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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
14/70

第14話 神の眼

【開発発展街ヴォル 学会会場】


会場に足を運んだ俺達は関係者口より施設に入る。

街では学者以外の人が多くいたように思えたが、まさかこの学会の為だけにヴォルを訪れた人達だったということか。


それだけこの学会は世界的に注目の浴びる物なのだろう。

まさかこんなところに来ることになるとは夢にも思わなかった。


周りを見ても礼服に身を纏った人がちらほら見える中自分の格好を見る。



カズキ

「いかにも冒険者ですって感じだな」


シュリー

「別いいじゃない、助手いや、良くて用心棒ねこれは」



その汚い物を見るような目はやめて頂きたい。

こんなことなら少し考えておけばよかった。


そうこう考えていると待合室に到着した。

中に入ろうとした時何故か止められた。



「すみません、ここから先は発表学者様のみとさせて頂いてます」


カズキ

「え・・・」



なら何故ここまで連れて来られたのか。



ニヤァ・・・ッ。



嫌みな笑みを浮かべ手を振るってやがる。

またおちょくられた。



本当にこんなんでいいのか・・・。


今にもサンニングとナイクネスの戦いが起きようとしているのに。

シュリーを信じていいんものなのか。



ピッピピ・・・。



通信、誰だ。

インカムのボタンを押し応答する。




シュリー

「無事に聞こえるかしら? 聞こえなくてもしゃべるけど」


カズキ

「はぁ・・・聞こえてますどうぞー」




通信結晶への介入。

たしかこれって本来は同じ通信結晶同士じゃなきゃ通信できないとかって話じゃなかったのか。



シュリー

「通信結晶の話しはまた今度じっくり教えてあげるわ、それより頼まれ事、お願いしていいかしら?」







【学会会場内】


スタッフルームへ侵入成功。



インビジブル・ムーブVer2

ボリュームキルが無くても音が消せた。


シュリーの頼みごととは妨害工作の撤去だった。

どうやらこの学会を妬む者またはその学者個人を妬む者が多くいるようだ。


過去に何度も邪魔が入り学会自体が中止になってしまったケースも少なくない。

シュリーも何度か邪魔をされて腹が立ち会場で暴れたとか暴れなかったとか。


そして今回の学会だけは絶対に成功させなくてはならない、俺の目的の為にとシュリーは言った。


一体この学会と神の眼にどんな関係があるっていうんだ。


愚痴を言っててもしょうがないか。

たしかにこの学会を楽しみにしている人達は学者や来場者を見ればわかる。

それを妨害しようなんて許していいわけない、な。






-トラップ・キルVer2上昇-






オッケー、早速使ってみるよミツバ。



カズキ

「トラップキル・・・うわぁ・・・」



トラップ・キルVer2はどうやら範囲内のトラップの除去とさらに広範囲でのトラップの可能性の示唆をしてくれている。



たとえばこの水筒。

中身が見えない物で一体何が入っているのか外からはわからない。


だがトラップキルのおかげで水ではない別の何かが入っている可能性を教えてくれた。





-ライブラリング・アイVer2上昇-





カズキ

「こりゃあ凄いな・・・」



術技の情報からでは猛毒だと表示されている。

流石にこれはトラップキルでどうする事もできないか。


回りに誰も居ないことを確認し・・・。



カズキ

「クリエイト・リンク」



創造するは水。

手を水筒に掲げ続けると一瞬光り術技が終わった。


念の為確認すると他の水筒と同じ水と表示された。

何とか成功させれたか。


今回のような毒を水へと変換、浄化もできるのか。

クリエイトリンクは使い方次第でかなり化けるな。



カズキ

「っと・・・関心してる場合じゃなかったな次だ・・・」



学会が開始時間まで余裕があるわけじゃない、急いで全てを見て回らなくては。



-------------------------------------------------------------------------


【王都ナイクネス リオンエイド邸】



エイジルト

「お忙しい所申し訳ありません閣下、早速ですがスリーエッジがこれから対象を破壊すると行動致します」



机で事務作業をするノーディーに告げる。

今朝方カズキ、スリーエッジと話したことを説明、その後の行動を報告している。



ノーディー

「彼の力を甘く見ているつもりはないが、本当に大丈夫なのか信用して」



先日の戦い、ベルデラでの功績は確かに凄まじく大きい。

だが今回に関しては部が悪いと思い始めていた。



この宣戦布告はあまりに早かった。

神の眼の情報もついこの間手にしたばかりなのに。



エイジルト

「何かしらの成果は期待できると進言致します、少なくても我が軍に優位に働くことは間違いないでしょう」


ノーディー

「だが、当の本人は算段がないような口ぶりだったのだろう? それをどう信じればいい」




作業が止まってしまうほどに悩まされる。

エイジルトも曖昧な表現をしてしまっている所をみる確信はないのだろう。



エイジルト

「失礼ながら言わせて頂きますと、現状神の眼なる兵器の情報も不十分な状態ですが。もしその情報を手にしたところで恐らく我々の軍では対処しきれる物ではないと進言します」


ノーディー

「それはスリーエッジに依頼をする前からわかっていた、その為にも諜報部員を総動員して情報収集に当たらせていた!」



だが誰一人として有力な情報を手にすることは出来ないでいた。











コンッ!コン!コンッ!




サナミ

「お父様、サナミです入ってもよろしいでしょうか」



ノーディー

「あぁ、入れ」



失礼しますと一礼し入りエイジルトにも一礼しすぐさま父の元へ向った。



サナミ

「お父様・・・カズキなる冒険者見習いを一人単独でサンニングへ向かわせたという情報は本当ですか?」



情報は集めていた。

すでにフタヤから国境を越えヴォルにて彼がいたという情報はもう調べがついている。



サナミ

「どうなんですか!!」



父を強く睨みつける。

どうゆう思惑があるのかしっかりと自分の耳で聞かなくては納得できない。



サナミ

「お話しできないことなのですか、エイジルト様もご存じだと思われますが? 今朝の慌ただしいドトル内で彼と通信結晶で会話をしていたのを目撃した冒険者がいらっしゃいましたがいかがでしょう」



矛先がエイジルトに向かうが、一切顔色一つ変えずにエイジルトは沈黙を続けた。



サナミ

「お父様・・・何とか言ってください」



父は腕を組み目を閉じている。

そして口を開いた。



ノーディー

「仮にその彼が、一人でサンニングへと向かうことに。サナミ団長に何の関係がある!?」


サナミ

「・・・っ!」


ノーディー

「それが答えられないならば、騎士団を率いる長として軽率な行動は慎むよう心掛けてくれたまえ。今回の件は聞かなかったことにしてやる、私からは以上だ」



父の言うことはもっともだ。

だけどこれではっきりした、この二人は間違いなく関係者。


いや、もしかしたらカズキさんを焚き付けた張本人達の可能性が高い。

なら・・・。



サナミ

「御手間を取らせて申し訳ありませんでした将軍閣下、未熟故の過ち、いかなる罰も受ける所存です。 では・・・」



バタンッ!!!!!!!!




エイジルト

「・・・・・・チラッ」



ノーディー

「あぁあああああああああああああ!!!!!、スリーエッジ頼むうぅううううううお願いだあぁああああああああああ!!!!!」





----------------------------------------------------------------------------



【学会 会場客席出入り口】



カズキ

「ふわぁあ・・・眠い」


次はあのヌーターという、奴の発表か。


これまで何十名と学者の発表を聞いて見ていたがあまりに退屈だった。

レイドラに至ってはフードの中で3回目の爆睡に入ってる。


発表される物全てが全て机上の空論だったり、理想論、最悪自己紹介みたいな奴も多くいた。

この舞台に立つ人間なのだから有意義な時間を過ごせると思ったのだが、想定外だった。



カズキ

「ん?」



なんだ?岩みたいな結晶石、プロジェクターか?

そう思った通りその結晶石から映像が流れだした。



内容は、「人間と真素の繋がり」という物だ。


このヌーターの研究で分かったこと、


それは人間の中の真素を取り出し変容し他の物体、機械などに転用することができるという物だった。


これにより人間による自給自足が可能になり、あらゆる日常品が真素を通して動かし運用されより豊かな生活へと人々を誘う。



というプロモーションビデオだ。

ヌーターは芝居掛かった口調で映像を事細かに説明していった。



ヌーター

「これが試作段階のアイテムです、これはどんな人間でも簡易的な日を起こすことが出来る物です」



ヌーターは観客の人を適当に指名し、そのライターもどきを持たせ実演させた。



「おぉおおおおお・・・」



驚きの声が響き渡った。

確かに誰でも使えて極めて便利なのだろう。

だがこれには絶対的な欠点があると俺は感じた。



それは、格差だ。


ヌーターは誰も簡単にと言った。

もちろん今使ったライターもどき程度なら確かに誰でも持っているような真素の量で使用できるだろう。



だがその限界値が人によって変わることを説明していない。

仮にこのシステムが発展を遂げた未来では確実に扱える人間と扱えない人間とで分たれる。


扱える人間、つまりは真素の数値が高い人間が優位な未来となる。



もしかしたら真素は修行か何かで増幅するかもしれない、だがそう簡単にできる物なら誰もが簡単に術技を使いこなすことが出来る。



そう。



ヌーターの発明は人間がエネルギーになる世界だ。

まさに情報にあった神の眼のシステムそのものだ。


人間は真素の貯蔵タンク、無くなれば捨てて次の人間から注ぎ込む。

想像するだけでも吐き気がする。



人間を電池に人間を殺していく。


余計に早くと感じた。

そんな兵器はすぐに破壊しないといけない、先代の右目は絶対に返してもらう。




パチ!パチ!パチパチ!パチ!パチパチパチ!パチ!パチ!パチ!パチパチ!!・・・。



大きな拍手と共にヌーターの発表演説は終わったようだ。

まるで世界が変わる瞬間を目の当たりにしたような空気が会場内に溢れている。





そして次が最後のおおとり・・・シュリーだ。




檀上でヌーターとシュリーがすれ違う。

ヌーターが先に足を止めた。



ヌーター

「おや、私の発表に怖気づいてまた逃げ出すと思ったのですが・・・まぁ精々恥をかかないようにどうぞ・・・」




シュリー

「・・・・・・」



ヌーターの言葉を聞き終え、再び歩きだす。






カズキ

「シュリー・・・、っ?」


一人の男が席をゆっくりと立ち上がった。

ゆらりゆらりと席から離れようとしている。





-チェーンズ・バインドVer2取得-






良い術技だ。



カズキ

「ボリュームキルライド チェーンズバインド」





-ボリュームキルVer2上昇-




どうやら声だけじゃなくてジタバタする音も消すことができるのか。


流石に姿は消せないか。



チェンジフェイク。



黙って拝聴してる風になればそれでいい。



シュリー

「・・・っ・・・」



カズキ

「あっ・・・ニヤァ・・・ッ」




目が合ったのでいつもやられている事を返しておいた。

これじゃあただのドヤ顔だが。






シュリー

「ふっ・・・」



下手くそな笑い方ね。

いいわ、私は今から凄い物見せてあげる。




シュリー

「まずはじめに、皆様に謝罪をせねばなりません。 どうやら先ほどのヌーター氏と研究内容が被ってしまったようです」




開口一番に会場をざわつかせた。



シュリー

「ですが、心配はいりません。私の研究は彼ほど独善的ではないので大丈夫です」



「フフフッ・・・」




会場内で笑い声が一瞬聞こえた。

やはり学者というのも一枚岩じゃないってことか



シュリー

「では、まずこちらをご覧ください。これは私が作り上げました機械、名前はまだ決めていませんが『鍵』と呼称させて頂きます。そしてこの鍵をこの専用の器具に差し込むと」



鍵を差し器具のトリガーを引くと火が先端より出てきた。



「なんだ・・・本当に同じじゃねーか」


「こんなのが最後かよ」


「ヌーターさんのパクリかよ」



シュリー

「では次の鍵を変え・・・トリガー引きます」




罵声を無視しながら淡々と進める。


だがそれが一気に会場の空気を一新させたのだ。



先ほど火が出た先端より



水が噴き出した。




その光景に会場も驚きを隠せないていた。




シュリー

「次はこちらです・・・」



鍵を取り換え会場側へとトリガーを引く。



バチッ!!バチッ!!バチッビリッ!!




「うおぉ!!あぶねーだろ!!」




シェリー

「そう、危ないです。今私が手にしてる器具は非常に強力かつ人に危害を平気で加える物です」



また鍵をと取り換え会場の頭上へと向けて放たれた。




カズキ

「・・・・・・雪・・・」



放たれたのは粉吹雪だ。

しかもしっかりと冷たく、体温に触れた瞬間に溶けた。


舞う粉雪が明かりに触れ綺麗な幻想的な光景を会場の人間に見せている。



シュリー

「そんな危ない物を発明したのも人間、そしてそれを扱うのも人間です。そうこれは武器になりうる物です」



シュリーは今自分が手にしている物を武器だと語る。


だが今見せている綺麗な光景はシュリーが語る武器から出された物。


シュリー

「この私の研究テーマは「世界と真素の流れ」についてです。


先ほどヌーター氏の発表で人間に真素が流れていることはご承知頂いております。


ですがそれだけではありません、この世界には常に真素が巡廻し続けていることを私は突き止めました。


そしてこの鍵はその巡廻を続ける真素の性質を組み込み半永久機関を実現させました」




・・・・・・・・・・・。




会場があまりの事に理解が追いついていない様子だ。

半永久機関つまりはあの鍵は常に真素を巡廻、回復し続けているということだ。



シュリー

「何故私が一番最初に武器なりうるかのお話しをしたか。


それはこの発明が真の意味で誰でも分け隔てなく使用することの出来る力だからです。


簡単に武器になりご自分達の知人、友人、家族、兄弟、恋人に牙を向けることのできる物です。


ですが、私はこの学会が由緒正しき歴史ある偉大な物と信じこの研究の発表をさせて頂きました。


ここに集まっている人達ならわかるでしょう。


これがもし世に浸透した場合何が起きるか、それは競争です。


これをどう上手く使うかという競争に繋がります。


みな等しくゼロからのスタートでしょう。


今までありとあらゆることでどれだけの努力を重ねても成果を出せない方々が多くいると思います。


私はそんな人達にこの鍵を使ってほしい、有効に活用して頂きたい。


この鍵が、それを求めた人達一人一人の行く道の扉を開くきっかけになってほしい。


私はそう考え、この鍵を発表させて頂きました。



最後にもしこの私の発明を悪意に染まった手で触れるような者が居た場合は・・・。



覚悟して頂きたい。



以上です」







シュリー

「・・・・・・・・」




















カズキ

パチ・・・パチパチ・・・パチパチパチパチ・・・




一人の拍手が会場に響き渡る。

いや二人だった。



レイドラ

「うふーーん、パチパチパチパチパチッ・・・」




シュリーと目が合った。

いい表情だ、やり切った感、達成感という感じだ。



そしてシュリーが檀上から去ろうとした瞬間。




パチパチパチ!!!パチパチ!!パチパチ!!!!!パチパチパチパチ!!パチパチパ!!!!!チパチパチパチパチパチパチ!パチパチパチパチパチパチ!!!パチパチ!!パチパチ!!!!!パチパチパチパチ!!パチパチパ!!!!!チパチパチパチパチパチパチ!パチパチパチパチパチパチ!!!パチパチ!!パチパチ!!!!!パチパチパチパチ!!パチパチパ!!!!!チパチパチパチパチパチパチ!パチパチパチ




拍手喝采。



中には泣いている者もいる。


中には感動で研究に噴気しようと息巻いている者もいる。


中にはシュリーへの黄色い声援。



「素晴らしい!すばらしいいいぃい」


「私ももう少し頑張るとしますか」


「これだから学者はやめられない」


「ズルズルッ!!俺も頑張る!!!」


「シュリー様素敵ぃいーー!!」



シュリーへの称賛の言葉が飛び交っていた。



シュリー

「・・・ニヤァ・・・ッ」


また一度の一礼。

だが今度のは形式的な物ではない。


左手を胸にそして右手は大きく広げた盛大な一礼を見せた。




うあおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぁおおおお!!!!




さらに黄色い声援が飛び交う。


「シュリー様!シュリー様!シュリー様!」


「シュリー様こっち向いてぇええー!!」


「シュリーさまぁああああああああ!!!」


「シュリー様!シュリー様!シュリー様!」



シュリー様コールが会場を埋め尽くしている。


学会関係者も静粛にするよう呼び掛けているが全く聞き入れないでいた。



ヌーター

「ぐぬぬぬぬ・・・」



舞台袖ではヌーターが一人シュリーを睨みつけていた。



シュリー

「あら?私の発表に怖気づいてまた逃げ出したのかと思った・・・まぁ精々恥をかかないよう、あぁー残念ねもう学会終わっちゃったわねー、なら帰り道に気をつけることね」




ヌーター

「ぬぬぬぬううぬぬう・・・ふぅ・・・シュベンザー博士少しお時間よろしい」




シュリー

(ニャァ・・・ッ!)




それを待っていたかのようにシュリーは笑った。





--------------------------------------------------------------------------



【開発発展街ヴォル 道中】



ヌーター

「いやー!シュベンザー博士の発表には大変驚かされました、まさに学者の鑑!!」



学会発表の後、俺はシュリーと一緒ヌーターの軍事研究施設へ行くことになった。


どうしてそうなったかシュリーに聞いてみて俺は驚いた。


このヌーターという男が接触してきた時にここまでの段取りを想像していたようだ。


学会でヌーターの出鼻を挫く。


そうすることで諦めるのでなく、どうにかして自分の力を証明させようとするに違いない。

その証明の内容の一つがこの研究施設への招待だ。


だが、もし学会でヌーターの出鼻を挫けなかった場合どうするつもりだったのか聞いてみたが。



シュリー

『私が凡人に負けるわけないわ・・・』



むしろそれは自分への侮辱かと怒鳴られそうになったほどだ。

そしてシュリーの思惑通りに事が進んでいる。



そうこうしている内に目的の研究施設前が見えてきた。

街から少し離れている場所にそれはあった。


周辺には厳重な警備と侵入妨害用トラップも良く見えた。

またシュリーのおかげでなんとか施設の中に入れそうだ。




ピピッ!ピ・・・。



カズキ

「こちら見習い冒険者、これより神の眼の研究施設に侵入、繰り返す、これより神の眼の研究施設に侵入する。以上」



手短に状況の説明を済ませた。

クレエスさんなら分かってもらえるだろうと願い、シュリーと共に研究施設に入っていった。









【開発発展街ヴォル 軍事研究施設】



外からはわからなかったが、ここは本当に異世界なのかと思わされる。

そう、まるで俺が元いた世界のその物のセキュリティー体制だった。


各ブロックに向かう度に指紋認証、網膜認証、声帯認証と確認をさせられていた。

そして今足を止め何かが来るのを待たされている。



チーーーンッ・・・。



カズキ

(エレベーター・・・まさかこんな物まであるとはな)



到着音なんかは物凄く古臭さを感じるが、どうやらサンニングの技術が最先端というのは間違いないようだ。




チーーーンッ・・・。





ヌーター

「長い間お待たせ致しました、これが・・・我が研究所・・・我が城です!!」






驚愕した。






目の前の光景が現実なのかさえ疑った。




液体の入った小ケース。




その中に人間が・・・何人も押し込まれて入っている。




ヌーター

「これぞ私の研究の最終進化形態にして世界最強の兵器「ケルベロス」です!!」




ヌーターの声と同時に投影結晶に映像が表示された。



巨大な黒い物体。



4足歩行で顔が3つだけではない。


尻尾に2つ各足に1つずつとまるで生き物とは思えないような外形をしていた。




ヌーター

「アハハハッ・・・どうです? 凄すぎて声も出ないでしょ?」



両手を広げまるで我が子を自慢するかのようにヌーターは話す。




ヌーター

「このケルベロスはサングニスの技術を結集させた最終兵器なんですよ。


ですが悲しい事にこいつを正常に動かすには現代のエネルギーでは力不足・・・そこでこの「神の眼」を動力として搭載することで力不足を解消のみならずケルベロスのパワーを400%以上引き出すことに成功したのです!!


シュベンザー博士には感謝しているのです、サンニング王国はケルベロスを使い野蛮な他国を燃やし尽すでしょう」





得意げに話すヌーターに怒りが込み上げてきた。

まるで自分が全て作り上げたかのような言いよう。


シュリーの力、初代レイドラの力を悪用し他国を滅ぼす。

堕落・・・人間は力に溺れるとここまで堕落するものなのか。


不愉快だ・・・。



カズキ

「こいつ・・・!」


シュリー

「待って・・・落ち着いてお願い」



左手を掴まれ止められた。

だがシュリーの左手は震えていた。


これは怒りだ。


冷静を装っているが、シュリーも今にも感情が爆発しそうなところを理性で抑えている。

ここまで来たのも彼女のおかげだ、最後まで従おうと身体の空気を入れから落ち着いた。




シュリー

「聞いてもいいかしら? たしかに1つの真素を約30倍のエネルギーへと変換させる眼を動力にした着眼点はいいとして、眼のリスクをあなたはどう克服したのかしら?

あれは膨大なエネルギーを与えると同時に真素を常に欲し続けている物。

エネルギーを取り出し兵器へ転用する場合それ相応の真素の補給が必要になると思うけど」




分かり切った質問をあえてした。

こんなところ、こんな物を見せられて気付かないわけがない。



ヌーター

「なるほど~あえて私の口あら言わせたいと?? ですがいいでしょう!

この研究施設は本来軍事研究を目的に作られたものです、ですが今後はケルベロスの真素供給プラントとして稼働していくでしょう」




カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!



何かの呼び鈴のような音が鳴り響く。

同時に押し込まれている小ケースが開く。



そして一人のぐったりとしたあまりに正気のない人間。



いや、あれはもう死体だ。



死体を担ぎ出した。



それを目で追う・・・。



そして今ごろになって気が付いた。



俺の背後には超大型の水槽とでもいうのか謎の液体に浸されたスペース。




カズキ

「おい・・・まさか・・・待て・・・待てっ!!」




俺の言葉なんて届くはずもなかった。





死体水槽に放り投げた。







カズキ

「これが・・・嘘だろ・・・」





ヌーター

「アハハハハハッ!!! どうやら助手君には刺激が強かったみたいだねー、だけどねそんなことじゃあ未来の発展なんて俄然無理ってことだ覚えておくといい。


そう!神の眼のリスクは人間の真素を供給しているのさ・・・根こそぎねぇ・・・。


いやー彼らは幸運だよ、サンニングに反旗を翻した犯罪人達だー、世界になんの貢献もできない屑ばかり・・・それを私が骨の髄まで貢献させてやっているんだ、感謝してほしいもの。


そうは思わないかな?」







カズキ

「貴様っ・・・」



ミツバを取り出す。

もう我慢の限界だ。



ガキンッ・・・!




カズキ

「何・・・」



弾かれた、誰かに弾かれたわけじゃない。

見えない結界か。



ヌーター

「フハハハハハッ!!!君の事を調べていた無いとでも思ったかい!!?これは傑作だ、気付いてないとでもフハハハハハッ」



カズキ

「ほざけ・・・凡人・・・」



再び斬りかかるが。

ヌーターの見開いた目。

まるで余裕であると訴えてくるようだ。



ガキンッ・・・!




カズキ

「くっ! スラッシュセイバーッ!」





ギィーーーーーーーンッ!!!




先ほどのように弾かれることはないが。

先に進めない、あと少しの先が。




ヌーター

「あーあーーそんな物ってことかベルデラの英雄君は!クハハハハッ僕が強すぎるってことだけどね!! お前たちやれ!!」


カズキ

「くっ!・・・」


一度離れ距離を取る。


取り巻き2人。

屈強な体つきが武器というところか、手に武器は持っていないように見えるが。



「エア・インパクト」



一人の男が軽く片手をかざし術技を唱えた瞬間。



ボゴォッ!!



カズキ

「なにっ・・・くっ!」



吹き飛ばされた。

なんとか受身を取って激突は免れたが。


だがなんだあの威力、軽くかざしただけで吹き飛ばされた。

さっきのヌーターの見えない防壁といい今の衝撃波といいこいつら一体。




「エア・インパクトォォオ!!!!!」




今度は手加減抜きか。

迫りくる衝撃波を見るだけでもわかる、避けれない、当たったら無事じゃすまない。




カズキ

「アブソーブセイバーッ」



見極める。

そして衝撃波を、斬る。



カズキ

「なんだ・・・この威力・・・」



振り斬れなかった。

斬った瞬間衝撃波を押し止めるような形になった。



この力・・・まさかこいつら・・・。























ヌーター

「あちらは好きにやらせておくとして、博士はどうされますか?」



もう勝ち誇ったかの様な表情。

この施設へ呼び込んだ時点で雌雄は決したということらしい。



シュリー

「元々私達を始末する為だけにここへ呼んだ、ということかしらね」


ヌーター

「えぇ!その通り、吸血鬼の真素の流れは非常に興味深いですからねぇ、一体私の研究にどう役立ってくれるのか楽しみで仕方ありません」



気持ち悪い。

やられてもいないようなことを妄想する人間は本当に気持ちが悪い。



シュリー

「お坊ちゃんにはしてはよく頑張った方だけど、残念ね。あなたは色々と勘違いをしているわ」


ヌーター

「何・・・?」


シュリー

「第1に自分の力を過信していること


第2にこの施設に私を入れさせたこと・・・


そして第3に・・・彼を侮っていること」



ヌーター

「彼・・・?」



シュリー

「ニャァ・・・ッ」








そう、それが一番の誤算であり敗北だ。



















カズキ

「スレイヴスラッシュ!」



直撃させれなくても十分だ。

この間に距離さえ詰めれれば。



「エア・インパクト!!!」

「シュート・アロー!!!」




遠距離攻撃ばかりか。



カズキ

「アクセルムーヴっ・・・一気に叩く」




懐に潜り込むのは・・・造作もない。




「なにぃ!!」



カズキ

「はああっ!!!」



一気に切り掛かる。



だが・・・。



ガキンッ・・・!



弾かれた・・・。




だがこれでいい。





「ぐへへへ!! 効かねぇーんd」



カズキ

「フルブラストッ!」



バァンッ!バァンッ!バァンッ!



掛声と共に男は爆発した。



背後に設置した、ファミリアン・ブラスターの弾丸によって。



「ぐぼぉお・・・」



男が一人、その場で倒れこんだ。




「いつの間に・・・」



予想通りあの結界、いや障壁は全方位タイプじゃないみたいだ。


ヌーターに何度も切り掛かった時、必ず奴は俺のことを見ていた。

つまり、この障壁は対象物を視認する必要性があると踏んだ。



そして・・・。




「うおぉお!! メタルブーナックルゥウウ!!!」




突き出された拳の先と振り上げたミツバの剣先がぶつかる。




カズキ

「お前たち自体は・・・弱い・・・」





-スラッシュセイバーVer2上昇-






カズキ

「消えろ・・・」





腕を術技事吹き飛ばした。





「ぐあぁああああああああああああ!!!!」





スクロールか何かで覚えたか知らないが、眼の力を術技にも転用して威力と能力を増幅させたというところだろう。


だが、その程度で強くなったと。


そんなことで一つの術技を理解していると思いこんでいる奴に。




俺とミツバが負けるわけないだろう。




そうして、シュリーの元へと戻るとする。










ヌーター

「素晴らしいな!! 流石だ! こいつを部下にし私の下dふぐぅうあ!!!!」



ヌーターが突然しゃがみ込み。

地面に手を付いている。



シュリー

「悪いけど、あれ・・・もう私の、なのごめんない」



ヌーター

「そんな・・・術技が・・・発動し・・・ない!?」



さっきまでカズキを弾いていた障壁のことだろう。



そんなのは簡単だ。




『第2にこの施設に私を入れさせたこと・・・』




ヌーター

「まさか!!! ののの、乗っ取ったな!!?!!」



シュリー

「えぇ・・・おかげで色々な資料が手に入ったわ。まぁ私の研究には不要な物ばかりだけど、この子犬を破壊するくらいには役に立つとは思うわ」



ヌーター

「ふふふふふざけるなぁああ!!あれは僕のだぁ!!ふざけたr」



バギィイッ!!!!



勢いよくヌーターの顔面に蹴りが入りその場に倒れ込む。




カズキ

「ふざけてるのは貴様だ」



髪の毛を掴み取り顔を上げさせる。



カズキ

「どうしてこうなるんだろうな・・・ついさっきの学会、シュリーの発表を聞いていなかったからこうなったのか?」



ヌーター

「な、何を言うかと・・・思えば。 あんなの絵空事さ・・・」



顔の痛みに耐えながら、俺に訴えてきた。



カズキ

「絵空事・・・」



ヌーター

「そうさ!!

我々学者は!研究をし自分の価値を他の奴らに見せ付けるのが性分だ!!


他人の為の発明、研究なんて無いんだよ!!


でなければおかしいんだよおぉお!!才能ある私が!!私がこんな吸血鬼のなりそこないに!!


寿命を軽んじる化け物に負けるわけがないんだよ!!!」





化け物か・・・。





カズキ

「そうか・・・なら、覚悟は出来てるってことだな・・・」




ヌーター

「ぇ・・・」






--------------------------------------------------------------------------------


【開発発展街ヴォル 正門前】



カズキ

「急ぐぞ!軍の出発まで時間がない!」



ヴォルの貸出しの騎乗獣に乗り込む。


こんなの乗ったことなんてないが・・・。




-騎乗適応能力上昇-




流石ミツバだ。



カズキ

「ん? おい!早く・・・」




差し出す手をシュリーは取らないでいた。


躊躇?


思い当たる節はある。



『こんな吸血鬼のなりそこないに!!』



なりそこない。

つまりは吸血鬼であり吸血鬼ではないということ。


何を指して吸血鬼なのかそうじゃないのか・・・。



カズキ

「知らないし・・・」



シュリー

「・・・っ?」



カズキ

「俺は何を持って吸血鬼なのかそうじゃないかなんて知らないし、興味もない。何をどう幻滅するのかも知らない」



これから先、もしかしたらシュリーを幻滅する可能性があるかも知れないということ。

そう可能性。



カズキ

「確かに幻滅するのは嫌だ、だけど・・・」




もう一度手を差し出す。



カズキ

「その時が来たら・・・絶対に向き合う


だから・・・俺を信じて今は力を貸してくれないか」










シュリー

(馬鹿みたいな・・・真っ直ぐな目)


けど、その目の奥には不安が渦巻いている。


真っ直ぐであればあるほどの黒い部分。


彼はそれをわかっていて見ている。



自信がないからこそ強く自信を持つ、そうすれば力が湧いてくる。


この彼はそう信じてる。





『寿命を使っても、時間を使いきっても、それは手に入らなかった』



『おばあ様が手に入らなかった物?』



『それはねぇ・・・』





私は・・・手に出来るのかしら・・・。




おばあ様が身命を使っても手に入らず、巡る時間の中でいつ手に入るのかと不安でいっぱいであった・・・手に出来なかったもの。




シュリー

「・・・ふっ」



差し出された手を握るのではなく、指に噛み付く。



カズキ

「んっ・・・またお前はっ」



また顔を赤くしてる。


愛くるしいじゃない・・・。


そんな表情を見続けるのも悪くないわね。




シュリー

「んーーん、ごちそうさま。 それじゃあ行くわよ!」






きっと手に出来るはず・・・求めても手にするのが難しい・・・。





”時間”を・・・。







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