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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
15/70

第15話 虐殺破壊兵器獣 ケルベロス

【ナイクネス帝国 平原地帯】


夜間、ナイクネス軍が隊列を組んで会戦場へ駆ける。

馬のみならず騎乗獣が総動員し現地へと向かっている。


時間はもうない、これから10時間もしない内に戦いが始まるのだから。

その隊列の中にはノーディーが入っている馬車もあった。




ピッ!ピピ!・・・。




エイジルト

「失礼します・・・」


エイジルトの通信結晶に連絡が入った。

ノーディーもその通信に注目する。



彼、スリーエッジがドトルのクレエス嬢に告げた言葉がノーディー達の胸を期待で膨らませていたのだ。



エイジルト

「そうですか・・・わかりました、引き続き連絡役お願い致します」



通信を終えた瞬間、ノーディーは進捗を聞いた。


エイジルトは早速報告のあったことを順を追って説明していく。


まずは、


シュリー・マリリア・シュベンザー博士の存在。


神の眼の元第一任者とスリーエッジは接触していたようだ。


一線から退いた彼女をなんとか協力者として招き入れ、現第一人者のヌーター・ハーテライシュの下まで辿り着くことに成功。


軍事施設に潜入し大量殺人兵器「神の眼」を動力とした、



虐殺破壊兵器獣「ケルベロス」



その正体を突き止めた。



そしてその人道に反する施設に潜入、研究施設としての機能力を奪い現在は兵器獣の下へ急行中。




ノーディー

「はぁ・・・なんてことだ・・・」



同行していたシュリー博士が直接エイジルトに通話を変わり兵器獣の説明をした。


大型モンスターの比ではない大きさ、各部位から放たれる攻撃手段とその破壊力、戦闘になった際の損害規模。


並大抵の物ではない、簡単に撃退することが叶わないという説明を受けたようだ。

エイジルトと話していた通りの事態だ。


ナイクネス軍では恐らく対処できない。

時間稼ぎが出来るかどうか、撃墜などできるのか・・・。




ノーディー

「そんな化け物と・・・どう戦えば良いのだ・・・」




想像以上。

いや想像したくなかったと言える物だ。

そのような兵器がもし王都を攻め入られたらどうなるのか。


そんな想像なんてしたくもなかったからだ。



ノーディー

「スリーエッジは・・・どうすると」


エイジルト

「はっ、兵器獣に取り付き、動力部を破壊し機能を停止させることが最善策だとですが・・・」




エイジルトが言葉を詰まらせた。

彼が言葉を詰まらせるのはいつも悪い一報ばかりだ。


気にせず話すように促す。

すると彼、正確にはスリーエッジはとんでもないことを口にした。



エイジルト

「動力に手出しは絶対にしないよう約束する事、もし勝手な真似をしたことがわかった瞬間に自分達は手を引く。と」


ノーディー

「何をふざけたことぉお!! 一刻も争う状況で、そんな悠長なことを言っている場合ではないぞ!!!」



エイジルトに怒鳴り散らした。

もちろんエイジルトが言ったわけではないが、どうしても言わずにはいられなかった。



エイジルト

「進言致します、私はスリーエッジの指示に従うのが妥当だと思われます」


ノーディー

「のん気に指を咥えて待てと言うのか!!」


エイジルト

「この状況下で彼のみがこの情報を我々に提供できたのです、考えもなしにこのようなこと、手柄欲しさだとしたら馬鹿げた自殺行為です。我々が予想の出来ない最悪の事態を今は考え想定し慎重に動くべきではと」



予想の出来ない最悪の事態を想定。

むちゃくちゃなことを言う。


だがエイジルトの進言のおかげか少しは頭が冷えたようだ。

眉間に手を当て考える。



ノーディー

「勝算はあるのか、お前の中では」


エイジルト

「そうですね・・・3:7で負けております」


ノーディー

「ならその3割の勝算に賭けるとお前いうのか」



3割、確証なんてものは存在しない数字。

そして残り7割はナイクネスの敗北、あるいわ崩壊。


国が無くなるということの可能性に冒険者、それも見習いの人間に全てを任せるしかないのか。




エイジルト

「えぇ・・・3割もあれば彼ならやるでしょう」



相も変わらず無気力でしゃべる男だ。

だが古い付き合いだからこそわかる、エイジルトは何かしらの確証を持っている。


不確定要素、説明の出来ない何か、常識に捉われない、そんな得体の知れない物をエイジルトは感じているのだろう。





あの・・・スリーエッジに・・・。








ノーディー

「わかった、では表舞台は私の力量次第ということでいいんだな?」



エイジルト

「はい閣下、全ては閣下のお力あってこそです」





--------------------------------------------------------------------------------



【サンニング王国 荒野地帯】



マッピングの情報から最短の道をとにかく走り続けている。

そんな中でシュリーから兵器獣の情報を教えて貰っていた。



カズキ

「レイドラをあの眼と同化させる!?!?」


シュリー

「えぇ、昨日たくさん見させてもらったから十分情報は手にしてる、そして今日手にした眼の情報を照らし合わせて・・・」



めちゃくちゃな珍案だった。


神の眼、初代レイドラの右目は現代では計り知れない代物なのは重々承知していた。



シュリー

「この眼と兵器獣、相当に絡み合ってて切り離しは難しいの。それこそ兵器獣その物を破壊できるほどの物があれば話は別だけど」



そんな物があるならこんなに急いでもいないし、元々俺がこんなところにまで来る必要もない話しだが。



カズキ

「それで・・・レイドラを?」


シュリー

「そう、レイドラにはね竜として元々欠けている物があまりに多くあったの。

竜の成長過程に欠かせない物が根こそぎ失われていると言った方がいいかしらね。

恐らくこれは、あなたの話しにあった呪い、先代が命と引き換えに解くが出来た物の代償」



まだ呪いは終わっていなかったと、シュリーは話す。

あんまりだ。


そんなのがあっていいわけないだろ・・・。



シュリー

「それを少しでも取り戻すことが出来る、あの眼の力を、失ったレイドラの器に注ぐのよ」



失った物は、補填、埋めればいい。

しかもそれが今目の前にあり、先代の無念も晴らすことができる。



だが・・・。




カズキ

「今のレイドラにどんな影響が予想される」


シュリー

「・・・・・・」



やはりそうか。



カズキ

「駄目だ、もっと別な案にしてくれ」



シュリーもわかっていてこの案を進言してくれた。

そして恐らく今思いつく限りのではそれ以外にあの兵器獣を止めることが出来ないのだろう。


眼の力。

それは強大なのは、一番最初からわかっていたことだ。


だがそんな強大な力を小さな体のレイドラに与えたら一体どうなるか。

欠損が激しい、本当にそうなのかもしれない。



だとしても・・・。




最近になってようやく高く飛べるようになったとレイドラは喜ぶ。

一生懸命俺の為にとたくさん考えて行動しようとしてくれている。


そんな今のあいつに俺は・・・。



レイドラ

「マイロード・・・?」



また心配そうにフードから出てくる。

それを安心させる為、頬で撫でてやる。



カズキ

「あぁ、大丈夫だ心配するな、俺達が何とかするからお前は心配しなくてもいい」


レイドラ

「でも、・・・」


シュリー

「そうね、ごめんなさい。 私としたことが見落としがあったに違いないわ、到着までには必ず見つけるから少し時間を頂戴」


カズキ

「あぁ、すまん頼む」



シュリーにも悪いことをさせた後で謝ろう。

俺も今何が出来るのか1からもう一度おさらいをしておこう。


予定ではまだ時間がある。

このままの速度で向かえば予定よりも早く目的地に到着できそうだ。


とにかく今は、兵器獣を止める。


それだけを考えよう。





レイドラ

「・・・・・・・・・」





---------------------------------------------------------------------------------



【ナイクネス帝国 会戦野営地】



ここには早急に対応できる帝国兵達が集結している。

数は1000弱。

よくこんなにすぐに集めることができたものだと関心する。



クリル

「いたー、サナミ様ーこれー」



クリルが一枚の報告書を持って現れた。

早速その報告所に書いたある内容を確認した。


それはこれから戦う敵の情報、兵器獣「ケルベロス」。


まるで書いてある内容が嘘偽りに思えてくるほどのでたらめな内容だった。


だが、この深刻な状況や空気を好転させる物ではなかった。



情報を見終わり、改めて報告書を見る。

この情報はきっと・・・彼が入手したものなのだろう。



父と話しをしてから、彼と連絡を取れないでいた。

自分が忙しいのはあったが1時間いや数分くらいならそんな余裕を作ることは出来た。



けど、しなかった。



クリル

「サナミ様・・・」


サナミ

「あ、ごめん! これありがとう。他の子達にも確認するようにお願いして」



報告書をクリルに渡し共有をお願いする。



クリル

「団長・・・少しくらいならいいんじゃないの?」



クリルに気を遣わせてしまった。

最近はいつもこれだ、不安になるといつもこう誰かに怒られる。


このままじゃ駄目だよね。



こんな姿、彼にも見せられない。




サナミ

「よし!うん!後で連絡してみる! それよりも騎士団みんな集めて」




作戦会議を始める。

半ば強引かもしれないが、こうゆう時こそ目先の事に集中。


その為にもまずしゃべること、それが大事だ。



クリル

「はーっやっとか、もう奥にみんな待たせてるから」



クリルに迷惑をかけてしまったようだ。

クリルだけじゃない、ここに来る道中に騎士団の子達にも迷惑をかけてしまった。


そしてお父様にも・・・。



サナミ

(これを終わらせて、しっかりと謝ろう)





そう、誓いを立てるのであった・・・。





----------------------------------------------------------------------------



【ヴォル 荒野地帯 野営地】


あれから私達は目的地であるサンニング軍の侵攻拠点から少し離れた場所で休眠をとることにした。


ここからなら目と鼻の先、カズキが術技を使い騎乗獣の力を底上げしてくれたおかげで予定時刻よりも大幅に短縮できた。


今後の行動を話し合った結果、私達は日没に動くことにした。

目標は兵器獣がナイクネスの国境に差し掛かる前に止めること。


その為にも私が、ヌーターの施設から奪った資料から何か解決策を抽出しなくてはいけない。

ここに来る道中はレイドラに酷いことを言ってしまった。


今はもうカズキと一緒に寝ているが、レイドラは少し落ち込んでいたようにも見えた。

謝罪はしたもののレイドラが機嫌を直すことはなかったのだった・・・。



シュリー

「はぁ・・・すぅーーー・・・」



紅茶を飲んで落ち着く。

そう、今はレイドラを巻き込まないであの兵器獣を止めることだけを考えればそれでいい。



改めて資料を見ていくが、どうしても決定力不足だ。

カズキの力、ミツバと呼んでいるあの力を振り絞ってやっとなのか。


私からしたら眼もミツバも未知の存在すぎて何をどう計ればいいのか正直わかっていない。

眼の研究をして誰よりも理解しているつもりであっても、きっと私の知らない何かがあるはずだ。


そんな中で兵器獣を止める、破壊するなんて出来るのだろうか。

ありとあらゆる可能性、工程を模索するが手が足りない、カズキは最後の一撃に集中してもらうのは決まっている。


だがそれまでが・・・。





ピピッ!ピッ・・・。





足元に落ちていたインカム?と呼んでた物が音を鳴らす。



シュリー

「通信・・・こんな夜に・・・?」



どうしてここに置いてあるのかと思いインカムを拾う。

カズキのしまい忘れね・・・。



ギルドの人間か、もしくは軍関係者の者か。

一度カズキの方を見るが彼はこの作戦の中心人物。


今は休息を取ってもらうのが良いだろう。


事務的なことだったら面倒だが、兵器獣関連の話しなら逆に私がした方いいだろうと、インカムをつけ応答する。



シュリー

「すみません、こちらの持ち主は今休眠中で、私でよろしかったらお話しお伺い致しますが?」


サナミ

「すみません、お休み中でしたか。申し遅れました私ヒトミヤ・サナミという者で・・・」



へぇー・・・。

煌煌ノ騎士様がどうしてこれに通信が出来るのかしら私凄く気になるところだわ。



シュリー

「ご丁寧にありがとうございます、旦那は先の任務でお疲れでございましたので夜の営みを過ごした後は御休みになられました」


サナミ

「旦・・・那・・・? 夜の・・・営み・・・?」


シュリー

「えぇ、彼が求めるものですから伴侶として殿方を満足させるのは当然でございますから、あらいけない煌煌ノ騎士様にこのような無礼なお話しをして申し訳ありませんでした」



無駄に首を垂れる。



シュリー

「ただ今夜は・・・物凄く、求められたのでつい・・・」



自慢したくなった。

ということでそろそろ気付かないものなのか。



サナミ

「あ、あ、あ、あ、あ、あの申し訳ななななないのですが・・・お、お、お、お、お、奥様で・・・いられますか」


シュリー

「はい!先日彼からプロポーズをされました!」



通話越しでもわかる冷え切った空気。

これが直接だったらどうなっていたか、それは機会があったらやってみよう。


と、そろそろからかうのはここまでにして本題に入らなくては。



シュリー

「申し遅れました、わたくし、シュリー・マリリア・シュベンザーと申します。 してどういったご用件でございますでしょうか?」


サナミ

「・・・ぇえ?」



やはり声だけでは気付いていなかったようだ。



サナミ

「えぇええええええええええええええええええ!!?!?!?!?」



大声が響く瞬間、インカムを一度外し離した。

治まり次第また付ける。



サナミ

「シュ・・・シュリーがカズキさんと・・・けけけけ結婚?」



完全に本来の目的を通話相手は忘れているのではないか。

この子ってここまでお馬鹿だったかしら。



サナミ

「プロポーズ・・・夜の営み・・・求められた・・・添い寝・・・膝枕」




それは言ってはいないと思うが。



サナミ

「お、おめでとう・・・シュリー・・・その・・・お、お幸せに・・・」



サナミの後ろで急にガヤつき始めた。



ニーネ

「あぁあああああ!!団長!!一体なんで!!!」


クリル

「おいぃい!!サナミ様!!!サナミ様!!!!おい!!!」



それからサナミが回復し誤解を解くのに無駄な時間を使ってしまった。


こんな非常時にと年下の少女達に怒られる吸血鬼であった。















それからという物、昔話しにも花を咲かせながらも今回の要件の話しを進める。


サナミは単純にカズキが心配で連絡してきたということらしい。

そしてカズキが情報提供者であること、現状の打開の為自分達に出来ることが無いかという物だ。



シュリー

「なるほど、そっちの軍はほぼ手詰まり状態ってことね。まぁ予想はしてたんだけど」


サナミ

「でもどうするのシュリー。正直うちの軍じゃ歯が立たないと思うし」



だが好都合。

いやこれは好機だ、サナミ達が協力してくれるのであれば希望はある。


サナミ達に一つ一つ順を追って説明した。



シュリー

「まずこの兵器獣は特殊な鉱石で精製された装甲が使われているはみんな知ってるわね。

この装甲はそう簡単に壊せたり突破が出来る物じゃない、それゆえにあなた達にお願いしたいことは足止め」


クリル

「なーんだ、簡単そうじゃん、その間に博士がやってくれってわけだろ?」



軽口を叩く。

この子は相変わらず脳細胞が赤ん坊で止まってるわね。



シュリー

「ただの足止めじゃ駄目、この足止めで一番重要なのはタイミング。

今から言う部位を確実に全部破壊しないと駄目、場所を今から言うからメモを取って」



部位は9カ所。


この部位は、外部からの真素供給口だ。


だがこの供給口の厄介なところ。


それは破壊した供給口が時間を置いてしまうと配置を変え再び再生してしまうというものだ。


事実上の無敵要塞というわけだ。


今伝えているのは初期位置の9カ所、そして配置が変わってしまった場合の再配置場所、10パターン。


まだ一個一個の場所がバラバラになるということではなかったのが救いだ。



ニーネ

「えぇーっと首の付け根・・・どこの首だぁ!???」



シュリー

「あとで場所はもう一度説明してあげる。それよりも話しを進めるけど、私の目的は供給が一時的に止まる瞬間に眼は自給の為活性化するとされている。それが狙い」



活性化中は物理障壁が一時的に解除され、その瞬間を付けば眼にダメージを与え破壊することができる。

だがその瞬間は10秒もない。


それを過ごしてしまった場合1からまた供給口を叩くことになる。



サナミ

「なら、早急に供給を止め、動力に攻撃をする。最悪1回ミスをしてもやれなくはない・・・」


シュリー

「そう、話しだけ聞くともう1度もう1度とできなくはない話し。でもそんなものが何時間も耐えられるはずがない」



兵力には限りがある。

その限られた戦力でこれを止める事が出来る回数・・・。



シュリー

「2回よ・・・これ以上は絶対に無理」



2回。

それが定められた回数。


この2回の間に兵器獣を止める。



シュリー

「私とカズキが内部で眼の対処に当たるからあなたは常に私とこの通信が出来るようにしておいてちょうだい、ここのタイミングをしくじったらおしまいだから貴女くらいにしか頼めないわ」



サナミ

「わかった・・・クリル、改めてみんなを集めて説明を、ニーネはこのままシュリーから攻撃箇所の確認をお願い」


シュリー

「相変わらず凛々しいわね・・・さっきまで慌ててた人と同じ人とは思えない」



通話初めのサナミを思い出す。

改めて思うとあんなに慌てふためくサナミの声は初めて聞いたかもしれない。


それだけ動揺した・・・ということか・・・。



サナミ

「シュリー・・・ありがとう」



急にサナミから感謝された。

まだ作戦も始まっていないのに感謝をされるいわれは・・・。



サナミ

「明日も、カズキさんの事よろしくね・・・」


シュリー

「ふっ・・・保護者か何かかしらね、わかったわ任せてちょうだい」



言われなくても、彼・・・ううん、あの子達は私がしっかりと守るわ。



私が求める時間の為に、今は命をかけてでも戦う・・・。






-------------------------------------------------------------------------------

【サンニング軍事拠点】




今・・・会戦の火蓋が、切って落とされた。




「ケルベロス出陣!!!!」





指揮官の号令と共に兵器獣が起動していく。



「ケルベロス起動繰り返す、ケルベロス起動繰り返す」


「各員速やかに所定の位置に付かれたし繰り返す・・・」


「兵器獣へ続けぇえー!!」


「勝利は我等の手の中にぃい!!」





ドォオオン!! ドォオオン!! ドォオオン!! ドォオオン!!・・・




地響きと共に兵器獣は動きだした。


その光景に歓喜する者、そして恐怖を感じる者


と居る。


だがそんな物はお構いなく、兵器獣 ケルベロス は、進む。












カズキ

「ちっ・・・予定より早いな」


少し余裕をもって早く着ておいて正解だった。

だがまさか前もって決めていた時刻よりも1時間早く動かすなんて何かあったのか。



俺達は騎乗獣から降りて状況を高台から見下ろす。

圧巻・・・とでも言えばいいのか、大きな黒い塊が一歩踏み込む度に地響き起きる。

上からでも逃げ纏う動物やモンスターがよく見える。



騎乗獣

「くぅうん・・・」


カズキ

「ん? あぁ・・・もう大丈夫だぞありがとう」



ポンポンと、ここまで一緒に来てくれた騎乗獣にお礼を言う。

よく俺の術技にも耐えて頑張ってくれたと思う。



レイドラ

「マイロード、どうやらマイロード達のことを気に入ったようですよ?」」



騎乗獣の声がわかるのか、まあわかっても不思議じゃないか。

俺は頭を撫でてやりながら危険だと告げる。



カズキ

「今からここ危なくなるから、すぐにヴォルに戻るんだいいな? また会った時には飯奢ってやるから、なぁ?良い子だから」



頭を撫で終え体を押してやった。

騎乗獣は一度こちらを振り向いた。


だが何も言わず首を縦に振り別れを告げ、騎乗獣の姿は見えなくなった。



シュリー

「いっそ獣主でもしたら?」


カズキ

「これが全部終わったら考えてみるよ」



シュリーも朝は弱いはずなところを頑張ってくれている。

俺の人差し指は相変わらず酷い有様だが。



カズキ

「ひとまず、ケルベロスに潜入ってことでいいのか?」



どうやら昨日俺が寝た後にギルドから連絡があり、シュリーに助言を求めてきたようだ。


そしてギルド経由で作戦が立てられたようだ。

それを俺は朝聞かされ今に至る。



シュリー

「そう、私達はナイクネス軍の攻撃を待たないといけない。それも下手に手を出さないで。だから兵器獣の内部に侵入したらすぐに動力部まで進む、それから先は朝説明した通り。いいわね?」



カズキ

「わかった・・・ならっ」


シュリー

「えっちょっとふわっ・・・」



御姫様抱っこだ。

これからバレないよう侵入するならこれが一番良いだろう。

術技もこれなら1回で済む。



シュリー

「ちょ・・・わ私だって侵入用の術技くらいあるわよ」


カズキ

「あ、すまん、じゃあ」


シュリー

「いい!もうこのままで・・・さっさと行くわよ!」


カズキ

「はぁ・・・いくぞ、インビジブルムーヴ」





術技と同時に崖から飛び降り、俺達は兵器獣へと向かった。





---------------------------------------------------------------------------


【ナイクネス帝国 会戦野営地】



「報告!! サンニング軍侵攻を開始致しました!」



兵士が一人テント内に入り報告をした。



ノーディー

「始まったか・・・予定より早いが致し方ない!! 我が軍も遅れを取るな!出撃せよ!!」




ピッ!ピピッ・・・。



通信結晶がノーディーを呼んでいる。




エイジルト

「閣下、スリーエッジがケルベロスへと取り付いたとの報告です」



ノーディー

「そうか・・・進捗は随時入れておいてくれ、まずはというところか」




昨日の夜だ。



ノーディーの下にサナミが現れた。


サナミはシュリー博士と話し今回の作戦の立案を御助言頂いたという。


もちろんこれはヒトミヤ団長の自己判断で行ったことであり、この状況下で咎めることは出来ないでいた。

それも承知でヒトミヤ団長は作戦の概要を自分達がそれに従うことを話した。



『私はナイクネス帝国の民を守る為ならばどのような罰も受ける所存です、騎士団の団長として責務を全うしたいと思います』



騎士団達は単独で動くと宣言してきた。

これを大々的にシュリー博士からヒトミヤ団長に伝わり今作戦が行われたとなるとまた上層貴族達の風当たりがユミィーリア姫に向いてしまう。



だが今回はヒトミヤ団長の進言に作戦立案に乗るしかなかった。

そしてそれを要に軍を再編成した。





この戦いの後・・・父親としての覚悟を決めなくてはいけない。




---------------------------------------------------------------------------



【会戦領土 最前線】



サナミ

「うん、わかったシュリーも気を付けて、じゃあ」



シュリーからの連絡があった。

兵器獣が動きだした、そして今目の前にいる敵軍も進軍の兆しが見える。





そして・・・。





「サンニング軍!!! 突撃!!!」




うおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!





「迎え撃て!!!ナイクネス軍!!遅れを取るな突撃!!!」




おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!





全兵士の雄叫びが会戦の始まりを告げた。







必ず止めてみせる、そして必ず勝って見せる!









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【兵器獣ケルベロス 内部】




カズキ

「スラッシュセイバーッ!」



難なくケルベロスの内部へと入った。

シュリーの話しによればここは眼の自動防衛が働き人形兵士が侵入者を襲うようになっているようだ。



シュリー

「でもあなたなら恐らく余裕でしょうね、そこまで脅威じゃないと思うわ」



マッピングを見ながら話す。

確か現れた敵は大した事がなかったが、内部に入り改めてマップを見るとまるでダンジョンだった。



カズキ

「これを、早く抜けてゴールを目指せと」


シュリー

「そうゆうこと、早く行くわよ」



シュリーは警戒することもなく先へ進んだ。

それを追う形で、俺も中へと入って行った。



シュリー

(これは・・・面倒にならなければいいけど)






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【会戦 最前線】



アニレナ

「うらぉおおおおおおおおお!!! スピニングゥ!!ハンマッァアアー!!」



投げ入れた回転したハンマーが敵軍兵士を薙ぎ倒していく。

あらかた倒し尽すとブーメランのように手元に戻ってきた。



アニレナ

「おらぁ!!やられたい奴は掛かってきな!!」



アニレナの叫びに敵軍は恐れ怯む。

そんなこともお構いなしにクリルが飛び込み二本の槍を振り回し蹴散らしていく。



クリル

「張り合いねぇーなーこいつら」


アニレナ

「ベルデラの牛の頭したデーモンとやり合ってた時に比べりゃどうってことないよ」



余裕の二人を後目に団長のサナミも次々と敵を蹴散らしていく。



サナミ

「ナイトレイスラッシュ!!」



サナミの新たな剣。

これは彼のミツバさんから頂いた剣だ。


ミツバさんと同じ様な収納能力があることくらいしか似ている部分はないだろう。

術技を授けてはくれない。


だが今まで多くの剣を手にして戦ってきた。

だからわかる、この武器は私に合う最強の武器、最高の剣だと。


先ほどから敵の兵士を斬り付けるだけで甲冑は粉々になり生身の身体まで刃が届きとどめを刺す。


ほとんど力は必要としない。

ただ振り斬るだけで敵兵が倒れていく。


だがこの武器はそれだけではない。



ガヂンッ! ガヂンッ!



二本の剣を 銃と呼ばれる形へと変形させることが出来る。


カズキさんから教わった物ではあるが、銃とは引き金を引くだけで的を討ち貫くことが出来る武器だそうだ。


そしてこれも・・・。



サナミ

「ナイトレイヴォルグ・・・フルホーミング!!」



トリガーを引いた瞬間無数の光弾が敵兵士へと襲い掛かる。

弾は甲冑を貫き、逃げる兵士を追いかけ倒す。



ガヂンッ!



左は銃のまま、右は剣に変え空かさず迎撃していく。



サナミ

「畳み掛けますアサルトステップ!」



銃で撃ち、剣で斬る。

敵の攻撃は防ぎ、避け、攻める前に倒す。


無駄のない動きで次々と敵を倒していく。



甲冑が壊れる瞬間に火花が散る。

それが次々と惜しみなく行われまるで小さな花火が行われているようにも見える。


それを見た敵も味方も口を揃えて彼女をこう呼んだ。




「煌煌ノ騎士・・・」




敵は恐れたじろぎ、味方の士気は上がる。




「ぐぅう!!第5近衛騎士!!!」




敵からしたらおかしな話なのだ、近衛騎士と名乗っているのにも関わらず彼女達はいつも最前線にいる。

最前線で戦い敵を殲滅していく。



サンニング軍もここで退くわけにはいかないと躍起になるが、3人の突破力があまりにも桁外れで一向に体制を整えることができない。



アニレナ

「団長、とりあえず適当にって話しですが、本当に全滅させなくていいんですかい?」


サナミ

「うん、私達の目標はあくまでも兵器獣だから、今は出来るだけ力を温存しておいて」


クリル

「っつてもこいつらじゃあ適当でも全滅しそうな勢いだがな」



3人は余裕。

というよりも敵兵を見てすらも居ない、見ているのはその先で起こるであろう事象だ。



「くぅう!! 舐め口を!!! 何をしている!!全軍突g」









ドォオオン・・・!!








サナミ

「っ!?」








ついにきた。










ドォオオン・・・!!











アニレナ

「こりゃ・・・ケツの穴閉めないとまずいな」












ドォオオン・・・!!














クリル

「ったく、待たせすぎだっつの」












ドォオオン・・・!!












地響きが大きくなる。














サナミ

「ここからが、本番・・・!!」










ゴオォオオオオオオオォォォオォオオオオオオオオオー!!!!!!!









サナミ

「っ・・・なんて咆哮・・・」




会戦全体が震えた。

戦う人間全てが手を止め耳を塞ぐ。



そして目の前の巨大な獣に目が奪われる。




その大きさに絶望していた・・・。




「化け・・・物・・・」



「止めるのか・・・あれを・・・」








そんな兵達をあざ笑うかのように獣は息を吸う動作をし。







ゴオォオオオオオオオォォォオォオオオオオオオオオー!!!!!!!








響く轟音の咆哮。









響き渡る咆哮に地面に膝を付ける者もいた、絶望感に蝕まれた。










だがそんな中咆哮に一人、騎士が、少女が立ちはだかった。







サナミ

「全騎士!!!!散ッッ!!!!ッ開!!!!!!作戦をおぉお!!!!」




まるで兵器獣に対抗するように大声で叫んだ。

声量なんかでは勝てないのはわかっている。




それでも叫んだ、負けない為に!!!





サナミ

「開始せよぉおおおお!!!!!!!」






アニレス

「行くぞ野郎共おぉおお!!!」





クリル

「続けぇええええ!!!!」







ナイクネス軍の士気は、間違いなく上がった。






そう、戦いはこれから始まるのだ・・・・。


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