Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #09 改
※2026/06/04改稿しました
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #09
しまった、いけない ゲーム信奉者として攻略法を先に暴露してしまう行為は厳禁だ 他者の楽しむを奪うことは誰であろうとしてはいけない 恐怖も栄養 それを楽しめない奴は人生のほとんどを無味乾燥した、競争に費やしていることになる かわいそうに…この世には捨て去っていいものと、捨ててはいけないものがある
簡素な安寧はのちの苦痛
苦痛も苦悶も 快楽 それを知らない奴は…まあいいか……
入口に陣取った隣人は戸惑ったふうに動かない 蝋燭には近寄らない だが出口はその背後にしかない ここから出る手段はふたつ
〉燭台を倒し、隣人を燃やす
〉システムからやり直しを選択する
システムを選ぶことはしない 主義に反する? そうではない……
燃やすしかないか……
火はあらゆるものを浄火する 燭台を隣人の方に倒しさえすれば、すぐに火が付き、悶え苦しんだ挙句、この哀れな病人は、痛みが消え去り、災いから逃れて、ありとあらゆる災禍から解放されて、健やかに昇華される 灰と化し、召される これで安全に廊下へと戻ることができる…本当に?
笑ってしまう
ここで蝋燭を使う それはミスを誘発するための罠…トラップだ こうして斃すことができますよ? という実演を兼ねているように見える作為的な誘導がここに潜んでいた
一度使った蝋燭は消える 消えた蝋燭を再び点けるには点火装置…マッチが必要 しかも特殊な ライター? そんなものはない
マッチ かなり先にならないと入手できない その間、これら蝋燭と燭台はアイテム所持制限に引っかかる…どこかに置いておけばいいだけだが…最重要アイテム 簡単に手放せない、という心理がそこへと働く 結果、ほかのアイテムの所持を放棄して、行き詰る いくつも巧妙に張り巡らされた絡まる災い
ゲームを始めてすぐ この隣人を倒すにはここの蝋燭を使うしかない 燭台を倒して、隣人を斃す そうした奴らがこのあと、無事に逃亡できた、いう話しは噂でもレスでも、コミュニティでも聞かない 大抵は投げて終わった
ここで隣人を撃退 ここを出た後のほかのバケモノに対抗できない 初期の蝋燭はここだけ 燭台と蝋燭は持ち運ばなければならないが、いまではない
マッチ 豪勢なマッチ箱の中に使えるものはたった8本だけ 最期の逃亡のために最低4本は残さなければならず 倒せるバケモノは元からある炎と足しても8体だけ
病院には8体以上のバケモノがいる 強気になって使いすぎて…貶められる罠
そんなものでこのゲームはできている
詰んだな 想定してはいたが…笑いがこみあげてくる 通常 ESCなり スタートボタンなりを押して システムを呼び出し
〉リセット
〉ロード
〉再開
のどれかを選択 だが肝心のシステムにアクセスできない ウィンドウが開かない どこにそんなボタンがある? それ自体がない
………
これは現実であって、ゲームではない
どこか 高名な人物が発した忠告…に似た言葉 お遊びで生きながらえることができる奴ほど…まあいいか……
金網の上 ご丁寧に円形に黒い線が引かれ 見る角度によって魔法陣が完成する 中心には燭台 魔法陣は壁まで及び、一部は…少女が書いたような丸い悲惨な可愛らしい文字と被っている 魔法陣を形作る線の上に救済を求める文字が並ぶ
燭台を中心に隣人と対峙する ブラックホールに巻き込まれる物質のように、縁に沿って回り込む
どういうわけか? 隣人はそれをきちんと見ている 認識している オレが進んだ方向へ同じ方へと歩みだす 立ちふさがるように 最も近づく位置をキープする そこから奥へと入ってくるか? と思ったら、来ない 律儀に、扉の前から一定以上の位置には進まない 離れない オレがそのそばから離れると元の位置に素直に戻っていく ドアの前に居座る なんて従順で可愛い女なんだか……
喰われるしかない、か……
脱出する手段 それしかない
わざと近づく 燭台を超えて 立ち止まる 隣人が反応する ただ待つ 横に人が一人、通り抜けれるような隙間を作って、呻き声を上げて隣人はなまめかしく近寄る この隙間を…と思う間もなく 抱きつかれ 組みひしがれ 噛みつかれ 喰われた
その歓喜に隣人が戦慄いた
+PredingDead




