情報②
送信者 : かぐや姫
受信者 : 桃太郎
『刺客を3人用意してくれ。
失敗は許されない。
出来れば、例の3人がいい。
作戦計画は、こちらで考える。』
送信者 : 桃太郎
受信者 : 犬、さる、キジ
『重要な仕事がある。
鬼退治。
お前たちの出番だ。
俺のために動いてくれ。』
桃太郎が、犬、さる、キジに召集をかけている。鬼退治をするということか。そして、その鬼というのが、俺らのことを指している。ふざけやがって。気になるのは、刺客を指名したのが、桃太郎ではなく、かぐや姫であることだ。失敗は許されないという理由で、この3人を指名している。相当な実績があるということか。桃太郎も、ただの情報係ではなさそうだな。
『Tおじちゃん、監視の方をよろしくお願いします。不穏な動きがあったら、すぐに知らせて下さいね。色々、ありがとう。じゃあ、バイバイ。』
何だか忙しくなってきた。俺は赤ずきんちゃんの持っている情報を聞き出そうと思い、奈良の山奥の遺跡に飛んだ。
ここに来るたびに思う。漂う霊気。ここは、間違いなく聖地である。その霊気の中に、人の気配が混ざっている。赤ずきんちゃんに違いない。俺は、その気配の方向に歩いて行った。すぐに、見つけることが出来た。赤ずきんちゃんは、ドームの横の部屋を掃除していた。俺は、優しく声をかけた。
『赤ずきんちゃん、真面目に仕事してるのね。』
赤ずきんちゃんは、ゆっくりと、こちらに振り返った。
『ちひろ様ではないですか。ここは、いいところですよ。何と説明すればいいのか、難しいのですが、一言で言えば、汚れがない場所です。時々、思うのですが、私はすでに亡くなっていて、天国に導かれたのではと。』
『あなたは生きてますよ。しかも、今の方が生き生きとしてるわ。少し、お時間いいかしら。』
『構わないですよ。別室に椅子がありますから、そこで話しましょう。』
俺は、赤ずきんちゃんの後ろを歩いた。ドームを抜けた先の階段を上ったところに、応接室が用意されていた。
『こちらにお掛けください。こんな所ですから、オシャレなお菓子とか、コーヒーとかは、ありませんが、外の空気は美味いですよ。』
赤ずきんちゃんは、窓を開けた。確かに、空気は澄んでいる。神々の住処なのが、頷ける。
『ここは、安全なところ。カショーキといえども、侵入は困難です。』
『はい、分かっています。今の私の、ご主人様である伐折羅大将様に常に守られているのが分かります。伐折羅大将様が仰せられていました。ちひろ様を信じなさいと。ちひろ様は、いったい何者なのですか?カショーキの暗殺名簿に名を連ねているほどですから。』
『ちょっと待って。暗殺名簿って、そんなものがあるの?今でも、それを見ることは可能?』
『いいえ、カショーキが持っているので、見ることは不可能です。ただ、桃太郎のパソコンの中にデータとして、残っていると思います。それと、多少だけど、私の記憶の中にも残っています。』
桃太郎のパソコンのデータはMr.Tが取り出しているだろうから、後で確認してみよう。
『赤ずきんちゃんの記憶に残っている暗殺リストを教えてもらえるかな。』
『私が覚えているのは、確か
ちひろ様
大沢レイ
北野哲也
赤崎彩
新宿ヒロ
カレン・ヨハンソン
この6人です。そう、この6人で全てだったと思います。』
『どうして全てだと確信してるの?』
赤ずきんちゃんは、ニヤリとした。
『今現在がどうなっているかは分かりませんが、私が見たときは、この6人で間違い無いと思います。この6人を並べ替えます。
赤崎彩
カレン・ヨハンソン
北野哲也
ちひろ様
新宿ヒロ
大沢レイ
で、頭文字を読むと
「あかきちしお。赤き血潮」となるので、何となく覚えていたのです。』
ほお、この男は頭も良く、センスもいい。おそらく会話も楽しいはず。モテる男だと思う。
『私以外の5人について、知っていることはあるの?』
『赤崎彩は、経済力、統治力、策略に優れ、他の5人を強力に後押しすることが危険と判断したようです。
カレン・ヨハンソンは、赤崎彩と同様に他の5人をバックアップするのですが、経済力とかそういうのではなく、知力や能力に関係することらしいです。
北野哲也に関しては、全く分かりません。
ちひろ様は、今、目の前にいますが、やはり謎が多く、詳細は不明扱いになっています。
新宿ヒロは、最大の敵と判断していたのですが、病死したと聞いています。
大沢レイ。この女性抹殺が、最終目的です。いわば大沢レイを倒すために、他の5人が邪魔であると考えているのです。
私の知っていることは、こんなところです。』
カレン・ヨハンソン、北野哲也。この2人を調べる必要がある。赤ずきんちゃんの話を信じれば、この2人は我々にとって大きな存在になるはずだ。やられる前に、確保せなばならない。
新宿ヒロは、生きていることを、敵は知らない。新宿ヒロが、ちひろと同一人物だということも、バレていないようだ。彩先生の策略が上手く言っている。やはり、年の功。さすがだ。




