第12話 佐藤陽菜と今野創太
陽菜が立ち上がった。もう響子は今野の味方をする気らしい。何、それ?
「後から出てくるって今野、どういうつもり?」
創太は穏やかに返した。
「悪いとは思ってる。週末に読んだ小説があってね」
「それが何の関係があるの?」
「いやね。その中で文化祭の最中に料理コンテストがあって面白かったんだよね。で、カフェ案やクイズ案を聞いていて合わさったような案に出来そうだなって今、思いついた」
「ふーん。あんたの案のメリットは何?」
創太は自説のメリットではなくカフェ案のデメリットを挙げて引導を渡す事にした。
「カフェの場合、準備も当日も大変。あと3年E組のコスプレ以上に何か仕掛ける手が出てこないと集客も大変な事になりかねない。お料理研も今年は研究成果を食べてもらう場を設けるから悪いけどここでもバッティングがある。料理コンテストは頑張るのは出場者、次いで審査員。前日の準備負担は少ない」
陽菜はため息をついていた。あと一押しかなと思う創太。
「クラスのみんなが面白くないと思うようだったら謝って引っ込むつもりだったけど」
そう言って創太は両手を広げて周りを見回した。
陽菜には敵方の健闘を認める度量はあった。
「そうね。確かにみんなの反応は悪くない」
陽菜は紅麗亜の方を見た。彼女は陽菜の言いたい事は分かったようで頷いた上で立ち上がった。
「陽菜と私はカフェ案を撤回します。料理コンテストでいいです」
悠太は思わぬ展開に左手で頭を掻きながら黒板消しを持つとカフェ案を消した。残ったのはクイズ大会案と料理コンテスト案だけとなった。




