Try n Dead 狂気系不条理ホラーゲームに転生させられたオレはゆるく死に急ぐ #146
セント・ミカエル・ラザフォード病院からの逃亡 #146
東棟3階 廊下には物が放置されている 車椅子 運搬用ベッド 点滴用のスタンド ダストボックス ランドリーバスケット 西棟への扉の前は車椅子とストレッチャーが積まれ物理的に固定状態 階段の右横は車椅子で固定され、完全に開き切らない 奥の廊下には…ストレッチャーより一回り小さいキャリーが無造作に並ぶ
車椅子、ストレッチャー カテーテルスタンド ゴミ箱 バスケット キャリー、これらのうち 動かせるのは1部のみ…これも謎解き ほかは試してみてもムリ イモータル属性 まるでセメントで床に固定されているかのように硬い
3階の廊下 部屋の境目ごとに横から壁がせり出し、通路には狭い箇所ができる そこがキャリーで塞がれる 一番奥、304には普通に歩いては辿りつけない 3体の男性入院患者をどうにかして巻いて、キャリーの下を抜けて…これに気がつかないと、ここはいつまでも抜けれない
揺れ動く西棟へのドアとドアノブ 誰かが向こうから扉を開けようと悪戦苦闘 苛立ったように力強く、破壊しそうな勢いで押す 誰がやっている? 3階西棟はリドルルーム 廊下にはナースはおろか、誰もいない…リドルを解いた後は現れる それさえも死に戻るとリセットされて、いなくなる
「ごmnnKdさい Gめんnくだsい ごmnnKdさい Gめんnくだsい ごmnn……」
封鎖された扉の向こうで…誰かがそう尋ね、扉を開けようと奮闘する ジュディ? ではない この扉 向こうに
×
の血文字はない 開けられそうで…開かない扉 こちら側が物理的に塞がれているからだが…ジュディなら以前のプレイでそれぐらいは試しているはず エマリア? は寝てるだろう そもそもあの女が西棟を回って、3階まで来るとは思わない 扉を無条件で開けれるのだから…物理的に封鎖状態のものは例外か? わからないが…ここならすぐ横、ナースセンターへ入る扉を開ければいい 開かない理由はこちら側にあって、向こうにはここが開かない、という意思表示はない あの女なら開けれるだろう そうしないのは…おかしい
もっとも…エマリアにはもう扉は開けるな、と言い聞かせてある あと2回で現実に戻れなくなる、との脅しに反対に押し黙ってしまうぐらい驚いていたからな…そう簡単に手を出さないだろう 次の燭台はエマリアに取らせないといけないが…それはまあいい
意外なことがありすぎる
ここの扉を開けようとしている奴がほかのプレイヤーの可能性を考える キムが襲われたという角材を持った男性 それがこの向こう側にいる…だが、声が籠ってよく聞き取れないが、この声と話し方は男性ではない そんな感覚 これはどうするか…そう迷っていると、
「何してるんですか? そんなもの持って?」
そんな風に逆方向から声を掛けられた…思わず、モップを持ち上げ臨戦態勢で振り返る 東棟への扉が開いた音も気配も空気の揺らぎも何もなかった…それなのにそこに普通のナースが立っていた 普通のナース? 明らかにバケモノではないナースがそこにいた 白い肌 青い目 ややくすんだ金髪の右前髪だけを垂らしたナースは、両手で胸の前をガードするかのようにカルテを抱えている 服も…ナースのものとは明らかに違う 扇情的ではなく、長袖で、ピンクでも青でも緑でもない 普通の病院の看護婦のものに見えた
医師がいたのだからナースが出ても当たり前なのだろうが…以前のこのゲーム 普通のナースは出なかった いない 静丘の惨劇ではあるまいし……
「どうしたんですか? こんなところで?」
訝るように身体を小さくして、ナースは再度、そう聞いてきた…どうしたといわれても…この病院に閉じ込められているんです なんてことは……
「すいません、松葉杖をどこかに置き忘れてしまったようで…新しいのを貸してほしいんですが、看護婦さんがいなくて…探してたんです、お願いできますか?」
?
そんな言葉がすらすらとオレの口から勝手に放たれた オレ自身が思ってもないことを、オレが話しはじめる これは…イベント? ムービー? すると…この出会いも仕組まれた運命か?




