もう一人の守護神⑥
『黒のオーラのかぐや姫。知ってるわ。ちひろちゃん、竹取物語はご存知かしら。』
『もちろん、知ってるよ。おじいさんが、光る竹を切ると、中から小さな女の子が現れて、やがて美しく成長するの。で、全国の男どもがプロポーズするけど、無理難題をふっかけて、ことごとく振って、最後には、月からの使者に連れられて、月に帰って行くというお話。』
『その通りね。つまり、かぐや姫は人間ではないってこと。月に生物はいないから、宇宙人でもないけど。おそらく、別次元の者ね。もし、私の知っているかぐや姫なら、竹の妖精。妖精って聞くと、何だか可愛らしく思うかもしれないけど、別の言い方なら、死神よ。かつては、地獄の主である閻魔大王の元で働いていたと聞いている。死神とは本来、亡くなった人を安らかに次のステップに誘う神。だが、かぐや姫は、人の魂を食らうことが止められす、その職をクビになったらしいの。そこで、地獄を飛び出し、追っ手を振り払い、この世界に隠れていると言われているのよ。おそらく、匿っている者がいるはず。でなければ、地獄の追っ手から逃げきれるわけないから。』
おいおい、かなり、やばい奴ではないか。
『それなら、かぐや姫を生け捕りにしたいの。』
阿修羅大王が口を挟んできた。
『大王、どうして?』
『ちひろ殿。前に話したことあったと思うが、昔、閻魔大王とは色々あってな。閻魔大王とは、わしに喧嘩を売ってきた数少ない男の一人だ。このわしに喧嘩を売ってきたのは、3人。閻魔大王、帝釈天、それとレイ姫じゃ。閻魔大王には、借りがある。その借りを返すのに、ちょうど良いわ。地獄の裏切り者は、地獄で裁きを受けるべきだ。わしも、かぐや姫退治の手助けするぞ。』
何とも心強い助っ人だ。しかし、レイちゃんは、とんでもない者と比較されている。そして、とんでもない男に好かれている。
『大王様、レイ姫とは、 先ほど名が上がった大沢レイのこと?』
『そうじゃ。大沢レイ姫のことじゃ。わしの大事な友達じゃよ。わしは、本気でこの子を守るわい。シェリー殿も、力を貸しておくれ。』
『まぁ、大王様をそこまで本気にさせる女の子って、不思議。会ってみたいわ。』
『シェリー、会って食おうなどと思うなよ。残念ながら、レイ姫も黄金のオーラを身に纏っておるわ。それに、もしも、レイ姫を傷つけることがあれば、とんでもないことが起きるぞ。天界から伐折羅大将、千手観音様をはじめ、多くの神が駆けつけるだろう。さらに、ちひろ殿の怒りが頂点に達し、その援軍に、竜宮から龍の大群が押し寄せるじゃろう。レイ姫とは、そういうお人なのじゃよ。』
阿修羅大王の体から、大量のオーラが吹き出ている。黄金のオーラだ。そんな大王を見ても、シェリーは落ち着いている。
『そんなこと言われたら、なおさら会いたくなるじゃやいのよ。私は、大王様や、ちひろちゃんを敵に回すほど、おバカではないわよ。』
カチャ!
ドアの開く音がした。




