21、魔王城からの脱出・後編
「くそっ!まだ山脈に差し掛かったばかりなのに魔物が多すぎる!!」
「後衛!早く前衛の回復を!!」
「なんでAランクの魔物がうじゃうじゃいるのー!」
「このままでは前に進むどころか全滅すらあり得るぞ…」
智紀達は山脈に棲む魔物の大群に囲まれていた。そもそもAランクの魔物とか西大陸にはAAランクダンジョンに行かないと殆ど遭遇しないし、ましてや智紀達最精鋭の人がCランクダンジョンまでしかクリアしていないのに他の人がAランクの魔物と太刀打ち出来るわけがない。既に隊形が崩れている。
私は木の上でのんびり他人事のようにその光景を眺めていた。実際他人事なんだけど
しかし今私にはこの状況をどうやって利用するか考えていた。
私の影をちらつかせつつ、智紀達を無事に西大陸まで誘導し、かつ拓人と優が抜け出せるような状況を作り出さなくてはならない。
うーん、難易度高すぎでしょ。超が3つつくくらいハード。
とりあえず前と横の魔物を魔法で消した後、前に港までの道を作れば良いかな?いや、山脈を抜けるくらいまでの道でいいか。流石に港までは長すぎる。
私は智紀達のすぐ横にある木の上に立ち、範囲回復魔法とオリジナル広範囲凍結魔法の氷華・青薔薇地獄を展開、発動させる。
その後、魔物除けの結界を張って道を作る。結界を可視化させて誘導用の光を作ることも忘れない。
そして智紀が驚いてこちらを見たタイミングで姿を消す。
完璧だ。
魔法を4つ同時に展開することとか普段あまりやらないから大変だった。
簡単にやっているように見えて実はめちゃくちゃ大変なんだよこれ。広範囲魔法は魔力の出力の調整が難しいし、結界の可視化とかめちゃくちゃ面倒な術式だからね。
まあ智紀達が無事山脈を越えて、予定通りさっさと西大陸に行ってくれればこの手助けは無駄にならないよね…?
♤ ♤ ♤
無事に?智紀が結界の道を進み始めた。このまま何事もなければ港まで辿り着けるだろう。
ただ、唯一の懸念点は桃香だな。
桃香、拓人が
「俺と優のことは良いからさっさと先に進め!」
と言った後に
「2人のことが心配だから私も殿にいるわ!」
とか言って殿の方に走っていっちゃったんだよね…
智紀も了承してしまったし、ちょっと面倒なことになりそうかもな〜。まあ、桃香のおかげでみんな前に進んでいるんだろうけど。
桃香は拓人と優がなんとかしてくれるだろうし、今のところ放置でいいかな。まだ少し心配だし私はこのまま見守ることにしよう。
全ては目的を完遂するために………的な?
読んでくださりありがとうございます。
なんとPVが1300を超えました!本当にありがとうございます!
評価など良ければよろしくお願いします。




