救出①
思った通り、彩先生が拉致されている。護衛の分身仏も一緒だ。だが、孝は見当たらなかった。
『彩先生、助けに来ましたよ。』
『ちひろ、よくここが分かったわね。』
『さあ、帰りましょう。』
『帰れるもんなら、とっくに帰ってるわ。』
『主様、人質に取られてるんですよ、孝さんが。』
『そうかあ。で、孝さんの行方は?』
『それが、全く手がかりなしです。』
『孝の無事さえ確認できれば、あいつら全員、ぶっ飛ばすんだけど、だけど、孝が、、、。』
彩先生の弱音を聞くのは初めてだ。強い、強いと言われているが、愛する人の前では、一人のか弱き女性なのだ。俺が何とかしなければ。
『敵は、彩様を人質に、孝さんを何かの任務に就かせようとしています。責任感の強いお人です。孝さんは、彩様の為に敵の言われるがままのことをするでしょう。何としてでも止めなければ。』
『ちひろ、お願い。孝を助けて。』
『分かってます、彩先生。ここにいる3人の男は、気を操るのに長けているようです。今までのテレパシーは、ことごとく妨害され、俺のところまで届いていませんでした。すでに、奴ら3人のテレパシーの種類が判明してるから、それをかいくぐる方法を教えますね。天井に向かって、テレパシーを送ってください。この建物の真上に分身仏を一体、配置しておきます。衛星だと思えば分かりやすいかな。分身仏を中継して、私にテレパシーが送れます。何かあったら、連絡をください。それと、私の身代わりを、残しますね。彩先生、私を信じて。』
『ちひろ、偉大になったわね。あなたを信じます。さあ、お行きなさい。』
『では、また来ます。』
俺は自宅に戻った。
敵の狙いは、あくまでレイちゃんだ。孝を使って、レイちゃんを襲わせるのか。あの優しい男が、そんなことを出来るはずない。カショーキは頭がいいという。何か別の方法を企んでいるに違いない。レイちゃんに危ない目を合わせさせはさない。俺が囮になるのが一番良さそうだ。




