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世界を歩く少女 えぬ  作者: tomo
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の乃かとお父さん

目が合った。お父さんと目が合いました。大きな公園に行くには、噴水の広場から駅前に続く横断歩道を通らなければいけません。その近くににはお父さんやマヤちゃんや、マヤちゃんのお母さんがいます。


ショウくんがマヤちゃんに気づいて「あれ、マヤがいる。あいつの乃かのこといじめるからな。行こうぜ」と言いました。アンナちゃんも「マヤも悪い子じゃないんだけど、の乃かに冷たいよね。早めに行こう」と言って 立ち上がりました。


そうして、チョコレートを食べ終えたの乃かたちは急いで出発することにしました。横断歩道を渡り、駅の入り口の階段の前まで来ました。の乃かはあまり顔を上げることができませんでした。顔をあげたらお父さんがこっちへ来るのが見えそうで怖かったからです。


「の乃か」


突然、声が聞こえました。お父さんでした。やっぱり、の乃かたちの方に近づいてきていたのです。


「お前、余計なこと言うなよ」


よくわからなかったので黙っていました。


「あいつらと、一緒にいるのを見たっていうこと、母さんに言うなよって言ってんだよ。わかってんのか」


なんでお母さんに言っちゃだめなんだろう。マヤちゃんたちといったい何をしていたんだろう。やっぱりわからなかったけど、またお腹の底からムカムカが上ってくるような気持ちになりました。お母さんは具合が悪いのに。の乃かはいっぱい頑張っているのに。


「もし言ったらお前、どうなるかわかってんだろうな」


お父さんがしゃがんでの乃かの前髪を掴みました。の乃かは睨まれましたが、怖い気持ちよりもお父さんを許せない気持ちが強くなりました。


「絶対お母さんに言う」


の乃かの口から言葉がこぼれ落ちたようでした。


「ああ?」


「お母さんは具合が悪いのに。お母さんを置いて何かしてるんでしょ。の乃かにはわからないけど、お母さんに言えばきっとお母さんはわかるもの。だから言っちゃいけないんでしょ。お母さんが怒るようなことしてるなら、絶対、言ってやる」


「てめえ!」


前髪を掴まれたままの乃かは投げられました。転んだけど、痛くありませんでした。

「の乃か!」とすぐにアンナちゃんが来てくれました。ケイくんとショウくんがの乃かの前に立ってお父さんから守ってくれました。お父さんは大人なので身体も大きくて怖かったと思うけど、二人とも立ってくれました。


マヤちゃんのお母さんが走ってきてお父さんの肩に手をかけました。


「ちょっと、何やってるの」


とマヤちゃんのお母さんに言われ、お父さんは少し落ち着いて「まあ今さらどうでもいいか」と言って戻っていきました。マヤちゃんのお母さんは、の乃かたちの方を見ていましたが、歩きながらお父さんに何か伝えられた後はとくに気にせず行ってしまいました。


二人が戻っていった方向には、水色のワンピースを着たマヤちゃんが驚いた様子で立っていました。そして、3人はの乃かたちから離れて歩いて行きました。マヤちゃんは何度もこちらを振り向いて、睨むようにしての乃かの方を見ていました。


ケイくんとアンナちゃんとショウくんがの乃かのことを心配してくれましたが、の乃かは「大丈夫」と言って冒険を続けることにしました。お父さんのことは特に三人には伝えませんでした。せっかくの冒険をつまらなくしたくなかったからです。


そして、大きな公園で桑の実をいっぱい採って食べたり、花の蜜を吸ったり、宝石のような綺麗な石を見つけたり、最後には皆でおにごっこをしたりして楽しく過ごしました。




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