死ぬ前の恐ろしい夢?
私は冷静にならなければならないと思った。
部屋の中を見回した。
弟のジミーの姿を探しても、どこにも居ない。
部屋には、どう見ても中世ヨーロッパの調度品が置かれている。
周囲の人たちの衣服が、映画などで見た中世ヨーロッパの衣服である。
私は思った。
⦅これは死ぬ前に見る悪夢の中なのだ。
………だけど、どうして私の名前まで変わったの?
それに……もう一つの恐ろし過ぎるあの夢………。
あれは、何っ!
テレーゼって呼ばれた私が、首を……!
あんな恐ろし過ぎること………テレーゼという名前になっていた私の身に……
恐ろし過ぎて………今も震えが止まらない!
怖い………怖いわ………早く天国に行きたい。
もう夢は見たくないわ。⦆
「………主よ………
天に坐す我らの父よ、
願わくはみ名をあがめさせたまえ。
み国を来たらせたまえ。
み心の天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らに罪をおかす者を我らがゆるすごとく、我らの罪をもゆるしたまえ。
我らを試みにあわせず、悪より救い出したまえ。
アーメン。
………どうか、私を……天の園に………。」
「テレーゼ! 其方、何ということを!
天の園になど……何故、願うのじゃ……。」
「テレーゼ、早く思い出して頂戴……お願いだから……。
お父様を……お母様を思い出して……。
思い出したら、そんな恐ろしいこと願うはずがありません。」
⦅この人達、テレーゼっていう人の父親と母親なのね。⦆
「あ…………。」
「如何した。テレーゼ、申してみよ。」
「テレーゼさんって、私ですか?」
「! 誠、全て忘れたのか………。」
「う、うううっ………。」
「ヘンリエッタ……泣くでない。」
「……はい。」
「婚礼は出来ぬとお伝えした。今のままでは、な。」
「テレーゼ、其方は12歳。
婚礼の日であったが、其方が倒れた故、先に延ばして頂いた。」
「え……………。」
「私が、其方の父。そして、隣に居るのが其方の母。
早う、思い出しておくれ。」
「申し上げます。
只今、使者が戻って参りました。」
「今行く!
………テレーゼ、思い出しておくれ。」
父と名乗った男性が部屋を出て行った。
身に起きたことを冷静に……冷静に考えようと私は思った。
⦅これが悪夢でも終わりがあるはずよ。
それまで、何が起こるのか……起きたのか……。
良く見ておかないといけないわ。⦆
これからは……何が起こるか見る必要がある。




