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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ  作者: 桜葱詩生


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Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #166

※2026/06/15誤字脱字を修正しました


セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #166



待合室へと入る 廊下と待合室との境に透明でできた見えない壁 ふたりの世界には誰も割り込めない…との思いは外れた 肩透かし 境界は確かにあった…そこから先は……



床一面に描かれていく幾何学的で左右不対称な魔法陣(シジル) ここに入ったどんなものも、即座に呪われ、肉体が崩壊し骨だけと化し、その骨さえも粉々に砕かれ、塵ひとつ残さず苦しまずに消滅死する、ようなほど禍々しいそれを土足で…生足で踏みつけて、奥まで悠々と進んだ…そんな死に方を人は望むが、手に入らなかった 魔法陣(シジル)を踏むごとに、足裏から熱したフライパンの上で焼かれるような音と湯気…が全く熱くはなく、何かがその蒸気の内に潜む匂いはあるが香ばしくもない 召されていく白い粒子の中には確かに何かが含まれていて、魔法陣(シジル)を構成するあらゆるところを抜けるたびに、それらが安堵と苦悶の表情を同時に浮かべながら…昇華していった。血の線だけでなく何もないところからも。微粒子の中には、きちんと口を開け蠢き、引き裂かれるように伸びて消える、人の顔のようなものが昇って行った。


…なムービー(イベント) このゲーム、意外にムービーは作り込まれている


「?」


自分に声をかけられたのを分かってない、とでもいうように少女はオレを見上げた。なぜかはわからない……が、特徴的な青から緑へとグラデーション(変移)する瞳が、まったく動じてない、といったようにオレを見据えて、声を無視した。全身血だらけ…頭の傷はもう塞がっていたが、流れた血の跡が(かさ)になって残り、不健康そうで無精ひげで髪の毛も爪も手入れもなにもしていない、中年に入りかかった不審人物(男性)から不躾にそんな声をかけられたら…大抵の女性は怯えてフリーズする(固まる)か、悲鳴を上げて逃げ出すか、助けを求めて悲鳴を上げるか…そんな自身の身の安全を優先する行動を本能的に取る…そこに悪気はない、と思うのだが…少女はそのどれでもなく、なにひとつ、悲劇的なことは自分には決して起こらない、と信じている、少女特有の時間の流れの中に位置する、完璧な存在、とするように平然と、少女然として、そこに坐した。隣に座るよく似た少年の方が嫌悪感と焦燥感を顕わに顔に出して、先に声を上げてしまうほどに、その態度は王女然としていた。ただそれは違う角度から見ると、周囲に混乱と不安と混沌をまき散らしている元凶のようにしか思えない……、



…を、少女たちが座る椅子の向こうからの舐めるような絵や、少女のアップへと切り替わる映像で見る サードパーソン(三人称視点)ムービー(イベント)…ただ……


「だれ? お姉ちゃん、知り合い?」


お姉ちゃん?


対照的な双子…どちらかは無表情で感情表現が乏しく、どちらかは表情豊かで落差が激しい…双子パーソナリティとしてその態度はデフォだが…そんなことはあり得ない


少女に弟はいない 少女のあとに新しい命が芽生えた…ほぼムリ あの母親(・・) それなのにふたりは双子のように瓜二つ 背格好 髪の色…ロングとショートで長さは違う パールのような肌ときめ細やかさ 瞳の色…向きが逆だけどきれいなグラデーション 着ている黒い古風(シック)な服も…スカートとズボンと細かい装飾は違うけど それ以外は、性別を入れ替えてコピペでもしたぐらい生き写し 蒼〇石のような美少女とかなら…それはそれでOK、受け入れる 少女に、双子か歳もそう離れていない血を分けた弟がいた…そんな記述も記録もゲーム()はなかった 手に入れてない…隠された真実シークレットオブヒドゥン? なら事実を新しく書き換えるだけ……


「…………」


その問いかけにも 少女は首を傾げるだけで応えた 肯定でも否定でもない答え方 だがそれに少年は、


「ほら、知り合いでもなんでもないって、馴れ馴れしく僕たちに話しかけないでよ…邪魔しないで。僕たちはここにいるだけでいいんだから……」


それを否定と受け取って、同じような首の傾け方で、美しい声でそういった 無害そうに見えて子犬のように激しく吼える反対の言動 双子デフォ 王道(デフォ)のオンパレードに笑いがこみあげてくる


それだけで未熟ということが分かる


「何かおかしい? おじさん……」


「どうしてこんなところにひとりでいるんだい? お母さんは? どなたか家族は? それに…ここはどうしてこんな風になっているんだい?」


「………」


「答えてくれないか…困ったな…ここで待っていなさい、っていわれたのかい? そうか…かわいそうに……」


「………」


「ちっ、なんだまたヘン奴が入って来たな…プレイヤーだと思って警戒したが…そうじゃねえのか……。まさかプレイヤー以外の奴まで普通に入って来て喋るとは思わなかったぜ。構わず()っちまうか? ああそうだったな? わかってるって、プレイヤー以外を殺すと今までの得点が全部なしになるんだろ? ちっ、めんどくせーなあ…そこいらにいる奴ら全員、ゾンビなんだろ? ぶっ殺しても構あやしねえだろうが…なに選んでんだかわかんねーぜ」


「……………」


こいつは誰と話している?


豹変した少年の態度 面食らわないように 表情にでないように 吹き出さないように 堪えた


ここにはそれぞれの意思が介在している ムービー(イベント)であってもそれは継続する…オレは自ら選択し行動はできなかったが…でもそれぞれはそれぞれの思惑で動き回り、きちんとそれにはそれらしい理由(わけ)が付属する…そうでないものもいるかもしれないが 迂闊に自己満足的に刹那的に行動をする そんなことをしたらどうなるかは分かりきっている



相手に真意を悟られてはいけない


まず、わたしは味方です、という顔で近づき、相手を安心させなさい。こちらを信頼させて、鵜呑みにさせなさい。はじめから敵対的な態度をとるのは止めなさい。根源的な失態はそれから始まるのだと、心得なさい。失墜はそちらの方がはるかに大きいと知りなさい。

欺瞞と疑心に満ちたコミュニケーションを罪悪感なしに行るようになりなさい。

それができないのなら、相手の言い分を受け入れていなさい。いつか、どこかの時点であなたの存在に彼は気づき、手を差し伸べ、助け船をよこし、施しをしてくれるでしょう…そのいつかは永遠にありませんが。そうでないのなら…良心に従うことを今すぐに止めなさい。相手を騙し、壊し、自分の思い通りにことを進めたいのなら…常に柔軟性をもち、取り得る選択肢の中で、最も有効的で最善の結果を得る手段を見つけ出して、用いなさい。同じやり方を繰り返しているだけなら、飴を与えただけで懐柔される子供と同じ扱いをされると心得なさい。目の前の小さい報酬よりも、奥にある最も大きな報酬を得ることを考えなさい。

ただし、大抵の子どもというのは、知性のない野獣と同じに堪え性がなく、一年後の10倍の利益よりも、すぐに手に入る2倍の利益を喜んで選ぶのだと知りなさい。そして、そういった選択を取り得る者たちは、奥にある最も大きな宝箱なんてものは存在しない、と考えるのだとも覚えておきなさい。


~ソロモンの箴言




※追記:ソロモンのなんちゃらは架空のもので 実在する文章 教え そのほかとは一切関係ありません

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