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オズマ戦記  作者: 葱龍
七章 転生者大戦 最終篇
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第百五話「巨人と火の鳥と天馬と想い人との再会」

大ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ変長らくお待たせいたしました!!!!

最新百五話ついに完成です!!

テリブルデッド目掛けデストラ兵たちが一斉に手にした銃の引き金を引く。

飛来する銃弾をテリブルデッドは右へ左へと状態を揺らし回避しようとするが、

流石に全弾回避とはいかず五、六発ほどテリブルデッドの身体を貫通する。


「ぐっ!?」


テリブルデッド反撃の銃撃。

三発の銃弾は一人のデストラ兵の胸に三つの弾痕を刻み、その命を奪い去る。


「…やっぱ割に合わんな」


そう言うとテリブルデッドは右手に握られた拳銃をホルスターに納めると、背中から日本刀を抜き、構える。

ワンステップで距離を詰めると刀を横薙ぎに振るい、更に振り向きざまに一発左手の拳銃の引き金を引く。

刀を逆手に持ち替えるとテリブルデッドは背後にいたデストラ兵の胸へ刀の切っ先を突き刺した。


一瞬の内に四人。

四人を連続で倒すその手際にスタンは驚きを隠せずにいた。


「…アンタの今の手際、転生者が使う摩訶不思議な力のそれとは明らかに異なる。

 もっとシンプルで、地に足の着いた様な…」


「今のは『技』だ。今言った通り、『異能』みたいな得体の知れない力とは違う。

 俺自身が戦いの中で培い、昇華していった技術」


その時だった。

激しい横揺れがスタン達を襲い、何事かと思いスタンは外を見渡す。

するとそこには、家屋を見下ろすほどの巨体を持つ巨大生物の姿があった。

アースドラゴン。頭に長く鋭い一本角を持ち、口からは高温の火炎を吐く魔獣だ。


「あれは…魔獣!?」


「へぇ…あれが。こんな街中、それも自分の国であれ使うとか、アルバスの奴相当追い詰められてるな」


「言ってる場合か!早く逃げるかどうかしないと!!」


「逃げるって何処に?ここは敵地だ。安全な場所なんてない。だから、戦う」


「戦うって…どうやって!?」


「こうやってさ。……ジュワ!!」


テリブルデッドが左腕を頭上高く掲げると、にわかには信じがたい事が起こった。

なんと、テリブルデッドの身体がみるみる内に巨大化していき、

アースドラゴンと肩を並べられる程の体躯を持つ巨人となったのだ!!


「嘘だろおい…!」


「じゅあっ!」


両手を手刀の形に開き、右手を前に突き出し左手を目線の位置に持ってくる独特のファイティングポーズを構えると、

テリブルデッドはアースドラゴンに接近し牽制のチョップとミドルキックを叩きつける。

さらに追撃の水平チョップを打ち付けようとするがアースドラゴンがヘッドバットで反撃。

直撃を受けたテリブルデッドは近場の建物数棟を巻き込みながら転倒した。


「ジョアアア……ッ!!」


「おぉい!遊んでる場合じゃないだろ!!さっさとトドメを!!」


「かぁ~っ!セオリーも美学も全ッ然解ってない奴だなぁ!そういう必殺技はある程度相手を弱らせてから使うモンなんだよ!

 いきなりトドメとかアメリカ人か!!」


「けど早く倒さないと被害が…!」


「大丈夫だドラゴ〇ボールでなんとかなる!!」


「んな都合の良いモンあるかー!!」



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崩れる壁と天井に意識をそがれる事により生まれたジュリアの隙をミハイルは決して見逃さなかった。

瞬時に間合いを詰め、ジュリアの腹に思い切りハンマーを叩きつける。


「ゲッ!」


嗚咽し吹き飛ぶジュリア。

瓦礫に叩きつけられてもなお立ち上がる彼女にミハイルは辟易すら覚えていた。


「…さっきの威勢はどうした。アルバスの下で鍛え上げたのは口先だけか?」


「うるさい…!」


「既に理解は出来ているはずだ。お前は弱い。力もなく、知恵も無く、与えられた力も全く活かせない。

 お前は…戦うべき人間じゃなかった」


ミハイルの眼は僅かに憂いを帯びていた。

それが道を誤った友を憐れんでいるのか、それともその友を討たなくてはならない状況を辛いと思っているのか…。

真相はミハイル自身にも解らない。


「黙れ…!」


「本当の事だろう。騎士団の時も、エタニティの時も、お前が何かの役に立ったためしがあったか?」


「お前の罵詈雑言などもうウンザリだ!二度とその減らず口が叩けない様にしてくれる!!」


「それが無理な事も理解できない程に落ちぶれたか」


そう吐き捨てつつミハイルはジュリアを見据え再びハンマーを構える。

これ以上戦いを長引かせれば彼女を不必要に苦しめると判断したのだろう。

ミハイルの表情が、更に険しさを増した。



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シャインの放った火球、シャッテの放った氷のつぶて。

それらは全てスカーレット・マンダの鞭捌きの前に霧消するばかりだった。

数撃てば何発か当たるかもしれないと思い攻撃を続けてはいるが、マンダの鞭は正確にシャインとシャッテ両方の攻撃を打ち据え、

マンダ本体へダメージを与えられずにいる。


「どう見ても…こっちが有利に働いてるようには見えない…ね」


「長期戦に持ち込まれるのは…マズい」


「作戦変更…」


「だね」


シャインとシャッテは両脚に加速の魔法をかけると同時にマンダ目掛け駆け出した。


シャッテがマンダの股下へ滑り込み、シャインが跳躍。上下両面から挟み撃ちにすべく

シャッテがペンデュラムを射出すべく左腕を突き出し、シャインが杖をマンダに向ける。

だが!


「子供にしては良く考えたと言いたいけ・れ・…ど!」


マンダが鞭を振るうと、シャインの右足が抵抗する暇もなく絡め捕られた。

2人が驚く間を与えずマンダはシャインを絡め捕ったまま真下のシャッテ目掛け勢いよく叩きつける。


「ウガッ!!?」


「私がこの程度の策を見抜けない間抜けに見えた?」


2人を嗤い、マンダは乱暴に二人を蹴り飛ばす。

ボロキレの如く地面を転げまわる2人を一瞥するとマンダは、


「世界にその名を轟かせた大魔導士の娘ともあろう者が、手も足も出ないなんて可哀そ~!

 いっそ勇者でも呼んで助けてもらえばぁ?」


「嫌だ…!」


「あぁ?」


「兄ちゃんは、お姉ちゃんを助けなくちゃいけないんだ…。

 私達だけでこの場を何とかしなくっちゃ、これから先ずっと兄ちゃんに頼り続ける事になる。

 そんなんじゃ、いつまで経っても強くなれないし、お母さんにも申し訳が立たない……。」


「それに、お前ごとき…わざわざ兄ちゃんの手を煩わせるまでもない…!」


「…今のアンタたち、すっごい生意気。そういうの全ッッッ然可愛くないから」


「生意気上等。お前に媚びる理由なんてこれっぽっちも無いし」


言いながら立ち上がり、杖を構えるシャイン。

シャッテも何も言わずに頷くと、シャインの隣に立ち、鏡合わせになる様に杖を構えた。


「お前は、私たち二人の手で…倒す!」


「見くびられたものね。アンタたち、一つ大きな見落としをしてると気づかない?」


「見落とし…?」


「今貴方達が相手をしているのはエタニティの転生者。

 そして転生者は例外なく"異能"と呼ばれる特殊能力を持っている……。」


「お前も、これから使うと言うの…!?」


「あまりに広範囲に影響が及び、味方まで被害を被るものだからずっと禁じ手として封印してきたけれど、

 もうなりふり構ってはいられない…!ここで確実に息の根止めてあげるから!!」


シャインもシャッテもマンダの気迫に思わず息を呑んだ。

2人がこれまで見てきた異能はいずれも強力無比で戦略兵器に匹敵する。

それを自分から封印すると言う事はマンダの異能がそれほどまでに強力であり、

そしてそれを今になって使い出すと言う事は、それほど彼女が追い詰められていると言う証明でもあった。


「あいつの異能を耐えられれば、確実に勝てる!堪えるよシャッテちゃん!!」


「うん!」


「無駄よ!私の異能は無色無味無臭無音!見切る事も避ける事も防ぐ事も絶対不可能!!

 待ち受けるのは逃れようのない死だけなのよ!!

 受けなさい!『ヴェノムオーラ』!!!!」


マンダが叫ぶと、一瞬シャインとシャッテの頬をふわりと柔らかい風が吹き抜けた。

直後、シャインとシャッテは同時に喉を抑え苦しみ始める。


「!?グ‥‥ガ……ッ…!!」


「見えなかったでしょ?気づかなかったでしょ?これが私の異能、ヴェノムオーラよ」


ヴェノムオーラ。

それは己の闘気を猛毒に変えて放出する異能で、

その猛毒は色も臭いも持たず、音もなく周辺の生物に忍び寄り、毒殺する。

相手は叫ばれなければ、いや叫んだとしてもこの毒の波動を避けるどころか感じ取る事さえも困難を極め、

マンダが何をしたのかさえ解らぬまま絶命する恐るべき異能なのだ。

そしてこの異能は敵味方の区別なく全ての生物を毒殺する為使い所を間違えればたちまち辺りは死の世界と化す多大なリスクも抱えており、

それ故にマンダはこの異能を可能な限り使わないようにしていた。


「ヒューッ…!!ヒューッ……!!」


「いくら著名な魔法使いの血を受け継ぐ優れた魔法使いだとしても、

 呼吸が出来なければそこらのお子様と変わらないわねぇ。

 苦しいでしょう?今楽に」


楽にしてあげる。と言いかけマンダは何者かに吹き飛ばされ、地面を二度バウンドし呉服屋の窓ガラスを突き破ってようやく静止した。

援軍か?そう思いマンダが起き上がり吹き飛ばされた方を見やると、そこには紅く燃え上がる2マル―ル程の大きさの体を持つ巨鳥の姿が。

フェニックスと言う奴だ。

さらに遅れて青白い体と水鳥の様に美しい翼を持つ馬=ペガサスがフェニックスの隣に並び立つと、

シャインとシャッテにゆっくりと顔を近づけると、二人の身体が緑色の光に包まれ、何事も無かったかのように立ち上がった。


「なにィ!!?」


「解る…解るよ。来てくれたんだね!お母さんも…お父さんも!!」


『ああ。未だ幼いお前たち二人を何とか守りたいと言う私達の強い願いが、私達に新たな肉体を与えてくれたのだ』


『貴方達は決して孤独ではない。孤独にはさせない。これからは共に戦いましょう!この世界と、生ける者たちの未来のために!!』


そう言って娘を一人ずつ己の背中に跨らせるとモアザ・フェニックスとザルディン・ペガサスはふわりと宙に浮かび上がる。

反撃に転じる時は来た。

シャインとシャッテが手にした杖を同時にマンダに向け言い放った。


「「さぁ、お仕置きの時間よ!!」」



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シャイン、シャッテの2人と別れてどれだけ走っただろうか。

2人の姿はすっかり見えなくなり、廃墟がいくつか並び立つばかり。

ほんの数日前は駅として利用され、往来する人々でごった返していたであろう巨大な廃墟に差し掛かった所でコウは立ち止まり、

少し遅れてツバキとエル、シドも足を止めた。

いや、正確には"辿り着いた"と言うべきか。

コウの目の前には地を埋め尽くさんばかりの数の兵を引き連れる、見慣れた銀髪の少女の姿。


「…迎えに来たぞ、リゼル」


「もう帰ろう姉さん。みんなが心配してる」


説得を始めるコウとシドだが、リゼルは依然冷ややかな表情のまま2人を見るばかり。


「勝手な事を。私がいつそんな事を頼んだ」


「ダメなのか…?やはり正嗣のせいで魂を………」


とりつく島を見せないリゼルに弱音を吐くシドに対しコウは、


「いやそんな事はない!リゼルは僅かながら動揺している!

 そしてリゼルを元に戻せるのは俺達しか」


言いかけて、兵士の一人がいきなり襲い掛かってきたのでコウは慌てて後ろに飛んでこれを回避する。


「…っと!話の端を折るなよな!空気の読めない連中だ…」


「こいつ等は、ただの兵士じゃない。クドーの細胞を埋め込まれた、言わばクドーのクローンの様な者たち…」


一様にコウ達に明確な敵意のまなざしを向ける兵士達を顎でしゃくりながらリゼルが告げる。

クドーは既に死んでいると言うのにまさかこんな形で再び戦う羽目になるとは。

コウは唇を噛みしめた。


「デストラは人の命を何だと思っているんだ……!」


「少なくとも、貴方達が想像してるよりは存外に扱っている。

 それに無軌道極まりない行動ばかり取っていたクドーを制御できる様にする事は、彼らにとって急務だったと言える。」


「コウ、シド、2人はリゼルに集中して!周りの連中は私とエルで何とかする」


そう切り出したのはツバキだった。


「しかしこの数が相手では…」


「いくら擁護のしようが無いような酷い奴でも、一度死んだ相手を何度も手にかけたくはないでしょう?」


コウはツバキとエルの顔を交互に見やる。

2人ともやる気に溢れてはいる。

2人に任せるべきかは少し悩むところだが、ここはやはり信じてみるべきか。


「解った。だが無理に敵を全滅させようとは考えるな。

 この後にはマサツグやアルバスが控えているんだ。倒す事より生き残る事を優先しろ」


「りょーかいっ」


「店長も、無事姉様を救い出してくださいね…」


そう告げるとエルとツバキは左右に散開。

クローン兵たちに斬りかかりつつその注意を引き付けはじめた。


「さて、と。こっちもおっぱじめますか」


「ええ。僕達は半分この時の為にデストラまで来たようなもの…。

 ここで姉さんを救えなければ、たとえデストラに勝利できたとしても意味はない」


「そう言う事だ。こっから先はただ一度の失敗も許されない。絶対に成功させるんだ!」


「はい!」


コウとシドは互いに武器を抜いて身構える。

リゼルも髪飾りを二振りの細剣へと変えて跳躍。コウとシドめがけ飛び掛かった。


「リゼル…必ず取り戻してやる!!!」


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