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3 森人サイラスとミズとの出会い2


「もう!なんで私、ここに落ちたの?ないわぁ、ほんと、ないわぁ。」

サイラスが光の中心地らしき場所に到着すると、まだ成人前らしきと思われる女の子が、お尻をさすりながらぶつぶつ何か言っているところだった。



[なんだ、あの子。やっぱり攫われてきたのか?でもどうやって?]


サイラスが来るころには、光の柱はどこかへ消え、強大で異様な魔力も感じられなくなっていた。


サイラスがこの状況に戸惑っていると、女の子がサイラスに気付き、目を大きくしたまま固まっていた。



「え、なに、すごい、ファンタジーの世界の人みたい!えぇっ、てことはここはやっぱりれいのアレってこと?うそ、そんなことが存在するのね!」

女の子が驚きの表情でサイラスを見つめていた。



「ねぇ、君、大丈夫??どこから来たの?君一人なの?」

サイラスは自分の動揺を必死に隠そうと、目の前の女の子の様子を伺うように話しかけた。


「全然大丈夫です、体は。…ただ精神的ダメージがちょっと・・・。ところでお兄さんはここで何を?あっ、やっぱりテンプレ的な魔獣退治とか?」

女の子がちょっとワクワクしたような目で答えた。そのクルクル変わる表情が森人であるサイラスにとっては新鮮でもあった。



[テンプレ?っていうか魔獣退治って聞いて嬉しそうな顔するなんてうちの副隊長ぐらいだぞ。どうなっているんだ。ともかくこの子を安全な場所へ避難させなくては!]



サイラスは自分たちの村が近くにあり、安全のためにここを離れる事を女の子へ提案し、無事に女の子の救出に成功し、安堵した。


まさかこの光の柱の原因、人をも恐れない魔獣ですら怯える強大な魔力の持ち主がこの女の子、異世界転移者ミズとは知らずに。






ミズがこの村に住むようになってから数年が経った。最初は人間のような風貌をしていながら、この世界では見かけない黒髪の黒目、そして魔力の扱いには長けているはずの森人すら感知できない魔力をもっていたミズに対して、拒絶というよりも畏怖の念すら抱いていた。


ただミズの方は、気にするでもなく、出会う森人達に「イケメン・美女天国かここは!」と意味不明なことを言いながらすごく感動していた。



ミズの気質によるものも大きかったのだろうが、この村の生活にもすぐに慣れ、他の森人とも次第に打ち解け、なにか見たことのないものを作っては、

「私さ、どこでも寝れるけど寝具はこだわりたい派なのよね。魔鳥?の羽、飾るだけじゃもったいないよ。飾るように処理されたやつ、加工前にこうやって袋に詰めれば、ほら、ふかふかでしょー!」

と魔鳥の羽をつめた布団に頬ずりしながら、至福の顔をしていたこともあった。


ある時から魔獣退治が見たいというので、警備隊の仕事について来るようにもなっていた。何故か、ミズがついて来る日は魔獣達が大人しく、他の隊員からも羨ましがられたりしたが。


ミズが「きっと私の念のおかげね!私って意外と信心深いのよね。」と言い、「これ、私の念を込めたお守りだから」と隊員一人一人に手作りお守りを渡してくれた。

これはミズが去った今でも隊員にとっては、いえ、村にとって最重要アイテムになっている。

これさえ持っていれば、村に魔獣を寄せ付けないことはもちろん、たまに発生する魔獣達の暴走を止めることができるのだ。


初めて暴走して集団化したブラックウルフを鎮圧しに隊員総出で向かったとき、出合頭に会ったプラックウルフ達が急に大人しくその場に倒れ込んだ時は、何事かと焦った。

何かの魔術か、毒かと思ったとき、倒れ込んだブラックウルフ達が突如、のろのろ起き上がり、散り散りに森の奥に帰っていったのだから。


こういうことが何度か起き、ミズのお守り袋の効果だとわかり、その凄さがわかった。

何がすごいって、自分達は感知できないが、数キロに渡って魔獣達を寄せ付けない魔力量、異常状態化した魔獣を正常かつ鎮静化さることができるなんて、どんな魔術を極めたらそうなれるかわからない。


しかも本人がどうやら無自覚のようだから、訳がわからない。そんな膨大な魔力を垂れ流し続けているのに、我々には空気のように溶け込ませているせいか感知させず、それでいて聖の結界のように悪を寄せ付けないなんて、魔力切れしないのか?



種族名をミズにきいたことがあるが、普通に「人間じゃないの?あっ、でもこの世界の人間には会ったことないから全く同じかどうかはわからないけど。…この機会に人間の街に行ってみるのも悪くないかもね。」

と、本人もよくわかってないような感じだった。



ミズがこの村を出て、今はどうしているのだろうか?まぁ、きっと行く先々で、周囲を驚かし、喜ばせているに違いないが。




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