拝啓 五月十一日 ザラドお父様へ
お父様が戦地に赴いている間、ロザリアーナは寂しゅうございます。お母さまもアンジールもひどいんです!政務に掛かり切りで、ちっとも遊んでくれない!皆どうしてわたくしを退屈させるのでしょうか。
それに、最近はお歌の練習相手の質も下がって熱が入りませんの!しばらく自重するように、とお母さまは言いますが、“しばらく”とはどれくらいの期間なのですか?お父様からも言ってくださいまし!少女を独り占めするな、と!地下も静かになってしまい、とんと落ち着きません。もっとにぎやかにしたいですのに。どうしてわかってくださらないのでしょうか?
それにアンジールも最近はかまってくれません。いつもくらい顔をして、わたくしの夫となったのに、何が不満なのでしょうか?メイドもメイドです!アンジールに色目を使って!立場を弁えていないようですので、お父様に教えてもらった方法で教育してみましたの。そうしたらなんとお歌の上手なこと!胸に迫るような美しい声、ダンス!わたくしいたく感動してしまいまして、声がすっかり枯れてしまいました。あぁ、なんて熱い夜だったのかしら。しばらくはメイドでお歌の練習をしてもよろしいですか?代えならいくらでもききますし、よろしいですわよね?
そういえば、最近教会の方々が来ましたの。お母さま、何か悪いことでもしてしまったのかしら。でも、お部屋で難しいお話をしていましたのですが(わたくしも同席しました!)、最後は笑顔で出て行かれました。お母さまも私も毎日欠かさずお祈りを捧げておりますから、神も褒めてくださっているのかしら?
ねぇ、お父様。わたくし、聖女に選ばれてしまったらどうしましょう?なんて!冗談です!ご武運を祈っておりますわ。ザラドお父様!
かしこ
ロザリアーナより




