処置記録(抜粋)
ロメロ邸・管理室
記録者:メイド長エリザベート
・破棄対象:二一三、二一五、二一六
当該番号については既定手順に従い対応済み。
二一三:栄養失調により昏睡、回復見込みなし
二一五:発熱持続、意識混濁
二一六:自傷行為の反復、管理困難と判断
※地下三号室にて順次処理
※遺体は夜間に東門より搬出、焼却場へ
・二一一について
御息女のご意向により、特別房へ移送。
扱いは例外規定を適用。
※当該対象、ディオネス領の貴族令嬢
※外見良好、教養あり、歌唱に適性
※ロザリアーナ様より「練習相手として残す」とのご指示
※特別房は地下一号、鍵管理は奥方預かり
※食事は通常配給、清潔維持を指示
※当面は週二回の練習に使用予定
・資材関係
奥方より赤系染料不足の申告あり。
※※区画より確保の見込み。
※先週処理分より採取量減少
※新規補充対象の選定を急ぐこと
※染色担当より「鮮度重視」との要望
※次回仕入れは南区画を予定
・使用人関係
事情聴取後、記録抹消のうえ処理。
外部への波及なし。
※新任メイド・マリアの件
※地下への無断侵入を確認
※「掃除の途中で迷った」と供述
※信憑性低し、口封じ実施
※雇用記録は「自主退職」として処理
※家族への連絡不要(天涯孤独と確認済み)
・婿殿に関して
当面のあいだ別邸にて静養。
対外的には「体調不良」として周知。
※五月二十八日夜、婿殿が地下施設に侵入
※二一一号室前にて放心状態で発見
※手には未投函の書簡(宛先:ライラ=ロ=ノクタリカ)
※書簡内容、当家の機密に触れる記述あり
※奥方の判断により別邸へ隔離
※主治医には「過労による神経衰弱」と報告
※鎮静剤投与、面会謝絶
※書簡は焼却処分
※婿殿の部屋より類似の下書き三通発見、併せて処分
※当面、外出・来客・通信すべて不可
※回復の見込み:不明
・その他特記事項
※地下施設の湿度上昇、換気設備の点検必要
※二号室の鎖に緩み、補強を指示
※ロザリアーナ様の「練習」頻度増加
※近隣住民より「夜間の物音」について問い合わせ
→「改修工事」と回答、納得された模様
※次回の補充は十名程度を予定
※東区画の孤児院と調整中
以上、確認のこと。
※本記録は閲覧後、速やかに焼却すること
※複製・保管を禁ず
ロメロ邸メイド長
エリザベート・シュナイダー
五月二十九日
※ロメロ邸メイド長の机より発見




