招待する理由
テレーゼの誕生パーティを大々的に行うと、張り切っていた伯爵家の人々に私は話した。
「お父様、お母様、ありがとう存じます。
………皇弟殿下のご体調が優れないという今この時に……。
私の誕生パーティをお客様をお迎えして開くのは如何かと存じます。
出来ましたら、家族とこの屋敷で働いてくれている人達だけでパーティをして下
さいませ。
その方が嬉しゅうございます。」
「あぁ……それは、そうなのだが………。
陛下は殿下が重篤だとは仰せではなかった。
だから…………。」
「でも、お父様。このようなことをなさると目立ってしまいます。
目立つのは如何なものかと存じます。」
「あぁ、それは、そうなのだが……………。」
「どうしても? どうしても家族だけのパーティに?」
「お母様…………今は皇弟殿下のご快癒をお祈りすることが肝要かと存じます。」
「寂しいわね、娘が居るのに………。
着飾って美しく育った娘を披露出来ないのは……。」
「お母様……申し訳ございません。
そんなことよりも、お父様。
皇弟殿下のお具合は如何でございますか?」
「全く分からんのだ。どこからも漏れ出て来ない。」
「完璧な情報統制ですね。」
「かっせいたん、とやらが未だ出来ておらん。
水路については工事が進んでおる。」
「お父様、ありがとう存じます。
私の話を信じて……領地の改革をして下さり、誠にありがとう存じます。」
「否、礼を言うのは私の方だ。ありがとう、テレーゼ。」
「そんなこと……。」
「新しい試みが見事成し終えられるかどうか、も大切だが……。
テレーゼ……私は其方が成人した女性になる日の訪れを心から願っておる。
そのためには、どのようなことでも行うぞ。」
「お父様………。」
「其方の誕生パーティを行うのには、一つ理由がある。」
「何でございますか?」
「お呼びしたい方がおられるのでな。
ウージンゲン伯爵の御嫡男だ。
其方にとって恐ろしいお方であろうが、私はあのお方の愛妾を知りたい。
その為に盛大なパーティを開こうと思うた。」
「テレーゼ、必ず私が傍に居ます。
だから、カール様とその愛妾であるクラウディア嬢をお呼びするけれども……。
お呼びする方も少なくします。
それでも、恐ろしく思うでしょうね。」
「……恐ろしい記憶の中に2度も居たのが、あのお二人でした。
だから、怖いです。
でも、お父様がお話なさいたいお方がクラウディア嬢なら……。
誕生パーティをして下さいまし。
そして、お母様が仰った通りに、お呼びする方は少なくして下さいませ。」
「そうか……分かった。
では、早速、行おう。」
「はい。」
招待状を早速送ったシュタウフェンベルク伯爵。
ドレスも出来上がり、その日を待つばかりになった。




