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17話 薙刀使いと国見救出


「ゴリラがいるーー! ヤバイんですけどーーっ!!」


 と、なんとなく緊張感にかける雰囲気を漂わせるセリフを発すると同時に、そのセリフに似合わない速さでまたも薙刀をクルクルと回し、その刃をゴリラに向けるマナ。


「シンイチく~ん、そんな所にいると危ないよー。」


 どうやら薙刀使いは臨戦態勢のようだ。

 その刃を向けられたハジメは、それどころじゃない。


 刃を向けられて焦る気持ちもあるが、それ以上に胸のたゆんたゆんがタユンタユンで、ミニスカートから伸びる太ももがむっちりでムッチリなのだ。


「マナさん。このゴ……この人はゴリラじゃなくて人? ……だよ。大丈夫。」

「疑問形になってるじゃん!」


「あ。ゴメン。ちょっと僕も戸惑ってて。とりあえず敵じゃないよ。」

「え~? でもな~んか怪しい気配がするんですけどー?」

「いいからいいからちょっと待ってて。ハジメさん。サオリちゃんは問題無い?」


 シンイチの問い掛けにハッとし国見に目を向ける。

 ヒルのような質感の寝袋に包まれたような状態で、顔だけが露出するように何とか裂いた状態だったのだ。


「そうだった! 国見さんを――」


 慌てて顔以外の部分のヒルを裂く。

 ハジメがブチブチと一気にヒルを裂くと、たわわな二つのふくらみが飛び出した。


「はぅあっ!」

「……へ~意外と着やせするんだ。サオリちゃん」

「あらぁ? なに? こんな所でナニを始める気なの?」


 そう。髪のマガツキの時しかり、破れた衣服が散らばっていた事などは既に忘れ、とりあえず国見を取り出さなきゃと思っての行動。学習しない男ハジメである。

 慌てて裂いたヒルで再度国見の露出した胸を覆う。


『くくく、クニ、国見さんのおっぱいを見てしまった! デカイ! 結構デカイ!

 いや、薄着になった時にあるとは思ったが、なかなかでかいっ! そしてエロいっ!』


 無言になり固まったゴリラを不審に思ったシンイチがハジメに対して声をかける。


「お~い。ハジメさんや~」

「でかいっ!」

「くっ!」


 予想外の返答で、シンイチは思わず吹き出した。


「ふふっ……うん。 サオリちゃん結構大きかったね~。

 とりあえずハジメさんや。サオリちゃんの事は僕に任せてもらえる? もうそろそろ後援隊も到着すると思うんで。」

「お、おう! スマン!」

「はいはーい。じゃ、代わるね。」

「よいしょっと。」


 シンイチは抱えていた女を既に下ろして寝かせてあり、国見の入っているヒルの裂け目に手をかけ、さらにがっつり裂いて露出させる。


「でかいっ! って、コラコラコラコラ! 隠したのに出すんかいっ!」

「そうだよ~。流石にこんなのに入ったまんまじゃサオリちゃん可哀想でしょう。なにが起きるかわかんないし。」


 シンイチは国見が全裸であるにも関わらず、そんなことはお構いなしにヒルを裂き続けて国見を露出させていく。

 ハジメは戸惑いを覚えつつも、シンイチの言う事ももっともだと理解する。だが、全裸の国見を前にしても事もなさげに行動するシンイチをどこか苦々しく感じるのだった。


 そう。

 行動から匂う『女の裸なんて見慣れてますよ』感。この『女の裸なんて見慣れてますよ』感が大きな嫉妬の気持ちを生ませているのだ。


 自分も後援隊なりを探しにいくなりの行動をすべきであることは理解している。だが、全裸かつ、ヒルの粘液が付いて全身ねっとりねっちょりぬるぬる状態の国見を前に、血液が下半身に巡ってしまった為、膝を折っている状態から動けないのだ。

 今立ち上がる事は、なかなか勇気がいるのだ。


 そんなことを思いつつ国見から目が離せず凝視していると国見の目が開いた。


「国見さんっ!」

「……はじ…め……さん……ありがとう」


 そしてまた目を閉じる国見。

 国見の様子を見て、ハジメは開眼する。


 さっさと国見さんを助けなきゃならんっ!

 血が巡って恥ずかしかろうが、そんな事は国見さんの一大事を前に比べるまでも無い!


 シンイチが力の抜けた国見をヒルから取り出すのに苦戦している中、立ち上がるハジメ。

 国見の脇に両手を入れて一気に引きずり出す。

 そしてそのまま全裸の国見をお姫様抱っこする。


「シンイチとやら! 国見さんは俺が運ぶ!

 お前は後援隊とやらのところに俺を連れて行け!」


 シンイチはいきり立ったハジメの様子に小さく笑いつつも答える


「はいはい。

 でもそのまま運んじゃサオリちゃん可哀想だからね。」


 と、自分の上着を脱いで、サオリにかけた。


「おうっ! そうだな! スマンっ! 助かる!」

「あと、その黒いまんまだと、怪しまれるんだけど……何とかならない?」

「おうっ! それもそうだな! スマンっ! 助かる!」


 ビュルルルっと全身を覆っていた黒い髪を解くハジメ。


「驚いたなぁ……本当に人間だったんだ。」

「おうっ! 人間だ! 宜しくなっ! ……って、そうじゃねぇだろう! どこ行きゃいいんだよ!」

「あはは。ゴメンゴメン。 えっと、こういう時は大抵渋滞が起きてるから、僕が電話で確認とりながら一番近いポイントに案内するよ。」


 シンイチは、何かをじっと凝視していたマナに向き直る。


「マナさん。」

「………………ふぁっ!?」


「そこの女の人は気を失ってるだけなんで、その人と、ここの後始末を宜しくお願いします。」

「え? えええ~? マナがするのー?」

「じゃ。宜しくお願いしますね。 行きましょう。ハジメさん。」

「おうっ!」


 シンイチは電話を掛けながら走りだし、国見を抱えたハジメもその後に続く。

 マナはその後ろ姿を見ながら薙刀を勾玉へと変化させてポケットにしまう。そして腕を組み、頬に手を当て、うっとりしたような表情で口を開く。


「あのゴリラ……ハジメって言うんだぁ……へぇ♥」


 頬に当てた指で軽く自分の唇を撫でながら微笑むマナ。

 軽く微笑んだ後、気を失った女とヒルらしき生き物の死体。そしてその横に現れた首を刎ねられた男の死体が転がっている方へと目をむける。


「……ん~。仕方ない。

 お掃除が来るまで、げんじょうかくほー……」


 と、やる気が無さそうに呟くのだった。

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