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第十一話

「お、お前は一体誰だポン!?

 魔法少女管理委員会の幹部かポン!?」


すると男は薄く冷たい笑みを浮かべて答えた。


「フフ、僕は魔法少女管理委員会の中の神の代理人派閥、

 ラファエールや。バランスと言う観点で見た時、

 先にあんたらにも情報を伝えておかないとフェアじゃないやろ?

 だから春川を泳がせて情報をリークさせた上で、

 用済みになったから消したんや。

 僕達はこの世界のバランスを司る存在やから、

 一方的なんはダメなんよ。結構難しいんやで、この立ち位置。」


男からは只者では無い雰囲気がただ立っているだけで感じられた。

先日のキモ・オジロンどころでは無い、睨まれただけで心臓が止まりそうな

圧倒的な強者感が溢れていた。


「先日の矯正施設での健康診断を装った検査の結果が出てな。

 桃峰さくら、あんたはこの世界のバランスを壊し兼ねない、

 最悪のニュータイプ魔法少女や。

 最近増えてて困ってるんよなぁ。何の経験も努力も無しに

 めっちゃ強い力を得てしもうとるから、厄介なんや。

 魔法少女の哲学も持たぬまま、圧倒的に目の前の敵を倒す。

 それを繰り返すうちにやがては、自分は強いと知る。

 そして世界を自分の好きなように操れると勘違いする。

 いちいち始末するの、面倒なんよなぁ。」


「さくら、コイツとは戦っちゃダメだポン!!

 絶対にさくらが勝てる相手じゃないって、ちゃんとわかるポンよね?」


「うん、わかってる。

 だけど、命を賭けてまで、魔法少女管理委員会の事を教えてくれた

 春川さんの事を用が済んだら殺しちゃうなんて、許せない!」


「だから、戦っちゃダメだって言ってるポン!

 ようし、こうなったボクが・・・お前の武器を触るポン!!」


「無駄やで。あんたみたいなポンコツマスコットが触ったくらいじゃ、

 この剣は他のものにはならへん。

 残念ながら、あんた程度じゃ出来る事は無いわ。」


ラファエールはオタポンを蹴り飛ばし、さくらに近づく。


「ほんま、お前みたいなバランスブレイカーのせいで

 世界の均衡が崩れるんや。忌まわしい存在やで。」


ラファエールはさくらに向けて剣を振り上げた。


「別に自ら希望して魔法少女になったんとちゃうのはわかってる。

 呪うなら、自分の運命を呪いな。」


その刃は避けられる速度では無く、無慈悲にも1mmの躊躇も無く

さくらの脳天目掛けて放たれた。


そこへ、声が聞こえた。


「さくらさん!助けに来たわよ!」


「あら、オタポンも大丈夫!?」


カレンと亜子が春川死亡のニュースを見て、さくらの元に駆け付けたのだ。

二人の魔法のステッキが刃を受け止めた。


ラファエール

「ほぅ、仲間か。せやけど意味無いで、あんたらはコイツよりも弱い。

 先輩として経験だけはあるんやろうけど、そんなん僕の前では無意味や。

 三人まとめて消して、行き過ぎた魔法少女側のバランスを矯正するで。」


カレン

「どうやら、オタポンのマスコットの力で相手を無力化する案は

 効かなかったみたいね。それなら、私達で何とかしないと!」


亜子

「春川君の無念も晴らさせてもらうわ。

 彼のおかげでようやくこの世界の仕組みが見えて来たもの。

 そしてお誂え向きに、そちらから黒幕が顔を出してくれた。

 全力でそれを叩くのが、今の私の使命よ!」


二人は黒と白の光球を放った。

それは混ざりあい、並みのヨクボーン程度なら一撃の威力だった。

しかし、神の代理人派閥のラファエールには効かなかった。


ラファエール

「へぇ、あんた達結構やるやんか。だけど残念やなぁ、

 僕は魔法少女管理委員会の黒幕組織、神の代理人派閥のNo.2や。

 言っておくけど、あんた達魔法少女が世界のバランスに必要ないなら、

 全員が束になっても敵わへん、それくらい強いんやで?

 たった三人で敵うわけもあらへん。まぁせやけど、今更もう

 謝っても逃がしたらへんけどな。」


さくら

「だったら何故、あなたはあの矯正施設で私達を消さなかったの?

 それは、私達には利用価値があって、

 それはヨクボーンが与える絶望とは真逆の希望と言うもので、

 魔法少女にはその無限の希望があるからこそ、

 私達を消せないのじゃないかな。」


カレン

「私も確かに不思議だったわ。

 不要な魔法少女を消したいのなら、あの矯正施設で消す事も出来たはず。  

 それなのにわざわざ生かして帰したと言う事は・・」


亜子

「大方、その希望と絶望をバランス良く与え続ける事で成長して、

 やがては生み出したい何かがある、って所かしら?」


ラファエール

「アンタら、何でそれを?

 そんなん、憶測で至れる結論とちゃう。まさか?」


さくら

「昨日、春川さんは私達に共有メッセージをくれたの。

 自分が消される事を予見して、彼なりに考えた計画の真意について、

 教えてくれたの。正直最初は単なる一つの憶測だと思っていたけれど、

 あなたを見ていて感じたの。

 あなた達は魔法少女を単なるバランスのため以上の何か

 利用価値を見出しているんだ、って。」


ラファエール

「ふん。やけに勘の良いヤツやったんやな、あのガキ。まぁええわ。

 それがわかった所で今さらあんたらに何が出来るん?

 別に希望のエネルギーの抽出くらい、

 他の魔法少女でも問題ないんやで。」


さくら

「だったら今ここで、私を消せば良いわ。だけどあなたは出来ない。

 何故なら私に最大の絶望を味合わせて、また希望を生み出させて、

 そうした振れ幅は1人1人の魔法少女それぞれからしか生み出せない。

 だからあなたはわざわざ私の所に直接やって来た。

 最大の希望を持つ魔法少女に、最大の絶望を味合わせるために。」


ラファエール

「あ〜もう、いちいち鬱陶しいなぁ。

 春川にせよ、あんたらにせよ、何でこうも純粋なガキは

 勘がえぇんやろな。せやけどまぁ、ええわ。

 そしたら桃峰さくら、あんたに死の恐怖を与えるんじゃなくて、

 そこの2人を殺してしまうわ。

 それやったら大きな絶望を与えられるからな。」


カレン・亜子

「くっ、来るわよ!!」


2人が身構える。しかし、その力の差は圧倒的な程に歴然だった。


ラファエール

「ほな、行くで!さいなら!!」


ラファエールが再び刃を振り下ろす。

その時、オタポンが目を覚ます。


「ん…えっ!?2人が..ヤバいポン!・・間に合わないポン!!」


その瞬間オタポンは、カレンと亜子に飛び掛かり触れた。

ラファエールには触れたものを無害なものに変える魔法が効かなくても、

2人の魔法少女になら効くと考えての咄嗟の行動だった。


亜子

「えっ、何、コレは!?」


カレン「私達、体が・・小さくなってる!?」


—シュウゥゥゥ…—


2人は、オタポンと同じマスコットになってしまっていた。


さくら

「えぇえぇえー!!??

 まさか、カレンさんと亜子さんが、マスコットになっちゃった!」



挿絵(By みてみん)

マスコットになったカレンと亜子



カレン

「おぉお、これなら私達も、マスコットの力が使えちゃうかも?」


亜子

「そうなれば・・・魔法少女の力を持ちながらマスコットの力を持つ私達を

 あなたは防げるかしら?」


ラファエール

「な、何やってくれとるねん!

 せやけど、そんなマスコットの姿になって益々僕の力に適わへんな!!」


カレン

「それはどうかしらね?

 さぁ、オタポン、亜子、行くわよ!!」


オタポン

「OKポン!3人で一気に、コイツをファンシーなモノに変えるポン!」


亜子

「カレン、信じるのよ、必ず上手く行くって。

 私達の魔法少女の力をマスコットの力に乗せるのよ!!」


カレン

「わかったわ!さぁ、覚悟しなさい、ラファエール!!」


3人はラファエールの体にムギュっと抱き着いた。

すると・・・!!


何とラファエールは、犬に変わってしまった!!


ラファエール

「な、何ていう事や・・・。

 ふざけとる、お前ら、力の使い方を間違っとるで!!」


亜子

「正しいわよ、コレが本来の平和の為の力。

 オタポン、私達をマスコットにしてくれてありがとう。」


カレン

「魔法少女の信じる心にマスコットの触れたものを無害なものに変える力。

 これであなたの組織のトップも無害な存在に変えさせて貰うわ。

 そしてヨクボーン達もこの力を使って、全て消えて貰う!!」


ラファエール

「そんな事したら大変やで!!

 世界のバランス、均衡が崩れると崩壊が始まってまう。

 そんなめちゃくちゃな世界、何が起こるかわからへん!!

 あかんで、あんたら自分が正しい正義と思っとるんやろうけど、

 今の無敵感のテンションのままにそんな事やったら、

 世界を壊すだけの自分勝手な独善でしか無いで!」


さくら

「それは何だか、本当にそうなのかもなって・・・。

 カレンさん、亜子さん。本当にそれで世界を良く出来るのかな。

 私、それが本当の答えだとは思えないんだ。

 だけど、二人のやった事は素晴らしいと思うし・・。

 ごめんね、何だか頑張ってくれた二人の事を否定しちゃうみたいで。」


カレン

「さくらさん・・・。

 確かに少し、舞い上がっていたかも知れないわ・・。

 こんなめちゃくちゃな計画、冷静に考えたら上手く行くとは思えない。」


亜子

「そうね、頭までマスコットになってしまっていたかも・・・。

 そもそも、魔法少女管理委員会のトップがこんな程度の力で

 何とか出来てしまえるような存在だとも思えないわね・・・。」


その時、1人と3匹の前に黒い球体が現れて、

そこから何者かが這い出そうとしていた。


???

「フフフ、それならば試してみるか?

 私がその、管理委員会のトップだ。

 神の代理人派閥の頂点にして創始者。

 お前達に全ての真実を教えてやろうぞ。」

唐突に、次回最終回!

いや、まだわからんな、最終回っぽい雰囲気で、実はもちっと続くかも知れない(笑)

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