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2.森人サイラスとミズの出会い 1


「おお、サイラス、おはよう。今日も見回りご苦労様!」

「あぁ、おはよう。今日も森は平和だよ。」

「そうかぁ。ミズのおかげだなぁ」




俺は樹念慈(じゅねんじ)の森と呼ばれるこの場所に住む森人で、警備隊の隊長をしているサイラスだ。

他の種族の者は、エルフとか言う奴がいるが、本当の種族名は別にあるらしい。

長老達のみが言い伝えを記憶しており、正式な呼び名は一族の一部のみが知っているだけだ。

なんでもその名は、種族の力、存亡に関わることだから、外部に漏れないよう好きなように呼ばせている。



サイラスの村は数百人が住む小規模の村だ。

ただ場所が、森の中心地あたりに位置するため、強力な魔獣が住まうので、この村の役割、特に警備隊は重要であり、所属者も精鋭のみで構成されている。


サイラスがまだ100歳を超えたばかりのころ、やっと希望の警備隊に入隊した。試験も厳しく、剣術はもちろん、魔法の技量も問われたなか、合格を勝ち取り、警備隊の証であるの漆黒のマントを着たときは、家族とともに喜んだ。


そんなサイラスが隊員としてやっと自覚ができてきたある日、隊の先輩と森の見回りをしていたら、突然ドォーンと低く地を這うような音と振動と共に、強い光の柱が空から現れ、同時に今までに感じたことのない強力な魔力を感じた。


あまりの強烈さにベテランの域であった先輩ですら、足がすくみ二人でその場で立ち尽くしてしまった。


数秒後、ハッとした先輩が

「サイラス!お前はここにいろ!いいか、絶対動くなよ!俺は、村に戻って他の隊員を呼んでくる!」

そういうと、先輩は村の方へ駆け出して行った。


俺は、経験のなさも相まって、正体不明の異様な魔力に身動きとれずにいた。

森全体がこの異常事態に、動物や魔獣達も息を潜め、静寂に包まれていた。


「なんなんだ、これは。何が起きてるんだ?」



この樹念慈の森はもう千年以上、森人達によって平穏に守られてきた。とても広大かつ肥沃な土地ながらにも他種族や国家からの侵略がないのは、魔獣が強いからだけでなく、多種多様な魔法を使い、強力な結界を森に分散して住んでいる森人がかけ続けているからだ。森にはサイラス達の村の他に、数ヶ所同じような規模の村が存在し、森の監視、守りを担っていた。そんな森に、力のシンボルでもある結界を嘲笑うかのような光と魔力が森のど真ん中に現れたのだ。


サイラスが周りの様子を伺うように、大樹の陰に隠れていたら、遠くから人の声が聞こえた。

「#&/&a&/@」


サイラスは魔力を耳に集め、声のする方に意識を集中させてみた。


「もう、やだ!なにこれ、どうなってるのー!」


明らかに女の子の声だ。

何故、こんな森の中心地に女の子が?

攫われて、置き去りに?

いや、どんな種族であれこの森に森人に見つからず、結界を通って入り込むなど不可能だ。

っていうか、この声の主がいるのはさっきの光の柱があった場所の方向じゃないのか?

まずい!!


サイラスは、先程までの恐怖を振り払うように手と足に力を入れ直し、先輩に言われたことも頭から完全に忘れ、声の方向に走り出した。

ただ、助けなくてはいけない、自分はこの森、そして住む人を守るために警備隊になったんだと胸に使命感を宿らせて。


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