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【連載版】「もう会うこともあるまい」と手紙で私を捨てた元婚約者様へ。あなたが食べたそのお菓子、毒よりおそろしい「真実」が入っていました  作者: 佐倉美羽
CASE3:或る奇術の真実〈バーナム通り殺人事件〉

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帝都ゴシップ紙『デイリー・トーチ』特別寄稿

【ささやかな案内状】


この物語を手に取ってくださり、ありがとうございます。

本エピソードで読者の皆さまにご提示する謎は――

「如何なる手段を以て」。


そして、貴夫人にして稀代の奇術師、ベアトリーゼ。

彼女が隠している“秘密”とは何なのか。


真実は、作中11月13日。

一通の手紙によって明かされます。


そして、偉大なる先駆者 Ronald Knox への敬意を込めて、

この場を借り、一つだけ真相に関わる事実を先にお伝えします。


――奇術師ベアトリーゼは双子である。


そして、この事実こそが本エピソードの根幹です。

さあ、これで種も仕掛けもございません。


ライラとともに推理を巡らせるもよし、

結末に驚かされるもよし。


どうぞ、物語の終わりまでお付き合いください。

【法王庁のメンツは丸潰れ!?】ノクタリカの“隠者”、今度は「聖者」の化けの皮を剥ぐ

 ――捜査官が三ヶ月迷走した「北領神隠し事件」、解決まではわずか一通の書簡――


 またしても彼女だ。帝都リステラの静かな屋敷に引きこもる若き令夫人、ライラ=ロ=ノクタリカ(ライラ・フェルネスト)。

 先般の「愚者の毒事件」で法王庁から感謝状を贈られたばかりの彼女が、今度は領地を跨いで帝都まで震撼させていた「黄金律の聖者」による連続神隠し事件を、鮮やかに「終結」させた。


 事の次第はこうだ。

 北領の村々で、敬虔な信徒たちが「天に召された」として次々と姿を消した事件。法王庁の精鋭捜査官たちは「神罰による超常現象」の可能性すら示唆し、三ヶ月もの間、的外れな聞き取りに時間を費やしていた。


 ところが、どうだ。被害者の家族から届いた一通の相談文に対し、ライラ夫人が返した返信はたったの三行。

「その聖者が撒く聖水、ただの塩水ではありません。特定の草木の灰を混ぜ、夜目に光る小細工を施しただけのものです。そしてなにより、この脅迫文は“聖域”ではなくホテルで書かれたものですよ」


 この指摘をきっかけに、事態は急転。聖者の正体は、五つの領地で指名手配されていた伝説的詐欺師「銀舌のジャック」であることが判明した。消えた信徒たちは天に召されたのではなく、地下の秘密鉱山へ売り飛ばされていたのだ!


 ■無能な大組織 vs 孤高の知性

 驚くべきは、ライラ夫人が一度も現場に足を運んでいないという事実だ。

 法王庁の捜査官たちが豪奢な馬車で村々を練り歩き、血税を浪費している間に、彼女は暖炉のそばで茶を啜りながら、脅迫文の「インクの掠れ」一つで犯人の居所と次なる犯行計画を完璧に読み当てたという。


 法王庁の広報官は本紙の取材に対し「彼女の協力は認めるが、法王庁の組織的捜査の賜物である」と苦しい弁明を繰り返している。だがしかし、もはや帝国民たちは知っている。我々の安全を守るのは、荘厳な大聖堂ではなく、帝都フェルネスト家に住む「ただのライラ」であることを。


 デイリー・トーチは今後も彼女の活躍に目が離せない。水面下に蠢く未だ見ぬおぞましい巨悪が“ノクタリカの隠者”よって白日の元に晒されることを願うばかりだ。

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