桃太郎①
『桃太郎の伝説は、ご存知ですよね。鬼退治の伝説。』
『ああ、もちろん知っている。それがどうした。』
『あれは事実なのです。恐ろしいのは、桃太郎ではなく、桃太郎を慕う3人の家来です。桃太郎の本名は柿崎二郎。この男は、ただのオタク。何の力もない。一つのことを除いて。その一つのことというのが、桃太郎なのです。彼は桃太郎の生まれ変わり。ゆえに、彼を守る三人の守護神が付いているのです。犬、さる、キジと呼ばれる三人の神です。彼らは桃太郎の命令には絶対服従をします。なぜ、ヒロ様は、その三人のことを知っているのですか。』
『桃太郎のメールだ。メールの送信者にその3人が載っていた。桃太郎は、その3人を招集していたんだよ。』
『桃太郎は、優しい人です。桃太郎を操っているのは、間違いなくかぐや姫です。かぐや姫が桃太郎を操り、桃太郎を利用して、3人の神に最終目標を達成させようと考えていると思われます。最終目標は、大沢レイ暗殺。大沢レイに危険が迫っています。』
まずい。今度の敵は、神が関係している。俺の攻撃が通じない可能性もある。敵の要は、最も弱そうだと思っていた桃太郎だ。
『その3人の神について、知っていることは?』
『いえ、それは知りません。分かっているのは、桃太郎に仕えているということだけです。』
『よく話してくれた。ありがとう。さっきも言ったが、ここにいれば安全だ。では、またくる。』
さる、キジ、犬。この3人の神が動き出す前に、桃太郎を始末するべきか。桃太郎の守護神なら、桃太郎が危機に追い詰められれば、姿を現わすだろう。3人の神は桃太郎を、その桃太郎はかぐや姫を慕っている。かぐや姫を叩き、桃太郎を説得させる。これがベストな作戦と思った。しかし、俺の浅知恵では、成功するとは限らない。彩先生の力を借りることにしよう。策略家としてのアドバイスをもらおう。俺は自宅に戻った。
ちひろの姿に戻り、シャワーを浴びた。さっぱりした状態で、彩先生に会おうと思ったからだ。彩先生に、これからそちらに向かうと、テレパシーを送る。返答がない。護衛につけている分身仏に、コンタクトを取ったが、こちらもダメだ。彩先生の身に、何か異変が起きている。そういえばこの前、レイちゃんが、最近、彩先生を見ていないと言っていた。まさか、彩先生が敵の手に落ちたのか。分身仏は何をしている。俺は新たに10体の分身仏を出し、彩先生の捜索に向かわせた。深入りはせず、見つけたら、すぐに連絡を入れるように伝えた。
俺は頭の中を整理した。やらなければならないこと。
北野哲也、カレン・ヨハンソンとは、どんな人物なのか。
かぐや姫の紫のオーラとは何か。
さる、キジ、犬とは、どんな神なのか。
彩先生と護衛の分身仏に何があったのか。
最優先は、やはり彩先生だ。俺は念を送り続けた。




