救出②
桃太郎のチームに孝がいないなら、どこにいる。カショーキが直接、連れ去るとは思えん。そうなると、かぐや姫の所が第一候補に上がる。かぐや姫のアジトはどこだ。身を隠すのに都合のいい場所とは、どこなのだろう。ダメだ。先入観が邪魔をする。孝がアジトにいるとは限らない。かぐや姫に囚われているとも限らない。どうやって、探せばいいのだ。手がかりがないのに。打つ手なしか。
ピンポーン。
インターフォンが鳴った。モニターに誰かが映っている。俺の背の高さでは、よく見えない。かすみが対応した。
『あらっ。今、エントランスを開けるね。』
顔見知りの来客のようだ。
『ママ、誰が来たの?』
俺は、かすみに質問した。
『洋介さんと、孝さんよ。』
『えっ。』
俺は驚きを隠せなかった。
『あらまあ、ちひろちゃんたら、洋介さんと会えるのが嬉しいのね。だけど、お化粧やお着替えは間に合わないね。4歳のままで甘えちゃえば。』
孝が行方不明になっていることを、かすみには伝えていなかった。同じことを、レイちゃんも感じとったようだ。
『ママ、変だよ。孝さんと、彩姉ちゃんが行方不明で、ちひろちゃんが分身仏とか、顔の3つあるおじちゃんとかと探し回ってたんだから。』
『じゃあ、今から来る二人は誰?』
スマホを取り出し、洋介に電話する。コール音が鳴るが、応答はない。ならば、行ってみるのが一番早い。俺は、洋介の自宅に瞬間移動した。灯りがついていない。留守のようだ。部屋の中は、とくに荒らされた様子はなかった。嫌な『気」も皆無である。この部屋に問題はなさそうだ。自宅に戻ろうと思ったとき、ドアの鍵が回された音がした。俺は姿を隠した。ドアから入って来たのは、洋介であった。
俺は、慌てて、自宅に戻った。
『ママ、レイ姉ちゃん。私、今、洋介さんの自宅を見て来たんだけど、洋介さんいたわ。だから、これから来る人は、間違いなく偽物よ。二人とも私の部屋で隠れていて。分身仏が守ってくれるから、安心して。後は、私が処理するわ。』
『一人で大丈夫?』
『大丈夫。私より強い人など、いないから。さあ、早く避難して。』
かすみとレイちゃんが奥の部屋に隠れた。
キンコーン!
ドアのチャイムが鳴らされた。俺は、ドアチェーンをかけたまま、ドアを少しだけ開いた。隙間から見えたのは、孝と洋介。いや、少なくとも洋介は偽物だ。
『ちひろちゃん、開けてもらえるかな。』
孝が声をかけてきた。目が左右に泳いでいる。異能なほど汗をかいている。俺は、ドアチェーンを外し、ドアを開けた。
『ちひろちゃん、大変なんだ。彩さんが拉致されてしまった。頼む、協力して欲しい。』
『孝さん、彩姉ちゃんと一緒にいたのかと思ってたよ。』
『その通り、一緒に拉致されたんだ。でも、二人違うところに運ばれてしまい、もう何がなんだか分からない。ただ、見張っていた男が居眠りしているすきに、俺は逃げることが出来た。それで、洋介に頼んで、ここに連れてきてもらったんだよ。』
『孝さん、大丈夫。彩姉ちゃんは、きっと無事よ。』
俺は孝の手を握った。そして、孝の心を読んだ。この男は、孝で間違いない。だが、嘘をついている。そして、隣の男は、いったい何者だ。




