20、魔王城からの脱出・中編
時は少し遡る。
ー魔王城地下牢ー
「ーあとは魔物さえ来ればここから脱出できる……」
智紀は1人地下牢で脱出の計画を練っていた。
性格はアレであっても勉学は学年2位の天才。拓人や優のバックアップの元、脱出の計画をしっかりと練り、もしもの事態も想定。
クラスメイトに事の詳細は伝達済み。
あとは事が起こるのを待つだけとなった。
正直、魔王城が魔物に襲われるなんて馬鹿馬鹿しいけれど、相沢に「少なくとも95%は保証する」と言われたら信じるしかない…
脱出の計画を立てる事ができたのは2日前、拓人が魔王城の構造図を送ってくれたからであるため、智紀は優の「3日後に魔王城が魔物に襲われてパニックになる」という言葉を馬鹿馬鹿しいなどと一蹴する事ができなかった。
事実、魔王城の構造図は秘密の隠し通路まで描かれており、監視の目をくぐり抜けて行った時に確認すると本当に図に描かれていた通りの通路があった。
相沢のことは憎きライバルだと思ってはいるものの、クラスメイト達のため、ひいてはこの世界のために協力する事が出来るくらいには智紀は信用していた。
「この計画が成功すれば冬香の元に辿り着けるはず…」
冬香の本気を見たことがない智紀にとって冬香は常に隣にいるべき存在であり、自身の行動理由となっていたのだった。
ー後日ー
そして遂に時は訪れる。
大きな地響きと共に地鳴りが起こった。地下にあるにもかかわらず地上から悲鳴とその慌ただしさが伝わってくる。智紀の牢屋の見張りをしていた兵士達も外で起こっている事態を収束するために大急ぎで外に出てしまい、あたりは静まり返っていた。
智紀は“今がチャンスだ”と思い、ほかの牢屋にいるクラスメイト達に聞こえるほど大きな声で叫ぶ。
「今こそここから脱出する時!そして僕たちが手にできる最後のチャンスだ!武器を使って檻を壊せ!!計画通り全力で脱出するぞ!」
「「「「「おーーー!!!」」」」」
地下牢にクラスメイト達の声が響き、それと同時に金属と金属が擦れ合う音、破壊される音が響き渡った。
智紀自身もこっそり手に入れていた聖剣を使って檻を壊して全速力で外の集合場所へ向かった。
♤ ♤ ♤
魔王城の裏手にある森、そこにクラスメイト達は全員集合していた。相沢がどこからか盗んできた東大陸の地図を見せながら西大陸までの経路を説明した。
「この森は魔王城を囲むようにしてある山脈の一部。だから山脈を越えてその先に広がる草原を真っ直ぐ抜ければ西大陸に行ける港に着く。これが最短で行けるルート。魔物も多いし西大陸よりも強いけど無理やり突破する。先頭は高島と藤田、真ん中にサポート役として立野。殿は俺と優がやる。魔物の大群が襲ってきた時は走って前に進む。それでいいか?」
ほぼ完璧とも言えるそれに異議を唱えるものはいない。
「よし。ではその作戦で行くぞ!時間が少ない上にバレたら必ず追っ手が来るはず。急ぐぞ!」
こうして智紀達は森に向かって進むのだった。
自分たちの力がどれだけ足りないのかも知らずに……
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