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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ  作者: 桜葱詩生


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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #172

※2026/06/23調子にノッて書いた文章を1部変更しました 投稿する前の短い時間で書いたエピソードはやはり違和感しかありません


セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #172



きれいなままで双子が揃う 待合室は元のゲームから リスタート地点と同じようにきれいに作られていた…表面(おもてめん)のように それが剥がれ、落ち、くすんでいき…本音を曝していく


少女が椅子から離れても変化はしなかった…もはやこの世界に、リスタート、という措置そのものが無くなったとでもいうように 壁の表面に貼られた温和な淡い色彩のテクスチャーが紙のように捲れ剥がれ落ちて、黒い光の粒子になって部屋に充満していく 天井も同様に 熱せられたプラスチックが溶けるように失われていく 唯一、床に残った魔法陣(シジル)だけが元の待合室の記憶を語る…これも元はなかった 周囲には、灼けた鉄の飽和した熱気となまもの(・・・・)が腐敗した臭気 吐く息が白い なのにどこか生暖かい


凄惨な病院の風景…ゆっくりと見せつけるように、待合室もが、その情景へと変貌していく 黒 赤 褐色 錆びついた色が浮き、その色を背負って双子が凛とした姿勢で並ぶ…こんな時には二人仲良く、手を繋いで迫る…のだとは思うのだが、そういったサービスはない その輪郭はどこにも光源らしきものがないのに光輝き、金色色を魅せる 二人ともにダメージらしいダメージはない…与えてねえからな さてこの状況 どう切り抜けるか…そんなことは分かりきっている


死に戻る ただそれだけ このゲーム 死ぬことで得る フラグが立つ どこかへと行けるようになる 得ものは得た いくつかの情報も…それがどこに繋がるのかまだわからねえが…それは死んだ後でいい その時になれば繋がる 残るは…きちんとイベントを終わらせた、かどうかだけ でねえと、戻ってもまた初めからやり直し 永劫に、同じリドル(謎解き)を続けさせられる 永遠の監獄…それだけは避ける



「お姉ちゃん、こいつは僕にやら(殺さ)せてよ…上手に切り刻むからさ…いいだろう? もう絵本を読むのも、あそこに座ったままでいるのにも飽きてきちゃった…上手くやるからさ? いいだろう?」



柱に括り付けられていた屍体が、押さえつけられていた力が切れたように、地面へと落下した 水に濡れて重くなった袋が落ちたような鈍い音と飛沫 強くなる腐臭…お前たちのか、少しぐらい小奇麗にしておけ…蹲った先で蠢きはじめたソイツらは それぞれの起き上がり方で重力に反するように体を起こし 脳に障害を負った人物がそうなるように 身体を小刻みに揺らしながら…その場で、まるでそれでなにかの奇跡か結界ができるとでもいうように両手を上げて祈り出した ただその姿は…人数の少ないケチャをやってるようにしか見えない…陽気な音楽が聞こえてくれば少しは緊張感が増したかもしれないが…伝わるのは呻き声 呪詛とオレの心臓の音 そして少年の戯言と…すぐそこの頭が発する呪いの言葉だけ 残念だ



「大丈夫だよ…絶対に逃がさないからさあ…ははは。本当はお姉ちゃんがやり(殺し)たいってのは分かってるけど…こいつは僕がやらなきゃいけないんだ。そうなんだよ…おれが殺さないとカウントに入らないからさあ…ははははは」



満足に動けない身体で 膝をつく(・・・・) この動きをするのがやっと ただ指先にも体にも震えはない 視野の霞もぼやけ(・・・)もせず、画面が左右に微動するエフェクトもなくなった…ただのゲーム的ダメージの蓄積 それによるペナルティはほぼなく…出血はオレになんの負荷も与えない


ゲーム的な性質


それに安堵し、救われる これほどの出血 通常なら気を失って昏倒する すぐに酸素の供給が途絶え、身体の細胞が死滅していき、空になったポンプが空洞挙動を起こして収縮を間違い、脳への血流が細くなったせいで、気を失うように安らかに死寝る ナイフが残る右腕でさえ実際には動く…指先を動かせる 笑いがこみあげてくる 大きな声で笑いだしたい…生きたまま味わえる感覚ではない痛みの刺激に、本当なら分泌されないはずのアドレナリン(脳内麻薬)が高揚感を生み…いまならなんでもできそうな妄想に浸る


もちろん そんなことはない それはただの幻想 幻覚 幻視…怒りの感情に我を忘れたら、それはひとではなくただの野獣である…誰の名言? さあ覚えてない……



「これでもっと楽に稼げるぜ! お前には感謝してるんだぜ? おれを開放してくれて…感謝カンゲキ雨強しってやつだ…へへへへ。だから楽に殺してやるぜ? まずは足の腱を切り落として、腕をだめにして…それからちょっとずつちょっとずつ、切って行ってやるから…逃げんなよ? もっと楽しもうぜ! おれに生きている実感を与えれくれよ! なあ? あはは、あはははは、アハハハハハハハハ!」



その三段笑いもデフォ…もう飽きた 面白いと思ってやる奴の考えは、オレには到底、理解できない……

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