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地下駐輪場の神隠し(2)



「若い女性ばかり、5人が消えるているんです」

少年は事件について、そう説明をはじめた。


「やっぱり誘拐じゃねぇの?」

訝しげに少年を横目で見ながら男は再度疑念をぶつけた。

「まぁ、最初は警察もそう考えたみたいでしてね」

「3人目、だったかな?その辺りでやっと防犯カメラを付けたらしいですよ」

悟大(ごだい)の坊っちゃんものんびりしてんな」

「もう!いちいち話に茶々をいれないでくださいよ」

ぷんぷんと怒る少年に黙る男。


それで、と少年が続ける。

「消えちゃったんです」

「入口と出口、それぞれにあったカメラに映っていたのが入口を入っていく姿だけだったんです」

「そもそも、被害者以外は誰も入っていないらしくて」

少年は話終えると、オーバーに肩をすくめた。


「なるほど」

男が相変わらず気だるそうに頷く。

「場所は?」

「そう言うと思ってちゃんと準備してますよ!」


満面の笑みを浮かべ、胸を張って少年が小さめの紙を渡す。

それを見た男が顔をしかめる。


「なんです?」

その反応に首をかしげる少年。


男の視せんの先には、ミミズがのたうち回ったかのような文字と、地図…と思えなくもない歪な線があった。

男が紙と少年から目をそらす。


「……相変わらず、字がき…独創的だな」

少年が顔を真っ赤にしてぷるぷると震えながら両手を握りしめる。


「もうっ!せっかく書いてあげたのに!」

キーキーと怒る少年に、男はしかめていた眉を和らげる。

そして、紙をスーツのポケットに突っ込むと歩き出す。


「とりあえず、見てくる」


その後ろ姿を見ながら、少年は表情を消す。

伏し目がちに、呟く。


「気をつけてね」


風が吹き、同時にそばで跳ねていた蝉がバッと飛び立つ。

それまでの空気が霧散するかのように、少年はあわあわと向かってくる蝉から逃げ回っていた。



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