見せてやる、我が剣・・・っ!!!」



早い・・・?

いや違うこれは・・・。




スッ!!




髪を切り裂いた。

避けていなかったピアスの穴が出来ていたところだ。


それにしても今のは。



トクスト

「挨拶代わりとしては喜んでくれたかなデッドアイ」


カズキ

「国王陛下の客人に向かって失礼な言い分だな」


トクスト

「分を弁えぬ輩に垂れる方便は持ち合わせぬ主義だ、っ!!」




また踏み込み?

違う左右からの揺さぶりか、そして来るのは・・・。



別方向からの連続攻撃・・・!



カズキ

「ならば・・・クリアアップイヤーライド アクセルムーヴ」



クリアアップ・イヤーVer2

風の振動、こちらに仕掛けてくる攻撃を聴覚を鋭く正確に判断できる。


これなら・・・右二発、左1発か。



読み通りの攻撃を全て避けたが、目で追えない一体さっきから何が俺に襲ってるんだ。



トクスト

「驚いた、これも避けますか。素晴らしい野生の勘というやつかな?恐れ入るよ」


カズキ

「そっちこそ一著前の口を叩く割に凄い手品じゃないか、ただのペテン師ではないみたいだな」





-フォーシス・ドライバーVer2取得-





オッケーミツバ、この術技でこいつのペテン暴いてやるよ。









トクスト

「っ!!」


カズキ

「っ!!」





お互い同時に駆けた。



カズキ

「フォーシスドライバーッ」


身体強化。

だがそれ同時に自分が意識した場所に障壁空間を作り出す。

防御にはもちろん使える。


そして・・・。



カズキ

(攻撃にも転用できる・・・、っ!)



敵の攻撃を避けながら懐に入り俺の拳が奴に届く。




トクスト

「甘いっ!」




カァアアン!!!




響いた音と同時に俺の手が、攻撃が弾かれた?

体勢をすぐに立て直したが、一体全体、やつの攻撃がわからん。


奴は剣に触れているが一度も腰の剣を取り出している様子がない。

抜刀術、そう考えたがそうじゃないもっと別の何かだ。



カズキ

(わからない時は、やってみるに限るか)



俺は構え直し深く息を吸い・・・そして止めた。




カズキ

「行くぞ手品師、今種明かしをしてやる」




一気に飛び込む。

敵の攻撃は見えない、だが避けれる。


まずは腹部に一撃。



カァアアン!!!



弾かれるのは想定済み、二撃目は顔面だ。




カァアアン!!!




なるほどこれも弾くか、見えてきたぞこいつの正体。



カズキ

(ならこいつはどうする)



低姿勢の右回りの回し蹴り。



狙いは奴の右足。




トクスト

「くっ!!」




俺の回し蹴りは虚しく地を掃いた。


飛んで避けられたということみたいだ。




カズキ

「ふへぇッ・・・!」




不敵な笑みがこぼれてしまった。

ついつい笑みが出てしまうのは何なんだろうか。



トクスト

「くっ・・・不気味な笑みを浮かべよって」


カズキ

「そうゆうお前はどうした、さっきまでの威勢はどうした?余裕が無くなってるぞ」



恐らくさっきの攻撃にビビったか。

実戦経験の浅い騎士団ってことがよくわかった。




カズキ

「ふっへっへへっ・・・」




笑みが止まらない。

そうか、俺は楽しんでるのか戦いを。


こいつらの戦いを。



今で散々な目を合わせてきたこいつらを、その代表面して現れたこいつを!



だとしたら・・・!



カズキ

「好きに楽しませてもらおう第2団長さん」













この男、気味が悪すぎる。


僕の攻撃を全て拳で受けながら避けきっている。

全力ではないにしろ手加減などしていない、普通の兵士達ならもう参ったと根を上げるはずなのに。



トクスト

(くっ!これがデッドアイのもう一つの意味か)



その目に睨まれた者はけして日の目を見ることは出来ない。

次の日には己の後悔と懺悔の言葉に身を破滅させる。



トクスト

「ならば、このトクスト・セイブンスラーが全てを因果を断ち切ってみせよう!!」



カズキ

「ふへぇ・・・、っ!!」




彼奴は・・・上!!



急降下からの近接攻撃、だが甘い!




カァアアン!!!カァアアン!!!カァアアン!!!




一度距離を取りにまた上空へ飛んだか、ならば・・・。




トクスト

「これはどうだ・・・!」




腰に差す剣に力を集中させて放った。


これは先ほどからやっているような小手先の物ではない、本来の力に近い物だ。


放たれた衝撃波は彼奴の貼り付いた天井へと大きなと音と主に爆発した。



「あぁあ!! なんてこと・・・」


「城が・・・」


ワードン

「構わん・・・続けさせろ」





土煙りで見えない。

だが今度は間違いなく彼奴に直撃したはず・・・。



トクスト

「ふん、僕としたことが、少し大人げなかったかな・・・?」








ブワッ・・・。







気付くのが遅れた・・・?

いや彼奴が早すぎた!




トクスト

「これを・・・狙って・・・」













カズキ

「そうゆうことだ・・・油断したな団長さん」



右手を持ち上げ、左手を剣に触れさせないようにがっちりと腕首を握りしめている。



トクスト

「くっ!! 貴様、先の攻撃直撃したはずでは!」





そう攻撃は受けた・・・だが。




アブソーブセイバー。

ミツバを出さなくても使えるんだなこれが。


もちろん能力は半分にも満たないが、こいつ相手には十分だった。



カズキ

「さぁ手品師・・・いやペテン師。種明かしといこうか」



第2団長を放り投げた。

腕首を抑えて痛みを必死に堪えているようだ。



トクスト

「聞こうではないか、貴様の言う種明かしとやらを」


カズキ

「なぁーにその名の通りさ、ペテンだよ」



気前よく話してやった。


俺は一番最初、奴の攻撃を避けた際一切攻撃が見えなかった。

それが奴の攻撃かすらもわからなかった程だ。


奴を見ても鞘から剣を出した印象もなかった。

ずっと剣を握っている姿、次に思ったこととしては抜刀術。

優れた者ならば目にも止まらぬ速さで敵を斬ると言われている物だ。



カズキ

「だから一度ゼロ距離、懐に入った。だが結果は不正解。あんたはあり得ない弾き方を見せた。いくら凄い抜刀術でもあんなにくっ付いた距離を弾くのは無理だろ」



この時点で俺はこいつの攻撃は剣じゃないことに気が付いていた。


もちろん俊足も考えた、だから次は動きのある攻撃三連撃で試した。

捨て身の攻撃のつもりだったがまんまと全部防ぐ動きを見せてくれた。



カズキ

「だが・・・最後はどうして防げなかったのかな?」



一撃目の腹、右顔面の二撃目。

これらは全て弾かれた。


だが、最後の右足を狙った蹴りは弾くのではなく飛んで避けたのだ。

それでもう全てが分かった。



カズキ

「避けたなぁ・・・飛んじゃったねー仕方ないよな・・・


剣の根から一番遠いもんな・・・!」


トクスト

「・・・っ」


カズキ

「逆によく避けたと褒めてやりたいよ・・・お前の、それは、剣じゃなくて、ただの、真素の発射口・・・だろ、ペテン騎士」


トクスト

「貴様!!!!」



剣に力を注ぎまた見えない衝撃波を放つか。

もうそれはさっき見て効かないとわからないようだ。



トクスト

「ボアブレス!!!」


カズキ

「アブソーブセイバー」




バァアアアアアンッ!!!




右手を前へ構え、吸収音と共に奴の術技は消えた。

先ほど天井に向けて放ったのもこれか、形振り構わないやつだな。



トクスト

「術技が効かないだと!?」


カズキ

「今度はお前が種を見破るか? ペテン騎士様」



勝負はついた。

あることを奴がしなければ・・・。



トクスト

「許せん・・・僕をペテン騎士呼ばわりなど!!」



剣に手が伸びた。

やはりくるか、種の先に出来ているのは根っ子なのかそれとも・・・。



トクスト

「貴様に見せてやる!僕の真の剣を!!!!」


カズキ

「・・・ミツバッ」



ミツバを取り出し応戦しようとしたその瞬間だった。




???

「そこまでだ!」



また乱入者?

今度は背中に大きな大剣を背負った大柄の男が入ってきた。



???

「セイブンスラー卿そこまでにしておけ、陛下の御前をこれ以上汚すのは近衛騎士の恥じと知れ」


トクスト

「くっ・・・!」



あのお坊ちゃまに言うことを聞かせただと。

ということは相当の人・・・なのは間違いないな、この人からは他の兵士とは違う空気が醸し出されている。




ワードン

「第1団長、あとは任せる。わしの客人だ、丁重にな」


???

「かしこまりました国王陛下」




その場にいる者全てが頭を下げ国王陛下を去るのを待った。

王の間には俺含めて三人、ペテン騎士と乱入者。



そして早速に第1団長とやらがこちらに歩み寄ってきた。



カズキ

「第1団長・・・ギゼッゾ・ドニプス」


ギゼッゾ

「ほう、先の戦の英雄殿に名を知って頂けているとは嬉しいものですな」



冒険者、それだけではない。

多くの人間が知っている名。


帝国騎士最強の名を持つ男それが・・・この男か。



ギゼッゾ

「陛下には丁重にとの御達しを頂いている・・・」


カズキ

「そうですか・・・」















ガギィッィィイィイイイイインンィイィイン!!!!!!!!











金属音同士のぶつかる音。


同時に吹き荒れた強風。


二人が立つ地面には円状の亀裂。




そしてお互いの表情には、物言わぬ笑み。




カズキ

(これが最強の男・・・)




いつか障害になりえる存在。


その時に負かす必要のある存在。


最強の座を奪う為の存在。


俺が目指す先にいる存在。




今目の前に・・・。





ギゼッゾ

「なるほど・・・よくわかった」


カズキ

「はい・・・」






ガギィッィィイィイイイイインンィイィイン!!!!!!!!







再度激しい音を鳴らした。


力を収めきるその瞬間までの、ただの意地のぶつけ合い。



ギザッゾ

「改めて名乗らせて貰おう、ギゼッゾ・ドニプスだ。今は第1近衛騎士団の団長を務めてる」


カズキ

「カズキだ、冒険者見習い。そしてヴェアリアスの人間です」


ギザッゾ

「ほう、ヴェアリアス・・・」


カズキ

「そう遠くない未来の存在ですよ」



握手はしない。

ただ目を離さないようにしていた。


何故ならお互いこう思っているからだ。





隙を見せた瞬間にお前を殺る。





殺意は出さない、だが油断をさせない圧。


この部屋にはそんな空気が充満していた。




ギゼッゾ

「では、我々は行くとする。 今夜の王女殿下の晩餐会に遅れないようにしたほうが良いぞ」




それだけ言いギゼッゾは背を向けトクストと共に部屋を後にしたのだった。

王の間から出た途端にトクストはすぐにギゼッゾに語り掛けた。



トクスト

「失礼ながら第1団長! 何故あのような処置で済ましたのでありますか、後学の為教えてもらえないでしょうか」



処置、それはつまり、剣を一発交えただけのもの。

トクストはそのことに納得がいっていないようだ。



ギゼッゾ

「ふん、そうだな・・・セイブンスラー卿、まだまだ修行が甘いな。奴と一戦交えて気付かなかったか」



ギゼッゾは右手を見る。


今もなお痺れ止まらぬ右手を。




そう、仮にあのまま本気でお互いにやりあった場合に起きること。



それは城が崩壊しかねない。



ギゼッゾはそう感じた、確実に奴はやるそこまで。


この王都、もっと言うとナイクネス帝国なんてどうでもいいと思っている人間だ。

言葉を交わさなくてもわかった。


自分はお前らに興味なんて無い、だから自分に興味を持つな、下手に手を出してくるようなら城なんてすぐにでも壊すぞ、と。




ギゼッゾ

「国王陛下の客人か・・・私含めこれで何人目だろうか」



また現れたのだ。

国王陛下の客人が。


それが一体どんな意味を持つのか、そしてどんなことが起きるのか。





ギゼッゾは一人、笑みを夕暮れへと浮かべたのだった・・・。




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