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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
16/70

第16話 ロスト・エンシェント

【兵器獣ケルベロス 内部心臓部】



俺とシュリーは大型の機械人形兵士と戦っていた。


機械人形の振り下ろした斧を避ける。



シュリー

「グラビティ・バインド! カズキ!」


カズキ

「あぁ!」



シュリーが黒い重力の球体で斧と右手の動きを止めてくれている。


この間に本体へ・・・。




カズキ

「貫け、バンカードセイバーッ!」




ガガァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!





機械人形の顔面の障壁とぶつかる。

目の前には赤く光る目玉が俺を補足している。


だが今右手はシュリーが抑えている。

こいつの攻撃手段は・・・。




「うおぉおおおおおおぉお!!!」




勢いのある咆哮と共に左手を上げ俺を掴もうとするが。

それは想定内だ。




ビタァアアアアンッ!!!!





「ぎやぁああああああ!!!!!!」






左手は地面へと叩きつかれその衝撃で腕が身体から千切れた。




シュリー

「グラビトン・バニッシュ・・・さっさと決めなさいよ!」




簡単に言ってくれるっ。


後はこいつの障壁を少しでも貫通出来れば・・・。




ピキッ・・・・。





カズキ

「きた・・・」





ミツバの剣先が最後の障壁を超えた。




カズキ

「吹き飛べ、フルブレイクバスタアァアー!」




機械人形の目玉にぶち込む。

撃ち込まれた術技は障壁にぶつかり貫通しそのまま目玉へと一直線で走る。



「ぎっきゃあぁあわぎぎゃがあぁあ!!! ぎああう・・・がゆあうあ・・」



悲鳴を上げまるで壊れたテレビのように音を途切らせ最後には動きを止めた。

虚しい最後。


だが、爆発するのはそれでそれで勘弁してほしい。



シュリー

「時間掛かり過ぎじゃないかしら? もう外は始まってるのよ」


カズキ

「わかってる」



どう見たってこの敵に攻撃力というものを感じない。

つまり時間稼ぎ。


これを作った奴はここに人が来ることも予想した作りをしている。


まるで嘲笑うかのように。



カズキ

「先へ急ごう・・・」


シュリー

「待って・・・確かめたいことがある」



時間がないと言ったばかりなのに。

だがこの内部に関してはシュリーに一任している反面、特に言い返すことも出来ない。


そんなことを考えているとシュリーは辺りを見渡し大声で呼びかけた。



シュリー

「出てきなさい陰湿! どうせこそこそと見てるんだしょ!?」



シュリーの声が響き渡りやまびこに何度も聞こえる。

何もいない、とそう思った瞬間シュリーに応えるかのように声が聞こえた。



ヌーター

「クククク、アハハハハハッ・・・よくわかりましたねぇええええ???」


カズキ

「ヌーター・・・」



こいつ懲りてなかったのか。


あの施設を後にする時死体水槽の中に放り込んでおいたはずだが。


どこかしらから中継して見ているということか。



シュリー

「呆れた男ね、あそこまでされてまだストーカーを続ける気なのかしら。ここに侵入する時、他に手を出させないようにしたのもあんたね?」


ヌーター

「その通りさカハハハハハハッ・・・君は!! 君の命はぁあ僕の物だからだぁああクッヘエッヘヘヘヘヘエヘ」



こいつ完全に頭がおかしくなってやがる。

呂律が回っていない、そればかりか思考もさらにおかしくなっていやがる。



シュリー

「ならさっさとあなたの自信作とやらに会わせてくれないかしら? こっちは早くこんなところ出たいの」


ヌーター

「クヘッ・・・ならそのまま進みなさいな・・・本当だったらその部屋に着たら声をクヘヘッかけるクヘヘヘヘッツモリデシタカラヘヘッ、では私は奥でおおまちしていまフウウフフ・・・」



完全。


完全に逝ってる、もうまともにしゃべることは不可能に近いだろ。

よくシュリーはあんなのとまともにしゃべれるな。



シュリー

「カズキ・・・」


カズキ

「っ? どうした」


シュリー

「ここから先は絶対に取り乱してはダメいい? どんなことがあってもよ」


カズキ

「この先って、何があるんだ・・・」



掴まれた。

いつも俺の血を吸う時の人指し指強く。


震えているわけじゃない。

まるで何かを決心するように、俺から何を貰おうとしているよう。



ただ強く握り掴んでいた。




カズキ

「はぁ・・・約束はできないが、尽力する」




ため息交じりに応えた。

こいつの考えは本当に読めない。


最初に出会った時もそうだ。

国境を挟んで挑発してくれば、ご褒美に血を所望して。


気がついたらヌーターの野望も阻止し、そして今は兵器獣の中。


シュリーがいてくれたおかげでここまで来れたのは間違いない。

嫌みたらしい奴だが、一緒にいて退屈しない。



信じよう。



何かあれば俺がフォローをすればいいだけの話しだ。




掴む人差し指を離させ、シュリーの頭に手を置き撫でる。




カズキ

「そう気負うな、俺がフォローする」




お互い足は動いている。

なのにその瞬間だけ時が止まったかのような感覚だった。




そしてシュリーは首を縦に振り頷いて前を向いた。




さて、ここからが本番だ。








-グラビトン・フリューゲルVerW取得-









シュリー

(あなたは・・・それでいいの・・・それで・・・)






-----------------------------------------------------------------------------




【兵器獣ケルベロス 最心臓部】


そこは明るく開けた場所だった。



無駄な物が一つも無く、まるで中央奥にある物を象徴する為のようだった。

黒い装甲で四方八方を塞いでいるが、隙間から光りが溢れだしているその姿が神々しくもあり、禍々しい。


やっと見つけた・・・。



カズキ

「先代の・・・右目っ」


ヌーター

「ケヘヘヘヘ? これは神の眼ぉ私が付けた名だぁ勝手に変えるなぁあああああああああああ!!!!」



またしてもヌーターの声が響き渡った。

今のこいつ言葉を聞いているとこちらまで頭がおかしくなりそうだ。



ヌーター

「クカァ外も、頑張ってるみたいですのでクカカカカ・・・最後の遊戯と行きまカカしょうクカッ!!!」



ガシャンッ!!!!



天井が開いた、何か来る。



------------------------------------------------------------------------------




【会戦 最前線】




「うあああぁああああー!!」




次々と兵器獣の放つ光弾が兵士達をたちまち電死していく。



術技 ライトニング・バースト 。



触れれば一撃で感電死させるほどのものを光る弾として放ち敵にぶつける術技。


通常ならあまりの大技に連発することは叶わないと聞いていた・・・。



だが・・・。



「く、くるな!!ぐあぁあああ!!!」



「くそぉおおおお!! うあわぁあああああ!!」



「こ、こんなのどうすればぐあぁあああ!」





一撃死の光弾が飛び交う戦場化していた。




サナミ

「っ!! 陣形維持!! 何とか持ちこたえて!!」



光弾はなんとか弾き飛ばしたり、撃ち落としたりしているが。




物量が違いすぎる。



このままだと2回も部位を破壊するどころか、1回も出来ないで全滅してしまう・・・。



クリル

「おい!!! あれ見ろ!! ワン公から何か出てきたぞ!!」



クリルの呼びかけに一同が顔を上げる。

そこには次々と機械人形が兵器獣から湧き出てている。




アニレナ

「見たことねえーぞあんなの!!」


サナミ

「知らない敵っ・・・その場で応戦!! 合図があるまで絶対に陣形は崩さないで!!」




早く、早く!

シュリーからの連絡はまだなの・・・!!




--------------------------------------------------------------------------



【兵器獣ケルベロス 最心臓部】




ドオォォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!




天井から降ってきたのは大型の機械人形。

だが今までの機械人形と比べてあまりにも形が歪だ。




ヌーター

「これがクアアア!! 私が丹精こめてててて作りましたゴォォオォオォレムです」




デーモンの次はゴーレムか。

つくづくゲームだな・・・。



ヌーター

「ではあぁあクカカカ、静観させていただくとしますクカァ」




ヌーターの声が消えた瞬間、ゴーレムが動き出した。



俺達に向けて大きく振り被った拳を叩きつけた。



カズキ

「っ・・・シュリー!」


シュリー

「わかってる!」



すぐさまシュリーはインカムに手をやりサナミに通達した。









シュリー

「果実は実った・・・繰り返す果実は実った」











サナミ

「っ! 全軍!!! 攻撃いぃい!!!!!!」













揺れが激しくなった気がした。

外の攻撃が始まったのか。



だとしたら、俺達はこのゴーレムを早く退けなくてはいけない。





シュリー

「来るわよ!」





ゴーレムの目から光弾が放たれた。

狙いは俺か。




カズキ

「アブソーブセイバーッ!」




叩き落とせた。

これならいける、一瞬目を離してしまったその瞬間。



シュリー

「避けて!」



カズキ

「なっ・・・ぐぅうう!!!!」



殴り飛ばされた!?

馬鹿なこんなにも機敏に動くのか!?



カズキ

「くぅ・・・いや、変幻自在ってわけた」



拳から更に拳が伸びたって訳か。

完全な油断だ、だがもうしない。




カズキ

「行くぞ・・・アクセルムーヴ」




左右に機動を振る。

やはり動きは遅い。



そして・・・。



その伸びる攻撃は・・・。




グラビティバインド!




カズキ

「シュリーが絶対に止めてくれるっ」




近距離に入った。




カズキ

「スラッシュセイ・・・っ!!?」




俺が斬る前にこいつ・・・裂けていく・・・。



まずい。



一度胴体を蹴り距離を離す。



カズキ

「液体変幻自在ってそこまでか」


シュリー

「遠距離攻撃、連携で行くわよ」



二人並び構える。



カズキ

「ペアーズシェア」



シェリーの術技を真似し同じ術技をぶつける!



シュリー          カズキ

「「グラビトン・バニッシュ!!」」




二人の術技が同時に発動しゴーレムを超重力で押しつぶしている。




カズキ

「ファミリアンブラスター、ライドスタンバイ! レイン・ブラスターッ!」



ここで一気に畳み掛ける。



カズキ

「フルブラスト!!」



弾丸の雨、光りの銃からの総攻撃。


超重力で動けない状態でこれはどうだ・・・。









グチャァ・・・ネチャァ・・・ゴチョォ・・・。




カズキ

「効果はあったが・・・」



シュリー

「倒すには至らなかった、というわけね」



粉々になった破片が次々と集まっていく。

そして元の形など知らないのか、ゴーレムは不格好な状態で再生した。



ピッ!ピピッ・・・。



外からの連絡か。



サナミ

「シュリー!! あと1分で部位が破壊される! そっちは大丈夫!?」



シュリー

「あと・・・1分だって・・・」


カズキ

「1分か、それは難しいな」



サナミ

「申し訳ないんだけど、こっちはそれが限界、もし難しいそうなら一回こっちは離脱して・・・」



シュリー

「大丈夫、そのまま続けて」


サナミ

「・・・・・・わかった」




通信が終わった。



カズキ

「なんか策・・・あるってことか」


シュリー

「単純なこと、あんたがあいつの相手をしてて、その間に私が眼をどうにかする」




何?

元々の作戦と違う。


なら役割は逆の方が。



カズキ

「・・・わかった、信じる。 頼むぞシュリー」



うん、とうなずいたシュリーはすぐさま眼へと向かった。




不格好なゴーレムもそれを目線で追い身体がシュリーへ行こうとしていた。



カズキ

「ヘイトアップッ・・・お前の相手は俺だ・・・」






術技でこちらを向かせた瞬間斬りかかった。








シュリー

(カズキはあの程度は負けない、それは大丈夫だ)



それよりも自分の心配をしなくてはいけない。


これからする事が、どういった結果になるのか予想が付かないからだ。

だとしても絶対に止めなくてはいけない。



これはもう・・・私にしかできないから・・・。





アニレナ

「部位の破壊確認!! 団長!!」



サナミ

「シュリー!!」




サナミの声が聞こえたその瞬間だ。



外壁に纏わりついていた黒い装甲が離れてゆき、光りの中心。



虚空竜の眼。



何年振りか覚え出せない。



これを見つけた瞬間は鮮明に覚えている。

そんなに月日が経っていないはずなのに、自分が若かったような感覚に陥る。



それが今、また私の目の前にある。



シュリー

「んっ・・・」



真素の吸収だ。



これは真素を無尽蔵に取り込もうとする。




カズキ

「っ!・・・シュリー?」




カズキが気付いた。


まずい彼の事だ、早くしなくてすぐに止めに入る。



彼のインカムを外す、本当ならこれの事ももっと聞きたかった。




カンッ・・・。




インカムが落ちた音が脳内に響いた。



外ではサナミ達が、内ではカズキがそれぞれ戦っている。



その全てを・・・。




カズキ

「まさか・・・おい!!」


レイドラ

「シュリーィィイイイ!!!!!」









グラビティ・コネクト。





この術技は対象と自身を引き寄せることが出来る物。



また、自身が対象物へと引き寄せられることが出来るものだ。




虚空竜の眼と体がぶつかる。



シュリー

「んっ!!!!!」



真素が体中から抜かれる感覚。

だが負けじと球体を抱きかかえる。

だがすぐに全身に力が入らなくなる、だからこそ術技を使った。






これなら・・・。







徐々に浸食が始まってきた。



私の仮説が正しければ一度私は消えるだろう。

だがそこから私の真素を使い眼の真素の巡廻を狂わせる。


狂った真素は行き場を失い溢れ出す。


そして力尽きて、虚空竜の眼は機能を停止するはず。



問題があるとしたら、私自身の意識がどこまで持つことが出来るのかという事だ。




力を振り絞り後ろを振り向いた。



カズキがこちらに向かってきてる。



凄い顔で泣いている。



泣く顔なんかより、困った顔の方が・・・。



シュリー

「好きなのに・・・」





カズキ

「シュリィィイイイイイイイイイイイイイイイーー!!!!」





俺の伸ばした手は黒い装甲が妨げ、眼、シュリーへの行く手を阻んだ。



カズキ

「どう・・・して・・・シュ、リ・・・」





「・・・!・・・!?・・・!!!・・・」





声が聞こえる・・・足元に落ちているインカムからだ。

耳に付けた、誰かの声が聞こえるが何を言っているのか頭に入ってこない。




カズキ

「シュリ・・・シュリーが・・・・・・シュリーが消えて・・・」




言葉が上手く出ない。

一体何が起きたのか自分でもわかっていない。


違う、身体がその事実を拒んでいる。




カズキ

「俺、が・・・ま・・・た・・・巻き・・・込んだ」




涙が出ている。

涙を流している自覚がない。





カズキ

「誰か・・・を、っ!!!!!」





吹き飛ばされた。



ゴーレムは待ってはくれないようだ。

ゲームみたいなご都合主義を出してくれてもいいじゃないか。



カズキ

「ぐぅはぁ・・・」



口と鼻からは血を出し目からは涙が止まないでいた。

拭き取る気力が、体が動いてくれない。



ゴーレムがすぐそこまで来ているのに、頭が動かない。



そんな中フードから飛び出した。



レイドラ

「マイロードは!我が守る!!」





やめろ・・・。



お前が敵う相手じゃ・・・。





ゴーレムの拳が振り上げられる。





逃げてくれ・・・頼む・・・。



また・・・失いたく・・・・・・。







拳は真っ直ぐにレイドラへ向われる。




カズキ

「っ!!!!」



レイドラを庇う。



カズキ

「ぐあぁあ!!!」



背中に重い一撃。

身体の奥から込み上げてくる。



カズキ

「ぶはぁああ・・・ぉぇ・・・」



まるで体中の血を吐いたかのような感覚だ。

逆に痛みを感じないまである。



レイドラ

「マイロードやめてよ!! 死んじゃうよ!!!マイロード!!!!」



胸の中で叫び続ける。



カズキ

「っ!!!!」



ゴーレムから無慈悲に光弾の雨を浴びさせられている。

ただでさえ動けないのに・・・更なる追い打ちが背中を傷付けた。



レイドラ

「やめでぇよぉお!!お願いしますぅう!マイロード!!マイロード!!」



ずっと俺を呼び続けてくれている。

大丈夫だお前の声はしっかり届いてる。


けどさ、これしか出来ないんだ。


どうすればいいのか・・・わからないんだ・・・。



カズキ

「ごめん、レイドラ・・・ごめん・・・シュリー・・・ごめん、ごめん、ごめん・・・」












サナミ

「謝らないで」



カズキ

「っ・・・」



サナミ

「君はそんなに弱くない、まだ負けてない」


カズキ

「でも・・・」


サナミ

「強い君はきっと今も諦めてない絶対に。そうでしょう?


カズキさん。」










どうしてこの声はいつも俺を・・・どん底から助けてくれるのだろう。




アブソーブセイバーライド ヒーリングケア。




前もそうだ・・・無力な俺に手を差し伸べて・・・。




常に微笑みかけてくれた。



だから、強い自分で居たいと思ったんだ。



すぐに忘れてしまう、すぐに別な事を考えてしまう・・・。




だとしても・・・!






カズキ

「俺は・・・この声に・・・答えなきゃいけない・・・答えたいんだ!!!」




ミツバすまん、また、力を貸してくれ。






----------------------------------------------------------------------------



【会戦 最前線】



戦いは収まることを知らないでいた。


だが兵器獣の動きは止まった。


今は機械人形との戦いが繰り広げられている。




アニレナ

「おい、止まったのか?」


クリル

「どうだか・・・すぐにでも動き出しそうだぞ」



中の状況がわかるのはサナミだけだ。

そのサナミ、内部との通信で一度戦線を離れていた。



サナミ

「聞こえるね? カズキさん」


カズキ

「ゲホォ・・・はい、何とか・・・」



よかった本当によかった。



シュリーが消えた。



そのことで彼がまたあの時のようなことにならずに済んだ。

それだけは不幸中の幸いだ。




サナミ

「状況説明できる?」


カズキ

「戦闘しながら・・・ですが」




目の前に何かいるのはわかっている。

だがその戦闘を待っているほどこちらも余裕がない。


彼には申し訳ないが手短に話していく。



サナミ

「作戦は失敗なの?」



カズキ

「不明です、シュリーが眼の中に消えていくのは、っん!!見ました」



サナミ

「だとしたら・・・」


カズキ

「ぇえ・・・くっ!! このまま継続、2回目に入った方がいいです」




彼の言うのは最もだろう。

多分、彼が今いる部分から眼が見えているはず。


そしてその眼は今も同じ場所にあり続けているのだろう。

だから不明、作戦の継続を進言したのだ。



サナミ

「わかった、私達はこのまま2回目の破壊作業に入るから、動きがあったらすぐに連絡、お願いします」



カズキ

「了解・・・ありがとう・・・」



通信が切れる瞬間感謝された。


小さい声で・・・。



サナミ

「よし!!」




ジャンパーハイク!。




すぐに戦線へ戻った。







状況を説明する為に。







サナミ

「後退!!! 全軍後退!!!」



すぐに伝令を走らせた。

各指揮官もほとんどがやられてしまい、自然と近衛騎士団指揮をしている。

よくあることで、手慣れてしまっている。



クリル

「サナミ様まさか失敗したんですか!?」



サナミ

「ううん・・・まだわからない、でも私達は2回目の破壊作業をしないといけないと思う、それを想定して指示出しお願いできる?」



クリル

「はーっあの野郎・・・わかりました、2、4、7、8部隊は私が見ますんで」


アニレナ

「残りはあたしか・・・第9部隊は負傷者の救助に充てるそれでいいね?」



クリルとアニレナに配分は任せる。

この二人なら誤りが少ないはずだ。


問題はいつこれが動き出すか・・・。



サナミ

(カズキさん・・・もう無理だけはしないで・・・)





-------------------------------------------------------------------------



【兵器獣ケルベロス 内部心臓部】




カズキ

「穿てぇええええええ!!!」




貫こうとするもやはり攻撃が全て避けられる。


敵の攻撃も少しずつではあるが心身に効く。

放心状態でのダメージもそこまで回復出来ているわけではない。



結局のところこいつを倒す手段が思い付かない。


このまま消耗戦になってしまった時の事を考えると厳しい。



レイドラ

「マイロード・・・いいですか」



珍しくレイドラから声をかけてきた。

さっきの事かも知れない、それが全面的に悪いのに気を遣わせてしまっていたか。



カズキ

「レイドラ、さっきはすまない。 みっともない姿を見せて」


レイドラ

「いえ・・・マイロードが守ってくれなかったら我は・・・」



やはり気に病んでいたか。

仕方ないやつだ、ここは・・・。



レイドラ

「それでマイロード・・・お願いがあります」


カズキ

「っ・・・なんだ、言ってみろ」



突然のお願いに少し驚いた。




だがゴーレムが動き出す。


大型の光弾を撃ち込んだ。



カズキ

「少し待て、 アブソーブセイバーライド、フルブレイクブラスター」




光弾を切り裂き、吸収したエネルギーを射撃術技で吐き出す。


直撃・・・はしてないだろう、土煙りが上がったがダメージはどうせないのだろう。



そしてレイドラに顔を合わせる。




レイドラ

「我を・・・先代・・・初代虚空竜の眼へ向かわせてください!」




唖然とした。



こいつは一体何を・・・。



カズキ

「レイドラ・・・お前も見ただろ、シュリーを、シュリーが消えていく瞬間を!」



レイドラ

「いえ!まだです! まだなんです! シュリーさんはいますあそこに」



レイドラは今も黒い装甲で守られている眼を指差す。


まだいる・・・?


シュリーが?



レイドラ

「まだ戦ってます! その証拠にまだ兵器獣は動いていません! だから!」




そうなのか・・・シュリーは・・・戦ってるのか・・・。



レイドラ

「マイロード! シュリーさんを・・・我が救ってきます!!」



小さい体の小さい目が俺に訴えてくる。

役に立ちたい、どうにかして力になれれば。



そんな考えではきっとない。



レイドラは今、自分の成すべきこと・・・自分が今本当にやりたいことを俺に願い出たのだ。


それはこの兵器獣を止めること、この戦いを終わらせるというものじゃない。


一緒に旅をした、一緒に戦ったシュリーを助けたい。



仲間を救いたい。



その気持ちがレイドラを滾らせている。




カズキ

(俺は、この気持ちにどう・・・)




レイドラの強い意志は変わらない。


今も戦う覚悟を決めている、いやもっと前から決めていただから俺を庇うような真似をした。



そうだ・・・。



欠損しているなんて関係ない。

成長が遅いなんて関係ない。




こいつは・・・俺をマイロードと慕ってくれるこいつは・・・。




あの、虚空竜の二代目だ。



先代から引き継いだ意志がある。


それを無下にしたら先代に申し訳が立たない。



カズキ

「わかった・・・ただし、俺の言うことは絶対に守れ、もう俺を庇うようなことはしないでくれ。 わかったな?」



俺もレイドラに応えるように真摯に返した。

レイドラにも負けない目つきで。



レイドラ

「はい! 絶対にシュリーさんを助けて見せます!!」




これなら絶対に上手くいく。

俺はレイドラを信じる。




その為にも・・・。





ピピッ!ピッ・・・。





カズキ

「サナミ団長聞こえますか・・・カズキです」




-------------------------------------------------------------------------------





【会戦 最前線】



戦線の立て直しの後退は順調にいっている。

これならいつでも再攻撃を仕掛けることが出来る。



だがそれだけではこの戦いは終わらない。


シュリーがいない今、頼れるのは・・・。




サナミ

「うん・・・、うんわかった・・・無理しないでね」




彼からの連絡だ。


2回目の破壊作業お願いだ。

現状兵器獣は動きを止めているが、これがいつ動き出すか不明。


その為今から兵器獣に取り付いて供給口が出現後に即破壊できるようにというお願いだ。



無理を言ってくれる。

兵器獣の虐殺破壊でこちらの兵の4割以上削られた。


今も機械人形とサンニング軍兵士を相手にみんな耐えている。

これからさらに頑張って部位の破壊なんて。



サナミ

「流石に無茶苦茶・・・」


クリル

「けど、やるしかないんですよね?」



そうここで雌雄を決しないといけない。


流石シュリー、この事まで想定していたのかな。



2回。



兵器獣を止めることの出来るチャンス。


そしてそんなシュリーが身を呈して繋げたこのチャンス。




絶対に掴み取る!







サナミ

「伝令!!! 全騎!! 兵器獣へ突撃!!! 目標は再生中の供給口!!! 見つけ次第即刻報告!!その場で待機後各個迎撃!!! 突撃ぃいー!」




ここが踏ん張りどころだ。


必ずこのバトンを彼へと繋げる。




私の号令でみな走り出している。

敵を迫りくる敵を倒しながら。




クリル

「第2、第4、第7部隊は私に続けぇ!! 左側面に向かうぞ!!!」




アニレナ

「あたしらは右側面だよ、気合い入れなよ!!!!」





「うぉおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」







ここまで損耗していてもみな必死に士気を落とさないようにしてくれている。


そうだ、ここで大事なのはみんなの想い。


絶対に負けないという、想いだ。






「クリル副団長! ありました、供給口です!」




まだ見たところ再生中。

だがこれの再生過程がわからない以上、下手に手だし出来ない。



クリル

「よし!第7、第4部隊は陣形死守、ぜってーやられんなよ! 他は私に続け行くぞ!!!



分配は各二部隊で供給口の破壊を詰める。

クリルの担当は3カ所。


残り二部隊でもう1カ所、そして最後はクリルが一人で対応。

それは逆側のアニレナ達も同様の分配。



だが、残りの3カ所は一体誰がやるのか・・・。









「アニレナ隊長殿!! 兵器獣が!!!」




アニレナ

「もうかよ・・・」




ガクガクと巨体な大地が動き出す。

取り付いている者達からするとただの地震である。


それも収まることのない地震だ。



アニレナ

「ちっ! 止まるなぁあー!! 急いで次の目標地点に向かうよぉ!!!」



アニレナの言う通り、止まる訳にはいかない。

止まればその分だけ他の者の負担がでかくなる。


損耗は避けれない。


だが抑えることはできる、少しでも10人でも3人でも1人でも。








ゴオォオオオオオオオォォォオォオオオオオオオオオー!!!!!!!








目覚めの大咆哮。

まるでおはようとでも言っているのか。



サナミ

「笑えない冗談・・・」



上空からグリフォンに乗り状況を把握する。


みんなが供給口に取り付いている。



みな現状維持で耐えている。

早く供給口を破壊し離脱、後退したい気持ちを堪えながら戦ってる。



だが、ここで私が動くわけにはいかない。



私はこれから一人で3カ所の部位の破壊をしなくてはならない。



他に気を回してしまって自分だけ遅れを取ってしまうことなんてあってはならない。


そう・・・みんなが繋ごうとしている。


一人一人が・・・。









ニーネ

「供給口、完全に再生!! 供給が始まりました!! 今です!!」





サナミ

「全騎!!! 目標へ向けて!!!集中攻撃!!!!これで雌雄を決します!!!!」







全騎が一斉に供給口に飛びかかった。







アニレナ

「うおぉおおぉおおお!!!!!ディオガンド!!!ハンマァアアアアー!!」








クリル

「ツイン!ウィンダストォオオ!!ラン!!!!サァアアアアア!!!!!!!」








二人の全身全力が各自の目標に直撃する。










アニレナ

「ぁああああああああ!!!さっさと壊れろぉおおおお!!!!!」









クリル

「消えちまえぇええええええええー!!!!!」








ガキッ・・・ゴキッ・・・・。






二人の願いは・・・届いた・・・・。








ゴオォオオオオオオオォォォオォオオオオオオオオオー!!!!!!!









兵器獣がまるで二人の攻撃に悲鳴を上げたかのような雄叫び。






クリル

「あぁ、しんでぇなこりゃ・・・・」





槍を地面に付き杖代わりにし身体を支える。





アニレナ

「ったく、こっちはもうカラカラだってのによぉ・・・」




兵器獣を見る、悲鳴を上げてもなお足を止めるそぶりが一切なかった。
















サナミ

「二人ともありがとう・・・あとは・・・」





グリフォンから飛び下りる。


直接目標まで飛び下りる。



サナミ

「ツイン ナイトレイヴォルグ スタンバイ!」



2本の銃口に真素のエネルギーが収束されていく。

そして最大まで溜まり切った時一つ目の目標へ銃口を向けた。




サナミ

「フルシュート!!!!」




無数の弾丸の雨が目標を襲う。


全て直撃、土煙が視界を遮っている。



だがそんなのはお構いなしに飛び込む。




サナミ

「ツイン ナイトレイ!!! スラァアアッシュ!!!」




2本の剣で×字両断した。

まるで斬られたことが分かっていなかったかのように崩れ落ちるのに間があり目標は破壊できた。




サナミ

「ツイン ステイシス・チャージ」




次の目標へと走る。




アサルトステップッ!




目の前には機械人形の群れがいっぱいいる。

でもそれに構っている暇なんてない。


そして無駄に時間をかけるわけにもいかない。




だから今は走るのみ・・・目標が見えるその場所まで。






サナミ

「・・・っ! あった!」




すぐに前もって考えていた地点へと移動する。



そして再び武器をガンモードへ。


両手を前へ突き出す。




サナミ

「ステイシスチャージ 全解放!


 ツイン! ナイトレイ!

 

 バスタアァアアアアー!!!」




巨大な2柱が照射された。


術技で溜め込んでいた真素を一気に吐き出す。


照射はまだ続く。


ここからではもう破壊出来ているかどうかはわからない。



だが一番の目的は・・・次に繋げる為の布石。




サナミ

「はぁはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」



一気に疲労が溜まった。

ここまでノンストップで術技を使うのには慣れている。


だが、このミツバさんから頂いた武器の力に自分がしっかりと扱い切れていない。

この剣は自分の予想を上回る力を見せてくれている。


おかげで、一人3カ所なんて無謀を可能にしてくれている。




サナミ

「よし・・・次・・・」




最後の目標へと向かおうと動こうとした時だ。




「うあわぁあああああー!!」


「体制を崩すなぁあああ!!」


「破壊作業急げぇえぇー!!」




あれ右側面の部隊!?


まさかやられてる・・・。



サナミ

「けど・・・ここで・・・」



すぐに決断しろ。


どっちだ。



どっちが・・・。












ほぼ部隊は壊滅状態だ。

敵の数が多すぎる、まるでここを一点集中しているようなだ。



「くそぉおお!!!」


「持ち堪えてくれぇえええー!!」



だが、火力不足。

このままでは作戦の遂行が出来なくなってしまう。




このままじゃあ・・・。




サナミ

「みんな伏せて!!!」





騎士団長の声だ。

全兵士言われた通りにその場で体勢を低くし伏せた。




サナミ

「ツイン!エンドオブ!ナイトレイ!」



2本の剣が光り輝き刀身が長く伸びていく。

剣の大きさは元の10倍以上の大きさにまで巨大化していた。



サナミ

「斬り裂けぇえええええ!!!」



クロスしていた手を全力で払う。


伸びた刀身は次々と敵を薙ぎ倒していく。



だが目的はそれだけではない。




サナミ

「っ!!!」




高く飛ぶ。

2本の剣を重ねて1本にし刀身を大きくする。




サナミ

「これでぇえええ!!!」







供給口へ一気に振りかぶる。






目標は抵抗もなく一撃で破壊された。




「た、助かっ・・・た」



その場で倒れる兵士、尻もちを付く兵士達。



だが、まだ終わりじゃない。





サナミ

「即後退!!! 急いで!!! っ!!!!」





まだ間に合う!



最後の目標には損傷を負わせてある。



2つ目を破壊する際の大型照射砲を撃ち込む際に最後の目標に軸を合わせて撃っている。



同時破壊は出来ていないにしろ、威力は申し分なかったはず。





だから、間に合えば!




間に合いさえすれば!!!





間に合え!





間に合えぇえ!!












サナミ

「間に合えぇええええ!!!!!」


クリル

「間に合えぇええええ!!!!!」


アニレナ

「間に合えぇええええ!!!!!」






ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!







3人の一撃が目標を・・・破壊した・・・。






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【???????????】



明るい・・・?



目から入る光が痛い・・・。



風を感じる・・・私は・・・浮いている?




目を開き頭を振り正気を取り戻す。



シュリー

「ここは・・・リアタズマ・・・?」




見下ろすとそこは、見慣れない場所。


正確には似ているようで似ていない。


何故ならそこにはモンスターや見知らぬ生き物達が楽しく共存している光景だったからだ。

みな、好きに走り、好きな物を食べ、好きなように遊び・・・飛ぶ。



シュリー

「竜・・・?」




空を飛んでいるのは鳥や虫などだけではなかった。



竜だ。



両手両足がある竜だ。


足だけの飛竜は何度か襲われて見たことはあるが。

今目の前にいる者達は佇まいからして違い過ぎていた。




シュリー

「もしかしてここは、虚空竜の・・・記憶?」




以前にカズキ達に聞かされた。


虚空竜の記憶の話。


大昔のまるでお伽話の世界の話。




元々そういった話の研究をするのが私の探究のテーマ。

彼らの話は本当に役に立っていた。



だが、いざ自分がこの失われた古代の世界を目の当たりにして出る感想は。





シュリー

「ロスト・エンシェント・・・本当に、存在したんだ・・・」




長い年月、旅に旅を重ねて多くの物を見てきた。



ロスト・エンシェント。



初めは自分の中での呼称だった、だが旅を続け事実が近付いたり離れたりする度にその名を噛み締めていた。




未知の存在。


失われた存在。


古代の存在。


強大な力の存在。




そして過ぎ去った時間と記録の存在。




世界の始まりの原点。




シュリー

「・・・・・・」




さらに飛んで辺りを隈なく見て回る。


生き物もそうだが、一番の違いはそれは。



真素 だ。



優しく、それでもって温かい。


真素がこんなにも感じられていることに驚いた。




シュリー

「そうか・・・真素の実体・・・」




真素は人や生き物に力を与える物じゃない。




真の意味・・・。







シュリー

「っ!!!」




空間が歪みだした。


上空を見ると黒い球体が現れる。



そしてその球体は、姿を変える。



シュリー

「兵器獣・・・ケルベロス・・・!」





ゴオォオオオオオオオォォォオォオオオオオオオオオー!!!!!!!






記憶の世界に、強大な咆哮が響き渡った。


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