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転生して聖女見習いになったと思ったら何故か毒手の親戚みたいなトンチキ拳法を極める流れになってるんですけど!?  作者: 悠戯


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64.ドラゴンとガール


 王都の上空を悠々と舞う真っ黒いドラゴン。

 アレは悪魔が変じたモノみたいですし厳密には見た目が似てるだけの別物なのでしょうけれど、それでもファンタジー作品でお馴染みの有名モンスターを実際に目の当たりにすると迫力に圧倒されますね。



「うわぁ、ドラゴンですよ、ドラゴン! わたし初めて見ました!」



 手元にデジカメかスマホでもあったら間違いなく連写してましたね。

 いつ自分達に向かって牙を剥くか分からない危険な生き物なのは承知しておりますが、正直ちょっとテンション上がります。


 一口にドラゴンと言っても様々な種類がありますが、今回のヤツは胴体がヘビみたいに長くて短い手足が生えている龍タイプです。七つのボールを集めると願いを叶えるために出てきてくれるアレと似たようなデザインと考えれば、多少はイメージしやすいんじゃないでしょうか。カラーリングこそグリーンではなく黒系ですが、まあ大体あんな感じです。


 ちなみに胴長の龍タイプと並んでメジャーなのが、ティラノサウルスの背中に翼が生えたかのような姿の竜タイプ。地球基準で言うならば、東洋的なのと西洋的なので分けることもできそうです。この手の分類法には他にも色々な方法がありますし、いずれのパターンにも当てはまらない独自色の強い種類などもいるそうですが。


 他にもツノやヒゲの有無やら炎や毒の息吹を吐いたりだとか、メジャーな怪物だけあってバリエーションも実に多いのですけれど、数少ない共通点としては魔物の中でも飛び抜けて強いとされていることでしょうか。この世界でそういった信仰があるのかは存じませんが、地球においては神の遣いや神そのものと考えられているケースもあったそうですし。



「あ、もしかしてアレですかね? ほら、例の変態の。なんかもう見るからに他の悪魔より強そうですし」


「さあ、どうなのでしょう? 本当にその変態さんなのだとしたら大変ですけれど」


「逆にアレで変態じゃないほうが伸びしろを残してるみたいでマズくない? ていうか自分で言っておいてなんだけど、こう変態変態言ってると会話に変な解釈の余地が生まれそうでちょっとイヤかも……」



 と、わたしとクーちゃんとエリーちゃんの意見はこんなところ。

 見るからに強そうなドラゴンを目の当たりにしたにしては呑気な会話を繰り広げていますが、事実ドラゴンは王都上空をゆっくりと旋回するばかりで地上に降りてくる様子はありません。見た目は強そうですし空を飛ぶ能力も厄介ではありますが、もしかすると外見だけの虚仮脅しだったりしませんかね?


 別に、わたしのそんな心の声が届いたわけではないのでしょうが。



「ぎゃーっ!? カミナリっ、めっちゃカミナリ落としてきた!」



 地上に降りてこないのは、単純にその必要性を感じていないからだったようです。

 全長何百メートルあるかも定かでない巨体のあちこちに黒い雷雲を纏わりつかせ、それがゴロゴロと音を鳴らしたと思ったら、特大のカミナリがドカンと落ちてきたではありませんか。



「多分だけど、お城の屋根に落ちたっぽい? マー君達、大丈夫かな……」



 この王都はお城を頂点とした緩やかな円錐状の地形をしています。

 ドラゴンの落とすカミナリがどこまで自然のそれと同じ性質を持っているのか不明瞭な部分はありますが、落雷というのは基本的に高いところを目がけて落ちるもの。お城が攻撃を受けたのは、そこが一番高くて狙い易かったせいなのかもしれません。


 先程のカミナリは石造りの尖塔を一撃で打ち砕くほどの威力があったようです。

 一撃や二撃で倒壊するほどお城もヤワではないでしょうが、このまま何十何百とカミナリ攻撃を連続されたら万が一もあり得ます。無論、お城以外の建物や人間が狙われる可能性だって十分にあるでしょう。



「光刃よッ! ……やはり、この距離では効かんか」



 急に隣りがピカピカ光ったと思ったら、レイさんがドラゴン目がけてビームを撃っていたようです。残念ながら、効果的とは言い難い結果だったみたいですけれど。


 単純な威力不足というよりも、ドラゴンが周囲に浮かべている雷雲のせいでビームが体表に届く前に威力が散らされてしまったと考えるのが妥当でしょうか。あまり詳しくはない分野ですが、前世で読んだSF作品か何かでも強力なレーザー兵器が濃霧のせいで本領を発揮できない展開があったように記憶しています。



「やむを得んか。すまないが貴方達はどこかに隠れていてくれ。俺は同じ高さまで飛んでアレを倒す」


「たしかに地上からチクチク撃ってるよりは効きそうですけど、いくらなんでも無謀じゃないですかね? そりゃまあ、レイさんがお強いのは知ってますけど……」


「無謀は百も承知だ。だが、このままでは一方的にカミナリを落とされ続けるだけで王都が滅びる」



 レイさんの心配も杞憂とは言えないでしょう。

 いくら院長先生のゴリラパワーでも、岩か何かを投げて上空のドラゴンを倒すなんて真似は流石に……いえ、なんか想像したら普通にワンチャンありそうな気もしてきましたが。だとしても、今は貴重な対空戦闘のできる人員を安全圏に置いておく余裕はないはずです。



「では、行ってくる」



 心配ではありますが、元より我々に彼を止める権限などありません。レイさんは普段通りのクールな無表情を崩しもせずに、猛スピードで天へと昇っていきました。


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