モテ期
シュタウフェンベルク伯爵邸に戻り、伯爵夫妻に私は頼んだ。
どうしても結婚しなければならないなら、15歳で斬首刑にならずに16歳の誕生日を迎えてから嫁ぐことにして欲しいと頼んだ。
逃げられないのなら仕方ない。
一度、宮殿で皇帝陛下との謁見の際に居た第三王子だが、私は顔も覚えていない。
その第三王子と結婚する。
結婚したその日がまだ15歳であれば、斬首刑を言い渡される日がやって来る。
――15歳――までに斬首刑の元になった出来事を何としても知らねばならない。
もう時間が無い。
第三王子との婚約は、まだ正式に決定したわけではない。
発表されていないからウージンゲン公爵家から正式に婚約の申し込みがあった。
それは、カールとの結婚である。
同じ日、もう一人から婚約の申し込みがあった。
相手は、アドリス・フォン・リートベルク。
リートベルク伯爵家からの申し込みだった。
第三王子やカールとの結婚の話は、当然愛などは一切なく、有るのはテレーゼの知識を欲している政略結婚。
でも、アドリスは……アドリスは違う。
アドリスは自分を認めてくれるテレーゼに傍に居て欲しいのだ。
私は嫁がねばならないのなら、アドリスが良いと思った。
だが、それは叶わない。
それにしても………急にモテた。
こういうのを日本では「モテ期」とかいうらしい。
「 I've been popular with guys recently. 」つい口から英語が出た。
シュタウフェンベルク伯夫人は「まぁ、最近男性から想いを寄せられている?、と……そう言ったのね。」と微笑みかけた。
「第三王子殿下との婚姻が決まれば、他のお話しは自然に消えるのですね。」
「ええ、そうね。
でも、まだ正式に決まった訳ではありません。
それまでは、お父様に任せておけば良いのですよ。
テレーゼは何も考えなくても良いのですからね。」
「はい、お任せします。」
第三王子との婚約が決まる前に、皇太子殿下が狙われた。
狩りで、矢が皇太子殿下を襲った。
幸いにして、矢は左上腕を掠ったのだ。
殿下を守る為に盾になった近衛兵達が倒れた。
皇帝家が催した狩りである。
カールも、アドリスも、そして、シュタウフェンベルク伯爵も、その中に居た。
多くの者が皇帝一家を守る為に動いた。
それぞれが盾となり、襲撃者を捉えようとした。
混乱が続き、襲撃者を数名殺めたが、2人を捕らえた。
捕らえられた襲撃者は毒を飲んだ。
直ぐに炭を飲ませ、吐き出させた。
何度も炭を飲ませて、なんとか2名とも命を繋げたようだった。
シュタウフェンベルク伯爵は負傷した。
矢が背に当たり、剣も身体に受けた。
皇弟殿下を守る為に盾になり応戦中に負傷したのだ。
シュタウフェンベルク伯夫人は急ぎ宮殿へ向かった。
テレーゼは幼い弟達と屋敷に残った。




