情報④
『一つ疑問点があるのですが。』
『何でしょう。』
『キリストと同じDNAというのは、矛盾があります。ちひろ様は、女性ですから、そこは間違いかと。』
俺は宙に浮き、気を集中させた。
『はあああああ、はあ!』
赤ずきんちゃんは、椅子から立ち上がり、壁に向かって後ずさりした。俺の逆鱗に触れたのだと勘違いしている。
『私が何か悪いことでも言いましたか?』
『はああああああ、はあ!』
黄金のオーラに包まれ、俺の体が変化する。俺はヒロの姿に変身した。
『脅かしてすまん。これが俺の本来の姿だ。分かるか、赤ずきん。俺は男だ。』
『えっ、は、はい。DNAの件は納得しましたが、しかし、ちひろ様が男だとは思っても見ませんでした。』
『さっき言っただろう。俺には変身能力があると。ちひろは仮の姿だよ。俺が誰だか分かるか?赤ずきんよ。』
『い、いいえ。もう何が何だか分からない。私の頭では理解不能です。』
『さっきのリストに載っていたぞ。俺こそ、ヒロだよ。裏社会では、新宿ヒロの名で通っている。俺は死んではいない。この通り、ピンピンしている。俺を倒せる者など、この世にはいない。』
『つまり、あのリストに載っているちひろ様と、ヒロ様は同一人物。そして、2人とも死んだことになってる。カショーキの計画は根本から間違っていたのか。』
『そういうことだ。では、本題に入ろう。』
『まだ、何かあるのですか?』
『お前の疑問には誠意を尽くして答えたはずだ。今度は、お前が話す番だよ、赤ずきん。』
『分かりました。お答え致します。』
『俺が知りたいのは、カショーキ、かぐや姫、それと桃太郎。さらに、桃太郎が招集しようとしている3人の暗殺者。知っていることを教えてくれ。』
赤ずきんは、グラスに水を注いだ。
『カショーキは、会ったことありませんが、ご存知の通り、この世界の人ではありません。ただ、噂では、普段は温和で、この世界に溶け込んで生活しているらしいです。上の方から命令されている暗殺のことだけを考えているようで、それに関しては、慎重かつ冷酷だと聞いています。部下には完璧を課し、ミスは許さない。ミスは、死につながる。恐ろしい方です。どこに住んでいるのか、どうすれば会えるのか、全く分かりません。』
なるほど、俺の想像通りの男だ。後ろで指示を出すだけでなく、優しいふりをして、こちらに近づいてくる可能性もある。油断はならぬ相手だ。
赤ずきんちゃんは、グラスの中の水を一気に飲み干し、話を続けた。
『かぐや姫は、カショーキの策略を実行する責任者です。かぐや姫には、会ったことがあります。名前の通り女性です。美しい人ですが、ヒロ様と同じようなオーラで包まれており、簡単に近づくことは出来ません。下心で近寄って来る男は、すぐ分かるようで、そんな男は秒殺されてしまいます。彼女の、得意技は槍術です。かぐや姫と言われるのは、その槍が、手製の竹槍だからです。竹槍の長さが、彼女の間合いです。間合いの中に入って、生きて出られた者はいないと聞いています。』
『お前は、かぐや姫のオーラを見たことがあるのか。』
『はい、何度も見ています。ヒロ様のオーラは金色に見えますが、かぐや姫のは、紫色です。ヒロ様のような温かみは感じられません。冷たいオーラ、氷のオーラと呼んでもいいと思います。』
俺とは対照的なオーラだ。以前、同じようなオーラを纏った者に会っている。魔界の詐欺師、シェリーだ。シェリーのことは、阿修羅大王が詳しいはず。紫色のオーラについても、何か知っているかもしれない。阿修羅大王に聞いてみるか。あるいは、直接、シェリーに会っても良い。
『桃太郎について話す前に、聞いておきたいことがあるのですが、なぜ、3人の暗殺者のことをご存知なのですか?』
『それに、何か問題があるのか。』
赤ずきんちゃんは、再び、グラスに水を注いだ。額には汗が浮いていた。




