アドリス夫妻
アドリス・フォン・リートベルク伯爵令息は妻・エディットと共に出迎えてくれた。
懐かしいアドリスの声を聞いて私は涙が零れそうになった。
「テ、テ、テ、テレーゼ様
よ、よ、よ、よく……お、お、お、お越し……く、く、く、下さいました。」
「アドリス様、エディット様、おめでとうございます。」
「あ、あ、あ、ありがとう、ご、ご、ご、ございます。」
「今日は細やかではございますが、お祝いの品を持参致しました。
お受け取り頂くと大変嬉しゅうございます。」
「も、も、も、も、勿体ない……こ、こ、こ、ことでございます。」
「ありがとうございます。」
「アドリス様には私が選びました本を一冊。
エディット様には刺繍がお上手だと伺いましたので、刺繍糸など……。
それから、このネックレスを………。」
「まぁ! 素敵なネックレス!
ありがとうございます。」
「……こ、こ、こ、こ、これは………わ、わ、わ、私が……ほ、ほ、ほ、欲しかっ
た……ほ、ほ、ほ、本です。
あ、あ、あ、あ、ありがとう……ご、ご、ご、ございます。」
「お喜び頂けて何よりでございますわ。」
「あの、テレーゼ様。」
「何でございましょう。」
「英語とフランス語がお上手だと伺っております。」
「はい。」
「他にもお話出来る言葉はございますか?」
「左様でございますね……スペイン語も日常会話でございましたら……。」
「スペイン語まで!
お願いでございます。
私にフランス語と英語をお教え下さいまし。」
「私がでございますか?」
「……無理なことをお願いしておりますこと承知しております。」
「私で宜しいのでございますか?」
「はい! お願いしとうございます。」
「帰りまして、夫に聞いてからお返事をさせて頂きますね。」
「わ、わ、わ、わ、私も……お、お、お、お願い……し、し、したいです。」
「アドリス様も!」
「アドリス様には……難しいかと存じます。」
「いいえ、そんなことはございませんのよ。エディット様。
アドリス様、私で宜しければお教え致しますわ。」
「お、お、お、お、お願い、い、い、い、致します。」
「アドリス様、エディット様、嬉しゅうございますわ。」
私は嬉しくて、その喜びを隠せられなかった。
「お優しいのですね……テレーゼ様は………。」と呟いたエディットに気付かないほどの喜びだった。
公爵邸に帰ってから、義父母に話すと「良いことだ。」と許してくれた。
その場に居た夫は両親が許したことなので、口を挟まなかった。
公爵から、公爵邸で行うように!と言われたので、公爵邸でアドリス負債を招いてお茶会の形で語学を教えることが決まった。
日時は公爵からアドリス夫妻に伝えられた。
私は、今回のこの世界で初めて「仕事が出来る」と喜んでいた。
そして、アドリスからの情報を得ることを頭の中で描いていた。




