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【連載版】「もう会うこともあるまい」と手紙で私を捨てた元婚約者様へ。あなたが食べたそのお菓子、毒よりおそろしい「真実」が入っていました  作者: 佐倉美羽
或る兄妹の秘密〈灰色の狼事件〉

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拝啓 3月24日 ライラ=ロ=ノクタリカ さまへ 1/2

ライラ様のお手紙が郵便受けに入っていた時、目が飛び出るかと思いました。心臓も口から飛び出しそうになって、どうしていいかわからず部屋に駆け込んで、ジュエリーグローブをつけながら手紙を開封しました。震える手で慎重にロウを切り取って、ピンセットで手紙をつまみだしながら、目に焼き付けるように拝読いたしました。今は額縁に納めて部屋に飾っています。


 お手紙ありがとうございます。ぜひ、ライラ先生に教えてもらいたいです。ありがとうございます。

 まずは、わたくしの自己紹介をさせてください。家族について。母、ジェーンと年の離れた兄、ロジャーがいます。ですが少し込み入った事情がありまして。実を言うと兄、ロジャーとは血のつながりがほとんどありません。ロジャーは父の連れ子だったのですが、ここもまたややこしく、ロジャーは父の妹の実子。つまり甥と叔父の関係なんです。ロジャーの両親が亡くなって、ロジャーは父に引き取られた。父は母ジェーンと結婚して、わたくしアンナが生まれた。そして、父はわたくしが物心つく前に逝去してしまった。という形です。


 家族仲は良い方だと思います。母は仕事人間なので、家事手伝いが来る前は家のことをほとんどロジャーがしていました。そういうわけで、ロジャーはわたくしに対して少し口うるさいです。好き嫌いするなとか、夜更かしするなとか、友達選びにも口を出してくることがあり、最近は特にうざったくて、過保護すぎて嫌になります。あ、勘違いしないでくださいね。普段はよく演劇に連れて行ってくれますし、小さい頃はわたくしが泣いていると一番に飛んできてくれました。とても仲良しです。母の商売も手伝っていて、最近は夜遅くまで外に出ていることも多く、何をしているのかは教えてくれません。家ではずっと雨音のようにタイプライターの音が聞こえてきます。兄は22歳ですが、ゆくゆくは母の商売を受け継ぐのだろうな、なんて。


 母、ジェーンは毎日働いています。仕入れや営業、帳簿の管理など、大忙しです。そのかいあって家は裕福になり、今では家政婦のマールさんや庭師のルイくんが家のことをしてくれています。兄の負担もなくなって、とても助かっています。ちなみに、ルイくんはマールさんのことが好きみたいです。こっそり教えてくれました。ですが、わたくしから見て、マールさんはロジャーのことが好きなんだろうなって思います。兄と話すとき、いつも声が一段高くなって、ニコニコしているからです。ルイくんは優しくていい人ですが、マールさんの想いには気が付いていないようです。ロジャーとルイくんは年が近いこともあってよく飲みに行っていますので、わたくしは少し複雑な気持ちになりました。


 わたくしも母の手伝いをするようになって、ようやく1年経ちましたが、今では商品にも触ることを許されるようになりました。さる常連の高貴なお客様にも頑張っているとお褒めの言葉をいただきました。今度、お屋敷で詳しくお話が聞きたいとまでおっしゃってくださいました。ですが、わたくしには荷が重いと困っていたら、兄がすぐに横から入り、自分が参りましょうと助けてくれたんです。ホッとしました。


 こんな調子ですが、いつかは自信をもってお客様にも美しい宝石をお求めいただけるようになりたいと、日々勉強しています。ちなみに、お気に入りの宝石はブルーゾイサイトです。なんとこの宝石、見る角度によって色が変わるんです。理由はわからないのですが、見る人によって違う宝石に見えてしまうんです。アレキサンドライトというよく似た石があるのですが、わたくしはブルーゾイサイトの方が落ち着いていて好きです。蒼穹の青、黄昏の赤、星河の紫。空の欠片のようなこの宝石は、夜会でも静謐な輝きを放つこと間違いなしです。


 ここまでが、わたくしの家族の話。すみません、どう書いてよいかわからずに散らかってしまいました。続いては、仮面舞踏会での話をします。ここで実はトラブルがありました。

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