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【連載版】「もう会うこともあるまい」と手紙で私を捨てた元婚約者様へ。あなたが食べたそのお菓子、毒よりおそろしい「真実」が入っていました  作者: 佐倉美羽
或る兄妹の秘密〈灰色の狼事件〉

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拝啓 3月26日 ライラ=ロ=ノクタリカ 先生へ

 お手紙ありがとうございます!

 その1:上手く書こうとするな。

 その2:夜に書くな。

 その3:短くていいから取り繕わず、思っていることをありのまま伝えるべし。

 ですね!わかりました!やってみます!


 タイプライターの件なんですが、先生が打てないなんて意外です。先生にもできないことがあるなんて、なんだか安心しました。家でタイプライターが打てるのは母と兄、あとマールさんが少しだけできます。恥ずかしながらわたくしもまだまだでして……。ルイくんは全然です。あと、ルイくんは字もへたくそです。トカゲのしっぽみたいな字を書きます。本人は「オレが読めたらそれでいーの」って。わたくしは「それはどーかな」と。ルイくんはとても女の子にモテるそうですが、わたくしはもっとインテリジェンスを感じる殿方が好ましいと思います。ライラ先生はどうですか?


 あの夜、兄はわたくしたちが馬車に乗って出て行ったあと、ルイくんと軽く飲みに行ったそうです。1時間もしないうちに帰ってきて、そのあとずっとため息をついていたってマールさんが。マールさんがおやすみを言いに行った時も、ひどくゲッソリとしていたって言っていました。事務所からはずっとタイプライターの音がしていたんだって。いつかはロジャーの手伝いが出来るようになりたいとマールさんは言っていました。ロジャーもああいう人と結婚すればいいのにと思います。


 ロジャーとは少し気まずくなりましたが、今はへーきです。相変わらず口うるさいですが、仲直りしました。心配してくれてありがとうございます。


 恋文の案は……恥ずかしいので先生には送りません。乙女の秘密です。どうかお許しください。


 かしこ

 アンナ・パーカーより


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