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12-1 始まりの町へ 騎士団長覚醒?

3話連続予約投稿。朝の部。

 スライムさん、娘がもうすぐ5歳になりますよ。


 別れてからどのくらいの年月が経ったでしょうね。未だに忘れたことはありません。調合している時はずっとスライムさんと一緒に作業している気持ちです。そのせいか、没頭して毎回作りすぎます。


 旦那様は忙しい身ですが、雷神竜脚走とやらを覚えてからは、どんな馬よりも早く駆けって帰ってきます。なので、王都からの注文を走らせたりしちゃいますね。王宮の注文は人命がかかってますから。


 そんな都合よく使っている旦那様は苦にもしません。嫌いになってもいいのに。


 娘が最近、勇者になるか、勇者のお嫁さんになるかを、お爺様とお婆様にこっそり相談しています。私が勇者の一番のお嫁さんだと、小さいながら理解していますので、私には言いません。まあ、筒抜けです。


 はぁ、スライムさんは有名になりましたね。ここまで有名だと帰るのも一苦労ですか? もうすぐ、魔法少女におねがいして旅に出そうです。心が抑えられそうにありませんよ。


 はぁ、幸せ。


 はぁ、不幸だよ。



  *  *  *



 なん……だ……と!? プロローグが見えない!


 あー、今回もまた拾われなくって汚物処理施設に在中しています。はい、子沢山の下克上でもう大変。そして、暇。


「今度はスライムさんいるかな?」


「いても見分けられねえだろ!」


 その通り! 思いっきり見逃したじゃん! お陰で隔離施設から動けねえよ! 下手に話しかけると僕の争奪戦だ。なので今世はまたここで終える予定だ。


 そうそう、職員が暇に読んでる武道大会の小説が最新刊だった。何でも、魔法少女の娘が参戦! エキシビジョンマッチは大興奮。だって、前年の挑戦者の王宮騎士団長が黙っていない。


 王の計らいで、王宮騎士団長vs魔法少女の娘、通称勇者vs魔法少女、この2戦が決まり別冊小説が厚くなったぜ。


 もうすぐ8歳の幼女に賭けの倍率は騎士団長に軍パイが上がっていたが、戦いは拮抗。魔法少女由来の近接魔法だが洗練された武術に騎士団長も焦って全力で挑む。


 結果は最年少ホルダーに娘がなった。


 ここで更なるマッチング。疲弊した娘を魔法少女は通称勇者と戦わせたのだ。王も渋々認め、戦いは始まったが、奇襲、正攻法、絡め手、奇襲、全てを余裕で捌く勇者。奇襲多くね?


 結果、娘は力を出し過ぎて暴走した。


 興奮のあまり、魔力の制御が甘くなり自身の手綱では操れなくなった。通称勇者と魔法少女が止めに入るが、スペックは2人に匹敵する娘。無傷ではと思うが、優しき勇者と、親の魔法少女は、懸命に抑えようとする。


 最終的に周りには被害を出さずに娘は力尽き気絶したが、暴走時にギフトすらも暴走して容姿が大人へと変わっていた。その風貌は深淵の魔女と言われる程に妖艶で観客全てを魅了した。さながら勇者パーティーvs魔王だと囁かれた。


 娘は成長するまで出禁になった。


 ふぅ。今回も中々の傑作だったな。やっぱり全力の戦いは読書っ子には難しいか。魔法少女も無茶をする。僕という枷が無いからと谷底に落とし過ぎだ。騎士団長戦で止めとけよ。ってか、騎士団長の心のケアが必要だな。



  ○  ○  ○



「ダーリーン♪」


「パパー♪」


(あれ? ここって王都から近いの?)


 新刊を何度も盗み見て暇を潰していたが、今世3ヶ月にて迎えが来た。ってか、新刊が早くね? 1ヶ月前には見たぞ。むしろ、迎えの方が遅く感じるくらいだ。


「ママ。やっぱり私は謹慎してたほうがいいと思うの」


「嫌よ! 娘が閉じ込められるなら、こじ開けるのが親よ!」


「公爵様、大丈夫かな?」


「心配ないわ! 私を探す口実に孫を見に行くように唆したわ!」


「さっすがだよー♪」


(口ぶりからして脱出してから短い?)


「半日ね。根回しに時間がかかったわ。我が娘を危険視するなんて」


(小説にも魔王扱いだしな)


「あれから大人には変身できないの。パパに見せたかったよ」


 説明ありがとう。簡単に言えば問題児扱いされて、怒られて閉じ込められてたと。で、魔法少女は説得したけど正攻法じゃ無理だから、逃げた。その隙は公爵が孫に会いたいという心につけこんだのね。


(またこの国か。てか、北の海から王都って近いの?)


「走ればそこそこよ」


「パパは無理だよー。風を置き去りにしてたよー」


 なんか僕の関係者が化け物になっていく。んんっ? もう1人? 同行者? あれ、見たことあるような?


「はぁはぁ。魔法少女! 私を置き去りにしようとしたな!」


「ちっ!」


「ママ、今回は私が悪いよ。素直に見張られようよ」


「いや、そこまでは責められてはいないぞ。少々ゆっくりと育って欲しいだけだ。魔法少女のみに託すと危ないという意見が多数でな。あと、私も無理矢理出てきた身だ。して、この環境で話すにはあまり良くないな」


 はい。汚物処理施設のど真ん中です。だって、僕スライム。今世は処理に徹する予定でしたからね。職員が驚いてるよ。他のスライム? 怯えて寄ってこない。


「使いもあるから、道中に話せ」


(あっ! あれっ? 騎士団長が居てもいいのか?)


「……今はな、居辛くてな。7歳児に負けたんだぞ。理由をこじつけて逃げてきたんだ」


 あー、騎士団長の心のケアが間に合っていない。


「あわよくば、スライム師匠の師事を乞うためだ。なあ、魔法少女よ。一週間でも「嫌よ!」……この様に、本人に頼むしかないのだ」


(本能的に見て3人ともスライム不在だな)


「私は浮気しないわ!」


「パパ一途だよ!」


「今の理由ゆえ不在だ」


 戦争になれば士気は国の命運に関わる。騎士団長がこんなだと、娘っ子の保護が万が一に緩むな。それは嫌だ。


「ああ、使いは調剤師アンジェの薬屋「娘っ子」だ。急ぎではないので伝書で鳥を使ってはいない。備蓄の補充を頼まれている。色々と采配しないと立場的に逃げれんのでな。スライムさんも使わせてもらった」


(ふむ。多分10年は離れているな。道中はどのくらいかかる?)


「ダーリンと一緒だとゆっくり移動するわ。2週間ね」


「私も最初の女性である娘っ子さんに会いたいです」


(うむ。スライム的童貞卒業は娘っ子だな。って、読書っ子にはこのネタ早くね?)


「お本ではよく書かれてるよ」


 んー、成人指定の本も読んでるのね。早熟過ぎだよ。生き急がないでね。っと、話を戻すに2週間あると。ふむ。


(騎士団長のケア……騎士団長がどこまで成長するか見てみたい。道中は許せ。まあ、見込みがなければ素直に伝えるが適正がありそうなのは『武芸百般+10』だな)


「おお。それはありがたい。魔法少女よ、少し借りるぞ」


「うぐぐっ! ダーリンの人生を乱さないのが妻の役目よ。悔しいけど、いいわ。悔しいけど!」



  ○  ○  ○



 道中は特盛で騎士団長を鍛えている。元々のスペックはいいので徐々にモノにしている。パッシブ系を網羅して、剣技も磨かれたが、本人が。


「足りないな。深淵の魔女には太刀打ちできない。何か一手を!」


 1週間で更にスキルは成長したのに、足りないとお代わりの要求だ。騎士団長のギフトは『称号「騎士」』で、追加できるのは魔法を網羅するか、別の称号を試すかだ。一応、騎士に魔法適正は多少あるが。


「悔しいが、魔力は肉体強化に使う。スライムさんのいう補助(パッシブ)だ。どうも私は剣術に特化している。勇者剣術ならいけないだろうか?」


 ならばと、セット、『称号「勇者」』……ん、本人の『称号「騎士」』をオフにしてないのに若干ながら適応した? 称号同士は打ち消し合うのに? なら、こっちも追加で『称号「騎士」+5』、おまけのお遊びで『称号「悠久の女」』。変なギフト融合しないかな?


「なんだ? 奥から沸き上がる衝動が! 少し素振りする!」


 無心に剣を振るう。やはり長年の努力で洗練された剣技は重みが違うな。読書っ子が才能で振るうなら、騎士団長は歴戦の重みで振るう。そう、読書っ子は魔王覚醒の深淵の魔女の時は魔法剣二刀流だったらしいぞ。カッコいい。


 そんなこんなで、騎士団長が何かに目覚めた!


「……ダーリン。これはないわ」


「パパ、女好きなの?」


(そこは否定はせんが、男を女にしてまで求めてはいない)


 無心で素振りの騎士団長はスキル『覚醒勇者「剣姫」』を覚えた。なんという化学反応。このスキルの文字をバラしてみよう。


 「覚醒」と「姫」は『称号「悠久の女」』由来だろう。実際に読書っ子の暴走時は大人の女性へと変化したらしい。見事な覚醒で、戦うお姫様って感じの凛々しさと愛らしさが融合している。


 剣に拘っている訳では無さそうだが、剣の才能に特化しているのだろう。この「勇者」と「剣」の部分には勇者剣術と騎士の剣術が融合しているのか、とても自然と振るう。勇者剣術って何だろうな?


「ふぅ。この全能感は……誰の声だ!」


「「(あんただよ!)」」


「何っ!? うわっ! 鍛え抜いた自慢の体が貧弱に!」


(騎士団長はナルシストか。で、力は身に付けたんじゃないか?)


「求めていたのとは違うが、確かに沸き上がる力は凄ましい」


「ちょっと相手しようか?」


「いや、中のスライム師匠を痛める訳にはいかん。少し制御が甘い」


 確かに少し辛かったが、読書っ子と比べたら全然だぞ。騎士団長はストイックなのだろうな。


 さて、約束は果たした……と思うので、いざ最初の場所へ。

スライム歴 12年12月~

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