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もう一人の守護神④

 ローラー作戦は、進行中。成功か否か、未明には結論が出るであろう。

『主様、桃太郎が動き出しました。どうやら、さる、キジ、犬の3名と合流するようです。行き先は分かり次第、連絡します。』

この動きは、彩先生の失踪と関係があるのだろうか。


 部屋の空気の流れが変化した。奴が帰ってきたぞ。空間が歪み、中から大男が現れた。阿修羅大王だ。いや、様子がおかしい。もう一人いる。

『ちひろ殿、夜遅くにすまん。早く、報告したくてな。そんな訳で、急遽、連れてきてしまった。重ね重ね、申し訳ない。』

『初めまして。私は、シェリーと申します。』

阿修羅大王が連れてきたのは、魔界の詐欺師、シェリーだ。俺のことを、ヒロだと思っていないようだ。阿修羅大王の三つの顔が全て、笑っている。

『シェリーよ。初めましては、違うぞ。この女の子。すでに、会われているぞ。』

『そうよ。シェリーさん。私が誰だか、分かるかしら。うふふ。』

『えっ!』

シェリーが俺の顔を遠慮せずに、ジロジロと見始めた。

『大王様。私、こんな小さな子供と、会ったことないです。全く記憶にないけどなあ。』

『シェリーさん。前回は、シェリーさんの方が、私を騙しましたけど。シェリーさんが変身したバラクという紳士に、危うく騙されるところでした。』

『まさか、このおチビさん、、、ヒロさん。』

『思い出してくれましたね。シェリーさん同様、私も変身出来るのです。今は、訳あって、ちひろという女の子の姿で暮らしてるのよ。』

『いやあ、ビックリ。まさか、あの最強と謳われたヒロさんが、こんな可愛らしい女の子になるなんて、全く気が付きませんでした。可愛いスカートはいて、髪もサラサラ。どう見ても、女の子じゃないの。私の変身より、ずっと上手いわ。そうかあ、あなたが、ちひろなのね。でも、ちひろは暗殺されたと噂されてますけど、そうかあ、それも騙されたってことね。ヒロさんの病死説も嘘なのね。魔界の人たち、みんな騙されてるわよ。ヒロさんと、ちひろさんが、亡くなった今、もう勝利は間近だと、はしゃいでいるものもいたりするのよ。みんな、バカみたいだわ。』

よく、喋る女だ。だが、頭はいい。味方にすれば心強いが、敵にはしたくない女だ。

『ちひろさん、魔界の最終目標は、何かお分かり?』

『現時点での、最終目標は大沢レイの抹殺だと思っています。』

『その答えは50点。なぜだか分かるかしら。』

『将来、大沢レイから誕生する男の子こそ、救世主。その救世主誕生を防ぐことが目標。だから、生まれる前に、母親となる大沢レイを暗殺。生まれたなら、救世主を暗殺。故に、50点。違うかしら。』

『ちひろちゃんは、まだ子供だから、分からないのかなあ。ちひろちゃんは、性教育受けてないのね。子供が生まれるのに必要なのは、母親だけではないのよ。父親も必要なの。だから、50点よ。現時点での最終目標は、二人。大沢レイと、北野哲也。どちらか1人を抹殺すれば、魔界の勝利。』

『北野哲也が救世主の父親なのね。』

リストに名前が載っていた理由がはっきりした。ただ、北野哲也は謎の男。その行方は未だ分からず。前に、伐折羅大将が、救世主の父親を心配する必要はないと断言していた。強力な力で守られているからだと。

『シェリーさん、北野哲也という男は何者なのですか。』

『それが、分からないのよ。全く情報が掴めないの。だから、魔界は、大沢レイにターゲットを絞っているのよ。』

将来、レイちゃんのハートを掴む男だ。並みの男ではないはず。おそらく、俺がレイちゃんを守るのと同じように、誰かが北野哲也を守っているのだろう。北野哲也にも興味はあるが、彼を守っている誰かにも興味がある。かなり強いのだろう。会ってみたい。

『シェリー、さっきの話をしてあげてくれ。』

『オッケー。黒のオーラのことね。』

阿修羅大王が、シェリーを連れてきたのは、黒のオーラについて、何か重大なことが判明したからだ。俺はシェリーの目を見つめた。

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