告白
私は抱き締めて貰って泣いているうちに⦅全て何もかも話そう!⦆と決意した。
ショックの余り寝付いていたテレーゼの母が、「娘が思い出してくれるなら何でもする。」と自分の辛い気持ちを押し切って、重い身体を起こし、私が良く寝ているかどうかを見に来てくれるようになっている。
それだけテレーゼを愛している母親。
⦅何もかも話そう! こんなにも深い愛で包んでくれる人に無残な死を迎えさせないためにも!⦆と私は決めた。
信じて貰えないだろうが、この人達を、優しい子の人達を、本物のテレーゼが守りたかったであろうこの人達を……守る為にも話すと決めたからには、一日も早く話す方が良い。
抱き締めて時折、背中を優しく撫でてくれているテレーゼの母・シュタウフェンベルク伯夫人に私は話し始めた。
「シュタウフェンベルク伯夫人。
私はアン・スミスです。」
「それは……何度も聞きました。」
「何故、テレーゼさんになったのかは分かりません。
ただ、信じて頂けないと思いますが…………。
私は………テレーゼさんは15歳で斬首刑になります。」
「え………………………………何を言っているのです………。」
「その話を聞いて頂きたいのです。
どうか、シュタウフェンベルク伯爵と御一緒に聞いて頂けませんか?」
「………………………………何を言ってるのか……分かりません。」
「そうでしょうね。私自身が分からないのです。
どうしてニューヨークからドイツに来たのか。
それも斬首刑の寸前で!」
「え……………。」
「そして、刑が執行されたら、またテレーゼとして目覚めて……。
また斬首刑になって………そして、次に目覚めたら…………。
またテレーゼだった。
待っていたのは斬首刑!
何度も怖かった…………痛みは表現出来ないほど……でした。
信じられないでしょう?
私自身が信じたくない! もう嫌っ!
ニューヨークに帰りたい!
パパ、ママ……私にも両親が居て……弟と妹が居ます。
家族の所に帰りたい!
仕事もしたい、恋人が待ってるんです。
だから、帰りたい………帰りたいんです。」
その後は泣いてしまって言葉が出なかった。
呆然と私を見つめていたシュタウフェンベルク伯夫人が「明日、お父様にお話ししましょうね。私と一緒に……。」と言ってくれた。
翌朝、シュタウフェンベルク伯爵と伯爵夫人だけの部屋に呼ばれた私は、今までの経緯を話した。
全て包み隠さず話した。
過去にテレーゼとして2度毛結婚したことを話した。
1度目はアドリスだったこと、2度めがカールだったこと。
そして、最初の斬首刑の時も結婚していて、その時の相手はカールだと思うこと。
斬首刑はテレーゼだけではなく、シュタウフェンベルク伯爵家全員だったこと。
皇帝陛下派と皇弟殿下派の争いの結果、何方にも属さないシュタウフェンベルク伯爵家が巻き込まれた可能性があること。
分かっている全てを話した。
そして、最後に………。
「多分……ですが………。
テレーゼさんは………その………恋をしていたように思います。
カール・フォン・ウージンゲンさんを愛していたように思います。
それから………2度もアドリスは………。
アドリス・フォン・リートベルクさんは獄中の私に面会に来てくれました。
そして、脱獄を……その準備をしてくれました。
ただ、それよりも早く私が処刑されたので…………。
それから、一番お伝えしたいことなのです。
私は、この屋敷でテレーゼさんとして目覚めた時の年齢が必ず12歳です。
そして、処刑された時の年齢は15歳でした。
だから、後2年で処刑されます。このままでは………。
シュタウフェンベルク伯爵並びに伯爵夫人。
どうか信じて下さい。
そして、斬首刑を回避する術を考えて下さい。
お願いします。」
「……………ありがとう。
話すのは辛かっただろうね。
涙が止まらないのに話してくれて本当にありがとう。
今はどう答えれば良いのかさえ分からないのだよ。
どうしても! どうしても!
其方は私にとってテレーゼなのだ。
その姿、声……テレーゼなのだから………。
今は混乱もしている。
ただ、話してくれた内容を嘘だとは思っていないよ。」
「シュタウフェンベルク伯爵……ありがとうございます。」
「もし……もし斬首刑を回避出来たら……。
その時に……お父様と一度でいい、呼んでくれまいか。」
「はい。」
「私も、その時に……お母様と呼んで下さい。」
「はい。」
この日から私はシュタウフェンベルク伯爵と共に斬首刑の原因を探ることにした。
初めて大きな味方を私は得た。




