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陰陽師櫻木屋  作者: なな姫
第一章
3/4

相談

「うん………」


いつものあの元気な顔がうなだれる。よほど辛いことでもあったのか、はたまた、迷惑ごとに巻き込まれたか。どちらにせよ、康太には関係のないことだ。康太は



「帰れ。今日は店終いだ」


「おじさん!」


「だいたい、変なことに首突っ込むからいけないんだろうが」


「…っ、」


康太の言葉に、下を向いて春希は握り拳をつくった。こいつはかなりのお人好しだ。困っている人を見ると助けてあげたくなるらしい。特に老人や怪我人がそうだ。



「そう……だよね……。ごめんなさい……」


「分かったら帰れ」


「………、ねぇ、ホントに助けてくれないの?」


「帰れと言ったら帰れ。自分のことは自分で解決しろ」


「………人でなし!野蛮人!おじさんの馬鹿!」



「あぁ馬鹿で結構だ」



「…………。おじさん。妖怪関係かもしれない、って言ったら、相談にのってくれる?」



「……っ、何?」



今度は春希の言葉に、康太が眉間にシワを寄せた。"妖怪関係"……。と言うことは、康太の出番。だが、こいつの周りにそんなやついただろうか?



「……。仕方がない。今回だけだからな」


「やったー!ありがと!おじさん!」



「抱き付くな!暑苦しい!」



抱き着いてきた春希をはがす。康太は春希を店の中に入れ、居間に通した。



「タオル。そこの使え」


「ありがと」


普段はあまり人には見せない居間には囲炉裏があった。囲炉裏の横にタオル掛けがあり、春希はそこから一枚タオルをはずした。


「で、"妖怪関係"の相談ってなんだ」



「………。実はね?私の学校、夜になると変な音がするの」


「変な音?」


「うん………。浅輪先生……あ、私の担任なんだけど、その、浅輪先生がこの前見回りをしてた時にね?誰もいない廊下のはずなのに、ギシギシ音が鳴るんだって。みんな"そんなのあるわけない"って言ってたんだけど、武山君だけが一人凍り付いちゃって……」


「誰だ武山って」


「クラスメイト!……でね?武山君は"視た"って言うんだ」


「………何を」


「仮面を被った幽霊」


仮面を被った幽霊………。聞いたことないな。康太は腕を組んだ。



「そいつは今学校に来てるのか」


「ううん。急に具合悪くなっちゃって、今は休んでる」



「よし。明日その武山ん家に行くぞ。場所分かるか?」


「あ、うん。確か二丁目の花屋さんの隣………」



「明日また16時頃ここに来い」


「え、引き受けてくれるの?」



いつもなら「来るな」と言ってくる康太。春希は康太の顔をじっとみつめる。メガネでタバコ吸っててだらしないのに、"妖怪関係"のことになると格好良くなる。


「(いつもこんな感じだったらお店にも人が来るのに、もったいない)」


「………。おい、俺の顔になにかついてるか」



じっとみていたら、康太に怒られた。


「あ、ううん!なんでもない!明日16時頃ね!」


"またね!"と言って、春希は店を出ていく。康太は深いため息をついた。外に出ると、雨はあがっていた。


「………。姉さん、なんであんなことを言ったんだ………。姉さんの方が強いのに。俺は今でも弱いままだ………」


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