派閥に属さぬ家
カールの妻になって2年が過ぎた。
子どもは……居ない。
カールの心を占めているのは、今もクラウディアただ一人だけだから……。
テレーゼは今も嫁いで来た時のままの身体だ。
それを私は悲しいとは思わなかった。
心の中に居るのは会えないリアムだけだから……。
だが、クラウディアにも子が授からない。
公爵夫妻はそれを残念に思っている。
子どもはカール一人だからだ。
夫人が産んだ子は4人居たが、3人が夭逝してしまい、たった一人残った子どもがカールだった。
カールは両親の愛を一身に受けて育った。
クラウディアを邸内に住まわせて、自分の部屋の隣の部屋を宛がうことも許した。
それはテレーゼが嫁いでからも変わらない。
ただ………時折、失恋のような心の痛みを感じることがある。
⦅もしかしたら、本物のテレーゼさんはカールが愛していたのかしら?
だから、クラウディアとの様々なことを聞くたびに辛くなる理由?
それが、テレーゼさんの想いなら……テレーゼさん自身は何処へ行ったの?
テレーゼさん自身が存在していたから……私がここに来た…としたら……。
こんな私が代わりになっちゃったけど……カールを愛することは無いわ。
テレーゼさん、可哀想だわ。
愛した人に愛されず、その上、斬首刑が待っていた。
何とかして、今回は斬首刑だけは避けたい。
もう、あの恐怖と痛みは嫌だ!
そして、これで終わりにしたい。
リアムの待つ家に帰るのよ。今度こそ………。⦆
アドリスとエディットとの仲は、あまり良くないようだ。
だが、二人共、テレーゼとのお茶会を楽しんでくれていると私は自負している。
嫁いで2年――斬首刑が15歳の時だと定められた運命なら――あと1年しかない。
アドリスから思うように聞けなかった。
侍女が居る所で政治のことは聞けなかったのだ。
ただ、なんとなく分かるのはテレーゼの実家とアドリスの家は中立派……というより、何処にも属さないと言った方が正しいようだ。
皇帝陛下派でもなく、皇弟殿下派でもない。
何処にも属さない。
それが、アドリスの家とテレーゼの実家だと分かった。




