二度目の婚礼
一番最初にテレーゼとしてこの世界で目覚めた時、テレーゼは15歳で斬首刑だった。
あの時、たぶんテレーゼは既婚者だったように思う。
何故なら、ウージンゲン公夫人と言った人が居たように思う。
だが、その記憶は定かではなかった。
だから、この婚礼は避けたかった。婚礼から逃げたかった。
でも、逃げられなかった。
⦅否……婚礼から逃げた前のテレーゼでも15歳で斬首刑だった。
テレーゼへの目覚めは……最初の時は何歳か分からないし、処刑時の年齢も分か
らない。
でも、テレーゼからテレーゼへの目覚めは12歳。
処刑は………15歳!
じゃあ、今回も15歳になったら斬首刑が待ってるの?
………じゃあ、なんで何もしていないテレーゼが斬首刑になるの?
それが、全く分からない……。⦆
婚礼の最中、私は終始俯きながら、⦅何故?⦆と考えていた。
今までの斬首刑の時に何も分からないままだった。
処刑の罪名が………。
もし、今回も斬首刑が待っているなら……私はせめて罪名を知りたいと思った。
⦅処刑の前までに直前でも知りたい!
必ず……聞くんだ。今度こそ!⦆
花嫁がそんなことを思っていると周囲は知ることなく、荘厳な挙式は終わりを迎えた。
婚礼の後で、新婚夫婦の部屋に夫が入って来た。
一人の女性を連れて………。
初めて会った夫の顔を見た。
「あっ!」
「何を驚いている。」
「…………貴方が………カール・フォン・ウージンゲン……。」
「如何にも。
それにしても、呼び捨てか……其方は私より身分が上だと言うのかっ!」
「はっ!………いいえ、申し訳ございません。
私は」
「名乗らずとも良い。」
「はい、承知致しました。」
「其方は今日より我が妻になった。
だが、それは陛下がお決めになったこと。
私の本意ではない!
分かっているか?」
「はい、承知しております。」
「公式な場では其方は私の妻としての務めを果たすよう申し付ける。」
「はい、承知致しました。」
「なれど、其方はこの屋敷の中で妻ではない。」
「………は?」
「返事はっ!」
「はい。」
「私の妻は、ここに居るクラウディア・フォン・ブラウン。
彼女だけだ……私が愛している女性は………。」
⦅え…………この人の顔………。⦆
「それだけ言いに来た。
身を弁えるように!
この屋敷の中では其方は伯爵令嬢というだけだ。
後は好きに暮らせ。」
「…………………。」
「返事は!」
⦅はっ! 返事しないと………。⦆
「はい、承知しました。」
妻であるが、それは対外的なことだけと告げて、クラウディアの腰を抱いて部屋を出て行った。
新婚夫婦の部屋に暮らすのはテレーゼ……私だけである。
身体が震えて来た。
そう、あの二人は一番最初にテレーゼとして処刑された時に居た二人だった。
テレーゼの斬首刑の時に処刑を宣告した。
そして、その後部屋から出て行った。
あの二人はテレーゼが無残に処刑される姿を見ていない。
あの二人が、夫になったカール・フォン・ウージンゲンと愛妾のクラウディア・フォン・ブラウンだったのだ。




