もう一人の守護神②
黄金のオーラが俺を包んでいく。
『はあああああ、、、はあ!』
ちひろの体が、ゆっくりと変形していく。そして、徐々に大きく成長する。俺は、ヒロの姿に変身した。
『突然の訪問、ご無礼申し訳ない。ご覧の通り、これが私の正体。私こそ新宿ヒロです。訳あって、ヒロ死亡説を自ら流布し、現在はちひろという仮の姿で活動しているのです。カレン・ヨハンソン様。危険が迫っています。私は、あなたを守らねばなりません。理由は、先ほど述べた通りです。』
『わ、分かっけど、、、その前に、その裸体を隠してもらえないかしら。』
カレンは、頰を染めながら、バスタオルを俺に放った。確かに、かっこいいこと言ってはみたものの、真っ裸である。急に恥ずかしくなってきた。
『俺には、レイちゃん、つまり大沢レイを守る使命がある。俺は、万が一に備えている。もしも、レイちゃんが襲われそうになったなら、身代わりになるつもりでいる。それゆえ、ちひろという女児で暮らしているわけだ。』
『あなたは、体を自由に変えられるの?』
『おっしゃる通りだ。体の大きさ、形。性転換も可能だ。』
『先ほども言いました通り、自分の身は自分で守るわ。今までも、これからも。まして、突然、現れたあなたを信じろというのは、無理があるわ。良い人面してるけど、人なんて、本当はどうか分からない。極悪非道かもしれない。それに、新宿ヒロは確かに有名ですが、引退なされたんでしょ。それは実力が落ちたから。実際、裏世界ランキングで、あなたは、ランク外。』
『俺が引退したのは、レイちゃんのため。ただ、それだけだ。ランキングなど、どうでもいい。』
『そうねえ。私を信じさせたいなら、現在、最も恐れられている神出鬼没の男を倒してきなさい。そしたら、信じてあげるわ。』
『誰を倒せばいい?』
『ランキング1位の男よ。その名は、魔人バブー。ランキングは、ぶっちぎりの1位よ。 触れるものを全て破壊すると言われている。遭遇したら最後。確実に命は絶たれる。あなた、裏世界にいて、そんなことも知らないの?』
俺は、微笑んだ。
『もう一度、なぞなぞをしようか。魔人バブーは、俺より強くない。なぜだ?』
『まさか、魔人バブーもあなたなの。』
『今回は100点。当たりだ。俺が魔人バブー。俺が暗殺者として引退したと聞いたとたん、裏世界の馬鹿どもがやりたい放題を始めやがった。だから、ときどき、俺が魔人バブーとなって暴れることで、抑止してるのさ。悪さをすると魔人がやってくるってな。ちなみに、遭遇したなら命はないというのは嘘だから。確かに物は破壊しているが、改心する可能性がある人は殺してないよ。まあ、結果として、命拾いした男が、魔人の恐ろしさを広めてくれたけどな。』
『、、、。』
『どう?信じてくれたかな?信じられないなら、魔人を呼んでもいいぞ。ただ、この部屋では狭い。外の庭なら暴れられるぞ。』
俺は再び微笑んだ。
『分かったわ。この静かな住宅地で暴れられたら困るわ。信じます。でも、もう一つの矛盾点を答えて。今現在、こうして、あなたは私の元にいる。今、敵が大沢レイを襲ったら、どうするの?使命が果たせないのでは。』
『それも対策済みだ。俺しかできない裏技でね。今、見せてあげよう。』
俺は、気を集中させた。
『はあああああ、、、はあ!』
分身仏を10体、現せた。俺が全部で11人。真っ裸の俺が11人。
『己の体を分身させることが出来るんだよ。これを分身仏という。おまけに、それそれの能力は本体である俺と全く変わらない。だから、現在もレイちゃんのところに、分身仏が護衛として配備されている。お前ら、戻れ。』
俺は、分身仏を元に戻した。
『ビックリされただろうが、これが俺の力。世界最強と言われた所以だ。他にの、まだまだ、信じられないような能力を持っているが、いずれ分からだろう。』
『凄い。私の理解を超えるレベルということは分かったわ。あなたは、何者?』
『俺自身、よく分からないが、人は神と呼んでいる。カレンさん、あなたなら、分かるはずだ。あなたも、同じ匂いがする。先ほど放ったオレンジ色のオーラ。あれは、人が纏うオーラではない。さらに、俺の気配を一瞬で感じ取った、その鋭い感性。あなたもまた、神の仲間だと思う。』
『私は、ときどき、声が聞こえるの。聞きたくないことまで、聞いてしまうわ。あなだが言うように、私も普通ではないよ。私が日本に向かうきっかけも、声なの。』
『日本に行って、大沢レイに会えという声を聞いたのですね。』
『何で分かるの。その通りなのよ。理由は分からないが、会えば分からと声は言っているの。』
『俺も同意見だ。会えば分かるよ。それで、いつ日本へ。』
『来週の木曜日よ。』
『分かった。それまで、一体の分身を護衛につけておく。』
俺は昆虫サイズの分身仏を出した。
『こいつだ。この大きさなら邪魔にならんだろう。先ほども言った通り、小さくても頼りにはなる。好きに使ってもらって構わない。』
カレンは小さな分身仏を手のひらに乗せた。
『可愛いわ。面白い。色々と研究してみたくなる。だけど、本当に自分の身は自分で守れるんだけど。』
『さっきのリストの中の、赤崎彩。彼女もまた能力者。見た目は、あなたと同じで美しい。30代に見える。しかし、今年で129歳だ。それなりの実力を兼ね備えている。武闘家100人を相手にしても、負けることはない。そんな彼女が行方不明になっている。彼女を救い出したい。あなたの知恵を借りたいというのが本音だ。日本に来たなら協力をお願いしたい。どうか、私の心を理解して頂きたい。』
俺は跪いて頭を下げた。
『仕方ないわね。この小さな子、預かるわ。』
『良かった。もし、何かあれば、すぐに飛んでくる。もちろん、何事もないことが一番だがな。では、日本でお待ちしてます。』
俺は瞬間移動した。




