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プレクエル:ナショナルブロック - クロニクル - 1

「Thema、魔法、戦争……私たちに未来はあるのか? ヴァン! なぜ君はまだ理解できないんだ?」

雨が降っている。大雨だ。しかし完全に静寂で、時折風に混じって言葉が漂うだけだった。

― ホナリズ首都、レヴェランド、2062年5月26日 ―

六十歳を少し過ぎた長身の男が、国会議事堂の静まり返った廊下を歩きながら、何事かを呟いていた。白髪交じりの髪を後ろに整然と梳かし、濃い色のベストは今の心情にぴったりと合うように仕立てられているかのようだった。

男は遠くを見上げた。廊下に並ぶガラス窓の外では、首都が静かな雨にぼやけていた。彼は足を止め、わずかに首を傾げ、下の広場を見下ろした。汚れた雨粒がガラス屋根にぽたぽたと落ちる音が、まるで神が涙を流しているかのように冷たく響く。しかしそれは人類のためではなく、自分自身のためだった。この季節のこの場所の湿気は、単なる気候ではなく、より重いものを呼び起こすために生まれたものだった。過去、失敗、あるいは名前のつけられない何か。

男はため息をついた。今日、空気に漂う悲しみは天候だけから来るものではなく、無意味に落ち続ける雨粒だけから来るものでもなかった。それは、さっきの議会で提出された二つの意見の、危うい均衡から生まれていた。まるで運命がコインを投げているかのような、不快な均衡。そして彼自身がよく知っていた。何度投げ直しても、結果はいつも一つしかないことを。

「人間とは本当に理解しがたいものだ!」

男は窓に手を置き、暗い空に静かに落ちる雨粒を眺めながら呟いた。それはまるで、自分の心の中で長く流れ続ける涙のようだった。しかし彼は歩を進めなければならなかった。なぜなら、部屋の中にまだ一人の男が座っており、その男こそが、多くの人々の決定を変えうる人物だからだ。努力すれば、変えられるかもしれない。あるいは、変えられないかもしれない。

男は再びため息をつき、国会議事堂の階段を上り始めた。花崗岩の階段が彼の足音に重く応える。まるでこの老いた体を引きずり下ろそうとする鎖のようだった。そのこつこつという音の反響こそが、この中年男の胸の奥底に秘められたすべての感情だった。

彼は疲れ果てていた。しかしそれは単なる年齢の問題ではなかった。この国での長い旅路そのものが、彼の人生の数十年を、無情な階段の下に凝縮させていた。

だが彼は後悔していなかった。たとえこの階段が混沌へ導こうとも、たとえ彼が選んだ道が一つの民族、一つの種族の滅亡へつながろうとも、彼は賭けなければならなかった。それは彼が最も強く信じ、すべての者を希望に満ちた未来へ導きたいと願う信念だった。あるいは、全てを深淵の底へ引きずり込むのか? 誰も知らず、誰も尋ねようともしなかった。

彼はこの国と共に、それほど長くない時間、数十年だけを歩んできた。しかしそれは一つの歴史そのものだった。世界平和の守護者を自称する者たちによって魔法禁止法が可決されたあの日から。魔法使いというだけで冷たい地下牢の処刑台に引きずり上げられる市民を見たときから。自分たちが正しいことをしていると信じて歓声を上げる群衆が、実は自らの種族の希望を自らの手で絞め殺しているときから。そして、Thema (テーマ)、この男の残された知識と意志から生み出された人工魔法 が生まれた瞬間から。

それら全ては……今や彼にとって、ただの歴史だった。教科書の中の歴史ではなく、彼が自ら目撃し、通り抜け、「駒」として背負わされた歴史だった。彼はそこにいた。そして彼は、その悲劇の結末を変えるために指名されたのだった。しかし歴史は、何度繰り返されようとも、未来への地図にはなり得なかった。今日の議会がその最も明確な証拠だった。

男は笑った。喜びではなく、苦々しさから。長らく目を背けていた真実を、ようやく受け入れざるを得なかったからだ。歴史とは、振り返るとき、すべてが終わったときにだけ価値を持つものなのだ。

もう何もないぞ、ヴァン! 我々の国家連合は崩壊し、ナンマールはクーデターを起こし、ピョンヤは陥落し、カイラボンは背を向け、シャンプラは自らの選択をし、連邦は解体された。そして隣国は銃口を君に向けている。なぜ君はまだそんなに頑固なんだ? 時代は変わったんだ! 目を覚ませ、ヴァン!

男は会議室の廊下で足を止めた。目の前には大きなリム材の扉があった。それは彼と室内の人物を隔てる最後の壁だった。彼は横の植え込みに目をやった。木々は実に青々としていた。一目見ただけで、庭師たちが丹精込めて手入れしているのがわかった。水をやり、剪定し、時には派手で美しい装飾を付けている。

しかし、それでも、根がほとんど腐りかけていることに気づく者は少ない。議会直前に新しく入れ替えたように見える表土は、ただの薄い仮の土で、下には弱々しく栄養の尽きた土壌が隠されているだけだった。男が軽く葉に触れると、木は揺れた。まるで外から風が入り込んだかのように。しかしこの場所は完全に密閉されている。風など、どこから来るというのか?

男はただ黙考し、木のてっぺんを軽く弾いた。そして、起こるべきことは必ず起こる。彼の予想通り、弱々しいその木が倒れ始めた。一本だけではなく、連鎖するように一列の木々が次々と倒れていった。飾られていた光るビーズが床に落ちる。

静まり返った廊下に甲高い音が響き渡った。「ちゃりん」という破砕音があちこちから聞こえ、悲惨な運命を予告するかのようだった。幸い、まだ一つだけ無傷のビーズが転がって足元に来た。おそらく、先ほどの乱暴な行動の後で残った最後のものだった。男は跪き、それを拾い上げ、見つめた。彼は小さく微笑んだ。これは最後の希望か? 自分だけの希望ではなく?

ビーズをベストのポケットにしまい、深く息を吸い込んだ男は、扉に向かって歩き出した。老いた体に鞭打つように力を込め、重い扉を押し開けた。最後の壁が、ゆっくりと消えていく。

目の前に広がったのは、広大な円形の議場で、金色の光に満ちていた。その光は天井の最新LED照明システムによって作られていた。男はそれを見上げ、推し量った。正確な数字はわからないが、今この世界の静かな時期に、ここに集う要人たちが背負う重責に比べれば、何でもない重さだった。

彼は前方へ、一歩、また一歩と歩を進め、議員席と傍聴席の列を眺めた。黄金色の椅子と深い赤色の床が調和している。ここは政治的な格式ある会議場に過ぎないが、設計者は国の国旗の二色を、細部にまで巧みに織り交ぜていた。机の上にはまだ名札が残っており、各席に役職付きの名前が置かれている。

議場の最奥、議長席の後ろには、国民から敬愛される大統領の像が堂々と立っていた。慈悲深い眼差しの中に、威厳と公正さが宿り、その横では国旗が天井の冷房から吹く冷たい風に揺れていた。男は小さく微笑み、目が少し潤んだ。この光景は、彼の故郷の輝かしい日々を思い出させた。

両側の巨大な電子スクリーンには、「拒否」を意味する赤い文字が浮かび、その下に投票結果の数字が表示されていた。白票はなく、反対票が賛成票をわずかに上回っていた。

男はため息をつき、議場の最奥へ歩を進めた。あの壁と文字は、誰が見てもこの会議が極めて重要であることを物語っていた。彼はゆっくりと、考えながら歩いた。どう切り出そうかと。

やがて彼は、もう一人の男の前に立ち止まった。その男こそ、彼を待っていた人物だった。彼の席は議長席のすぐ近くだった。机の上には緑色の投票ボタンがまだ点滅しており、隣には急いで書かれた走り書きのメモと、「同僚 トラック・ヴァン」の名札が置かれていた。

男は座っている相手を見た。中年で、自分とほぼ同年代の男だった。少し乱れた黒髪と、目の下のクマを隠す分厚い眼鏡。それがその男の印象だった。男は格式あるベストを着ており、そこには「ARMS」の軍章が付けられていた。彼は疲れ切った様子で座ったまま、目の前の人物など興味がないかのようだった。

立っている男は、左耳のイヤホンに軽く触れた。魔法の粒子が溶けるように消え、彼の本当の顔が現れた。六十歳を少し超えた、白髪で赤い目の男。濃紺の格式あるベストに、国章のバッジを襟元に付けている。

「ヴァン……」男が声を発した。

「……」

ヴァンは座ったまま、ゆっくりと黒い瞳を相手に向けた。

「何しに来たんだ、テレス?」

「やはり説得できなかったようだな。私は教授がまだそれを固く信じていると思っていたが」テレスはすぐには答えず、スクリーンを見て、皮肉たっぷりに言った。

「幹部の一人として、これ以上この件に首を突っ込まないでほしい! すべては投票で決まり、結果は君の目の前にある。我々はどんな理由があろうと参戦しない。それがここに座る者たちの意志だ」ヴァンは座ったまま、虚ろな目で正面を向いていた。

「平和を愛し、常に和解の道を探り、紛争を憂慮する。君の思想は随分変わったな? かつて魔法使いたち、この国の息子たち、を守る者と呼ばれた兵士から。さらには、普通の人間も魔法を使えるようにするための、偽装ワクチンを生み出すために医徳を捨てた男から……」テレスはゆっくりと議長席の方へ歩み寄り、国章に手を置き、戦友を振り返った。

「そして今は、平和を愛する人間になった。政治は君を随分変えたな、友よ!」テレスは目の前の友人をさらに皮肉り、その言葉は相手の人生を深く抉った。

「それは全く別の話だ! 私を一緒くたにするな!」ヴァンは机を強く叩き、立ち上がり、目を細めて友人と向き合った。

「同じことだ!」男は大声を上げた。「トラック・ヴァン! 我々はどれだけの任務を共にこなし、どれだけの魔法使いを救ってきた。君がそれをしたのは、自分の民族があの連合の規制の下で恐怖に怯えるのを望まなかったからかもしれない! しかしそれは君の意志であり、決意だった!

そして君自身もよく知っているはずだ。あの日、行動を起こさず、あの連中と対峙しなければ……私は今日ここに立っていられない!」男は一旦言葉を切り、呼吸を整え、穏やかに続けた。

深く息を吸い込み、心に溜まった感情を抑え込むように、ヴァンはしばらく沈黙した後、電子スクリーンを見た。

「投票は終わった。全員が共通の意志に同意した!我々はどんな理由があろうと参戦しない!」彼は声を整え、落ち着いて宣言した。

「しかし、それに同意しない者もいる!」テレスはヴァンの席に戻り、机の上を見下ろした。緑色の投票ボタンはまだ光っていた。「君は変わっていない。ただ、以前ほどの決意がないだけだ。」

「この民族はどんな理由があろうと血を流さない。君の言葉でこの国を変えられるとでも思うのか!」

「では君の民族は臆病者か?」

時間が凍りついた。数秒の静寂ではなく、全てが停滞した。歴史さえも息を潜めていた。そして、何も起こらないように見えたその瞬間、源のない風が議場を吹き抜けた。

冷房の下で静かに掛かっていた国旗が、突然大きくはためいた。軽く揺れたのではない。まるで閲兵式で兵士たちが一斉に足を踏み鳴らすような、力強く断固としたはためきだった。空気も温度も変わらないのに、国旗は動いた。まるでその中に誰かが立ち上がったかのように。

その時、無機質だったはずのLED照明システムが、誰の操作もなく急に明るさを増した。光が議場最奥の大統領像を照らし上げた。像の目が輝き、二人の男の心臓をまっすぐ見つめているかのようだった。顔が生き生きとし、光と影が交錯しながら、戦争と悲しみ、そして失われたものを語り始めた。

誰も動かなかった。誰も言葉を発さなかった。短くも永遠のような一瞬、この部屋のすべての分子が理解した。「生きている者だけが審判を下すのではない。歴史と、現在と、血……それらもまた、声を上げているのだ。」

「テレス・レトレス! 自分の言葉に気をつけたまえ! この民族は多くの変革を経験し、多くの戦争をくぐり抜けてきた。戦争の傷跡はまだここにある。我々は平和の価値を誰よりもよく知っている。そして我々はそれを守り抜く。他の誰が銃を向けようと、君のような亡国の者の言葉など関係なく!」

「我々は皆知っている。今の状況では外交こそが平和への最善の道であることを。私はあの国境の連中が何を狙っているか知っている。しかし外交が常に最善の方法だ。国境の兵士たちは祖国を守るために懸命に務めている。ここでは我々が外交と政策で対応し、外の同志たちが国民の安全を確保する。それが我々が数十年来やってきた方法だ!」ヴァンは言葉を止めず、続けた。

「もうそれは数十年前のことではない!! ヴァン、時代は変わったんだ!」

突然、雷が国会議事堂の避雷針に直撃した。現在の技術なら神の力を完全に吸収できるはずだった。しかしそれは大きすぎ、強すぎた。エネルギー吸収システムが過負荷を防ぐために自ら遮断した。その結果、会議場の全電源が落ち、二人の男の姿だけが闇の中に浮かび上がった。

そしてその瞬間、博士である彼は、理論上だけに存在するはずのものを見た。体が凍りついた。彼は目を見開き、瞳孔が広がり、額に汗が流れ落ちた。信じたくなかったが、それは現実に起こっていた。

十秒、二十秒、そして三十秒後、非常電源システムが復旧した。高性能LEDの光が再び議場を満たし、先ほどの雷撃などなかったかのように照らし出した。

「私の最も親しい友人の一人が、魔法が生活の一部となる国家連合の構想を提案した。しかし彼はあの日の戦場で、私を救うために犠牲になったのだろう!」テレスはため息をつき、友人の後ろの大きな扉を見た。「君の言う通りだ。戦争で多くのものを失った民族こそ、平和の価値を最もよく理解している」

「邪魔をしてすまなかった、ヴァン!」

そう言い終えると、テレスは自分の擬態システムを再起動させた。左耳のイヤホンから濃い赤色の魔法粒子が広がり、彼を包み込んだ。そして再び、この国の血と肌を持つ、黒い目と黒い髪の市民の顔を作り上げた。彼は再びため息をつき、先ほどのビーズを友人の名札の横に置いた。

友人に最後の別れを告げると、彼は身を翻し、リム材の扉に向かった。一歩一歩、重く、ゆっくりと。相手が考えを変えてくれることを願うかのように。しかし扉に着いても、何も起こらなかった。テレスは最後に深く息を吸い、吐き出し、扉を強く押し開けて会議場を後にした。振り返りはしなかった。

ヴァンは親友の背中をずっと見送り、彼もため息をついた。荷物をまとめ、退出の準備を始めた。

その後、彼は自分の名札に目をやり、複雑な思いが胸に浮かんだ。自分は何のためにここに立っているのか? なぜここまで遠くに来てしまったのか? 彼は友人が残したビーズを手に取り、強く握りしめた。小さく、しかし驚くほど硬いビーズだった。その中心には、国旗が鮮やかに描かれていた。赤い地に金色の模様が風に翻る旗。

彼は小さく微笑み、それをポケットにしまい、部屋を後にした。扉が再び開き、最後の人影も議場から消えた。「ガチャ……ドン」という乾いた音の後、室内のLEDスクリーンが突然エラーを起こした。激しく点滅した後、青い背景に変わり、先ほどとは異なる意味を持つ内容が表示された。

「投票賛成率:100%。」


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