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元に戻りたい  作者: yukko
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情報の精査

強い女だとタフだと思っていた。

それがアン・スミスだと思っていたが、何故だかこの世界ではタフからは程遠い。

斬首刑の恐怖があの二人の姿をまじかに見て思い起こされた。

すると、急に目の前が真っ暗になった。

倒れてからがどうなったのか分からない。

気が付けばテレーゼの部屋だった。


「テレーゼ! 気が付いたか。」

「……………ここは?」

「其方の部屋ぞ。」

「テレーゼ、良かった………。」


倒れたことで、どうやらテレーゼの身体は快癒していないことの証明になったようだ。

どの家との婚姻も結ばないことに決まったようである。

⦅皇帝陛下……ありがとう!⦆と私は嬉しくて叫びそうになった。


アドリスの語学は、前の人生と同じように教えることが決まった。

妻と二人に語学を教えると決まったが、当日になってアドリスが一人でやって来た。

どうやら一度も来る気は無いようだ。

最初の日から彼女は他家が催すお茶会に行っているようだ。

アドリスは全く気に掛けず、語学を学ぶことによって、伯爵家の嫡男として責務を担う自信に繋げたいと思っているようで、真面目な性格が伺える。


アドリスとの語学は楽しい時間になった。

その中で私はアドリスから社交界の様子などを聞いた。

アドリスの情報の多くは妻からのものだった。

これから、アドリスの妻が得た情報もシュタウフェンベルク伯爵と共に考える。

どんな貴族がどのように動いているのか、動くのかを知る為に、取れ得る情報は全て得る。

そして、精査する。

独りではないことを心強く思っている。

そして、私はシュタウフェンベルク伯爵と伯爵夫人に「アドリス様にも私のことをお伝えした方が良いのではありませんか?」と伝えた。


「何? アドリス殿に?」

「それは、他の方を巻き込んでしまうのだと分かっているのですか?」

「はい。でも、あのお方なら……味方になって下さいます。」

「味方を増やしたい気持ちは分かる。」

「では!」

「だが、巻き込んでしまうのは如何なものか。

 良く考えよ。」

「巻き込む………。」

「このように陛下派と殿下派、そして、どちらにも属さない家。

 それらを全て【事を起こす可能性あり】と見做(みな)して、どう繋がりを持とうとして

 いるか見ている。

 それは、事を起こそうとしている貴族から見れば邪魔な存在であろう。」

「はい……そうですね。」

「シュタウフェンベルク伯爵家は全員が斬首刑になったのであろう?」

「はい。」

「アドリス殿は、どうだった?」

「あ…………なっていません。」

「巻き込んでは悪いな。」

「そうでした。私………焦ってしまって……人を増やしたくて………。

 時間が……余りありません。」

「分からなくとも仕方あるまい。」

「そうですよ。其方の言葉を聞く前は何も起こらないと思っておりましたもの。」

「でも………何も悪いことをしていないのに………斬首刑になるのは嫌です。

 私だけではなく………シュタウフェンベルク伯爵家全員なんて………。

 弟達は幼いのに………可哀想です。」

「ありがとう。其方の優しさが嬉しい。」

「…………テレーゼ………。」

「最悪……子ども達だけでも命を繋げることが出来るように……手を打つことも今

 から考えておかねばなるまい。」

「はい。そうですわね。」

「でも! 全員が無事になることが一番です。

 だから、どちらかが填めたのなら……先に填めた方を表に出したい。

 その為に証拠を見つけたいのです。」

「そうだな。

 可能性としてだが、殿下は御聡明であらせられる。

 陛下より……だ。

 だから、陛下派は殿下が邪魔な様子。

 それは私でも分かる。」

「では!」

「だが、其方が言う通りに証拠が無く、それは一つの可能性というだけだ。

 殿下を取り巻く貴族たちの中にも陛下を排して殿下を!と望むものも居る。

 どちらも何も起こさないとは言えない。

 それに、近隣諸国が関わっていないとは言えまい。」

「え…………………近隣諸国ですか?」

「そうだ、其方の婚約者だったカール殿には愛妾がいる。」

「はい、存じております。」

「そうか………クラウディア・フォン・ブラウンだったかな?」

「はい、そうです。」

「彼女の父は、一代限りの男爵だ。」

「一代限り?」

「そうだ、貴族ではない。

 先の戦で功績があった者だ。

 だが、その功績も怪しい。」

「怪しいとは………。」

「他の者の功績より劣るのよ。

 それに、変なのだ。」

「変とは?」

「男爵の経歴が途絶えている時期がある。

 その途絶えている時期に、どの国に居たのか、何をしていたのか分からん。」

「その時期に……もしかしたらスパイ!」

「ス…パイ? 何じゃ、それは…………?」

「あ、いいです。スルーして下さい。」

「スルーとは何じゃ?」

「あ――――っ、スルーは気にしないで下さい。という意味です。」

「そうか………。」

「怪しい人物の一人と考えても良いのですね。」

「そうだな。

 そして、娘を公爵家に送り込んだ。妻に迎えられる身分では無い故に、愛妾とし

 て送り込んだと私は考えている。」

「公爵家を味方に付ける為に?」

「そうだ。」

「私もそのように思いますわ。

 公爵家のお茶会などで、クラウディア嬢の話が出ますが………。

 公爵夫人は良く思っていらっしゃりません。

 それどころか、父親である男爵様のことを悪し様に……。」

「どのように言うていた?」

「はい、それは先ほどの舞踏会で私と二人でお話させて頂きましたの。

 その折に、『男爵様が頻繁にお見えになり、カール様に色々吹き込まれている』

 と仰いました。」

「そうか……今の所、一番怪しい人物だな。」

「要チェックですね。」

「よう……チェック? それは、何だ?」

「一番怪しいから、今後も気をつけてみる……ってことです。」

「それは、短いが正しく伝えられて良い言葉であるな。」

「はぁ……これからも、このように情報を持ち寄り考えましょう。」

「それは、その通りだ。」

「私もテレーゼ、其方の代わりにお茶会になるべく出ますわ。」

「お願いします。」


独りではない安心感からか、私はゆっくり休めた。

翌朝までぐっすり寝ていたそうだ。

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