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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ  作者: 桜葱詩生


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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #173


セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #173



そんな風に少年が愉快に煽る…どうしてこう、自尊心と自己顕示欲の強い、完済人に似たバカな人って、なんでもかんでも相手に教えたがるんだろう? 優越感マックスで語りたがるんだろう? 虚栄心? 上手くやっているのに褒めてもらえない心の穴を埋めようとする? さっきまでひとりでやっていた独り言のように少年ははしゃぐ(・・・・) それが可愛いとか思う人もいるかもしれないけど…ばかみたい その陽気に声を上げる少年の姿を 少女が首をかしげて、理解できないという瞳で見つめていた 怖気が走る…先ほどから発せられている異臭を放つ違和感 気がつかないのなら教えてやる必要もない…そんな仲良くもなってないしな……



知らず知らずのうちに、左の腰に手を当てて出血をなんとか抑えようとしている自分がいた…やらなくてもいいとは思っている? 身体を害する被害を最小限にしようという心理が心のどこかにある…死に戻るのだから逃げ回る必要もない…はずなのに回避をする 楽しいから? このやり取りをもっと楽しみたい…生きている予感? 左手で持つ固い枝がその目論見が低いことを誇示し、早く処置をしないと、という焦燥感を煽る…生きているのならそうするのが一番だけど ここでは人が思うあらゆる煩わしさを気にする必要はない 背中の傷には手が届かない…手が出せない? 放置するしかない…その痛みで体が動くことを拒否する 無意識的に傷口が広がるような動きを、身体を伸ばすことを嫌う…背中の傷の方が危ないと感じているのに? 痛みが和らいだ箇所の病傷をひとは放置しがちになる ギブスが重い? ナイフの重さが増していくのに呼応して、出血量が増えていく 揺れる? 振り子の原理が瞬間の動きを邪魔する 反動が逆向きに作用して、勢いを殺す


「フッ」


そんなの 鼻で笑ってやる なんてこともない……



「なに鼻で笑ってんだよ? お前! 余裕ぶっこきやがって…ああ? 痛みで頭、おかしくなってんじゃねえよ…きちんと痛い、痛いって叫んで…おれを満足させろよ! 助けてって…頭、床に押し付けて泣いて頼めよ…ええ? そんなことぐらいできねえのかよ? おまえっ!」


「そんなことをしたって助ける気はないんだろ?」


「ああ? あたりめーだろ? なに期待してんだよ? お前? ここは人同士が殺し合うところだろ? そう言っていたじゃねえか? すげー良いところじゃねーか? ああ? 最高だぜ! しかもこんなすげー能力(姿)までくれて…しねー訳ねえだろうが? ああ? そうしろって頼まれて、行き還ったら、金までくれるって…殺さねーわけにはいかねえだろうが! 殺して殺して、殺しまくっていいだなんて…スゲーじゃねえか! こんな気分は味わったことがねえ…それだけでも最高だぜ!」



頼まれた? 行き返ったら? 節々に宿る、行動の違和感…ただ、確かめることはできそうにない 違うな…もともとオレも他人様(ひとさま)に興味はない どうなろうがどうでもいい…多少の融通はしたが こいつにそんなのをする必要はない



「おれは選ばれた! おれだけがここで自由にできんだ…邪魔されずに、殺し(楽しみ)まくれるんだよ! 選ばれたおれが、殺されるためにいるお前らをどうしたっていいだろうが? ああ? それすらわかんねーのかよ? このごみがっ!」


「そうか……」


もういいだろう…はっきりとはしていた 血液不足による意識混濁もない 身体的拒絶も治まった…痛みは酷いが痛いだけ キャラクターの動きにはさほど作用しない 多少だが…お返しも手に入った…作った、ともいう


このゲーム 体力回復は動かないこと 特にしゃがんで動かないことで、その回復は早くなる…少しだけだが…画面の揺れはもうない 時間フラグは溜まっちまったが…もう満杯を超えている イベント中は(起こ)らない どこまで行ってもオレたちは腐った女神が持つ天秤の上でバランスをとるだけの小さな存在 立ち上がることもこれででき…! なにかが耳の裏で囁いた 小さな、気づかなければ雑音と聞き流すほどか細い女の声


動くな、と……



「なにがそうか、だっ! てめー、おれを()めるのもいい加減にっ…があっ?」



少女が少年を刺した

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