Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #08
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #08
出てすぐの扉は開かない ここを開けようとドアノブを回すと隣人が出てくる
首が真横に折れ、包帯が外れかかり、黄色い肌と骨だけの女性 身体の筋肉はほとんどなく、眼窩は落ち込み、それなのに歯だけは丈夫そうに揃う その腹部はぱっくりと空洞で、内臓が垂れ下がり、液体が漏れ落ちている 歩きづらいのか、歩みはゆっくりだ
それでも追いつかれる
ドアは3つ 出てきたドアを除くと、中の2つのドアはどれも開かない 開けようとするだけ無駄 だが、やらないという選択肢はない
歩みは遅い 彼女の方も同様 次のドアノブに手をかける 開かない 焦りだけが募る しなければいい? なぜ? この追いかけっこもゲームの醍醐味だ それにしても…なぜ手を前にして追いつこうとする? そのゾンビ歩きはデフォなのか? 笑ってしまう
3つ目のドアノブに手をかける すんなり開く 中に入る ドアは勝手に閉まる
痛い やめて 殺して ごめんなさい 殺してやる 痛い やめて ごめんなさい 殺してやる 殺して 痛い やめて 殺してやめて 痛いやめて 殺してやめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて やめて……
部屋の中には、灯りの灯った蝋燭が一本 真ん中に立った背の高い燭台の上に置かれている ベッドも何もない 窓には斜めの格子 床は金網だ 生暖かい風が吹きあがってくる 風に乗って鉄のようなむわっとする匂いに酔う
壁一面に黒一色で、そんな言葉が綴られている 天井にもどこにもそんな言葉だけが書かれている
ドアノブが回る 燭台を避けて奥へと進む ドアが開き、隣人が姿を見せる
ゲームをクリアするためにはこの燭台と蝋燭が必要になる それぞれ4つ ここにひとつ 西棟の所長室にひとつ 地下の霊安室にひとつ どこにもない屋上にひとつ
それをそれぞれ、所定の位置に安置し蝋燭を灯す これがこのゲームをクリアする条件
燭台と蝋燭もアイテムとして数えられる 燭台は杖の代わりになる 松葉杖より威力は弱く、すぐ壊れるが、新しい燭台を見つけると以前のものも直る 燭台の上にある限り、蝋燭は決して消えず これでバケモノを倒すことができる
バケモノは蝋燭を怖がり、その先に来ようとしない アイテムにはオイル、スプレー缶、紙くず、古新聞紙、そんなのがある よく探せ どこにでもあるものが命綱になる バケモノはこの蝋燭の火でしか倒せない
隣人も入り口付近で立ち往生し、それ以上、奥へと来ない
火を怖がる それはバケモノも動物も変わらない
オヤスミなさい




